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〜幕末へ〜  作者: エヌ
3/18

☆弐

  ** 弐 **



オレはのぼせる前に、お風呂から上がった。

背中の真ん中まである髪を拭きながら、部屋に戻った。


部屋に入ると、オレはすぐにベッドに潜り込み、明かりを消して眠りについた。


次の日の朝

─午前4時頃─


いつもの時間に起きたオレは胴着に着替え、顔を洗いさっぱりした後、道場に来ていた。

壁に立て掛けてあった竹刀を一本手に取り、道場の中心に座り、竹刀を右側に置き精神統一をするため座禅を始めた。


1時間ほどすると、オレは竹刀を持ち素振りを始めた。


ビュン


竹刀が空気を切る音が心地よい。


ガラッ


暫くすると、道場の戸を開ける音がし、3馬鹿が入ってきた。


3馬鹿「「「光さん、おはようございます。」」」


『おはよう、3馬鹿。もう、ご飯の時間か?』


1「はい。」


『じゃぁ、行くか。』


3馬鹿「「「はい!」」」


オレは胴着のまま、食卓に向かった。

その後ろを、3馬鹿が歩いている。


3馬鹿は居候だ。

と、言っても今では家族同然になっているが。


食卓につき、父が来るのを待つわけなく、オレはご飯を食べ始めた。家事は当番で決めている。


3馬鹿は朝飯と昼飯、掃除や洗濯など料理以外全て父が、オレは学校があるため夕飯のみだ。

まぁ、休みの日や暇なときは、手伝うが。


オレはご飯を食べ終えると食器を片付け、制服に着替えるため、部屋へ戻った。


オレの制服は、学ランだ。

サラシを巻いたまま、体操服を着てその上から学ランを着る。

まぁ、女なのに学ランを着ていることは、気にしないでほしい。ただ、なんとなくだ。


学校に行く支度を終え、玄関に向かう。


玄関には、3馬鹿と父が立っていた。


『いってきます。』


父「いってらしゃい、光」


3馬鹿「「「いってらしゃい。」」」



いつものように、見送られ学校へと続く、桜並木の中を歩いた。桜の花びらが、ひらひらと舞い落ちる。


この時間は学生ばかりが、ここを歩いている。


?「光!」


後ろからいきなり声をかけられ、オレは振り返った。そこには、ふわふわなショートカットの髪型をした、背の低めな少女が立っていた。


『おはよう、千夜(ちよ)。』


千「おはよう。やっぱ、光は今日も学ランだね♪カッコいいからいいけど(笑)」


千夜は光に抱いた。


周りの視線が一気に二人に集まる。

周りからはパッと見、美男女が、抱き合っているように見えるのだ。


なんせ、光は男女どちらとも言えない、中性的な顔立ちで背は高く、髪は邪魔にならないよう縛ってある。ポニーテールだ。

それに今は、学ランを着ているのだから美男子に見られても無理はない。


『千夜、そろそろ学校に行かないと!』


千「はーい♪」


千夜は返事をし、光の手を掴み走り出した。


千「光は今日も朝練あるんでしょ?なら、急がなきゃ。」


結局、2人は学校まで手を繋いで走った。



校内に入ると、オレは千夜と別れ体育館に向かった。中に入ると、後輩達がオレを囲む。


後1「あのっ、稽古をつけてもらってもいいですか?」


後2「その後、私もいいですか?」


『いいよ、ただし終り10分前までで。』


後1「本当ですか!?ありがとうございます!」


『じゃぁ、ちょっと待ってて。着替えるから。』


オレは言いながら、更衣室に入った。学ランを脱ぎ、体操服を着たまま胴着を着る。

その間、後輩達の話し声が聞こえた。


後1「やっぱ光先輩、優しい♪」


後2「だね♪しかもカッコいい!」


後3「うん♪」


そんなことを話していた。


『お待たせ、稽古始めるよ!!』



後輩達「「「はい!!」」」


後輩達は順番に並び、オレと1対1で打ち合った。




『今日はここまで!!』


後輩達「「「ありがとうございました!!」」」


オレは朝練の時間が好きだ。

後輩達が日に日に成長しているのが、わかるからだ。


『…フッ。』


オレは自然に笑みが零れた。後輩達はそんなオレを見て、顔を赤らめている。

オレは頭の上に?をうかべ、


『大丈夫?風邪?』


と、言った。


そんな様子を体育館の入り口で見ている者がいる。


オレは視線に気づき、入り口を見た。


そこには千夜が立っていた。


『千夜?』


千「もうすぐ授業が始まるから呼びにきた。」


『そんな時間!?急がないと…君達も遅れないよう!!』


そう言い残し、オレは千夜と共に教室まで走った。



教室まで来ると、


千「光は鈍感だよね。」


そう言って千夜は席に行ってしまった。


オレは?を頭の上に席についた。




───────────



 学校が終り、皆が部活へ行く中オレは帰宅するため、校門に向かっていた。

オレは一応、帰宅部だが剣道部の朝練だけはでている。


家につくと、夕飯を作りオレは部屋に行った。


〔そうだ、新選組について調べよう♪どうせ暇だし。〕


着替えが終り、オレは早速パソコンに向かった。


[新選組]


そう検索する。


『結構あるなぁ。』


オレは呟きながら、上から順に見ていく。


〔沖田総司は三段突きが斎藤一は平手平打ちが得意だったんだ。〕


考えながら調べていく。そしてある決心をした。


『よし!今日から三段突きと平手平打ちの練習しよう。もしかしたら、更に強くなれるかも知れないし!』


オレは夕飯を食べると胴着に着替え、いつもより早く道場にきた。


すぐさま竹刀を持ち、三段突きと平手平打ちの練習をする。

実際に見たことがないため、出来ているかわからないが。


父「今日は早いな。」


声がしたほうに振り替えると、父が道場に入ってくる姿が見えた。


『あ、うん。ちょっと技術を上げようと思って。』


父「今のままで十分じゃないか?」


『そうだけど…まぁ、決めたことだから。』


父「無理はするなよ。」


『わかってる。あっ、お父さん稽古付き合ってくれない?3馬鹿が来るまででいいからさ。』


父「…いいよ。なんの技を練習してるんだ?」


『三段突きと平手平打ち。』


オレが言うと、父は目を見開いた。


父「どこで習ったんだ?」


『習った訳じゃない。沖田総司と斎藤一の得意技。』


父「新選組か…まだ幕末に行きたいと思ってるのか?」


『うん。』


父「そうか。…光に良いことを教えよう。」


『えっ、何?』


父「家の近くに、林があるだろう。誰も近寄らない。」


『…。』


父「あそこの奥に神社がある。あそこは、昔から願いが叶うと言われてるんだ。試しに祈ってみたらどうだ?」


『それ、マジなの!?今から行ってくる!!』


オレは父の許可を得る前に道場を飛び出していた。



暗い夜道を、懐中電灯の灯りを頼りに走っていく。


林を抜けると、大きな神社が見えた。


『でかいなぁーこの神社か?』


オレは賽銭箱にあるだけの金を入れた。手を合わせ頭を下げ、


〔もし、タイムスリップが可能ならば、幕末へ飛ばして欲しい!!〕


願いを祈った。


オレは頭をあげ、暫く神社をじっと見ていた。


『よし!!』


気が済み、家に向かって歩いた。



家につくと、父が玄関に立っていた。


父「光?誰が今、行ってこいって言った?」


父は笑っているが言葉に怒りが含まれている。


〔面倒だなぁ…誤魔化そ。〕


『ごめんなさい。オレ、疲れたからお風呂入って寝るから。話はまた今度ってことで、おやすみお父さん。』


父「おやすみ光…って待ちなさい!」


オレは父の声が聞こえていない振りをして、その場から離れた。



お風呂にから出ると、部屋に戻り髪を拭くのも忘れ、ベッドに倒れ込んだ。そして眠りについた…




───────────



〔何処だ、此処?〕


?「此処は夢の中ですよ、光さん。」


〔夢?てか、どこから声がー〕


?「此処ですよ!!」


『えっ…うわっ!!』


ゆっくりと振り返ると、綺麗な桜模様の着物をきた女性がいた。


?「…クスクス…初めまして?私は神です。」


『えっ神様?』


神「はい。貴女が祈ったあの神社の神です。」


『マジですか…あっじゃぁ、オレの願いってか祈り?どっちでもいいけど叶えてくれるのか?』


神「はい。ですが少々準備が必要です。少しだけ待っていてください。」


『叶えてくれるなら文句は無い。』


神「そうですか…それでは準備ができしだい、幕末へ飛ばします。先に言っておきますが歴史を変えても大丈夫です。」


『それって…まぁいいや!!じゃぁ、歴史を変えるからヨロシク♪』


神「はい。それとこれを…。」


神がオレに小さなバッグを渡してきた。


神「それは貴女に必要なものです。説明はその中の紙を見てください。いつ飛ぶかはわからないので、持ち歩いて下さいね。」


『ああ、わかった。ありがとな。』


神「クスクス…それじゃぁ、また…」


そう言い残し、


スゥー


と神は消えた…


───────────



オレは目を開けた。

いつも通りの部屋の天井。

ただ1つ変わっていたのは、オレの手にある小さいバッグだった。


『マジだったんだ…』


オレは天井を眺めながら呟いた…



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