深夜行路
外灯に照らされた
夜の窓辺
電信柱
誰もいない
ひっそりと
誰か待つように
佇む小路
眠る草木
獣さえ
一匹も通らない
脇のお地蔵さま
頭の上
青に紫
そぞろ
山の向こう
どこへ行くのか
茜色
鈴の音色
風が通る
扉の向こう
話し声
聞こえる
震える葉っぱ
ぽたりと落ちる
石の上
暗闇
雨水
土から顔出して
呼ばれる
お遍路
西へ西へ
木霊する
烽火が上がる
煙が上がる
散らずに塊魂
寄り添うように
打ち上げられる
闇夜に浮かぶ
空に消える
いつしか見た
何百年もの
苔むす記憶
さまよっていた
ここにいた
どこかにいた
とぉん…と響く
真夜中 小路