「アニオタが転生してプロ野球選手を目指すわけ」
・「アニオタが転生してプロ野球選手を目指すわけ」
1992年12月23日生まれ、「天皇と誕生日が同じ」というネタを封じられてしまった新元号を迎えて2年が経過した2021年を迎えてすぐ、僕はラノベよろしく転生することになった。
転生の原因となった出来事に関しては自分の中で整理がついていないため先においておこう。
「やっぱ転生するなら、異世界かしら? 人気あるもんね、テンプレだもんね。」
「いえ、パラレルワールドで良いので、もう一回人生をやり直させてください、プロ野球選手になるので。」
ギャグ系の異世界ラノベに居そうな女神に尋ねられた俺は即答した。
生前の僕はアニオタであると同時に関西のプロ野球チームTの大ファンであった、生まれも育ちも札幌だけど。
ファンになった理由は「弱すぎてかわいそうになったから」という至極浅いものであった。
幼稚園から小学生中学年までの、90年代後半から2001年にかけてチームTは有名な人気球団であるにも関わらず、とんでもないほど弱かった。
正確に表すなら、本当の意味で生前である80年代後半から既に最弱のレベルだったらしい。
当時は、現在は地元札幌に密着した(2021年現在の話であり、数年後の北広島移転後は知らん、その前に転生する羽目になったし)チームFがまだ東京に本拠地を構えていたこともあり、テレビに映る野球チームは同じく東京の人気チームGの試合だけであった(なお、2021年現在、札幌のテレビではまったく試合を見かけない)。
幼少期から「ポケットに入るモンスター」や「1日に何度も殺人事件に出会う小学生や高校生」、「努力や友情を大事にする雑誌のアニメもろもろ」、「カードを集めるコスプレJS(女子小学生)」などの影響でアニオタに無事養成されていた僕にとって、プロ野球の試合とは「放送時間延長」というマジックワードでアニメ放送を中止させてくる害悪でしかなかったのだが、たまたま目にしたチームTのふがいなさを目にした結果、いつの間にか1週回ってプロ野球ファン、特にチームTのファンとなっていた。
振り返ると、何でファンになったのか改めてわかんないわ、これ。
一度ファンになってしまうと不思議なもので、弱小を理由にファンになったに関わらず、奇跡の優勝を果たした2003年以降、そこそこ強くなったチームTを見ても変わらずファンであり続けた。
新しく弱小となった横浜のチームBや、兵庫(大阪府)のチームBであったり、札幌に移転してきたチームFのファンに乗り換えることもなかった。
もはや「プロ野球チームのファン」と「たばこ」と「薬物」の依存度具合は大して変わらないのでなかろうか(まあ「薬物」はもちろん「たばこ」にも一切手を出したことはないけど)。
そんな訳で、生前の僕を構成する要素は、「アニオタ」と「プロ野球オタ」の2要素だったと言って過言はないだろう。
彼女は生涯出来ず、30歳の魔法使いに2年弱で突入するところだったから、その2要素だけで間違いない、泣けてくるけど。
だからこそ、生前の僕に残った未練も「ほぼ」この2要素に関する点のみであった。
「プロ野球」に関しては、2005年の優勝を最後に「中途半端に強いチーム」へランクアップ?したものの一度も優勝できなかったチームTへの未練というか、怒りという、呆れというか、やっぱり未練が残った。
「アニオタ」としては、未練ばかりが残った。生涯「北の果て」住まいだったため、東京中心で開催されまくっている「アニメイベント」にとことん参加出来なかったことであったり、気に入ったアニメの円盤が売れずに2期は作られず、原作の勢いも止まるという負のスパイラルが数多く発生したことであったり(1クールで3~40作品見てるから当たり前といえば当たり前だが)、人気アニメの2期や3期の放映前に転生してしまうことになった件であったりなどたくさんだ。
ちなみに僕は声豚でもあるが、「声優さんと結婚したい」みたいなタイプではないので、その辺の未練は残っていない、うん残っていないよ、本当だよ、安心してね。
というわけで、現世に未練だらけの僕が異世界への転生など望むはずも無い。
これらの未練を解消するには、強くてニューゲーム、つまり「僕が野球選手になって、チームTを優勝に導き、さらにアニメの宣伝をすればいい」という訳である。
タイムスリップ物に関しては「中二病の科学者」や「思春期の高校生」、「リセットが口癖?の高校生」などで履修済みのため、トラブルを避ける目的でパラレルワールドを始めから希望しておいた。
パラレルワールドとはいっても、たいした違いや支障はないだろうと高をくくっていた。
そんな僕はパラレルワールドで「女性」として同じ両親から生を享けてしまったわけである。
・・・まさか性別が変わってしまうとは、計算外過ぎるわ。




