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〜幕末へ〜  作者: エヌ
13/18

☆拾弐

途中からめっちゃ意味がわからなくなっております。申し訳ありません

   * 拾弐 *



島原から屯所に帰ると、山南さんと源さんが出迎えてくれた。


源「おかえり。」


『今日はすみません、源さんに家事全てやってもらっちゃって。』


源「大丈夫だよ。

これはもとから私の仕事だからね。」


『今はオレの仕事でもあります。』


山「仕事熱心だね。それより藤堂君寝かしてきたらどうだい?重いでしょう。」


『山南さん!明里さんに聞いたんですが、オレの話って何を聞いたんですか?』


山「それは後程、ゆっくりと話しましょうか。

とりあえず、藤堂君を寝かしてあげなさい。」


『はい!あとで部屋に伺います!!』


オレは3馬鹿の部屋に急ぐ。障子を開けると永倉さんと原田さんが畳に転がされていた。


『いつのまに…』


オレは平助を原田さんの横に寝かせ、山南さんの部屋に行く。


『山南さん、光です。』


山「どうぞ。」


スゥ─


ゆっくりと障子を開け、閉める。


山「お茶とお茶菓子を用意したんですよ。一緒にどうだい?」


『喜んで頂きます。』


お茶菓子に手を伸ばし、パクリと食べる。


『おいひいです♪』


山「それはよかった。

ですが、飲み込んでから話してくださいね。」


『…すみません。』


オレは口の中のものを飲み込み、謝る。


山「気をつければいいんですよ。」


『あ、そういえば明里さんに何を聞いたんですか?』


山「君が、女なのに強くて男らしいという話でしたよ。」


『それって誉められてるんですかね?』


山「明里は誉めたつもりでしょう。」


『それならいいんです。』


山「それより、身体のほうは大丈夫ですか?」


『え…身体ですか?

なんともないですけど…』


立ち上がり、パッと自分の身体を見てみる。


山「ならいいんですよ。」


『…?そうですか。それじゃぁオレはもう寝ますね。あ、これ片しておきます。』


オレはお盆を持ち、障子を開ける。


『おやすみなさい、山南さん。』


山「おやすみ。」


障子を閉め、台所に向かい、湯飲みとお皿を洗って部屋に戻る。


『あれ丞、今日は仕事ないんだ。』


丞「土方はんが1日非番にしてくれたんや。

…朝早く起こしたらお仕置きするで。」


『無理。』


丞「即答かいな。」


『朝餉の仕度と稽古しないといけないし。』


丞「仕方ないなぁ。お仕置きはなしや。はよ、寝るで。」


オレは布団を敷き、灯りを消して横になる。


『おやすみ、丞。』


オレはそのまま眠りについた…


──────────



『うーん…─何で…』


翌日の朝

いつも通りに起きる。

ただ1つかわったことがあった。


『な、何で小さくなってんだ!?』


オレの身体は小さくなっており、6歳位の身長だ。


丞「煩いで光…誰や?」


起きた丞はオレを見て固まる。


『光だ。小さくなったのは何故だかわからない。』


丞「……本間に光か?」


『嘘ついて何になる?丞』


オレは少し殺気を込めていい放つ。


丞「この殺気は間違えなく、光やな。」


『だからさっきから言ってるだろ。

それより、何か着るものねぇか?今までのだとでかいんだ。』


丞「ちょい待ちぃ。沖田はんなら、小さい頃の着物持ってたはずや。」


それだけ言うと、部屋を出ていってしまう。


バタバタ

スパァァァン


慌ただしい足音共に、障子が開く。


総「光さん!小さくなったって本当ですか!?」


沖田さんが入ってくるなり言う。


『…他に着物を借りる理由がありますか?。』


布団から顔だけを出したまま、答える。


総「すみません。

でも大丈夫なんですか?ご飯作りできなくありません?それに稽古も。」


『……とりあえず、着物を貸してくれ。着替えたい。』


総「あ、はい。」


沖田さんはオレの近くに着物を置くと、部屋を出ていく。丞も部屋を出る。

オレは布団から出て、着物に着替える。


『うん、丁度いいか。

もう入ってもいいですよ。』


オレは障子を開け、廊下にいる2人に声をかける。


総「それにしても…小さいですね。」


丞「…隈が朝餉の準備やるさかい。疑われても構わんかったら出歩いてもええで。」


『うん、じゃぁ頼む。』


オレは笑顔で言う。


総「さっき悩むように言っていたのは、作戦だったんですね。山崎君にやらせるための。」


丞「酷いんちゃう?」


『丞が自分から言い出したんだからやれよ。』


さっきよりも顔に笑みを浮かべる。


丞「…。」


『行ってこい丞。』


丞「何で隈に命令するんや。」


ぶつぶつ文句を言いながらも部屋を出ていく。

そして沖田さんを連れて、オレはある部屋に来ていた。


『土方さん、オレです。』


シーン…


中からは物音1つしない。


総「まだ寝てるようですね。」


『土方さん入りましたよ。』


土方さんの部屋に入り、土方さんに近づく。


総「どうやって起こしましょうか♪」


沖田さんがワクワクしながら言う。


『句を言いますよ。1でお願いします。』


総「わかりました。1ですね。」


オレ達は顔を見合わせ、


「『梅の花ぁ一輪さ「てめぇらぁぁぁ!!それを返し…あ?」…」』


『1は短くて覚えやすかったので、豊玉発句集がなくても言えますよ。』


オレ達は覚えた順に番号をつけた。


歳「今すぐ忘れやがれ!!…?」


土方さんがオレのほうを振り返り固まる。


『このことについて、報せにきました。』


土方さんは布団を畳み座る。オレは土方さんの前に座り、その横に沖田さんが座る。


歳「で?てめぇは何で小さくなってんだ?」


『原因が全くわからないんですよね。

どうしてでしょう?』


歳「…光、昨日山南さんに何か食い物貰わなかったか?」


『確かに貰いました。でも何でわかったんです?』


歳「昨日、厠に行った帰り山南さんの部屋の前を通ったんだ。そしたら、


「実験は失敗でしたか…もっと改良せねば…」


って聞こえてきたんだよ。」


『で、オレが原因不明の背が縮む事件を報せに来たから、オレが実験台に使われたと。』


歳「ああ。総司、山南さんを呼んできてくれねぇか。元にもどす薬があるかもしんねぇからな。」


総「はい♪」


沖田さんは部屋を出ていく。

暫くすると


山「失礼するよ。」


山南さんが一言声をかけ、部屋に入ってきた。


山「沖田君から実験が成功してたことを聞いて、急いできたんですよ。」


嬉しそうに言う山南さん。


歳「山南さん…こいつを元にもどす薬は無いのか?」


山「まだ作ってないですね。ですが、確か1日で薬の効果は消えると思いますよ。」


『1日このままですか。それより何でオレに薬を飲ませたんですか?』


山「明里が君の話ばかりするんですもん。」


山南さんはあのときもまだ、ぐれていたようだ。


総「アハハ…山南さん、子供みたいです♪」


歳「てめぇも似たようなものだろうが。

山南さん…こいつは一応仕事があるんだ。そんな理由で薬を飲ませないでくれ。隊務に支障がでる。」


山「これっきりにしますよ。」


歳「よし。光、てめぇは今日1日非番にしてやる。」


『非番ですか。でもオレ、何もすることないです。未だに1人で外出するのは禁止されてますし。』


歳「誰かと出掛ければいいだろ。これやるから甘味でも食ってこい。」


土方さんに金を渡される。


『…じゃぁ、丞。』


総「何で僕じゃないんですか。」


『沖田さんは隊務があります。丞は非番だからです。』


総「土方さん、僕を今すぐ非番にしてください!」


歳「無理だ。」


総「そんなこと言ってもいいんですか?僕、土方さんの趣味広めますよ?」


歳「てっめぇ…」


土方さんの額にがうかぶ。オレはため息をつき、


『沖田さん、隊務をさぼると、もう2度と試合しません。』


総「うっ…それは嫌です。」


『隊務をさぼらないでくださいよ。お土産買ってきますから。』


総「お土産、みたらし団子がいいです!」


『わかりました。あ、朝餉食べてから行きますね。』


歳「ちょっと待て。てめぇは部屋で食え。屯所に子供がいると、隊務に支障がでる。」


『そういうものですか?まぁいいですけど。』


歳「朝餉は総司か源さんに運んで貰う。…そういやぁ、お前朝餉の支度はどうした?」


今思い出したみたいに言う土方さん。


『丞が代わってくれました。ね、沖田さん。』


総「山崎君が自分からやると引き受けてました。」


歳「ならいいんだ。」


『じゃぁオレは部屋に戻ります。』


総「あ、僕も行きます!!」


沖田さんと土方さんの部屋を出る。


『沖田さん、源さんに朝餉を持ってきてほしいんだけど…頼めます?』


総「僕だと駄目なんですか?」


『いえ、源さんにお詫びを言わないといけないので。ですがこの姿で源さんのところまで行くと、隊士に会うことになります。それだと隊務に支障が出るみたいなので。』


総「わかりました。源さんに伝えてお「お、総司。その子は誰だ?」…」


永倉さんが目の前からやって来る。


総「近所の子供ですよ。怪我した見たいで。」


永「こんなに朝早くから、一緒に遊んでたのか?」


不思議そうに聞いてくる。


『…猫…猫を探してたんや…』


声を高くし、永倉さんを見上げ、てきとーに言う。


永「見つかったのか?」


かがんでオレと目を会わせて聞いてくる。


『うん!!このお兄ちゃんが見つけてくれたんや!!』


沖田さんを指差す。


永「そうか。でも総司って早起きじゃなかったような…」


総「偶々目が覚めたんで、屯所内を散歩してたら門の近くで猫の声がしたんです。」


永「その猫がこいつの猫だったんだな。見つかって良かったな!」


『うん♪』


永倉さんは立ち上がり、何処かに行ってしまう。多分、稽古しに道場に行くのだろう。


総「助かりましたね。」


『急いで部屋に戻らないといけませんね。』


オレは急ぎ足で部屋に向かう。

部屋につくと、


総「源さんに頼みに行きます。」


沖田さん走って台所に向かっていった。


ガタッ


沖田さんが行ったあと、入れ違いに天井の板が外れ、丞が降りてきた。


丞「土方はんのとこ行ってきたか?」


『うん。で、丞朝餉食べたあと甘味食べに行くから。』


丞「そんなら隈着替えへんと。」


『あ、着替えるのちょっと待った。源さん来てからにしろ。』


丞「わかった。」


暫くしてバタバタという足音共に、源さんの声が聞こえた。


源「朝餉持ってきたよ。一応、山崎君の分も。」


『源さんすみません。今日オレ、非番になったので、源さん1人で仕事することになってしまいました。』


源「気にしなくていいんだよ。今日はゆっくりしてて。」


『ありがとうございます。あの、ちょっと一緒に廊下にいてもらってもいいですか?

丞が着替えるまでですけど。』


源「…いいよ。」


『すみません、丞すぐに着替えろよ。』


オレは源さんと部屋を出る。


源「小さい子が1人で部屋の前にいたら怪しいから、私を待ってたのかい?」


『さすが源さん。あってますよ。』


そのあと少し他愛ない話をしていると、


丞「着替え終わったで。」


中から丞の声がした。


『すみません源さん。ありがとうございました。』


源「気にしなくていいよ。」


源さんと別れ、部屋に入り、朝餉を食べる。


お膳を取りにきた源さんに礼を言い、天井裏に入る。


そして監察方が利用してる、抜け道に近い部屋に降りる。


丞「先に行くんや。」


丞に言われ、先に抜け道を通る。

すぐに丞も通ってきた。


『何処の甘味処に行くんだ?』


丞「隈のおすすめの場所でええか?」


『何処でもいい。あ、帰りに沖田さんにみたらし団子買わないと。約束だから。』


丞「…お土産な。決まれば早よ行くで。」


丞はオレの手をとり、歩き出す。


まわりから見れば、親子に見えるだろう。


『丞、まだつかないのか?』


丞「まだや。」


それから暫く歩き続け、


丞「此処や。」


丞が暖簾を潜り、中に入っていく。

オレも続いて中に入り、丞の向かい側に座る。


?「いらっしゃいまし。何になさいます?」


丞「隈のおすすめは葛餅や。」


『んと、そんじゃぁ…葛餅と餡蜜、みたらし団子1人分ずつ。』


丞「隈は葛餅と三色団子を1人分で頼みますわ。」


?「はい。」


店員らしき女の子が足早に奥へと入っていく。


暫くして、頼んだ品が運ばれてくる。


『んーおいひい♪』


葛餅を口に入れ、感想を素直に述べる。


丞「そやろ。」


丞も言いながら、葛餅を食べる。


?「可愛い子じゃん。

山崎君、いつのまに子供がいたの?」


ふと、後ろから声をかけられる。後ろを振り返ると、平助が立っていた。


丞「なんや、藤堂はんも非番かいな。」


平「うん。暇だったからさ、甘味でも食おうかなって。」


『平助、ここ座れば?』


オレは自分の横を指差す。


平「何でオレの名…山崎君、教えた?

しかも、6歳位なのに馴れ馴れしい。」


丞「…アハハ…藤堂はん、こいつは光やで。」


平「光!?えっでも小さくない?」


『ぐれた山南さんの実験台に使われてこうなった。』


みたらし団子に手を伸ばしながら言う。


平「ぐれた山南さん…?元にもどるの?」


『明日にはもどるらしい。

とりあえず、今日は非番になったから、丞と甘味食べて時間潰してる。』


平「へー。そういえばさ朝餉の時いなくて、土方さんに聞いたら、


「あいつは今日は広間で食わない。それから今日は非番にした。理由は、とくにねぇが。」


って言ってたんだ。

何か総司は知ってるみたいで、総司だけ気にしてなかったんだよなぁ。

ちゃんと理由があったんだ。」


平助はオレの横に腰を下ろす。


『オレが理由なしで非番を貰うわけないじゃん。それとこの事は内緒にしといて。

土方さんも沖田さんも言わなかったわけだし。沖田さんが知ってたのは、着物を借りたからだ。で、平助は何を食べるんだ?』


平「此処はやっぱり葛餅食わないと損するからな。」


『此処って本当に葛餅が一番美味しいんだな。』


丞「そうなんや。ちなみに島田はんも甘味好きでよく此処に来てるさかい。」


『島田さんって、あんまり屯所で見かけないと思ってたけど、甘味処にきてたんだ。』


平「どんだけ甘味に金を使ってんだろ?

総司もだけどさ。」


いつのまに頼んだのか、葛餅を食べながら話す平助。


『あ、沖田さんにみたらし団子買わないと。』


丞「約束したんやったな。」


丞は店員を呼び止め、お土産のみたらし団子を注文する。


それから、注文した甘味を食べ、お代を払い店をでる。


平「改めて立って並ぶと物凄く違和感があるな。」


『普通はオレのほうが、平助より背が少し高いもんな。』


平「ぐっ…」


平助は黙りこんでしまう。


丞「光、昼飯は外で食うことにせぇへんか?」


『オレはいいけど。』


丞「なら、決まりやな。藤堂はんはどないするんや?」


平「オレは屯所に戻る。」


丞「そんなら、隈らの昼餉いらんと伝えてもらってもええか。」


平「おう!」


平助は手を振り、屯所に向かって走り出す。

その姿を見届けてオレと丞も反対の方向に歩き出す。


『なぁ、昼までに時間あるけど、どこに行くんだ?』


丞「光は行きたいとこ無いんか?」


『ないな。』


丞「即答せんでもええやないか。」


『丞はないのか?』


丞「隈もあらへん。

そうや、壬生寺に行かへん?

沖田はんがよく子供らと遊んでる場所や。

今日もいるかもしれへんし。」


『丞、遊びたいのか?』


丞「隈やなくて、光が子供らと遊ぶんや。

今の姿は子供なんやから。」


『たまにはいいか。』



壬生寺につくと子供達が鬼ごっこをして遊んでいる。

そして何故か沖田さんも混じっている。


オレはそっと沖田さんの背後に近づく。

あと少しで、沖田さんに手が届くというところで、ばっと沖田さんが振り返る。


総「えっ…何で光さんと山崎君が此処にいるんです?」


『それはオレの台詞です。

隊務はどうしたんですか?沖田さん。』


総「えっ…あ!隊務は稽古して今は休憩で暫くないんですよ!」


慌てて言い訳をする沖田さん。


『そうですか。

おかしいですね…オレが正しいと、この時間はまだ稽古の時間なんですけど…』


総「僕が稽古をすると、皆、すぐに立てなくなるんですもん。暇になるじゃないですか。」


『だから、遊びに来たと。』


総「はい♪」


『沖田さん、約束を破った罰として明日から1週間、試合はしません!』


総「せめて3日にしません?」


『1週間です!』


総「…わかりました。」


渋々頷くのを確認して、


『沖田さん、オレも遊びたいんだけど。混ざってもいいですか?』


きた目的だけを伝える。


総「光さんも遊ぶことがあるんですね♪」


『当たり前です。人間なんですから。』


総「それじゃぁ、かくれんぼしません?

子供達にも許可をとって。山崎君も参加しますよね♪」


勝手に話を進めていき、子供達を集め始める。

子供達が全員集まると、


総「この子とこの人も一緒に遊びます。

皆でかくれんぼをします♪」


子1「ねぇ、君は何て言うの?」


『オレか?オレは光。』


子1「光かぁ。光って呼んでいい?」


『うん。』


子2「光は男なの?女なの?」


『一応、女だ。』


子2「一応って。」


女の子がクスクス笑い出す。


総「早速、かくれんぼします。じゃんけんするよ。」


皆、沖田さんのまわりに子供達が集まる。


総「じゃんけんぽん!」


1人を除いて、皆がパーを出す。


『沖田さんが鬼ですね。皆、隠れろ。

沖田さんは此処で目をつむり、30秒数えてください。』


総「わかってますよ。1…2…3…」


オレは沖田さんが数え始めたのを確認し、この中で1番高くて隠れやすい木に登り気配を消す。


この木の上から隠れてる子供達がよく見える。


総「30!探しますよ♪」


沖田さんがその場から動き出す。

沖田さんは次々と子供達を見つけていく。


そして、境内の裏にいた子を見つけ、あとはオレと丞だけになる。

ちなみに丞もオレと同じ場所に隠れていた。


総「山崎君、光さん何処ですか?」


沖田さんがあちこち探し回る。


暫くそんなことが続き、子供達は飽き始めた。


子1「ねぇ、宗次郎。

僕達飽きちゃったよ。違う遊びしようよ。」


子2「次、鬼ごっこしたい!」


『仕方ない、降りるか。』


丞「そやな。」


丞も賛成し、先に木の上から飛び降りる。

それからオレの方を向き、手を広げる。

オレは飛び降り、丞の腕の中におさまる。


子4「お兄さんすごいな!」


1人の子供が丞に駆け寄ってきた。


丞「あんなの普通やないか。」


少し照れながら言うと、頬をかく。


総「そんなとこにいたんですか。」


沖田さんが走って寄ってくる。


『沖田さんの負けです。』


総「次は負けません!

次は鬼ごっこしましょう♪」


丞「そろそろ九つ時やで。」


空を見ながら丞が言うと、


ゴーンゴーンゴーン


鐘の音が聞こえてきた。

数えてみると、全部で11回。

九つ時の鐘だ。


総「もうそんな時間ですか。

お昼みたいですよ。」


子1「…じゃぁ、うち帰る。また遊んでね宗次郎!」


1人の子供が帰ると、他の子供達も帰っていく。


総「さて、僕も帰りましょうか。」


沖田さんは歩いて行ってしまう。


丞「隈らも行くで。昼、蕎麦でええか?」


『うん。』


オレは丞についていき、一軒の蕎麦屋へと入った。


そして蕎麦を食べ、そのまま屯所へと戻る。



屯所につくと、出たときと同じようにして入る。

部屋につき、特にすることもない。


『なぁ丞。』


丞「何や?」


『暇。』


丞「知らへん。」


『そんなこと言ってないで、誰か口がかたくて非番の人連れてきて。』


丞「もう遅いと思うで。藤堂はんがしゃべったかもしれへん。」


『大丈夫だろ…多分。』


丞「永倉はんと原田はんにはしゃべったみたいやで。」


『なんでわかるんだ?』


丞「耳をすませてみぃ。」


丞に言われ、耳をすます。


ドタドタ

バタバタ


足音が近づいてくる。

この足音は確かに2人のものだ。


『本当だ…元に戻ったら平助に何をしてやろうか…』


丞「……だんだん沖田はんに似てきてるやないか…」


『なんか言った?丞。』


丞「なんも言っとらんで。」


『ならいいけど。』


スパーン


永「光、小さくなったって本当か!?」


『静かにしてください!』


永「すまねぇ。」


永倉さんに続いて、原田さんも部屋に入り、座る。


原「本当にちっさくなってんな。」


まじまじと見ながら原田さんが言う。


『このこと誰かに言いましたか?』


原「すまねぇ、一に教えたわ…」


『永倉さんは?』


永「俺は、総司に。」


『永倉さんは見逃します。もともと沖田さんは知っていたので。ですが、原田さん?』


ニコッと笑い、原田さんを見る。

その瞬間、原田さんの肩がぴくりと動く。


原「………。」


『元に戻ったら平助と一緒にオレと試合しましょうか。』


原「新八、助けてくれ!」


永「俺を巻き込むんじゃねぇ!!」


『あ、そうだ…原田さん。』


原「な、何だ?」


『1つだけ逃れる方法がありますよ?』


原「何だ!?」


『オレと暇潰しすること。

ただし、隊務をサボらないで。』


永「丁度良かったじゃねぇか。左之、今日はこのあと非番だろ?」


原「ああ。助かったぜ!!」


『それじゃぁ、何か遊べるもの持ってきてください。

ちなみに大勢で遊べるやつで頼みます。

沖田さんもこのあと非番で、平助も非番。さらに丞も非番なので。

あ、花札でもいいですよ?試合形式でやればいいので。』


原「わかった!」


原田さんが部屋を出ていく。


永「んじゃぁ、俺は隊務があるから戻るわ。」


『はい、頑張ってください。』


永倉さんは部屋を出ていった。


『まだかな?』


丞「さっき出ていったばかりやろ。」


『そうだけどさぁ…』


バタバタ


『お、来たか?』


原「持ってきたぜ!!花札。」


平「オレもまぜてもらってもいいか?」


ひょこっと、原田さんの後ろから平助が顔を出す。


〔か、かわい…〕


『いいよ。もともとそのつもりだったし。』


平「ほんと?早速やろうよ♪」


平助は、原田さんの背後からスッと部屋に入ってくるなり言う。


『そんじゃぁ、先に丞と平助で。』


平「山崎君には負けない!!」


丞「隈だって負けんわ。」


言い合っているうちに準備が整う。



───暫く経ち…


歳「俺が勝つまでやるからな!」


『土方さん弱いから無理ですよ。

沖田さんにも勝てなかったじゃないですか。』


丁度部屋の前を通った土方さんを、無理矢理参加させたら負けてしまい、それからずっとやっている。

まぁ、仕事を放置しているが。

楽しそうなので、あえて言わない。


歳「おい総司。もう1回やんぞ。」


総「僕もう飽きました。」


歳「うるせぇ、とっととやんぞ。」


源「邪魔して悪いけど、もう夕餉の時間だよ。」


源さんがオレと丞の夕餉を持ってきた。


源「皆いないと思ったらここにいたんだね。近藤さんが広間で待ってるよ。」


原「夕餉!!」


平「待ってよ左之さん!!」


原「待ってられるか!

新八にとられちまう。」


走りながら会話をして2人は去っていった。


歳「チッ…またあとでやるぞ総司。」


土方さんは言いながら立ち上がる。


総「嫌ですよ。

夕餉食べたら寝ますから。」


歳「……山崎。」


丞「わかったさかい。あとで土方はんの部屋に行くさかい。」


丞が言うと、沖田さんと土方さんは広間へと向かった。

源さんも夕餉を2つ並べて行ってしまった。


『災難だな丞。

手加減したら斬られるし、土方さんが勝つまでとか…寝れないな。』


丞「…仕事より疲れるわ…」


そう言いながら夕餉を食べていく。



───お膳を片付けた後



丞「隈は土方はんのとこ行ってくるわ。」


丞は天井に消えた。

残されたオレは敷いてある布団(丞が敷いた)に潜り込み、直ぐに眠りについた…




翌朝

目が覚めると、元の大きさに戻っていた。

丞はまだ戻ってきてないようだった。


〔まだやってんのかな?〕


オレは着替えて、土方さんの部屋に行き、覗いてみた。


歳「山崎、もう1回だ。」


丞「もう朝やで土方はん…」


丞は疲れきっていた。


〔勝負事に、今度から土方さんを巻き込まないようにしないとな。〕


オレは丞に手をあわせ、山南の部屋に来た。


『山南さん、光です。』


山「入っていいよ。」


『失礼します。』


山「もう戻ってしまったんだね。

これ食べるかい?」


『いえ、遠慮しときます。』


山「つまらないですね。」


〔絶対薬入ってたな…

今度から、誰かに食べさせてから食べよ…〕



オレは心のなかで誓い、山南さんの部屋を出た。



光が出ていったあと。

山南は引き出しから、1つの小瓶を出し、ブツブツと呟いていた。


山「折角新しい薬が出来たというのに…

誰で実験しましょうか…」


片手に持った薬を目の高さに持ち上げ、みてる姿はとても不気味だ…




次に山南の薬の被害者がでるのは、近いうちであろう…───

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