第六話 雷神様!?
「……っ、うぇ?」
金髪の男性を目にして、私は眠気が一気に覚めた。思わず布団から後ずさる。人は本当に驚くと声が出ないというのは本当のことのようだ。胸に手を当て、深呼吸をする。
確か昨日は雷神からの贈り物により、虎くんにドライヤーを堪能してもらい眠りについた。その虎くんの姿が見当たらない。代わりに謎の男性がいる。
「まさか……」
嫌な考えが過った。この男性の下に虎くんがいるのではないか?
「起きてください! 虎くんが潰れちゃいます!」
「……っ!?」
虎くんを救出することが第一優先だ。私は男性の肩を掴み揺する。すると金色の長い睫が震えると、金色の瞳が現れた。そして私を映すと瞠目した。
「あの……虎くんが……」
「こ……来ないでくれ!」
一刻も早く虎くんを救出したいが、目を覚ました彼は私を拒むように大きな声を上げた。
「いや……あの。用があるのは虎くんなので、そこを退いていただきたいのですが?」
「……っ、い……居ないから……来ないでくれ……」
用件を伝えるが、男性は膝を抱えて怯えてしまう。彼の瞳には涙が浮かび、その光景を何処かで見たことがある気がする。男性とは初対面である筈だが不思議だ。
「あの……」
「失礼致します! 姫様!? 如何なさいましたか!?」
再度男性に話しかけようとすると、障子が勢い良く開いた。鰻さん達が駆け付けてくれたのだ。
「えっと……虎くんが居なくて、代わりにこの人が居たのだけど……」
「主様!?」
私は鰻さん達に状況を説明する。虎くんを救出するのを手伝ってもらえると喜ぶが、不可解な言葉が鼓膜を揺らした。
「え? 主様?」
思わず首を傾げると、鰻さん達は首を縦に振る。
「はい……そちらのお方は、我らがお仕えしております雷神様に御座います」
爆誕発言に私は言葉失い、固まった。