状況確認
村の一室に通されたシオン達は村長さんと冒険者のレオナさんに話を聞くことになった。
「あ、あなたエルフ!?」
明るい部屋に入ったことでレオナさんの顔がしっかりとわかったのです。
「ああ、そんなに珍しくはないだろう?」
「エルフって初めて見たけど珍しくないの?」
「大きな街とかにはそれなりにいると思うけど?」
そこでシオンは思い出した。
自分が実家のスカーレット公爵家からほとんど外に出たことがなかったことを。
『ニートじゃないから!ちゃんとお金を稼いでいるからセーフだからね!』
心の中でどうでも良いことを考えながら話は進んだ。
「それで、この村の魔物避けの水晶が壊れたのは約1ヶ月前ほど。たまたま私がちょうど壊れてすぐにこの村に着いてね。魔物を撃退していた訳だけど、昼間でも魔物が襲ってくるからろくに外に出られなくてね。食料調達に苦労していたんだ」
「魔物避けの水晶が壊れたのは一大事です。しかし私が報告を受けたのは本日なのです。ここから近い首都エルサレムに連絡に行かれたんですよね?」
「ああ、村の男達が5人で行ったよ。戻ってきたのは3人だけだったが、間違いなく大聖堂の司祭に手紙を渡して事情を説明したと言っていた。私はこの村の防衛で行けなかったからね」
2人は魔物にやられたのか。
「なら、この村の水晶は人為的に壊された可能性があるわね」
シオンは確信したかのように言った。
「何だって?」
「実は───」
シオンは自分が光ったことは秘密にして、女神像が光って新たな聖女が生まれたこと。ヒジリちゃんが教会の不正を調べていることを伝えた。
「この話は他言無用でお願いします」
「ああ、わかっているわ。なるほど、それなら合点がいくな。しばらくこの村を放置して、全滅するにしろ、生き残っているにせよ、周囲に魔物が溢れていれば、聖女を事故として始末することができる。ちょうど良いタイミングで女神像が光、新たな聖女も誕生したので、早急に始末しようと動いたのか」
「話が早くて助かるよ」
レオナはこれからどう動くか考えた。
「聖女を襲った奴らの何か証拠品などなかったのか?」
「何もなかったな。軽く調べたが、各自この短剣しかめぼしいものは持ってなかったよ」
短剣の鞘には意匠の凝らしたマークが掘られていた。
「これは、精霊教のマークなんです。高位の神官の階級なら誰でも持っている物です」
「襲撃者は司祭だったの?」
「いえ、司祭や司教が部下に何かお願いする時に、邪の者を祓うと言う意味で持たせる選別のもので、深い意味はありません」
ふーん?
「水晶の修復は、太陽が出ないとできないので、日の出とともに行います」
「それは助かる。村が襲われなければ、私が外に出て狩りで獲物をとってこれるからね。これで村の近辺の魔物も減れば畑仕事や森の木材の伐採など仕事ができるよ」
ふと疑問に思った。
「あの。1ヶ月も仕事がろくにできなくて生活は大丈夫なの?」
シオンの問いかけに村長が答えた。
「すべてはレオナさんのおかげです。いくら感謝しても足りないほどの支援をして頂きました」
「どう言うことですか?」
何でもレオナさんは魔物退治だけではなく、持っていたお金を村の為に差し出し、この1ヶ月間村の為に買い出しなど行っていたらしい。
「村の守りがあるのと、土地勘がないから村人を護衛しながら買出しに付いていっただけだよ」
謙遜しながら言うレオナさんは、緑色の髪に軽装備の美人なお姉さんの方だ。
メチャクチャ良い人なんじゃ・・・
「レオナさんってエルフなのにメチャクチャ良い人ですね」
思ったことが声に出てしまった。
「えっ、ま、まぁ困った時はお互い様だしね」
レオナは照れながら言った。
「しかし聖女様を暗殺しようとは由々しき事態ですな」
村長の言葉に自体は何も解決していないことを再確認した。
「明日、結界が復活したら周辺の魔物を狩りますよ。ジーク、良いよね?」
「こういった事情だしな。一緒にやろう。手伝うよ」
レオナは不思議に思った。
「シオンちゃん?大丈夫なのかい?」
「うん、魔物退治は慣れてるから大丈夫だよ」
そうは言っても、年端のいかない少女に任せる訳もいかず、レオナも一緒に同行することにしたのだった。




