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〜幕末へ〜  作者: エヌ
12/18

☆拾壱

明里さんの話し方がメチャクチャです!


すみません



   * 拾壱 *



池田屋事変の次の日。



オレは土方さんの部屋を訪れていた。

そこには幹部も揃っている。オレが最初に此処に来たときの人達だ。


歳「…で、なんでてめぇは池田屋にきた?」


『沖田さんが熱中症で倒れることを忘れてたからです。』


オレは考えていたことを、そのまま口にする。


歳「総司、今はもう大丈夫なんだな?」


総「見てわかりません?この通り、ぴんぴんしてますよ♪」


歳「…はぁ…次だ。お前は人を殺したのは2回目だと言った。いつだ?いつ殺した?」


『6歳の時です。

母を殺した男を殺したんです。』


総「光さんは母親がいないんですね…」


部屋の空気が重くなる。


『母がいないことには慣れたんで、そんなしんみりしないでくださいよ。

今だって、過去にいて父さえいないんですから。それに今は皆さんがオレの家族です!!』


近「嬉しいこと言ってくれるね。」


近藤さんが涙ぐむ。


山「おや、なんで泣くんですか近藤君。」


眼鏡をかけ直しながら、近藤さんに懐にあった手拭いを渡す、山南さん。


近「ありがとう山南さん。」


手拭いを受け取り、涙をふく近藤さんを暖かい眼差しで皆が見る。


近「すまん、話を戻してくれ歳。」


歳「ああ。光、薬のことを話しとけ。実際に治った奴がいるんだからよ。」


山南さんをちらっと見る土方さん。


山「やっぱり、気づいていましたか。

何故か昨日の深夜から、動くようになったんですよ。その少し前、腕が痛みましたが。

原因がわからなかったのは、気づかないうちに薬を飲まされていたからなんですね。」


『すみません、勝手なことをしてしまって。』


山「そんなことないですよ。これで私も、皆さんと戦うことができますから。」


山南さんは、にっこり笑う。


『山南さんに飲ませた薬は、その場で死ぬような傷以外は治すことが可能です。

ですが、酷い怪我ほど治るのを早めるので、3日ほど苦しむことになります。』


永「どんな怪我でもか。病は治せるのか?」


『病も治せるそうです。病の場合、例え死病と言われても治るそうです。』


原「便利だな!」


『…そうですね。だからといって、怪我をして、やたらと薬を飲むのはやめてくださいね…とくに3馬鹿は。』


平「何でオレ達をみんだよ!」


総「光さんは、貴方達を3馬鹿だと思ってるみたいですね。まぁ…僕も思ってますけど♪」


原「酷くねぇか?」


一「…本当のことだ。否定はできぬな。」


永「斎藤まで…」


3人は部屋の隅で体育座りを始める。

そして何故かキノコが生えてきた。


歳「てめぇら!俺の部屋でキノコを栽培するなあぁぁぁ!!」


土方さんが怒鳴る。


〔…こんな日常が続くようにしないとな…〕


オレは、3馬鹿が刀を抜いた土方さんに、追いかけられている姿を見て微笑む。


その様子を見ていた、山南と近藤が目を合わせ、微笑んでいたことを、光は知らないだろう。




池田屋事変から数日後。



会津藩に活躍を認められ、少しばかりお金を貰った。池田屋の打ち上げとして、試衛館にいた頃からの幹部全員で、島原に行くことになった。そして何故かオレもだ。


近「光さんも活躍したんだ。参加しないでどうするんだい。」


近藤さんに言われきたはいいが…


〔なんだこれ…〕


土方さんの元に遊女達は集まり、原田さんは酔って腹躍りを始めている。

そのまわりで、平助と永倉さんが呑みくらべをしている。


?「あのぅ…あんたさんは呑まへんの?」


1人の綺麗な遊女が徳利を持って近づいてきた。


『あ、オレは呑まないんです。』


山「明里、彼はいいんだよ。」


明「山南はん。」


明里さんは山南さんを見て、頬を染める。


〔明里…明里!〕


『明里さんは山南さんの恋仲ですね♪』


山「光さん…何もそんな大声で言わなくても…」


明「何でわかったんや?」


さらに頬を染め、聞いてくる。


『わかりやすいんですよ。多分、土方さんあたりは気づいて…ないな…』


土方さんの方を見ると、既に無言で近藤さんに、お酒をついでいる。


山「まぁ…私はばれても構いませんが。」


明「…そやな。これから女同士、仲ようしてな。名聞いてもええ?」


『…名は光です。オレが女だって何でわかったんです?今までばれなかったのに。』


明「女の勘や。」


『ん…─わかりやすくなったのか?今度から気をつければいいか。これから宜しゅう頼んます、明里はん。』


最後は芸子風に言ってみる。明里さんは笑いながら


明「こちらこそ宜しゅうな。」


と、言ってくれる。


明「…なぁなぁ、山南はんのこと教えてくれへん?」


いきなり小声で話し出す。


『オレより、明里さんのほうが山南さんのこと、知ってますよ。』


オレも小声で話す。


明「それがなぁ…山南はん、屯所でのことあんま話せへんのよ。」


『そうなんですか…ですが、本人に直接聞いたほうがいいですよ。明里さんが本当に知りたいなら、恋仲なんですから教えてくれますよ、きっと。』


明「…そやな。山南はんに直接聞いたほうがええな。それやったら、光はんの話してくれへん?初めて会うんやから。」


『いいですけど…』


明「そんなら、はよう話してや。」


総「僕も聞きたいです♪」


『あれ?沖田さん、一はどうしたんです?さっきまで、一緒に呑んでたよな。』


総「一君ならあそこにいますよ。」


沖田さんが指差すほうを見ると、平助達に絡まれていた。


平「ぎゃははは…な、左之さんの腹躍り、面白いだろ!!」


一「…ああ…そうだな…」


永「斎藤、呑んでるか!ほら、もっと呑め!!」


一「…ああ。」


そんな会話が聞こえてくる。


『一は大丈夫そうだな。』


総「僕も聞いてもいいですよね?」


『構いません。何が聞きたいですか?』


明「うちは、今までいた恋仲のこととかがいいんやけど。」


『すみません、恋仲はいたことないです。』


明「そうなんや。意外やなぁ。光はん、綺麗やからいたことあると、思うとったわ。」


『恋より、剣道のほうが大事でしたから。』


明「恋より、剣道なんやな。かわっとるなぁ光はんは。」


『よく言われました。』


もといた時代を思いだし、苦笑しながら言う。


総「僕は今、好きな人がいるか知りたいです!!」


『ん…─新選組の皆さんですかね。』


明「ふふ…そういう意味にとったんか。

沖田はんが言いたいのは、恋愛としてやで。

な、沖田はん。」


総「はい。」


『恋愛としてはいないです。』


総「そうなんですか♪」


『はい。他に聞きたいことありますか?』


明「うーん…うちは光はんが新選組にいるかを知りたいなぁ。」


『成り行きですかね。斎藤さんに捕まり、沖田さんに引きずられ、新選組屯所につき、隊士になりました。

隊士といっても、主にご飯作りが多いですけど。』


総「光さんのご飯美味しいんですよ。」


明「うちも今度食べたいなぁ。」


『普通ですよ。』


総「本当に美味しいですって!次の質問でーす♪光さんはどうしてそんなに強いんですか?」


『どうしてだ?ただ、普通に稽古してただけだけど。』


総「僕も稽古をさぼらずにやれば、光さんより強くなれますかね?」


明「沖田はんより、強いんか。女なのに凄いどすなぁ。」


『強いのに女も男も関係ないと思います。

女にも女の強さがありますから。』


明「…光はんは面白い子やなぁ。

うちの妹にならへん?」


『明里さんの妹ですか。明里さんみたいに綺麗な姉は、オレには勿体ないです。』


明「十分光はんも綺麗やて。な、沖田はん。」


総「っ//はい!!」


『お世辞はいいです。』


総「お世辞じゃないですよ。」


山「そろそろ、私も明里と話したいんだが。」


『すみません、山南さん。明里さんはお返しします。』


山南さんに言われ、長々と話していたことに気づく。


山「ありがとう。明里、私と話をしてくれるかい?」


明「もちろんええどす。」


山南さんは明里さんを連れて部屋を出ていく。


それから暫くたつと、


近「そろそろ帰るとしよう。」


近藤さんの言葉にそれぞれ立ち上がる。

が、土方さんや3馬鹿は寝てしまっている。


近「仕方ない、私が歳を運ぶからあとは誰か運んでくれ。」


一「仕方ない…俺と総司で左之を。光…平助を頼めるか?」


『ああ。永倉さんはどうすんだ?』


一「山崎…」


シュタ


丞「隈が運ぶんやな。」


『丞は宴に参加しなかったんだ。』


丞「隈は監察方やで。皆と一緒に騒いで、もしものことがあったらどないするねん。

これは光にも言えるんやで。一応、監察方なんやから。」


『そうだよな、ごめん。次からは気をつける。』


丞「…隈は先に屯所に戻るで。」


丞は永倉さんを担ぎ、部屋から出ていく。


一「光、行くぞ。」


一に言われ、急いで平助をおぶり、一の後についていく。

島原を出る前、明里さんに会った。


『山南さんはどうしたんです?』


明「うちが光はんの話ばかりしとったら、ぐれてしもうて。先に屯所に帰ってもうた。」


『オレの話ですか…山南さんもぐれることがあるんですね。』



そんな話をしている頃、先に屯所に帰った山南は、灯りをつけないで、真っ暗な自室で何かを作っていた。


山「フフ…できました…」


そんなことを言う山南の手には…何やら怪しい小瓶が光っていた…



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