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盤上の春風~加古川、四人の歩み~  作者: 明石竜


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第二章 初めての一局

 放課後の部室。埃をかぶった将棋盤を私たち四人で拭いて、駒を並べてみた。

「えっと、これが王様で……」

「王将ね。あ、こっちは玉将って書いてある」

 陽菜と理沙が駒を手に取りながら首をひねっている。

「スマホで調べよう!」

 さくらの提案で、みんなでスマホを取り出した。将棋のルール解説動画を見ながら、駒の並べ方から勉強することに。

「飛車って、めっちゃ強いじゃん!」

「角も斜めに走り放題だって」

「でも、この歩っていうの、一マスずつしか進めないんだ」

「地味だけど、なんかかわいい」

 四人で動画を見ながら、ああでもないこうでもないと話していると、あっという間に一時間が過ぎた。

「じゃあ、実際に指してみよう!」

 陽菜の提案で、まず私と理沙が対局することに。さくらと陽菜は、二人の横で動画を見ながらアドバイス役だ。

「えっと、歩を前に……」

「あ、私も歩を進める」

 超初心者同士の対局は、もう滅茶苦茶。飛車を斜めに動かそうとしたり、駒を取ったのに持ち駒にするのを忘れたり。

「待って待って! 今のなし! ルール確認!」

 何度も中断しながら、笑いながら、初めての一局は二時間もかかってようやく終わった。

「疲れた……」

「でも、なんか楽しかったわね」

 理沙の言葉に、みんなが頷いた。

 その日から、私たちは月・水・金の週に三回、放課後に部室に集まって将棋を指すようになった。

 ちなみに神吉先生は、書道教師で火曜と木曜が活動日の書道部の顧問も兼任

されているそうだ。

 私は芸術の選択が書道なので、部活以外でも神吉先生と会う機会がある。

 ある日の授業中、筆を洗いながら先生が、ふと笑って伝えてくれた。

「将棋部の日はな、ちょっとだけ肩の力が抜けるんや」

 墨の匂いのする教室で、その言葉を聞いたとき、

 私はなんだかうれしくなった。

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