6、五〇メートル競走
6、五〇メートル競走
体育で五〇メートル競走があった。
「みんな何秒だった?私は八、三四秒だったんだけど」
私としてはかなり早く走れた方だ。
「オレは五,九六秒だったな」
にがなが適当そうに告げる。
「早っ!」
確かににがなは、高校生とは思えない立派な体つきをしているけど、早すぎじゃ。
「むぅ、世界記録ちょうどだね」
レンが解説を入れる。
「へ~さすがオレ。運動なんて体育の時しかしていないけどな」
にがなは練習をしないくせにスポーツが何でも出来る。天才体質なんだよね。
「え、私は五,三六秒なのですよ」
部長があっさり告げる。部長はぱっと見そうは見えないけどすごく筋肉が付いているんだよね。
「世界記録越えてるじゃん!」
新聞部なんかやってないで陸上選手になったら?
「“新聞なんか”とは言って良いことと悪いことがあるなのです」
「心読まれた!」
部長は新聞史上主義だからね。新聞に出会わず陸上をやっていたら世界的に有名になっていたんじゃ……。
「ちなみに、男子世界記録五、五六秒……ねむ」
「部長すごっ」
人間の現界越えてるよ。
「そういえばレンちゃんは?」
レンはいつも寝ているし背も低く華奢だけど。
「途中でリタイア」
五〇メートルも走れないのか……。