対策
1年以上経ち、シオン達の都市がますます大きく発展してきた頃───
『久しぶりですシオンさん』
シオンの頭に呼びかける声がしてきた。
「はて?どなた様でしょうか?」
『もうっ!この世界の女神イーリスです!プンプンッ!』
「ああ、上級女神イザナミ様に叱られていた、うっかり女神様!」
!?
『うっかり女神ってなんですか!大悪魔ヴァプラの時に聖剣を授けたでしょう!』
「聖剣?大聖堂の倉庫から教皇様と一緒に見つけたんですけど?」
あ、しまった。
あれはコッソリと見つかるように仕向けたんだった。
『アレよ、アレ!祈ると女神像が光る様にしたじゃない!そのお陰で聖水を作れるようにもなったでしょう』
「それは私の創意工夫のお陰だと思いますが?」
『もうっ!あー言えばこう言って!少しは敬いなさいよ!』
「もちろん敬っていますよ♪」
『えっ、本当に?』
「生まれ故郷の神イザナミ様をね!』
『そっちかよー!』
ガッテーム!
と地面を両手で叩きながらイーリスは悔しがった。
『私も敬いなさいよ!こんちくしょーめ!』
「だって、誰かさんのせいで死んだんですもん。敬う理由がないですよ?」
グサッッ!
『ソノセツハ、モウシワケアリマセンデシタ」
「分かればいいんですよ。それでなんの用ですか?」
『あ、そうそうあの2人の悪魔が近くに来ているので教えにきたの』
「えっ、わざわざすみません。ヒマなんですか?」
『丁寧な言葉でディスってこないでよ。上司のイザナミ様から、あの2人を探して見張っておくように言われたのよ。大きな被害を出す訳にいかないからね』
「流石はイザナミ様ですね。頼りになるなぁ~」
『実際に見張っていたのは私なんですけど!?』
「はいはい。イーリスよくやったわ。褒めてあげる」
『…………なんか冷たくない?上から目線だし』
「別に?前に誰かさんのせいで聖女扱いされて追い掛けられて、大変だったけど気にしてないからね」
『めっちゃ気にしているじゃない!それよりどうするの?対策は出来ているの?』
まぁ、からかうのはこの辺りで止めておいて、シオンは呼鈴を鳴らしてみんなを集めた。
「それでいつ襲ってきそうなんですか?」
『すでにこの都市を囲む様に召喚の魔法陣を多数仕込んでいるわ。凄い数よ。恐らく数日のうちには行動を起こすでしょう』
「なるほど。了解しました」
『あ、ちょっと待って』
シオンがみんなの所へ行こうとしたら呼び止められた。
よいしょっと。
一瞬部屋が光ったと思ったら小さな金髪の妖精がシオンの肩に乗っていた。
「えっ?」
「こんにちは。イーリスよ。しばらくは仮の姿である妖精として同行するわ」
マジか!?
シオンは驚きつつもそのまま仲間の元へ向かった。
みんながよく集まる少し広い部屋に行くと、チェリーとベリーの襲撃と妖精のイーリスの話をした。
「あの召喚士達のことはともかく、女神様が仮の姿で降臨されるなんて、何処までシオンは規格外なんだ?」
「ああ、女神様が目の前に~」
ヒジリちゃんは妖精に向かって祈りを捧げた。
「ヒジリちゃんは良い子だね♪」
コソッ
誰かさんと違って。
「おい、聞こえているから」
「キャピッ!なんの事かしら?」
シオンは深いため息を吐いてから今後の対策を話し合った。
「召喚魔法の対策はしてあるんだよね」
「そうなの?」
「うん。ルリちゃんと一緒に、召喚魔法を『収束』する装置を作っておいたの」
「収束ってどういうこと?」
「つまりね~」
近くに沢山の召喚の魔法陣が起動したら、それを重ねる様に1箇所に集まる様にしたの。数十個の魔法陣から色々な魔物が召喚されると、人手が足りず被害が増えるでしょう?だから召喚魔法陣を集めて、1つだけ起動するようにしたのよ。
無論、数十個の魔法陣を1つに集めるから、強力な魔物が召喚される可能性はある。けど、出てくるのに時間が掛かるからその間に攻撃すれば、前の黒竜みたいに被害なく倒せると言う訳である。
まぁ倒せなくても、聖剣、魔剣の装備もあるし、かなりのダメージを与えられるでしょう。
「正確な襲撃時間はわからないから、この数日間は交代で休んで夜でも動けるようにしておいてね。今度で決着をつけるよ!」
「「「了解!!!!」」」
遂に因縁の戦いに終止符を打つべく動き出すのだった。




