事後処理・【1章完】
ドラゴンの死体は頭以外は無傷だったので、かなりの額で買い取ってもらえることになった。
ドラゴン種族の上位個体とのことで、一部の希少な部分はもらって後はギルドと皇帝に買い取ってもらいました。
「それでこのドラゴンの素材の売却した金額の殆どを帝国に寄付すると?」
「うん。私は発明品の売り上げで生活には困ってないから、今回の騒ぎでダメになった田畑や壊れた建物の建造、亡くなった人の家族の見舞金などに使ってよ」
「シオンちゃん、あなたって人は・・・」
皇帝の謁見の間にて、集まった人々は温かい目でシオンを見つめていた。
「まさに大聖女として相応しい行いと精神だな」
「流石はドラゴンを一撃で倒した英雄様だ!」
「いやいや、シオン様は神様が遣わした神の使徒様に違いない!」
「世界を救う勇者の生まれ変わりでは?」
いやいや、なんで二つ名が増えているんだよ~~!?
この世界に魔王は居ないから勇者も居ないでしょうよ?
神様の使徒になったつもりもないんだよ~~ないんだよ~~(泣)
シオンの心の叫びがこだました。
せめて通り名を統一してくれと思うシオンだった。
あの後、チェリーとベリーは姿を消して、皇帝は各地の街などの確認と貴族達の強制集合をかけた。
帝都に来ない貴族は強制的に貴族の資格を剥奪すると勅命で各貴族に送った。
すると、クラーク公爵を始めとする派閥の貴族の半分ほどが来なかった。
すでに察していたが、騎士団を派遣すると屋敷に魔物がいたり、すでに死んで数ヶ月経っていたりと、城に来なかった貴族の死亡が確認された。
「まだ遠方の貴族の確認が取れていないが、軒並みクラーク公爵の派閥は半分以上が死んでいることが確認された」
「チェリーのヤツが魔物と入れ替えていたんだね」
「そうだな。名前はわかったが容姿がわからないので指名手配するのが難しい」
「黒いローブを被っていて顔は見えなかったからね~ただ瞳の色は赤かったのは確かだよ」
「ふむ。目の赤い人種は滅多にいない。これは数少ない情報になるな」
「ダメ元で指名手配しておく。本当に多くの民と兵士を救ってくれて感謝する!」
皇帝はガシッとシオンの両手を握って感謝を述べた。
「ボンバーさん、他の街は大丈夫だった?」
「ああ、概ね大丈夫だったな。あれだけ言ったのに甘く見ていた一部の支部では被害が出たらしいが、シオンのお嬢ちゃんが気にする所じゃない。俺も本当に感謝しているよ」
ギルド長のボンバーさんも深く頭を下げた。
「それでシオン令嬢よ。一つ頼みがある。我が弟にして筆頭賢者であるルリを旅に同行させてもらえないだろうか?」
皇帝からそんなことを言われた。
「私からも……自分からもお願いしたい。シオンを見て気づいたんだ。自分は大陸の中央に位置している敵の多い帝国のために兵器の開発を研究してきた。でも、兵器でも人の役に立つ使い方を模索するシオンに感銘を受けたんだ。これからは民が豊かに暮らせるような道具を作りたいと思ったんだ」
ルリちゃんは女言葉ではなく、男として誠心誠意の気持ちを込めて言ってくれた。
「私は別に良いけど、帝国の筆頭賢者様が抜けて大丈夫なの?」
「それは今更だよ。帝国は人材も多いから大丈夫だ。これからは兵器以外の研究もメインにさせるよう言ってあるし、帝国のゴミ掃除もできたしね。ただ───」
「あのチェリーとベリーが攻めてきたら手を貸すわよ!」
シオンはルリの言いたいことを察して言った。
「本当に助かるよ。あの凄腕の召喚士達だけは、帝国だけでは対応できないと思うから」
「それなら、被害に遭った国々で『同盟』を結びませんか?」
!?
ジークの提案に広間にいた人々の目が変わった。
「なるほど。それは名案かもしれないな」
「まずはチェリー達の情報交換をして、見たことのない魔物が現れたらすぐに情報を共有する体制を作りましょう」
「確かに、普段いない魔物が現れたら奴らの可能性があり、脅威に備えることができるな」
ジークの提案は概ね受け入れられて、後日、周辺の国に使者が送られて、詳しい話をしていく事で話がついた。
こうしてシオンの世直しの旅は続いていくのでした。
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【お知らせ】
いつもお読み頂きありがとうございます。
このまま旅を続けていく事も考えたのですが、思ったより長くなったので、仲間が集まった段階で次に進めようと思いました。
次回は自国に戻って婚約破棄される2章を始めようと思っています。そろそろタイトル回収もしたいですから。
次回更新までまた1週間ほどお待ちください。




