最終的なよくあるアレ!
雷が収まると、そこには黒焦げになったヴァプラが戦斧を落としてそこにいた。
それとは対極的に、シオンは焼け焦げていなくそのままの姿で杖を握っていた。
「し、シオン・・・?」
ジークはヨロヨロと心配そうにゆっくり近づくと───
「うっわ!ビックリしたよ」
よっとと、飛び降りるとジークに駆け寄った。
「大丈夫なのか?」
「なんとかね。さっきの魔法も聖属性で、魔物系しかダメージを受けない魔法だから」
まぁ、悪人にもダメージがあるのだが今は置いておこう。
「心配させるな!バカッ!」
ジークはシオンの頭に拳骨を落とした。
「あいたっ!何をするのよ!?」
涙目のシオンをジークは抱きしめた。
「心配させた罰だ。本当に・・・無事でよかった」
シオンは自分の軽率な行動でみんなに心配させたことを謝った。
「シオン、髪が・・・」
戦斧をスライディングで避ける時に髪が斬られた様でショートになっていた。
「大丈夫だよ。髪ならまた伸びるから」
「でも髪は女性の大切な身体の一部だ。守れずにごめん」
シオンは本当に気にしていなかったのだが、仲間達が申し訳なさそうにしたので、後で切り揃えるからと元気に振る舞った。そしてヴァプラの方を確認した。
「ヴァプラは死んだのか?」
「まだ生きているわ。でも虫の息よ」
シオンの言葉に仲間達に緊張が走る。
そしてジークが剣を構えた。
「このまま首を切り落とす」
「敵とはいえ敬意を払って一撃でね」
ジークはわかったと答えて聖剣を構えた。
すると黒焦げのヴァプラが震え出した。
「な、なに!?」
「ジーク!急いで首を切り落として!」
すぐにジークはヴァプラの首に剣を振り下ろしたが、魔力でガードされ弾かれてしまった。
「まさか、ここから回復するのか!?」
「まさか!内部から聖なる雷で焼かれたのよ!それで生きているってどんな生物なのよ!」
ヴァプラを中心にどんどん魔力が高まってきていた。
「う~ん?これって良くある自爆的やつかな?」
「「そんな事って滅多にないから!」」
妙に落ち着いているシオンにツッコミが入った。
ヴァプラはゆっくりと風船の様に空に浮かんでいった。
『強き者よ。見事であった。我は召喚された者だ。こちらで死んでも魔界に返送され生き返えれる。だが、我れ程の悪魔になると、死んだ後に内包した魔力が暴走して大爆発を起こすであろう。それはこの辺り一帯を焦土に変える程威力がある。すぐに逃げることだ。・・・間に合えばいいがな・・見事であった。ガクッ』
すでに喋ることのできないヴァプラは念話で伝えてきた。
「は、早く逃げましょう!」
「ダメ!森に近い村が危ないわ!それにエルフの里がなくなっちゃう!?」
シオンは周囲を見渡しながら何かないか考えた。そんな時、空から声が聞こえてきた。
「まさか、本当に大悪魔を倒すなんてね」
!?
突然の声に全員が身構えるが、空に浮かんだ人物は慌てて手を振った。
「待って、待って、敵じゃないわよ。私はグラン帝国の筆頭賢者ルリ・グランっていうの。貴方たちの戦いを見守っていたのよ。帝国にも被害が出る可能性があったからね。せっかく用意した現代魔科学の傑作『魔導砲』の出番がなくて残念だったわ」
「ルリさんね。私はシオンです。それよりその魔導砲っていうのは?」
「よくぞ聞いてくれたわ!数十人の魔法使いの魔力を特殊な宝珠に溜めて一気に放つ魔導兵器よ♪城の城壁だって吹き飛ばす程の威力があるわ」
シオンはその言葉を聞いて閃いた!
「ルリさん、それをすぐに発射して下さい!」
「シオン、何を言っているんだ!?」
「このままじゃ、あのヴァプラの死体が大爆発を起こすの!でも魔導砲なら空に吹き飛ばせるよ!」
ルリは首を振った。
「ごめんなさいね。そこまでの命中力はないのよ」
ルリは申し訳なさそうに言ったが───
「それは大丈夫!この神杖ユグドラシルの杖を使うから。この杖は魔力を吸収する能力もあるの。その能力を使えば魔導砲を誘導できるの!」
!?
「わかったわ。すでに魔導砲はいつでも発射できる様にしてあるから」
ルリは空に信号弾を放った。
「信じるわよ!シオン!」
魔力探知に特化したルリは初めて会うシオン達を何故か信じても大丈夫だと確信に似た直感があった。
「あんな距離から放てるのか!?」
ジークとしては、国としての技術力の差など頭に浮かんだが、今は目の前の爆発を止める事が大事だった。
「ユグドラシルの杖よ。あの魔力を吸引しなさい!」
シオンは杖を思いっきり空中に浮かんで行っているヴァプラに向かって投げた。
杖は物凄いスピードで飛んで行き、杖はヴァプラに刺さるとそのまま急速に空に向かって飛んでいき、魔導砲の高熱量の光線も後を追うかのように急激に弧を描くように曲がって空に向かっていった。
そして───
空が割れるような大爆発と爆発の光が大陸中を光輝かせた。
後に、この出来事は各国の歴史家によって後世まで正式な記録として残される事になる。




