「猫かぶりルーキー」
・「猫かぶりルーキー」
晴れてチームTに所属するプロ野球選手になった僕は、しばらく猫をかぶることにした。
本当であれば今すぐに推しアニメの布教活動に励みたいところだったが、さすがに無名のルーキーがやっても大した宣伝力も無く、むしろ反感を買ってマイナスになってしまうだろう。
まずは入団会見、ドラフト6位の僕は支配下選手の中では最後なので(育成指名の選手達よりは先だが)、本来であれば大して注目されることも無いのだが、高校の実績が0の僕に対しては「誰だお前」というありがたくない注目が起きてしまっている。
・・・まあ僕がファンの立場なら同じ視点で見るに決まっているから文句は言えない。
「皆さん始めまして。無名の女子野球選手である僕を指名してくださったチームTの監督や編成の皆様には感謝しかありません。僕の実力が気になる方も多いと思いますが、それを披露する場に呼んでいただけるように精一杯励んでいきます。」
とりあえず、監督にもチームメイトにもマスコミにも(あくまで僕にしては)猫かぶりスタイルで押し通すことにした。
正直、入団会見の場で実力を披露なんていう王道漫画展開をやろうかとも思ったけど、手の内を早めにさらしたら不利になるだけなので公式戦まで隠しておくことにした。
なので、キャンプやオープン戦も監督・コーチに捕手(現在のチームTはメジャー帰りのスーパー捕手が正捕手を務めている、・・・まあ2011年以降怪我でさっぱりで、すぐ引退してしまうが)にだけ手の内を明かすだけにとどめることにしよう。
そんな訳で、実力は隠すわ、低姿勢の猫かぶりスタイルを突き通すわ、ということから周囲には「所詮ドラフト最下位の女性投手」となめられまくりでキャンプに突入しますね。
ちなみにこのパラレル世界では災害などは元の世界と同じには発生しないらしく、2011年シーズンを延期することなく迎えることになるらしい。
それから、晴れてプロ入りしたことでアニメ断ちを絶った僕は、「僕は、妹よりゴスロリ推し」や「僕は漫画家よりラノベ作家になりたい」、「1期と別作品な少年飛び上がりラブコメ」などを始めとしてじっくり楽しみました。
このレベルなら布教活動も不要だよね。
僕は2010年代後半に本気出す、円盤の平均売り上げとか的に。




