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Jet Black Witches ー 萌芽 ー  作者: AZO
0.プロローグ
7/60

7出国

 波乱を含みながらも無事産まれ帰宅し、新たな3人家族の生活が始まる一ノ瀬家。


 可愛らしくも賢い資質を秘めたマコトを養育していくことになるが、別の特殊な資質を備えることから、物心つくまでは安心できない日々を送ることとなる。


 その特殊な資質とは、魔力を有し、魔法を発動できてしまうということで、教わることもなく、眼の前に発動された魔法があればそれをイメージ的に模倣できてしまったり、自身の感情の昂ぶりから予期せぬ魔力が行使されたりなどだ。


 そのような状況にあったため、迂闊に人に会わせることもできないが、成長の過程において、友達などとの人間関係育成やそれにより見込まれる成長なども幼児期に欠かせないものだ。関わりはそれだけでは収まらない。幼児期に受けなければならない予防接種や健康診断などもはじめ、外界との途絶する環境での養育は現実問題不可能なことでもあった。


 ジンとソフィアは、そのような理由から、可能ならば世間から秘匿しながら養育したいところだが、それが不可能な部分では、最低限の関わりとするよう注意を払う必要があった。


 また現在日本に居住しているが、ジンがソフィアと結婚するにあたり、一ノ瀬家の親兄弟にソフィアを紹介する場面で、ソフィアの素性を伝えられない特別な事情があったことから、伏せた情報で知らせて家族に引き合わせたのだが、素性不明なことを理由に、ジンの父親からの猛反対を受け、半ば家族断絶のような状態で、実家を飛び出しソフィアと結婚したという経緯がある。一ノ瀬の一族は日本でも有数の名家であり、それに睨まれた状態ではまともな生活すら困難となるのだ。


 そのような経緯から、目の届かない所に住まい、目の届かない病院を探し、出産にこぎつけた状況だった。今後も実家からの支援は受けられそうにないことは当然で、引き続き情報網を搔い潜りながらの生活が余儀なくされる、という状況でもあった。


 ジンとソフィアが出会い、ジンの仕事場所でもあったS国に移るという考えもあるにはあったが、出産から幼少期までは、安全性や利便性、生活基盤への技術的信頼性などを含め、何かあっても安心できる日本に居住することを選択していたのだった。


 生まれてからの数年間だが、幸い、マコトは賢かったため、日常会話程度なら、生後半年経過したあたりから既に身に着け始めていた。この頃、急激に市場拡大し膨大なコンテンツが揃うようになったレンタルビデオ業界が好調で、通常のテレビ番組のほか、レンタルビデオを最大限に活用することになる。そして元々好奇心の高いマコトだったからこそ、自ら望んでどっぷりと引き篭もる幼少期を送ることとなる。それは子供向け番組に止まらず、教育番組に始まり、アニメーション、ドラマ、映画などさまざまなジャンルを幅広く視聴する。これに付き添うソフィアもネイティブ日本語の習得につながることになる。


 マコトの場合、ただコンテンツを楽しむのとは少し異なり、その記憶容量が果てしなく大きかった。このため、視聴を重ねるほどにさまざまな知識まで蓄積していくことになる。結果、まだ小学校に入るずっと前の状態にもかかわらず、少なくとも中学生レベルの会話や学習知識なら、特別深くはないが広く満遍なく吸収するまでに至ることとなる。


 マコトが3歳になろうとする頃、ふとしたことから一ノ瀬家の情報網にマコトの存在が捉えられる。親子の関係は断絶していても、孫の存在は愛おしく思うのか、復縁が持ち掛けられ、引っ越しとともにマコトは一ノ瀬の一族配下にある私立の名門幼稚園に通うこととなる。


 そこは一ノ瀬家や同等の財閥家系の幼児が通い、その親同士の関係性において、おのずとカーストが形成される状況であった。当然、親同士の力関係は、おのずと園児同士の関係性にも波及していた。ジンは仕事でS国と日本を行き来しており、ジン不在の間はソフィアが矢面に立つこととなる。そして親子間で断絶していた経緯と、素性のしれないソフィアとの関係性を秘匿するため、ジンの幼稚園関与を禁じ、幼稚園での関係性はカーストの最下位に位置することになる。それでも賢く要領のよいソフィアは元々の育ちも実は高貴なものであったため、カースト上位からの嫌がらせを受けるようなことにはならなかった。大人同士であれば、押すところ、引くところ、かわすところを使い分け、うまく立ち回ることができるのである。


 しかし、思慮の浅い園児たちはそうはいかない。そして物事をよく見抜き、大人的な常識基準がなんとなく身についているマコトは正義感も強い。浅慮な園児の関係では無慈悲な力がまかり通る。そんな真実を目にすれば、当然それを正そうとするマコト。しかし、カースト上位に位置する園児ならば、意に沿わないものは何が何でも許さない。それを押し通そうとするところで立ち向かうマコトは、昂ぶりから魔法を発動しそうになる。それを察知したソフィアにより最悪な状態は免れるが、何か得体の知れない異常に気付く母親がじわじわと騒ぎ立て、次第に騒動へと発展しそうになる。


 そんなところにS国から戻ったジンにより、大人同士のいざこざを平定に導くが、晴れない疑惑が残ることや今後のことを踏まえ、S国に離れることを決意する。


 そうして、一家三人で半ば逃げるようにS国に移り住むこととなる。

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