10、変な名前
「今日の新聞はこの学校の変な名前の生徒特集なのです!」
部長が高々と宣言する。
「人名だしちゃっていいの?」
「いいのなのです!」
また、先生方にお叱りを受けそう。
「にがな、職員室から盗んできた書類を出すなのです!」
「ほいよ」
にがなが分厚いファイルを10冊ほどテーブルの上にのせる。って、盗んで来ちゃだめだよ!許可盗ろうよ!
「報酬の煙草一日分の金をくれ」
「はい、なのです」
部長がにがなに一〇二五円渡す。友達をお金で泥棒させないで……。にがなもお金で動かないで。
「この資料に在校生の情報と卒業生の情報が載っているなのです」
「え、卒業生も調べるの」
大変だぁ。
ファイルをぺらぺら捲り変な名前を探す。部長も真剣な顔をして探す。にがなは真剣な顔をして煙草を吸っている。レンは真剣な顔で寝ている。
……。ページを捲り続ける。
「あった!九九リル。変な名前だよ。つくも、じゃなくてくくだよ。在校生、中等部三年」
「ふ~ん、九九八十一とかだったら、もっと面白かったんだけどな」
にがなが感想を告げる。がんばって探したんだからけちつけないで。
「さらにあった。輝威輝、かがやいてる、在校生、中等部二年」
「ふ~ん、頭はげてんじゃね―の」
さすがにがな、酷い言いようだ。けっこうハイペースで見つかるもんだね。
「あった、なのです。幽界――かすかかい、幽界なのです!」
部長も発見。
「死んでんじゃねーの」
「あ、本当なのです、故人なのです」
それは笑えない。
ページを捲ってるとさらに驚きの名前があった。
「あ、新井……ポチ、新井ポチがあったよ!」
名前がマロンな私より犬っぽいよ!かわいそすぎるよ!
「あ、それ従姉妹なのです」
身近だ!