第89話(領主様との対面)
新作を書いていたらこちらの投稿が遅くなってしまいました。
今回はチユルの町周辺を治める領主様が登場!
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
兵士長から領主様が御礼の席、つまりパーティーのお誘いがあったと聞いてから数日後。
「おおっ!!ここが今日パーティーを行う所か!!!」
イルマ達はチユルの町にある領主様の屋敷の前に来ていた。
「ちょっとダン!アンタもう少し落ち着きなさいよ!」
「なんだよメラ、折角の領主様から俺達への御礼の席、パーティーなんだぞ?別にこれぐらいならいいじゃねぇか!メラもテンション上げないと損だぞ?」
「………ダンうるさい。私達まで変な目で見られて恥ずかしい」
『ダンさん元気ですね~。ですけど確かにシーラさんの言う通り、ダンさんが元気過ぎて、この屋敷の前まで来て静かに入れるのを待っている討伐隊の皆さんとは違って私達浮いていて少し恥ずかしいです~』
領主様の屋敷を見たダンが屋敷前で静かに待機している他の討伐隊の皆とは違い、テンションを上げていることをメラやシーラが注意する。イルマに取り憑いて周りからは見えないミルンも自分達が周りから浮いているこの現状に羞恥心を覚えていた。
「ダン、周りを見た方がいいよ?僕達以外の皆は静かに屋敷の中に入れるのを待っているよ?」
そしてイルマもメラとシーラから注意されているダンに、周りを見て諭すようにダンのはしゃぐ様子を注意する。
「何だよイルマまでよ…………わかったよ。ちぇ~折角のパーティーなのに………」
「ダン、アンタねぇ~幾ら私達への御礼の席とはいえ、ここが領主様の屋敷前なのだからそんなに騒いでいたら失礼よ。それに今回のパーティーでは兵士長やナミノ教官から領主様から勧誘されるかもしれないから注意しろと言われたことを忘れたの!?」
「俺だってそれぐらいちゃんと覚えているわ!」
「だったら気を引き締める。パーティーだからといって気を抜いていたらその隙を突かれるかもしれない」
『折角のパーティーなのに心から楽しめないのは残念ですけど、それよりもイルマさん達がここの領主様に勧誘されて手元に置かれてしまい、これからの冒険者生活に影響が出てしまう事態になるのは避けたいですしね!』
「…………わかった、わかった!俺が悪かったから!!」
ダンはメラ達からはしゃぐでいるのが駄目な理由を1から10までわざわざ説明され、これ以上の説教は勘弁と思い謝ることでメラ達の注意を終わらせる。
「(ったく、此処はチユルの町中に置いてあった貴族、領主様の屋敷前なのにアイツら何騒いでいたんだ?まぁ、どうせダン辺りが貴族の屋敷かパーティーのことで騒いでいて、それをイルマ達が注意していたんだろうけど………相変わらず目立つ奴らだな……)」
そんなイルマ達の様子を他の討伐隊と同じく屋敷の前で待機していた見ていたナミノ教官。ナミノ教官はイルマ達が何騒いでいるのかと、イルマ達の教官なだけあってイルマ達の話の内容が聞こえていないのに予想が出来(見事的中だ)、そして相変わらずイルマ達は目立つなっと呆れていた。
そしてそれからダンは屋敷の人間が招き入れる為に呼びに来るまでの間、メラ達から注意を受けたこともあり静かに屋敷前で待機をするのであった。
◆◇◆◇
屋敷の中に招かれた討伐隊の皆とイルマ達。
領主様の屋敷内に入った討伐隊の皆は一部者以外はその屋敷内の様子に驚く。
豪華な絨毯
広々な廊下
誰が見ても高級そうな装飾品や美術品の数々
討伐隊の皆やイルマ達はそのいかにも貴族の屋敷といった屋敷内の様子に、もしここにある物をうっかり壊してしまったらどうしようっ!?、と恐る恐る屋敷の者の案内に着いていく。
そんな中、ナミノ教官や教官達に【炎の剣士団】のメンバーは恐る恐る歩くイルマ達や他の討伐隊の皆とは違い、貴族のパーティーに招かれた経験があるせいなのか落ち着いた様子で案内に着いて歩いていた。
『凄いです!貴族というか領主様の屋敷内って綺麗で大きい物なんですね!!』
「(だな!確かに領主様の屋敷ってすげぇな!屋敷に入る前の庭の様子も広くて綺麗にされていてすげぇっと思っていたけど屋敷内はもっと豪華で高そうな物が一杯置いてあってすげぇな!)」
「(そうね。ダンの言う通り高そうな物があちこちに置いてあってその中を歩くのは恐いわね。それと、ナミノ教官達や【炎の剣士団】の人達も凄いわね。こんな中をよく落ち着いて歩いていけるわね)」
「(………教官達や【炎の剣士団】の方は貴族の屋敷に呼ばれた経験でもある?だから落ち着いているの?)」
「(そうだね。元上級冒険者であった教官達や【炎の剣士団】クラスの冒険者なら貴族の屋敷に呼ばれたことぐらいありそうだし、慣れているから平気なのかな?)」
「(すげぇな、上級冒険者になればこんな屋敷に呼ばれる機会があるのか………)」
イルマ達は上級冒険者になればこんな豪華な屋敷に呼ばれるがあるのかと感心する。
「(うん?──皆、着いたみたいだよ?)」
イルマは皆と話していると目的の部屋に着いたことに気付く。
そして案内の方が部屋の扉を開けては頭を下げて「どうぞ中にお入り下さい」とお客様である討伐隊の皆を部屋の中に招き入れる。
「うわぁ~~~ッ!!」
「ッ!お、おおっ!!」
部屋の中に入った討伐隊の皆。
部屋の中には天井に大きなシャンデリアがあり、廊下に置いてあった高級の装飾品や美術品以上の物が一杯置いてある。
その部屋の光景に皆は驚きの声を上げる。
「すげぇ豪華!」
「あ、ああ。それに見ろよ!あの料理を!」
「おおっ!?凄い美味しそうな料理が大量に置いてある!」
──ゴクリ──
そして、部屋の中心に置いてある大量のそれでいて見るからに美味しそうな料理が大きなテーブルの上に置いてあった。
「ようこそ討伐隊の諸君。歓迎するよ」
「「「「ッ!?」」」」
そんな豪華な部屋と美味しそうな大量の料理に目を奪われていた討伐隊の皆に歓迎の声が掛かる。
その声がした方を向くと、後ろに護衛を控えた白髪が目立つ男が部屋の奥から歩いて来ていた。
「………先に挨拶出来ず申し訳ありません。そして、今回はお招き頂き感謝します──ガネック伯爵」
白髪の男、ガネック伯爵が来たのを確認したナミノ教官は皆より前に出て、頭を下げて挨拶と招いて頂けた御礼の言葉を伝える。
「(なぁ、この白髪のおっさんが、ガネック伯爵様?)」
「(ね、ねぇイルマ、ガネック伯爵様って……)」
「(……うん。確かガネック伯爵様がこの辺りの領主様な筈だよ)」
『(そんな偉い人が先に挨拶してくるなんて珍しいですね?)』
「(うん。領主様直々に下の者よりも先に挨拶してくるなんて……ビックリ)」
──お、おい、俺達も早く頭を下げて領主様に挨拶を!!──
──お、おう!?──
イルマ達や討伐隊の皆は目の前にいる白髪の男が伯爵、領主様ということにナミノ教官の言葉で気付き、慌てて頭を下げる。
──≪ガネック伯爵様!今回はお招き下さりありがとうございます!!≫──
「うん?君は………そうか、君がナミノ教官かね!そうかそうか。うん。君の姿を見ただけで君から凄い力を感じるよ。………ああすまない。折角歓迎をしたのに待たせたままになってしまっているね。今回は君達のお陰で私が治める町の1つ、チユルの町だけではなく、その周辺の安全を救ってくれて感謝している。今回はその御礼の席だ。感謝の気持ちを表しては大量の料理を用意した。存分に食べていってくれ。」
(ふむ、先ずは彼等に今回の件の感謝を伝える方を済ましてしまおう。彼と、スライムロードを倒した子達の勧誘の話は後からでも間に合うしな)
とガネック伯爵はナミノ教官の姿をマジマジ見てはナミノ教官の力と、自分が聞いていた力に差がないかを確認する。その後直ぐに他の討伐隊の皆の存在を思いだしては先に彼等に感謝の言葉とその御礼をするのが先だと思い、勧誘の話は後にして料理を食べるよう皆を御礼の席へ招くのであった。
「ッ!?─やったぜ!それじゃあ領主様の言葉に甘えて頂きます!──────お~旨そう~!」
「ば、馬鹿!なんて態度だ!領主様に失礼だろ!」
「はは、かまわんよ。今回はさっきも言った通り、君達への御礼の席だ。遠慮なく食べてくれてかまわんよ」
「そ、そうですか?で、では………」
「し、失礼します……」
領主様の言葉で大量の美味しそうな料理に飛びつく一部の者に、他の者達がその失礼な態度を領主様に慌てて詫びるがガネック領主は笑っては御礼の席だからかまわんよっと言って許す。
そして討伐隊の皆は領主様に御礼の言葉を言ってから用意されていた料理を綺麗な音色の演奏を聴きながら食べるのであった。
今回は御礼の席の話でした。
次は領主様からの勧誘かな?
領主様からの勧誘にナミノ教官、それにイルマ達はどう対応するのか?
次回の異世界トラブルをお楽しみに~
次は今回よりも早めに投稿しようと思っています。