いざ出陣!
門番が村長の元に向かうと、すぐに戻ってきた。
「はぁはぁ、お待たせして申し訳ありません。村長がすぐに会うそうなので向こうの家に行ってもらえますか?」
シオン達は頷くと馬車で村長の家の前まで行った。
家の前で村長が出迎えてくれて、隣に馬車を停めると中に入った。
「このような時に来てくださり、申し訳ありません」
「いえ、お気になさらずに。それよりこの村の魔物避けは正常に起動していますか?」
「はい、神官のお方が半年ほど前にメンテナンスをしてくれて、しっかりと働いております」
それはよかったね。
また詐欺まがいな神官が来てなくてよかった。
「それでも森から魔物が街道に現れ、田畑も荒らされておりまして、多変に危険な状態が続いております」
「でも、それほど酷いなら大聖堂の教会に嘆願書を持っていけば、聖堂騎士団が出動してくれるはずですが?」
村長は首を振った。
「無論、何度も送りました。村人や立ち寄った商人にもお願いして大聖堂の神官様に渡したそうなのですが、一向に動いてくれる気配がなく・・・」
あー、これはアレだ。南の村の時と同じだわ。
シオンは深いため息をついてヒジリちゃんに視線を送った。
「それは大変申し訳ございませんでした」
ヒジリちゃんは頭を深く下げた。
「なぜあなたが謝るのですか?」
ヒジリは聖女であることを明かして、教会の腐敗とこの1ヶ月間、教会の膿みを出しきるために、裏稼業の者と戦っていた事を話した。
「なんと!そんな事になっていたとは……」
「流石に国境近くの、国の端っこまでは情報が伝わってなかったみたいですね」
「いや、しかし、聖女様が来て頂いてとてもありがたいです。どうかこの村をお救いください。お願い致します」
村長は頭を下げた。
「村長さん、明日の朝一に森に行ってみます。私からも一筆書くので、もう一度教会に持っていって下さい」
「何から何までありがとうございます。聖女様もお気をつけ下さい。森の中は恐らく魔物の巣窟になっているでしょうから」
それから村で一泊させてもらうと、シオン達は村人に見送られて迷いの森へと向かった。
「………ねぇレオナさん、ここがレオナさんの住んでいたエルフの隠れ里のある森で間違いないの?」
「うん、流石に50年は経ったとはいえ、間違いないわ。でも………」
森の入口に来たシオン達は、その不気味な嫌な感じを感じ取っていた。
「あり得ない。森から『瘴気』が感じられる」
瘴気とは、生物にとって毒となる黒い煙の様なもので、それを浴び続けると、死ぬか、動物などが魔物になってしまう恐ろしいものなのだ。一説には、邪神の放った呪いなど呼ばれている。
「この森はエルフが管理していて、魔物の間引きや森の伐採など、こんな風に放っておくはずがないのに………」
「とにかく入ってみましょう。気休めかも知れないけど、移動用の魔物避けの魔導具を持っていくわ」
シオン達は警戒を最大限に上げて森に入るのだった。森の中に入ると、瘴気がより強くなった気がした。
「ヒジリちゃん、人数分の浄化魔法を掛けれる?」
「はい!大丈夫です。効果は1時間は持ちます!」
ヒジリは呪文を唱えると仲間達に浄化魔法を放った。
「レオナさん、迷いの森のどこに行けばいいの?」
「森にはエルフが張った幻惑の魔法が掛けられているんだけど…………結界が解除されているみたい。このまま奥に進めば里にたどり着くわ……本当にあり得ない!」
レオナは顔に冷や汗をかきながら森の奥を見つけた。
「なら、私が先行します。ジークは露払いをお願い。レオナは迷わないよう真ん中にいてね。ヒジリちゃんは後方で支援を。後ろに注意しながら付いてきて!」
シオンちゃん、私に対して酷くない?
そんな目で見るレオナを無視して先に進んだ。
入口付近では魔物は寄って来なかったが、奥に進むにつれて、瘴気が濃くなり魔物が襲ってきた。
「ったく、しつこいよ!」
すでに数えるのも面倒になるほどの魔物を倒していた。ジークが先頭に変わって、後方がレオナ。
シオンとヒジリが真ん中で攻撃魔法と支援魔法で援護していた。
『しかし、シオンの魔法は凄いな』
ジークはシオンの魔力操作に驚いていた。激しく動きながら戦っているのに、自分に当てずに魔物に魔法を当てている。
森の中と言う制限のせいで、広範囲の魔法が使えないのがネックになっていた。
「レオナさん!エルフの里はまだなの!?」
戦いながら叫ぶシオンにレオナが答える。
「もう、そろそろだ!結界がないから見えるでしょう!あの大きな樹木が!その下に里はある!」
少し上を見ると他より大きな木が見えた。
確かに近そうだ。




