☆玖
ここからは全く忠実にそっていません。
それでも構わない人だけ、続きを読んでください!
** 玖 **
土方さんに報告後、幹部が集められた。
枡屋に御用改めをするそうだ。
歳「いいか、出動するのは、一番隊と七番隊、十番隊、島田だ。」
総「殺しちゃってもいいんですか♪」
歳「抵抗する奴は斬ってもいいが、店主は生きて捕まえろ。」
総「わかりました♪」
歳「全員わかったな。
半刻後、出動だ。準備をしとけ。」
幹・島「「「「はい!!」」」」
歳「話は以上だ。」
土方さんが言うと解散する。
『土方さん、オレはいつも通りでいいんですよね?』
歳「当たり前だろ。馬鹿かお前は。」
『オレは馬鹿ではありません。オレも失礼します。』
源「光さん、ちょっと買い物に行ってきてくれないか?誰でもいいから連れて。」
『わかりました。』
源「頼んだよ。」
一言残し、源さんは走って行ってしまった。
『誰と行こうかなぁ…皆、忙しいからオレ1人で行こ♪』
門番に買い物にいくことを伝え、屯所を出る。
暫く歩いてから、刀を忘れたことに気づいた。
『なんとかなるよな。』
前向きに考え、屯所に戻らず歩みを進める。
?「君、この前会ったよね。」
〔後ろから何だよいきなり…ナンパか?〕
『誰ですか?』
後ろを振り返りながら尋ねる。
?「忘れたとは言わせたいよ…僕ときてもらおうか。」
『げっ!!』
そこには吉田が立っていた。
稔「『げっ!!』ってなにさぁ。
僕を忘れた訳じゃなさそうだからいいけどさ。ちょっとついてきてもらえる?」
そう言いながら、オレの腕を引っ張り甘味処に入っていく。
稔「ここの葛餅美味しいんだよ♪君はさなに食べる?」
『……。』
稔「そこまで警戒しなくても…ただ、君と話してみたかっただけだよ。
ところで君、名前は?
僕は吉田栄太郎。」
『…刺鬼光。吉田、オレは帰るぜ。』
稔「折角会ったんだし、少し話しない?」
『オレは話すことはない。』
稔「そんなこと言われてもねぇ…僕はあるんだよね♪ここ座ってよ。」
『断る。』
稔「仕方ないなぁもう…君さ、なんで晋作の名前知ってたの?」
『やっぱり、聞きたいのはそれか。』
稔「当たり前でしょう?敵だったら斬るだけだよ。」
『ふぅ…偶々聞いて知ってただけだ。』
稔「嘘ついたらわかってるよね♪」
『嘘ではない…ただ、あんたらの敵であることには違いないけどな!』
平「あれ?光じゃん。どうしたのこんなところで?」
『平助…実はなぁこい「僕はそろそろ帰るよ。また会おう…」…何でもない。』
平「誰?」
『甘味友達?』
平「何で、曖昧なの?まぁいいけどさ。それより、どうして1人なの?」
『皆忙しそうだったから。』
平「…はぁ。オレが一緒に行くよ。」
『ありがとな平助!』
平「気にするな!で、何しにきたの?」
『知らないで言ってたんだ。源さんに頼まれた夕餉の買い出し。』
平「そっか♪どこからいくの?」
『先ずは八百屋で魚屋だ。』
平「ん、急ご!」
───買い出し終わり
『沖田さん。今からですか?』
沖田さんに会った。
浅葱色の羽織を着てるのは、今から御用改めだからだろう。
総「はい♪」
『そうなんですか。オレも観たいんでついて行っても、いいですか?』
総「僕は構いませんが…買い出し途中ですよね?」
『あ、買い出しは終わったんで、平助に荷物を持たせて観に行きます!』
平「へっ…オレが屯所まで全部運ぶのかよ!」
『頼んだ、平助!』
総「それじゃぁ、行きましょうか。他の隊の方は先に行ってますしね。」
オレは沖田さんと歩きだし、ふと後ろを振り返ると、平助が重い荷物を両手に持ち、屯所に向かう姿が目に入った。
〔あとでお礼しよ…〕
心のなかで、言いながら歩いていると…
ドッン
沖田さんの背中に見事に突っ込んでしまった。
『す、す、すみません!!』
総「気にしなくていいですよ♪それより、つきましたよ♪」
2階建ての木造建築。
[枡屋]
と書かれている。
谷「皆さん揃いましたね。」
枡屋御用改めの取り締まりに抜擢された、谷さんこと谷三十郎さん。
原「おう!」
谷「皆、行くよ。」
その声に真っ先に枡屋に押し入ったのは…
原「新選組だ!!店内を改めさせてもらう!!」
原田さんだった。
主「お客さん、新選組だ!!」
?「斬れえぇぇ!!」
?「うおぉぉぉぉ!!」
谷「あまいですよ。」
ズザッ
ドサッ
チャキ
総「主人、貴方は死なせるわけにはいかないので、ちょっときてくれる?」
沖田さんは主人の首に刃を突き付け、笑いながら言っている。
谷「逆らう者は斬り捨ててね。
あ、島田さんは逃げようとしている者を頼むね。」
谷さんも笑顔で楽しんでるかのよう。
少し遅れて、
島「はい!」
島田さんの返事が聞こえた。
?「ひいぃぃぃぃ!!」
島「逃がしません。」
シュッ
ブスッ
?「うっ……」
ドサッ
?「覚悟ぉぉぉ!!」
総「後ろからなんて卑怯じゃない?」
キンッ!
キンッ!
シュッ
ドスッ
?「ぐっ……」
ドサッ
?「やあぁぁぁぁ!!」
シュッ
ドサッ
原「もう終わりかよ…」
原田さんの一言で、中の様子がわかった。
敵はもういないのだ。
谷「よし、引き上げよう。」
谷さんの後に続き、ぞろぞろと枡屋をあとにする。
枡屋の主人喜右衛門さんを縄でぐるぐるに縛ってだ。
屯所に着くと、土方さんが門のとこで鬼の形相で立っていた。
歳「誰が鬼だって」
『あれ?口に出してました?』
歳「てめぇも思ったのか!」
『へっ…』
歳「俺は総司に言ったんだが?」
『うっ!!もしかして、墓穴掘ったかオレェェェ!!』
歳「いきなり叫ぶんじゃねえぇぇ!!」
バシッ
『だからって叩くんじゃねえよ!』
谷「土方さん、こいつはどうしましょうか?」
谷さんが間に入り、土方さんに問う。
歳「蔵に入れとけ。あとで俺が拷問する。」
谷「わかりました。」
谷さんは喜右衛門を引きずって行ってしまった。他の隊士達も各自で解散する。オレも部屋に戻ろうとするが…
歳「てめぇには話がある。」
土方さんによってできなかった。
『何ですか?』
歳「どうして、1人で外に出た?
それから、平助に荷物を押しつけんじゃねぇ。最後までしっかりとやりやがれ。」
『1人で出たのは皆、忙しそうだったから。
平助に荷物を押しつけたのは、あとで謝っとく。』
歳「今後、1人で外に出るなよ。」
『……はーい。』
歳「その間はなんだ?」
『気のせいです。』
歳「…まぁいい。蔵には近づくなよ。」
土方さんは蔵へと向かうため、オレに背を向けて、行ってしまう。
『暇だなぁ…稽古でもするか。誰かしら道場にいるだろ。』
1人でブツブツと言いながら部屋に向かい、着替えて道場に向かう。
道場に向かう途中、
?「うぐっ…」
蔵から呻き声が聞こえてきた。
歳「さっさ…た…ら…どう…なぁ…ふ…か。」
かすかに土方さんの声も聞こえてくる。
土方さんの拷問中だ。
オレは気にせず、蔵の前を通りすぎ、道場に向かう。
『とうしたんだ?五寸釘なんか持って。』
前からきた、丞に問いかける。
丞「実はなぁ、枡屋の主人は自分が古高っちゅう、名前しかはいとらんのや。
んで、これは土方はんに頼まれたものや。」
『…ねぇ、オレもいっていいか?』
さっきまでは興味なかったが、みたくなってきた。
丞「駄目や。あんたとて、拷問みてもつまらんやろ。それに、飯を食えへんなっても知らんで?」
『丞は普通に食べてるじゃん!!』
丞「隈は見慣れとるからなぁ。」
『まぁいいや、土方さんに許可とる。』
丞「あ、光待ちぃ。仕方ない奴やなぁ。」
丞がオレを追って、足早に蔵にきた。
丞「土方はん、持ってきたで。」
歳「ありがとな……何でてめぇが此処にいんだよ?」
『ん?みたいから。』
歳「駄目だ!戻りやがれ!!」
『えっ、嫌だ。』
歳「………。」
『………。』
歳「…ちっ…わぁったよ。あとで飯食えなくなっても、知らないからな。」
『よっしゃあ!!』
歳「早く入りやがれ。」
『はーい♪』
オレは土方さんと丞の後について蔵に入った。
扉が閉まり、蔵の光は蝋燭だけになった。
古高は天井から、逆さまに吊るされている。
歳「さてと…そろそろはいたらどうだ?古高。」
土方さんは古高に言いながら、五寸釘を足の裏に刺した。
古「ぎゃあぁぁぁぁぁ!!」
蔵の中に悲鳴が響き渡る。多分、外にも聞こえているだろう。
『うわぁ…痛そうだね、丞。』
丞「棒読みやないか。隈、光のほうが恐い思うたわ。」
『だって、楽しいじゃん、拷問!!』
丞「…もうええわ。」
オレは古高に顔を向ける。
古「くっ…だ…れが…教え…る…か…」
歳「随分、口がかたいじゃねぇか。話しちまったほうが楽になるぜ?」
五寸釘を抜き、傷口に蝋燭をたてる。
蝋が溶け、傷口に流れ込む。
古「ぐあぁぁぁ!!」
歳「はけば、蝋燭はどけてやるよ。」
古「祇園、祭の…前の…。風の、強い日に…」
古高が話し出し、土方さんは無言で耳を傾けている。
古「京都…御所に、火を…放ち…混、乱に…乗じ…」
歳「それで?」
古「松、平容保ら…を、暗殺し…考明…天皇を…長州に連れ…去ろう、という…計画、だ…」
『やっと白状しましたね、土方さん♪』
歳「うるせぇー。」
土方さんは、古高の足の裏にある蝋燭をとり、腰に指してある刀を抜き、古高を天井から吊るしてある縄を切った。
古高はそのまま地面に落ち、地面に落ちた衝撃で呻きをあげる。
歳「随分簡単に白状したな。開き直ったか。」
土方さんは古高に近づきながら言う。
古「どうせ、解放さ…れたとして、も…殺さ…れる。ど…せ、死ぬな…らば、いっそうのこと…とな。」
歳「古高、てめぇの処分はあとだ。
先に厄介なほうを、片付けねぇといけねぇからな。」
そう古高に告げ、土方さんは蔵を出ていく。
『あ、おいていかないでください、土方さん!!』
オレは慌てて追いかける。
歳「山崎、近藤さんの部屋に幹部を集めろ。」
丞「御意。」
丞は一瞬で姿をくらます。
歳「お前…平気か?」
『何がです?』
土方さんが、言っていることがよくわからない。
歳「拷問をみてだ。初めてみたんだろ。最初は、恐怖があるはずだ。」
『平気ですよ。どんなことをするか、最初から知ってたし。』
歳「…近藤さんの部屋に行くぞ。」
土方さんの横を歩きながら、近藤さんの部屋に行く。
歳「近藤さん、いるか?」
近「歳か。入っていいぞ。」
歳「…古高が白状した。今、山崎に幹部を呼んでもらってる。」
土方さんは入るなり、近藤さんの横に座り言う。オレも適当に座る。
近「そうか。」
原「きたぜ。」
原田さんに続いて幹部の皆ぞろぞろと入ってくる。
丞「幹部全員呼んだで。」
歳「山崎はそのまま、長州の会合場所を一刻でつきとめろ。」
丞「御意!」
丞は天井に上がって一瞬で気配がなくなる。
総「それで?土方さん。彼白状したんですか?」
歳「ああ。」
『拷問、痛そうだったよ♪』
平「光…拷問みたのか?」
『うん♪楽しいね♪』
平「光が恐い…」
『何が?』
総「普通の人はみるのも嫌がるからね。」
『そうなんだ。』
歳「光!てめぇは少し静かにしてやがれ!」
『はい。』
歳「長州の目的は、祇園祭の前日の風の強い日に、京都御所に火を放ち…松平容保らを暗殺する。混乱に乗じて、考明天皇を長州に連れ去ろうとしている。」
永「そんなことしたら、京都全体が火の海になっちまうじゃねぇか!」
歳「それを回避するため、会合場所に乗り込む。今回は大仕事になる。会合場所がわかり次第、もう一度集まってもらう。」
総「今は風邪が流行ってるみたいで、ほとんどの隊士が寝込んでますよ?」
歳「動ける隊士のみで行く。
それより総司、お前は大丈夫なのか?最近、咳き込んでるみてぇだが。」
総「大丈夫です。」
歳「ならいいが…無理はするなよ。」
総「大丈夫ですって。
土方さんは過保護ですねー。」
歳「うるせぇ。咳きしてるてめぇがわりぃんだろうが!」
近「歳、話がずれてるぞ。」
歳「…兎に角、あとでまた集まってもらう。今は解散だ。」
オレは幹部達と部屋をでて、部屋に戻る。
そして、押し入れから現世から持ってきた、本を取り出す。
今からおこる
[池田屋事変]
について調べるためだ。
『あった………』
暫く読んで本を閉じる。
『あとで土方さんに言えばいいか!』
オレはそう思い、本をしまう。
そして池田屋事変に備え、仮眠をする。
起きたときが──────
池田屋事変の
幕開けだ────────