みんなを助けよう!
妖精の話は驚くべきことだった。
「私は真実を伝えるために唯一魔法の影響を受けないよう残ったのです」
シオン達は少しの間、言葉が出てこなかった。
「じゃ、この先には召喚陣から出てこようとしている悪魔が時を止められて封印されているのね?」
「多くのエルフ達もそこで魔力を送るためにそこに集まっているんだろうな」
一気に難易度が上がったわね。
「この時を止める秘術を解除すれば悪魔が召喚陣から出てくると。でもこのまま、もっと時間が経てばエルフ達は順番に力尽きて、悪魔は復活するのね」
「あ、あの~この事件を外部の人々に伝えることはできなかったのでしょうか?エルフの方なら結界を通れたんですよね?里帰りするエルフもこの十年でいたと思うのですが?」
ヒジリの言葉に妖精は首を振った。
「外の世界で生きているエルフは色々な事情があったハーフエルフがほとんどなんです。エルフの掟で里から出たものは、例外を除いて二度と里に戻ることは許されません」
なるほど。エルフは純血種を重んじるのね。
「それで時の結界はどれほど持つの?」
「正確にはわかりませんが、100年ほどは持つだろうと言っていました」
「40年経ったから後は60年ほどってことね。つまり結界に参加した者の4割が死んでいる可能性があるのね」
!?
「シオン、それは───」
「あくまで可能性よ。大樹の魔力を利用したのならもう少し被害は少ないはず。それと、強大な悪魔の召喚のせいで森が瘴気に蝕まれたのね」
「なるほどね。それでどうする?」
ジークの言葉にシオンはレオナに向かって言った。
「レオナさんはどうしたい?」
「無論、助けたい!でも、族長が時の秘術を使ってでも止めようとした悪魔だ。恐らくかなりの高位の悪魔だろう。それも一国を滅ぼせるぐらいの・・・そんな危険を犯すわけには・・・」
レオナも悔しそうに拳を握った。
「助けたいんでしょ?なら助けようよ」
シオンの明るい言葉にみんなの視線が集中する。
「こう見えて私はかなり強いよ?それにジークやヒジリちゃんもいる。しっかり準備すれば大丈夫だよ」
シオンはレオナの手を握って力強く言った。
「もう一度聞くよ。レオナさんはどうしたい?」
「・・・助けたい」
一呼吸置いてから───
「お願い。力を貸してください!」
泣きながら頭を下げるレオナに仲間達全員が言った。
「「当たり前だ(よ)!」」
こうして対悪魔作戦が開始された。
「取り敢えず、悪魔の召喚現場に行かない?」
「そうだな。どれだけ召喚陣から出てきているのか見ておくか」
そこでフッとジークが釘を刺した。
「シオンは余り近づかないように」
「なんでだよ~!!!!!」
「だってトラブルメーカーだし、準備が終わる前に悪魔が復活したらヤバイから」
ヒジリとレオナがうんうんと頷いた。
「納得いかな~い~!!!!」
この状況下で軽い笑い声が聞こえたことで妖精のルゥは希望を見た気がした。
「レオナ姫様、よい仲間に出会いましたね」
「あ、そうだ!レオナってエルフの姫様なの???」
「ただの族長の娘ってだけだよ」
レオナは顔を背けて言ったが妖精は続けた。
「レオナ姫様はエルフの上位種族であるハイ・エルフの血筋なのです。人間でいう所の王族ですね」
「レオナさんのことをレオナ様って呼ばないといけないのかな?」
「やめてくれ。いつも通りでいいよ。それに私はエルフの落ちこぼれだから・・・」
はて?
「意味わかんないんだけど?レオナさん、風の魔法とかですごく速く動けるし、剣術も凄いじゃない?」
「私は身体強化の魔法は使えるが、外に放つ魔法がほぼ使えないんだ。魔法が得意なエルフとしては落ちこぼれなんだよ。だから里を飛び出したんだ」
「えっ?そんなことで?エルフって言うのも案外、器が小さいっていうか、悪い意味で排他的なのね」
「まぁ、昔から変化を嫌うようなところがあるからね」
レオナは苦笑いしながら言った。
そして、大樹の下までやってきた。
「この族長の屋敷は大樹と繋がっているんだ」
中に入ると大きな広間になっており、多くのエルフが祈りを捧げている格好で固まっていた。
「触れない!?」
「時の流れが違うんだ。見えてはいるが、こことは別の次元にいるので触ることはできないよ」
なるほど。
固まっている間に攻撃しようと思ったけど無理なのか。
シオン達はそのまま奥に進むと、重厚な大きな扉を開けると、目的のモノはそこにいた。




