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〜幕末へ〜  作者: エヌ
2/18

☆壱

  ** 壱 **



オレは自宅で日本史の勉強をしていた。


『幕末かぁ、行ってみたいなぁ…はぁ…』


オレは無理なことを考え、ため息をついた。


父「ひかる、そろそろ稽古の時間だぞ。」


『はーい。』


下から聞こえてきた、

父の声に返事をした。


オレの家は剣術道場だ。

オレは、胸にサラシを巻き、胴着に着替えた。

あ、言い忘れていたが、オレは女だ。


幼い頃から剣術をやっているため、男だらけの空間で育ち、言葉遣いまで男になってしまった。


父「光、はやくしなさい!」


父の声が聞こえ、オレは急いで下に行った。


父「遅いぞ光。もう皆集まってる。」


『ごめん。』


そんな会話をしながら、道場に向かった。


「「「師匠、今日もお願いします!」」」


道場の戸を開けると、皆が一斉に挨拶をしてきた。

皆と言っても、たった3人だが。

オレはまとめて[3馬鹿]と、呼んでいる。

それからすぐに稽古が始まる。



しばらく竹刀で打ち合い、今日の稽古は終了した。


『はぁ…つまらない。』


父「何がつまらないんだ、光?」


『何がって…稽古?』


父がオレの隣に腰を下ろした。


父「なんだ?前までは楽しそうだったじゃないか。」


『まぁ、そうだけど…日本史で幕末やってて、今の時代より剣術が優れてるなぁって…』


父「確かにそうかもしれないが、今は平成なんだ。仕方がないだろう?まぁ、お前ほどの腕では稽古はつまらないだろうが…」


父は曖昧な笑みを浮かべた。


『別に、お父さんを攻めてる訳じゃない。』


父「そうか、光あの時の約束は守れよ。」


『うん!!じゃぁオレは、お風呂入ってくる。』


オレは父に手を振りながら道場を後にした。



オレは湯船に浸かりながら、約束した時のことを思い出していた。



─あれはオレが6歳の時─



母「やめて!!この子だけは…こ「うるせえ。」…」


グサッ


母「…ッッこ、この…」


バタッ


その時、オレを守っていた母が倒れた。

オレは母を殺した男を睨んだ。


『…許さない…』


男「なんだぁーガキ。オレと殺るっ…ッッ…テッメェ…」


男は言い終わる前に、膝をついていた。

オレは男の返り血を浴びていた。


『まだだよ、まだまだこれから(笑)』


オレは男に包丁を突き刺した。何度も何度も、抜いては刺して…もう男は死んでいたのに、だ。


ガラッ


父が帰ってきた。

オレは玄関を見ながら、笑った。


『お帰りなさい♪』


父「光!…?お前…本当に光か?」


『うん、そうだよ。見て、ちゃんとお母さんの仇とったよ。』


足元にあった、男の死体を蹴りながら答えた。


その時のオレは、目が赤くなっていたらしい。


父「いいか、よく聞きなさい光。その力は自分を犠牲にしてでも、本当に守りたいものができたときに使いなさい。約束だよ…」


『…うん、わかった!!』


父「いい子だ。」


父は寂しそうな笑みを浮かべ、オレの頭を撫でていた…


─これが約束だ─

あの時の父の顔は今でもはっきりと覚えてる。


いつか自分を犠牲にしてでも、本当に守りたいものができるのだろうか…─


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