人が増えた・・・orz
あれから1ヶ月経ちました。シンボルとなるお城も出来上がり、今は内装の家具など揃えております。
この世界では遠距離の通話が可能となる技術があるため、国や冒険者ギルドなどを経由して、シオンが『国を興した』と全大陸中に知れ渡ることになりました。
それと同時に、シオンの自国であるアーノルド王国は蜂の巣を針を突いたかのような騒ぎとなっていました。
それと言うのも、帝国のルリから免罪で貴族の卒業パーティーでの一件が大陸中に伝えられた事で、多くの国から批判を受け、貿易や交易でもアーノルド王国の取引を止める所が出てきたからだ。
外交官などが一番慌てたが、実は今まではシオンが開発した調味料や魔導具、薬品類のおかげで、威圧外交を行なっており、文句があるなら輸出しないぞと脅していたのだが、そのシオンを追い出して、そのシオンが独立したとなれば、アーノルド王国を通さず貿易ができるので、一斉に取引をやめたのだった。
さらに国内では王都に富が集中していたため、地方や辺境は経済がガタガタだった。故にシオンの新しく開拓した領地に移り住みたいという国民が多く出たのだ。
幸いなことに、元々どこの国のものでは無い魔の森のため、検問所などなく領主が出入りを禁じようにも止める関所がないので市民は自由にシオンの所に行く事ができたのだった。
「うわぁ~また行列が増えてない?」
街に入れず城壁の外に待機する移民を希望している人々を見て、シオンは顔を引き攣らせていた。
魔物に襲われないよう、急いで街道を整備して聖水を振り撒き、慌てて結界も道筋に設置した所である。
「本当にジークの国から文官さんを派遣してもらってよかったよ。冒険者ギルドの受付嬢さんも手伝いに寄越して貰ったしね」
新しく移民してくる市民に、住民票を作成して身分証としてカードを渡しているのだ。
怪しいヤツはお断り!って事で、どんなに忙しくても戸籍登録は必須としていた。
多少の虚偽報告はあるかも知れないが、この世界で1人1人の戸籍登録はこの世界では初めての試みでもあった。
「しかしシオンには驚かされるな」
「そうね。まさか自分の領地に住む民衆をすべて管理しようだなんて普通は思いつかないわ」
「でも、これが成功すれば行政として、治める領主としては計り知れない恩恵があるのも事実だ。正式な領民なら病院の治療代を割引したり、人頭税の割引など領民にも目に見えての恩恵がある。この市民カードがなければ、値引きなしの定価での支払いとなる。不法入国の者かすぐに分かると言うわけだ」
「まさか冒険者ギルドの登録システムの技術をここで応用するとわね。捏造も難しいし、盗まれて再発行の場合は前のカードが使えなくなるシステムもいいわね」
まだまだ改善の余地はあるだろうが、新しく作る国だからこそ導入できるシステムである。
(だから開拓した領地であって国じゃないから!byシオン)
「それはそうとして、ここの城壁を拡張するか、別の街を作らないと全員の受け入れが難しくなっているかも知れないわね」
移民を希望する人々はどんどん増えているのだ。
「すぐにシオンに確認する。それと、移民希望の方にももしかしたら受け入れが一杯で、すぐに移民の受け入れができない場合があるって説明をするよう伝えておくよ」
ジークは走って行った。
そしてシオンは、城壁の拡張と、左右に似たような規模のサブ都市を建設するハメになるのだった。
「ひぃー!辺境でのスローライフを楽しみにしていたのに、今まで以上に忙しいのは、なんでだよー!!!!」
しばらくは休む暇の無いシオンなのでした。
この騒動は約1年ほど続き、ようやく落ち着きを取り戻した。
南の方には手付かずの平原が広大に残っていたので、そこを小麦畑に開拓した。
魔の森が近く、魔物が多く出るので今まで誰も開拓しなかったのだ。しかし、今は森の入口に結界を張り、滅多な事では魔物が森から出ないようにしたので、安心して農作業に従事できる。移民の多くはここで働いて貰った。
技術のある職人は右側のサブ都市に住んでもらい、右側は職人の街として設定した。左側は農作業など作物を育てる人々が暮らす街にしてみた。
「遅くなりましたが、新しい国の建国、おめでとうございます」
目の前には教皇様やジークの父親であるシリウス王国の国王様、帝国の皇帝さんなどなど、各国のお偉いさんが勢揃いしていた。
「・・・もうツッコミを入れるのも嫌になってきたよ。元々は国じゃなくて開拓した領地ってだけだったんだけど?」
「この規模の人口や建造物を見るとそれは無理でしょうな~」
「シリウス王国の国王様はどうなんですか?元々、ウチとそちらの国境の境目にあった空白地帯だったけど、急に国ができて迷惑じゃない?」
「いやいやいや、我が国が一番恩恵を受けているいのですぞ?文句などあるはずありませんな」
国王は息子のジークの手を取りよくやった!と大はしゃぎである。
そう、私とジークは正式に婚約したのだ。
テレちゃう♪
ヒジリちゃんの視線が怖いけど、それは仕方がない。
アーノルド王国はそろそろ経済破綻しそうで、王侯貴族はかなりヤバいことになっている。
トリネコさんに調べさせて、さらにうちのメイド達にも裏付け調査を行なって貰って、善良な貴族のみ移民を許可を出した。みんなは反対したけど、今まで自腹で騎士団を運用して、領地の治安を守って領民を守っていたからと私が許可を出したの。旅立つ前に自分の国のことも知らなかった贖罪の気持ちもあったからね。
「シリウス国王よ。アーノルド王国も場所的に吸収合併するのであろうが、シオン嬢と息子の婚姻は恩恵を貰いすぎではないかな?」
皇帝さんが釘を刺した。
「ふっ、これも我が国が隣接していた幸運であろう。それに一番最初にシオン嬢と旅を始めたのはうちの息子だしな」
「早いもの勝ちとは意地が悪いぞ。今からでも世界のバランスを取るために私の息子と婚約し直さないか?」
「馬鹿者!そちらの息子はまだ一歳になったばかりではないか!」
「王族の婚姻などこの程度の年齢差、関係ないだろう」
2人は言い争いを始めてしまった。
「ふぉふぉふぉ、皆若いのぅ。それにシオンお嬢ちゃんはモテモテじゃ。ジーク殿もしっかりと繋ぎ留めて置かぬと誰ぞに奪われるかも知れんぞぃ」
「ぐっ、わかりました」
ジークも教皇様の言葉に苦虫を噛み砕いたかの様な顔をして頷くのだった。




