1 虚無
人間関係、社会、環境、情報、時間、
僕を不安のどん底に突き落とす要因は、この世に五万とある。
高校2年生に進級して、一週間。
相変わらずこれといった友人もできないまま、学校も何もない土日なのにも関わらず、家の中でどうしようもない考え事をしながら無駄な時間を過ごすだけの一日。
「死にたい」とまでは思わないが、「このまま生きていてもいいのだろうか」「この先の未来はあるんだろうか」
そんな漠然としたことを考えて何時間という時間を無駄にしていく自分に恐怖する。
自分でもわかっている。考えすぎだと、
こんなことを考えたって自分にはどうしようもないことも、知らないことを分かろうとせずに不安に感じるだけならばやめた方がいいことも、全部全部頭ではわかってるつもりなんだ。
なのに、不安は一向に消えてくれない。
毎日毎日、真っ暗な未来が明日にでも迫っているような感覚に恐怖している。
何度もこのネガティブな思考をやめようとしてみたが、ふとした時に頭に浮かんでくる「それ」はじわじわと僕の精神を追い詰めていった。
もっと友人がいたら、目の前の現実を見ることができたのなら、こんなことを考えずにすんだのだろうか。
最近では授業中も、家で勉強する時ですらなかなか集中できない。
こういったことを考えるたびに思う。くだらないことを、ネガティブなことを、どうしようもないことを考えるのをやめたい。やめてしまいたい。なのに、なのになのになのに、頭の中の考えが、声が、絶えず聞こえてきて僕の頭の中をぐちゃぐちゃにかき乱していく。
そうやって考え続けて、今はもう日曜日の夜。僕はとんでもない馬鹿だ。阿呆だ。クズだ。
他の学生たちが、友人と遊んだり、部活に明け暮れたりしている中、2日もある休みを何もしないままベットの上で過ごすなんて。
自分の情けなさに思わずため息が出る。
温かいご飯を食べて、お風呂に入って、寝る準備をして、ふかふかのベットに横たわる。
なんとも有難いことだ。こんな性格に感謝することがあるとすれば、これらを毎日実感することができるようになったことぐらいだろう。なんて贅沢で素晴らしい生活なんだろうか。
そんなことは分かっているのに、人は今より上のものを望んでしまう。現状に満足できていないわけではない。
それはきっと誰もが心のどこかで感じているもので、生きていく上で大事な感情だとも思う。
当然僕もそうだ。
僕にとって、今よりも上の生活。今僕が、1番望んでいること。それはきっと、不安のない生活だろう。
分かっている。不安のない人間なんていないことも、こんな馬鹿げた1日を過ごしている奴にはできっこないことも。でももしそんなことができたら、きっと今よりずっと良い生活ができるんじゃないだろうか。と、
そう思ったところで時計を見れば、いつの間にか時計の長針が2に触れかけていた。
ちょうど眠気が現れ始めていたのもあって、僕は焦って目を閉じる。
本当は眠りたくない。寝るのが怖い。朝が怖い。でも、明日は学校に行かなければならない。だから、無理矢理にでも寝なければ。
鬱陶しく脳内に居座り続ける不安を遮断するべく、音漏れするほど大きな音を鳴らしたイヤホンをつけ、目をぎゅっと瞑った。
明日もどうか、何もありませんように。
そう小さく願って時間をかけて少しずつ眠りに落ちていった。




