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「やっぱりそうですか」
「ごめんなさい……、私が未熟なばかりに……」
(謝られても困るんだけどなぁ……)
どうやら俺が召喚されたのは偶然だったらしい。まぁ、そうだよな。村人が勇者として召喚されるなんて普通はありえない話だし。
「王様。勇者召喚の儀というのは、村人も召喚されるのですか?」
「いや、文献によると今回のようなことはあり得ぬ。過去に例のない事態だ」
「そうなんですか」
「うむ。じゃが、これは神の導きだとワシは思っておる」
「神の?」
「そうじゃ。この国を救うために勇者殿が選ばれたのじゃろう」
「なるほど……」
神様のミスとかじゃないならいいけど……
「さて、まずは勇者殿のレベルを上げねばならぬのう」
「レベルですか?」
「うむ。魔物を倒せば経験値を得てレベルアップできるぞ」
「へぇ~」
なるほど。RPGっぽいシステムなのか。とにかく魔物を狩ればいいんだな。
「勇者様!じゃあ、早速狩りに行きましょうか」
「え?今から?」
「はいっ!」
「でも、俺武器持ってないよ?」
「大丈夫です。勇者様にはこの剣を差し上げますから!」
そう言って王女様は一振りの長剣を手渡してきた。ずしりと重い感触がある。
「これが伝説の聖剣エクスカリバー……」
「違いますよぉーーー」
呆れたように言われてしまった。
「これは普通のロングソードですよ」
「え?そうなの?」
「はい、そうです」
「でも、なんか光り輝いているように見えるけど?」
「それは気のせいです。単なる光の反射でしょう」
俺は手にした剣を見つめる。とても綺麗な刀身をしていた。
「まずは近くの草むらでスライムを倒しに行きましょう」
「分かった。行こうか」
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