2章・婚約破棄&追放編
すみません!
ちょっとうちの地方が大雪のため、除雪のために余り執筆できず遅れました。何とか1週間分は書き溜めたので続きをお楽しみ下さい。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
あれからシオン達は大陸中を回り様々な国に立ち寄り、経験を積んでいった。
そして数年掛かりで大陸を一周して、生まれた自国へと戻ってきたのだった。
「もうすぐ私の生まれた国だよ」
「シオンの生まれた国か~楽しみだな」
この数年でエルフのレオナを除くメンバー達は身体が成長していた。まぁルリちゃんも見かけはそんなに変わっていなかったけどね。
シオンの短くなった髪も元の腰の長さまで伸びていた。
シオンの自国に行くには、海を渡るかジークの国を通るのが普通なのだが、現在シオン達は北の山脈を通って北から南に向かっている最中だった。馬車には魔法をかけて軽量化しており、馬にも身体強化を使いパワーアップしているので、問題なく険しい山道を進んでいた。この山脈は『魔の山脈』と言われており、魔物の巣窟でした。普段は冒険者が貴重な薬草などの採取に向かう程度で、旅で山脈を越えようとする者は皆無でした。
しかし、簡易結界を張れる魔導具があり、シオン達は魔物を気にせず進んでいるのでした。
「麓に降りて街道らしき道に出たけど、荒れているな」
「私が旅に出るとき、貴族の腐敗が酷かったからね~。あれからもっと酷くなったのかも」
シオンの表情が曇ったことで、ヒジリが元気付けるように言った。
「なら、シオンお姉様の国も救っちゃいましょうよ!」
「う~ん、魔物退治と違って難しいんだよねぇ~」
「確かにな。本来は王族が貴族の不正を正さないといけないのだが・・・」
ジークは言いづらそうにシオンを見た。
「いいよ、ジーク。気を使わなくても。うちはその王族が腐っているから対応が難しいんだよね」
「そんな・・・」
ヒジリは軽くショックを受けた。
聖王国ではトップの教皇様がまともだったので、国のトップが腐敗していると思っていなかったのだ。
「それなら私やジークが注意すれば──」
「いや、それは他国の内政干渉になってしまう。国同士の取り決めで、そこまで強く言えない決まりがあるんだよ」
聖女や他国の王子から注意することはできるが、強制力はない。それが原因で国同士の仲が悪くなると、最悪戦争に発展する可能性があるので言えないのである。
今まで巡ってきた国々で、問題を抱えているところは多々あったが、王族が腐って民に重税を課している国は意外にもなかったのである。
無論、多少は権威に溺れて贅沢している一部の者はいたが、魔物の出るこの世界では、街道の整備と魔物退治に騎士団の派遣は当たり前であり、そこをケチると物流が滞り、国が滅びる可能性があるため、どこも力を割いている。
しかし、シオンの国は街道の整備がおざなりになり、魔物退治も冒険者に任せっきりで、騎士団の巡回もほとんどしなくなっていた。
そして浮いたお金を懐に入れて贅沢しているというわけである。
無論、一部の志のある貴族は私設騎士団を作り、自分の領地を巡回させている。
しかし、そうやっている貴族はこの国では半分にも満たない。
シオンの国は海に面しており、王都も海の見える南側にある。
北の山脈や森から王都にまで魔物が来ることが殆どなく、王都は安全だと思ってしまっている王侯貴族が多い。それがこの国の危機感を薄くしてしまい、辺境の領地の貴族以外は堕落しているのだ。
「みんな大丈夫かなぁ~」
屋敷でよくしてくれた執事やメイド達を思い出していた。
「王都に着いたらどうする?」
「とりあえず屋敷に戻るよ。・・・忘れ去られていたらショックだけどね」
「シオンお姉様が忘れられるなんてあり得ません!」
フンス、フンスと憤るヒジリをよそに馬車は王都を目指して進んで行った。
道中に幾つかの町や村を経由してついに王都に到着した。
「流石に王都は発展しているね」
「ここまで来る町や村が寂れていたからな」
王都にすべての富が集まり、辺境を始め周辺の領地はやせ細っていたのです。
「私もここまでひどいと思っていなかったよ。すぐに隣国に行くんじゃなくて、国内を回ってから旅立ては良かったと後悔しているわ」
後悔しているシオンの頭をジークが撫でた。
「前にも言ったけどシオン一人でなんでも解決できる訳じゃないから。困った時は仲間を頼って」
「うん、ありがとう。あ、そうだ!王都に着いたら先に寄りたい所があるの」
王都に入ると、シオンが作った商会に向かった。
「あれ?昔より立派になってる???」
建物がシオンが居た時より大きく立派になっていた。大きな【鳥と猫】がじゃれ合っている看板が目印となっていた。
馬車を止めて中に入ると多くの人で賑わっていた。
「失礼いたします。どのようなご用件でしょうか?」
シオン達の装いから貴族の方かと思い、従業員が声を掛けてきた。
「ここのオーナーはトリネコさんだよね?」
「ええ、そうです」
「それならスカーレット公爵家のシオンが来たと伝えてほしいの」
!?
「し、少々お待ちください!」
スタッフは慌ててオーナーを呼びに行った。
「良かった。まだ私の名前が効くようで」
少ししてバタバタと走ってくる小太りの男性がスタッフと一緒に来た。
「シオンお嬢様~~!!!!お戻りになる日をお待ちしておりました!!!!!」
トリネコさんはスライディング土下座をしてシオンを出迎えてくれた。
いや、そんなリアクション頼んでないから。
「ささっ、応接室にお越しください!お仲間の皆様もどうぞっ!」
オーナーが気を遣って対応する客に、他のお客も気になるのか視線が集まっていた。
部屋に入るとみんなソファに腰掛けて、お互いに旅の話や、これまでの経緯を話をした。
「へぇ~それで【男爵の位】をもらったんだ」
「はい。おかげさまで。時々シオンお嬢様から届く発明品や商品の情報のおかげで、旅立たれる前以上に商会は大きくなりました。今では他国でも支店を出させていただいています」
「私、トリネコさんにお店を任せて良かったと思っているの。まだ子供だった私を信じてくれてありがとう」
「も、もったいないお言葉。このトリネコ!一生シオンお嬢様についていく所存です!」
トリネコさんは泣き出してしまった。
「この国の辺境の村や町に、支援もしてくれているんでしょ?立ち寄った村や町の人々が、うちの商会に感謝していたよ。無償で炊き出しや薪の配布などを行ってくれて、なんとか生きていけてるって」
「いえいえ、お客様がいるからこそ、商会は成り立つのです。昔、騙されて一文なしになっていた私を拾ってくれたシオンお嬢様に恩返しできないかと始めた慈善事業です。ただ、一部の領地では、そこの領主が物資を奪っていくこともあり、下級とは言え男爵の位を頂いてやりやすくなりました」
貴族が平民に危害を加えても大きな問題にはなりにくい。ただ貴族同士であれば後ろ盾などから手が出しにくくなるのだ。
「・・・シオンお嬢様、正直な話なのですが、この国はもう長く無いかもしれません。私のしている
ことは【延命処置】にしかなっておらず、いつ民達の不満が爆発するのかわからない状態なのです。できれば今後の方針をお聞かせいただければと」
なるほどね。
しかしどうしようかな。他国で大金を稼いで国内に持ってきても、王家や他の貴族達が中抜きして懐に入れると、民に還元されないから意味がないんだよね。
「私も戻ってきたばかりでまだ状況がわかりません。少し時間をください。あ、それと国内で『まとも』な貴族を調べておいて。助けるべき者かどうかふるいにかけるから」
「かしこまりました。何も今日、明日の話ではありませんので、よろしくお願いいたします」
こうしてシオン達の話は遅くまで続くのでした。




