潜入です!
馬車で移動中にルリちゃんに帝都について尋ねた。
「この帝都は皇帝のいるお城を中心に3つの区画に区切られているの。円形的に貴族街、商店街、市民街っていう感じにね。貴族街に入るには検問所あり、勝手には入れないわ。商店街と市民街は検問所はあるけど、自由に行き来できるけど、夜21時以降は門が閉まって通れなくなるの」
ふむふむ。
なかなか厳しいね。不便じゃないの?
「まぁ、盗賊などの盗難を防ぐためだからね」
あ、なるほど。
そういう考えもできるのか。
窃盗しても商店街から逃れなければ捕まっちゃうよね。
「貴族街は騎士の巡回も多くあるし、昼間は人目もあるから怪しい者の出入りや、下手なことは出来ないはずなんだけどね~」
ルリちゃんは思う所があるのか、考えながら呟いた。
そして2人いた貴族の片方の屋敷に着いた。
「ちょうど門番がいるわね」
馬車を門の前に停めると門番にルリの来訪を告げた。
「申し訳ありません。当主様はお城に出向しておりまして不在なのですが?」
「構わないわ。奥方様に用があるの」
門番は高位のルリちゃん相手にしどろもどろになりながら確認してきます!と言って屋敷に入って言った。
「あの門番さんは人間だね。あの様子だと何も知らないみたい」
「まだわからないよ。敵の下っ端って可能性もあるから───」
『うわぁっーーーーー!!!!!!』
屋敷の方から悲鳴が聞こえてきた。
!?
「行こう!」
「でも門が………」
まだ門は閉まったままであった。
「飛べばいいでしょ!」
シオンはジャンプして門を越えた。
まったく無茶ばかり言うよなっと、ジークとレオナも飛んだ。ヒジリはレオナが抱っこして飛んでくれた。
「まったく、シオンちゃんと居ると退屈しないわね」
ルリは風魔法で空中を浮くように飛んで入った。
急いで屋敷の扉を開けると、そこは血の海になっていた。あっちこっちに死体が転がっており、何かに食い散らかされたように見えた。幸いにも門番さんはこの惨劇を見て悲鳴を上げたようで無事だった。
ヒジリちゃんは青い顔をして真っ青になっていた。いや、私もこの惨状を見たら吐きたくなるよ。
「なにがあったの!」
「あ、あんた達どうやって?いや、自分が屋敷に入るとこの有様で、何が何だかわからないんだ!」
「落ち着きなさい。最後に屋敷に入ったのはいつ?」
門番は何度か深呼吸して答えた。
「自分は普段は屋敷には入らないんだ。門の横に小さな小屋があってそこに通っているんだ。朝は出勤すると、執事かメイドが挨拶しにきて、1日の訪問するお客のリストを手渡してくるんだ。今日も執事がリストを持ってきて、来客の確認をして門番の仕事をしていたんだ」
ふむ。
ならこの惨劇はいつ起こったのかしら?
今みたいに悲鳴が上がれば気付くでしょうし?
シオンが考えていると、ジークが気付いた。
「シオン、余り見ない方がいい。それより、ここにある血液は殆ど乾いている。少なくとも数日は経っていると思う」
!?
「と、いう事はこの屋敷の人達を惨殺して姿をパクッたヤツがいるということね。朝リストを渡してきた執事とか」
「そうだわ。こんな酷い事を………許せない」
ルリちゃんも拳から血が出るくらい硬く握っていた。
「この惨状を作った者を探しましょう。みんな、武器を構えて警戒しながら行くわよ」
「「はい!」」
目の前にある部屋の扉を警戒しながらゆっくりと開ける。誰もいなかったが争った後があった。
いくつかの部屋を開けて確認していくが、死体があるだけで誰もいなかった。
「まったく、ホラーハウスいいところね。胸くそ悪いわ」
「調査が終わったら人をやるわ。しっかり伴わなきゃね」
2階に上ると執務室のっぽい部屋があった。
本がいっぱいあり、机には書きかけの書類がそのままになっていた。
「………日付は、5日前ね」
机の引き出しなど何か手掛かりがないか調べて見ると日記の様な物が出てきた。
「日記というより手記ね。何かあった事を書き込んでいたみたい」
『◯◯◯
クラーク公爵の紹介で執事とメイドを何人か雇い入れた。最初は仕事のできる有能な人物だと思ったが、すぐに違和感が出てきた。昔からいた使用人達が少しずつ居なくなっていったのだ。
無断で居なくなった訳ではない。家族に不幸があったとか、婚姻が決まったからとか理由は様々だった。流石に人手不足になった事をクラーク公爵に相談したら、新しい人材を紹介してくれた。本当に助かった』
ペラリッ
『◯◯◯
何かがおかしい。
私の娘が夜中にお化けを見たと騒いだ。
まだ幼い娘だ。何かと見間違えたのだろう。
しかしその後、娘と一緒に妻も様子が変わってしまった。
疲れていると言っていたが、なんというか、外見は妻なのに、仕草が変わったというか別人に見えるのはどうしてだろうか?』
ペラリッ
『◯◯◯
私は見てしまった。
使用人が化物の姿になって別の使用人を食べている所を。すぐに皇帝陛下に知らせなければ!?
いや、待てよ
まさか妻や娘もすでに………
もしクラーク公爵から紹介された者が全て化物が化けていたとしたら?
同じ派閥の私の家を実験場としたのなら、この仕打ちは余りにも酷いではないか!
前から違法な実験をしていると噂はあったが、クラーク公爵の派閥でも私は末端に過ぎない。
重要な情報は知らされていないのだ。私の家族を、使用人達を化け物に喰わせたのなら絶対に許さない!
クラーク公爵も道連れにしてやる!!!!
詳しい場所は知らされていないが、仲間の貴族から公爵がよく出かける場所など聞いている。
私に何かあった時のためにここに記しておく。
化け物に証拠を処分するという、そこまでの知識がないと願う』
手記はここで終わっていた。
「ルリちゃん、この地図の場所は近いの?」
地図を見せるとすぐに場所がわかったようだった。
「ここから半日の距離の場所ね。クラーク公爵の領地だわ。でも・・・うん、もしかしたら正確な場所がわかるかも」
「本当?」
「こっちもただ手をこまねいていた訳じゃないのよ?怪しい実験をしている噂の場所を調べていてね。この場所はその候補の一つだったの」
「すぐに向かうか?でもまだここにも魔物が潜んでいるかもしれないが」
「あ、ちょっと待って私に少し考えがあるの」
シオンはヒジリちゃんに相談するのだった。




