断罪のお時間ですよ!異議あり!
信者が大騒ぎになっている中、枢機卿と大司教は再度大きな声を上げた。
「静まれーい!」
「静まるのじゃー!」
周囲が再び静かになると次は聖女の話題になった。
「新しい聖女とはそこの少女のことで間違いないですかな教皇様?」
「うむ、そして女神様と直接交信できる稀な才能の持ち主である」
!?
「この意味がわかるなら、今までのこと懺悔しても良いのじゃぞ?」
教皇の言葉に顔を引き攣らせる枢機卿だったが、すぐにニタァと嫌な顔をして言った。
「なんのことですかな?それよりも新たな聖女が見つかってよかった」
「まったくですな」
話題を変えようとしているのが見え見えの言葉に、教皇は目を瞑って自分に言い聞かせるように言い放った。
「聞くが良い。枢機卿ゴウヨクと大司教ヨクバリよ。貴様達の指示で聖女ヒジリの命を狙ったこと、女神様はたいそうお怒りである」
ざわざわ
ざわざわ
「き、急になにを仰られる!どこにそんな証拠があるというのですか!?」
「そうですぞ!証拠もなしにいくら教皇様でも失礼ですぞ!」
騒ぎ出す2人に教皇はシオンに視線を送った。
あんにゃろうめ!後で覚えておけよ!!
シオンは喰えない爺さんに恨みっぽい目で視線を送ったが、取り敢えず証拠の品を出すことにした。
「失礼します。お二人は誰から聖女ヒジリが死んだと聞かされたのでしょうか?確かに南の森で私と連れのジークが助けなければ殺される寸前でした。それを知っているのは実行犯と指示を出した人物だけです!」
バンッという効果音と共にシオンは人差し指を突きつけた!
(逆◯裁判風)
バンッ!異議あり!
「異議あり!それは状況証拠という意味で実際に私達が指示した証拠はない!」
「そうですぞ!信者の誰かからそういう報告を受けただけで、事実確認をしなかった事は反省しておりますが、我々に聖女様を殺す動機などございません!」
流石に弁が立つわね。
シオンは冷静に言葉を選んで言った。
「そうですか、ならば聖女を害そうとした賊が持っていた品をお見せしましょう」
賊が持っていた精霊教のマークが掘られた短剣を取り出した。
これだ!
「何かと思えば、そんな短剣、誰でも持っておるわ」
「そうじゃ、そうじゃ」
そういう被告人は証拠品に対して首を振った。
「これは高位の司祭が用事を頼む時、厄払いの感じで渡すそうですね?」
「そうだ。だが、皆同じものを支給されておるので、個人の特定など不可能なのだぞ?」
「そうでしょうか?女神様は全てを見ておられます」
シオンが祈る(祈った風に見える)と短剣が輝いて枢機卿と大司教のところに光の線が飛んだ。
「ななななっっ!?」
慌てて移動するが光の線は2人を指した。
「これはどういう事でしょうか?」
「私は知らん!これはお前がやっているトリックに違いない!」
はい。そうです。これは光魔法のトリックです。
シオンは内心で笑っていた。まずはこれで周囲の人々の『疑念』を植え付ける。
「それでは女神様に聞いてみましょう」
!?
「なんだと!?」
シオンは大げさに腕を広げると、この場にいたみんなに聞こえるように言った。
「さぁ!刮目せよ!これ女神様の神託である!」
シオンはノリノリだった。
はぁ~~ナムナム~!!!
(ー人ー)
ぴっかーーーー!!!!!!
大聖堂の巨大な女神像が光り輝いた。
「「おおっ!?」」
『親愛なる信徒達よ。私は聖女の力を借りて声を届けている』
※これも魔法です。
周囲は静まり返った。誰もが女神様の声を聞き逃さないように耳を傾けいる。
『聖女と教皇の言う事は、全て真実であると女神の名の元に宣言する。今回の聖女暗殺の件以外でも多くの神官が不正をし、堕落している現状を嘆かわしく思う。教皇がその他の不正の証拠を手に入れている。それを元に教会の膿を出し切り、正常に運営してくれる事を願う。………あ、新たな聖女は本当の聖女ではないぞ。特異な力を秘めた少女であるだけである。自由にさせよ。以上である』
女神像の光りが消えて静けさだけが戻った。
「ば、バカな・・・・」
「終わりだ・・・」
女神様の神託が降りたのだ。誰も否定する事はできない。
「さて、女神様の神託も降りた事だし・・・この痴れ者達を捕らえよ!そしてそれに準ずる手下の者どもも捕縛せよ!さもなくば女神様の神罰が落ちるであろう!」
もう一丁!はぁ~ナムナム。ぴっかー!
(ー人ー)
女神像が光るのは効果的だった。女神様の声はもう聞こえないが、シオンの言葉に反応しているのは間違いないとわかるので、すでに教皇様が警備の神官達に指示をだしていた。
こうしてまとまった自警団のような一団が、個別に不正を行っていた神官達を捕縛していった。
中には有力者の子弟も多くいて、その親から抗議が来たが、同じく女神像をぴかーとさせると、自分にも害が及ぶと恐れて家族を切り捨てる者が多かった。
こうして数日間の間に神殿の風通しは良くなるのであった。




