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〜幕末へ〜  作者: エヌ
15/18

☆拾肆

京言葉わからないで書いています。

間違っていたらすみません

    * 拾肆 *



『いらっしゃいませ。』


総「あれ?光さん?」


『総司か。』


土方さんに話をしたあと、オレはすぐに働き始めた。

昼間は甘味処、夜は芸子として。今日で三日目だ。


総「土方さんが光さんは別の仕事をしてもらってるって言っていましたが、まさか甘味処で働いてるなんて思いませんでした。それに…………綺……です。」


『……?最後何て言った?』


総「あの……綺麗ですって言ったんですっ。」


『……?』


オレはコテンと首を傾げる。


オレの今の格好は水色で、小さな花の柄の女物の着物で、髪は団子にして、いかにも娘っぽいようにしているだけだ。


『どこが?』


総「もういいです……。」


総司は呆れたように言う。


『まあいいや。ご注文は?』


総「みたらし団子10本に、餡蜜2つ。あとお持ち帰りでお饅頭20個で。」


『また随分食べますね。』


総「お持ち帰りのお饅頭は光さんと一緒に食べようと思いまして。今日は早く帰ってきてくださいね。昨日も一昨日も帰ってきたの明け方じゃないですか。」


『……約束はできない。』


オレはクルリときびすを返し、奥にいく。


?「さっきの美丈夫は、知り合いかい?」


奥にいくと、ここの店主お美世さんが団子を作っていた。


『はい。』


美「そうかい。ほら、これあげるから休憩してきな。」


『いやでも……。』


美「光さんは働きすぎだよ。」


?「そうそう。それに私もいるから休憩して。」


『そうですか?ありがとうございます、お美世さん、お美都さん。』


お美都さんはお美世さんの娘さんでオレと歳が近く、かなり仲良くなった。


オレは貰ったお茶と葛餅を持って総司の目の前に座る。


総「光さん?」


『休憩だって。これ、貰ったから一緒に食べよ。』


総司に葛餅を1つ渡す。


総「いいんですか?いただきます♪」


オレも葛餅を食べ始める。


暫くすると総司が頼んだ甘味が運ばれてきた。


『ありがとうお美都さん。』


都「いいのよ。それに仕事だしね。」


総「?」


都「初めまして、お美都と申します。光ちゃんとは友達なんです。」


総「初めまして、僕は沖田と申します。」


都「では、ごゆっくり。」


お美都さんはオレと総司の顔を交互に見ると、クスリと笑い、奥に入っていった。


総(……もしかして気づかれてる?)


『?総司食べないの?』


オレはお美都さんの行った先をじっと見ている。


『もしかして一目惚れ?』


総「違います!僕が好きなのは光さんですっ。」


『……え。』


総「あ……。」


男「お、兄ちゃん大胆な告白だな!」


総「えっとその……僕、これで失礼します!」


総司はバタバタと席を立ち、甘味に手をつけないまま、お金だけしっかり置いて去って行った。


『……総司がオレのことを好き?そんなわけないか。』


オレは葛餅を食べきり、総司の残した甘味を奥に運ぶと、綺麗に包む。


『もう少ししたら巡察組が通るから渡してもらお。』


オレは休憩を終わりにし、仕事に戻る。


暫くして浅葱色が目にはいり、慌てて奥に行き、甘味を手に外に出る。


『今日の巡察一だったんだ。ちょっと頼みがあるんだけど。』


隊1「斎藤組長の知り合いですか?」


隊2「斎藤組長、いつこんな美人と知り合ったんですか?」


隊3「斎藤組長、紹介してください!」


『あれ?うち、毎日顔会わせてたんやけど……忘れてもうた?」


一「……光か?」


『そう、オレ。訳ありで土方さんに許可を得て働いてるから問題ないよ。』


隊1「光さん?!」


隊2「潜入捜査の時といい、綺麗に化けますね。」


隊3「もういっそう女として過ごせばいいのに。」


『……ちょっと最後に喋った奴、屯所にオレが帰ったら覚えてろよ?』


隊3「すみませんっ。光さんは男らしい人です!」


『慌てて訂正しなくても……』


〔男らしいか。本当は女なんだけどな♪〕


隊3「光さん?」


肩を震わし、笑いを耐えていると隊士が首を傾げる。


『何でもない。』


一「……光。」


『何ですか?』


一「……ここ三日間全く屯所で会ってないが。」


『だって帰ってないもん。』


一「総司と山崎が寂しがっている。」


『寂しいって……あ、総司にこれ渡してほしくて。さっき食べないで慌てて出ていったから。』


一「……総司が?了承した。」


一はオレから包みを受けとると、隊士を引き連れて巡察に戻った。


美「光ちゃん、今日はもうあがりでいいよ。次の仕事まで休憩してな。」


店に戻るとお美世さんに言われる。

オレは有り難く、あがらせてもらい、次の仕事場に裏道を通って向かう。


『こんにちは。』


?「待ってたで!今日も頑張ってや。」


次の仕事場は島原。

芸子として働かせてもらっている。


名は[夜桜]

オレはたった3日で人気を得て、高い地位をもらった。


『へぇ。うち、頑張るさかい。女将はんは他の娘の面倒お願いしますぅ。』


女「わかっとる。でもなぁお紗千の面倒は頼むで?あの子あんたさんにしか、心開いてないんやから。」


『へぇ。お紗千は優しい子なんやけどなぁ。』


お紗千はオレが芸子として働き始めた時にきた女の子。


まだ8歳で、極度の人見知り。

最初に声をかけたオレにしかなつかなかった。


?「夜桜姉さん!」


トタトタと走ってくると、オレ……うちにドンっと飛び付いてきたお紗千。


『こら、お紗千。女将さんに挨拶せぇ。』


紗「……こ、こんにちは。」


オレの背後から女将さんの顔を見るようにして挨拶するお紗千。その際に、オレの着物の袖をギュッと握っている。


『お紗千。』


紗「夜桜姉さん?」


『可愛ええな。』


オレはギュウーとお紗千を抱き締める。


紗「夜桜姉さん、苦しい。」


『ご、ごめんなぁ。お紗千があんまりにも可愛いくて。』


紗「ううん。」


オレが慌てて手を離し謝ると、ホッと息をついてフルフルと首を横に振るお紗千。


女「ほら、はよぅ支度せぇへんと間に合わんよ。」


女将さんに言われ、オレはお紗千を連れて部屋に向かう。


『今日はお紗千も綺麗にせんとな。』


紗「うちはいい。夜桜姉さんのお手伝いする!」


『…あんなぁお紗千。』


オレは部屋につくとお紗千を中に入れ、自分の前に座らせる。


『いつまでもお手伝いだけじゃあダメなんよ。お紗千は賢い子やからわかるなぁ?』


オレの言葉にコクりと頷く。


『うちがいるうちに、お紗千には立派になってほしいんよ。』


紗「…夜桜姉さんいなくなるぅん?」


『せやなぁ。うちはあと少しだけしか此処におらん。』


紗「いやや。うち、夜桜姉さんの禿や。」


『お紗千は禿から卒業せへんとならん。芸子になるんや。』


な?と再度問い掛けるようにお紗千に言うと、俯いていた顔をあげ、


紗「うち、夜桜姉さんのあとを引き継ぐぐらいの立派な芸子になる!」


オレの目を真っ直ぐに見て言い切った。


『そや、その調子や。』


オレはお紗千の頭を撫でる。


紗「夜桜姉さん、はよぅ支度せぇへんと女将に怒られてまう。」


『お紗千もやよ』


オレは自分の支度を手際よく済ませ、お紗千を手伝う。


『…よぅ似合っとる。』


お紗千の格好は藍色で桜の模様の着物。ちなみにオレは名の通り、黒に桜模様の着物。


最後に髪をまとめて出来上がりだ。


紗「夜桜姉さん?」


『ん?』


紗「…何でうち、抱っこされてるん?」


『うちがしたかったからや!』


紗「恥ずかしいで夜桜姉さん。」


めっさ笑顔で言ったのにお紗千には何故かひかれた。


女「支度は終わったか…お紗千?」


オレがお紗千をおろし、シュンとしているところに女将さんがやってくる。


そしてお紗千を見るなり、首を傾げて尋ねた。


『どうや、うちが見立ててみたんやけど。』


女「最初誰だかわからへんかったわ。綺麗になっとる。」


『よかったなぁお紗千。』


紗「へぇ。」


女「お紗千、よく夜桜を見て勉強するんや。」


紗「へぇ。」


女「よし。早速やけどお客さんや、頼むで。」


女将さんに案内され、今日初めての客。


『[桜華]お紗千の名や。ええな?』


紗「へぇ。」


お紗千…桜華が返事をしたところで、女将さんの足が止まる。


女「ここや。あとは任せたで。」


『へぇ。』


女将さんが去ったあと、襖を作法に習いあけ、頭を下げる。それに習い、桜華も頭を下げる。


『夜桜どす。よろしゅう。』


紗「桜華どす。よろしゅう。」


顔をあげ、相手の顔を確認する。


『……。』


「なんやぁせっかくきたのにそんな反応、傷つくんやけど。」


『…そんな笑顔で言いなさっても傷ついたようにみえへんよ?山崎はん。』


今日初めての客、山崎丞。


丞「あはは。ところでそっちの娘は?」


『うちの禿やった娘や。今日初めて座敷にあがったんや。』


丞「ほぅ。」


『ところで山崎はん。お仕事はどないしたんです?』


丞「今日は終わったさかい。夜桜に会いたくて急いで終わらせてきたんやで?」


『…愛されとるなぁ。』


〔ん?…なんか、わからないけど言葉に出た。〕


内心思いながらも顔は笑顔のまま。


紗「夜桜姉さんは一番の芸子やからなぁ!」


にぱぁと笑顔で言う桜華。


丞「一番…。」


烝が呟きながら俯いてしまう。


『うちが一番なのが不服?山崎はん。』


丞「ちゃう。」


『それじゃあ何やの?』


首を傾げて聞く。


『んっ。』


オレのすぐ目の前にあるのは顔。

誰の?考えなくてもわかる。

それに加えて、唇に柔らかい感触。


『なっ///』


オレは丞をドンッと押し飛ばす。


丞「…光は隈のや!」


丞はそれだけ言い残し、部屋を出ていった。


『なんだったんだ…。』


紗「大丈夫夜桜姉さん?!そのあの、…接吻されてたみたいやけど。」


桜華の言葉にさっきのことを思い出し、顔に熱が集まっていくのがわかる。


紗「夜桜姉さん顔赤いで?帰ったほうがええんちゃうか?」


桜華が心配そうに顔を覗き込んでくる。


『…あ、うん。そうさせてもらおうかな。』


紗「夜桜姉さん、口調が…。」


『えっあ…。』


〔やってしまった。もうこれは真面目に帰るしかない。このまま仕事をしても集中できない。〕


オレは立ち上がり、女将さんに伝えに行こうとする。


女「なんかあったん?」


その前に女将さんがすごい勢いできた。


紗「夜桜姉さん、具合悪いみたいで。」


オレが口を開く前に桜華が答える。


女「そうかい。さっきのお客さん、きてすぐ帰ったような感じやったからなんかあったんか、気になってなぁ。」


『すんまへん。うちが帰ってもろうたんです。なんか熱がでてきしもうたようで。』


女「今日は休みぃ。そんなんじゃぁ仕事にならんしなぁ。ここ2日、頑張ってもろうたし。」


『すんまへん。それじゃあ失礼します。』


オレは部屋に戻り、着替えて店を後にする。


『さてと…帰る…。』


〔気まずい、非常に気まずい。丞と同じ部屋なのを忘れていた。〕


『どうしよう…土方さんのとこにしよ。』


オレは勝手に決めて、屯所へと歩き出した。


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