第83話(循環術の奥義・ナミノ教官の奥の手)
今回はナミノ教官の強さと循環術の奥義の話になります。
後、前話を修正している部分がありますので、良ければそちらもご覧ください。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
「「「「「…………………………」」」」」
イルマ達の必殺技の合わせ技によって、建物処か辺り一帯が吹き飛び、スライムの討伐が終えたかと思えた。
討伐隊の皆は、そんなイルマ達の必殺技の合わせ技の威力に放心になっている中、イルマ達の免疫があるナミノ教官がいち早く正気に戻り、そんなイルマ達の元に歩むよる。
ゴツンッ!ゴツンッ!ゴツンッ!ゴツンッ!
イルマ達の元に歩んできたナミノ教官は、無言で容赦なく全員の頭に拳骨を落とす。
「「「「ーーッ!?っ痛いぃぃーーッ!!」」」」
「バカ野郎ーーーーッ!!!俺達までスライムごと吹き飛ばすつもりかぁーーッ!!」
ーー≪うっうう。すいませーん!!≫ーー
ナミノ教官から思いっきりの拳骨を落とされたイルマ達は、その場に頭を押さえてしゃがみこんで痛がる。ナミノ教官はイルマ達がスライムごと討伐隊の皆まで吹き飛ばすつもりかっと大声で注意するのである。
そんなイルマ達とナミノ教官とのやり取りを見てた討伐隊の皆は、イルマ達の必殺技の威力で放心していたことから漸く元に戻ってきては、結果的にスライムの討伐をやり遂げたこともあり、必殺技の威力からイルマ達を恐れることなく「何だあの技や魔法………凄いガキどもだな」と笑っていた。
そんな風に笑っていた討伐隊は、イルマ達の必殺技の威力と辺りの様子から全てのスライム達を討伐したと思っていた。
その時、
ガラッ
「「「「「ッ!?」」」」」
バッッ!!
吹き飛んだ建物の瓦礫から物音が聞こえた瞬間、討伐隊の皆は先程間でとは違い直ぐ様警戒態勢で物音をした方向を一斉に向く。
「な、何だ!何の音だ!?」
「まさか!!まだスライムの生き残りがいるのかッ!?」
「嘘だろ!あの威力だぞ!?この辺り一帯を吹き飛ばす威力だぞ!」
「口を閉ざして警戒しろッ!!まだスライムの生き残りがいるかもしれない!!瓦礫からスライムの生き残りがいた場合に備えて主力部隊は前にッ!他の者達は後方に下がれッ!!」
物音に対してスライムの生き残りがいたのかとあの威力を喰らって生きているのかとザワザワしていた討伐隊だが、兵士長の指示で口を閉ざしては部隊は戦闘に備えて移動する。
ガラッガラッガラッ!!!
「「「「「で、出てくるかッ!!?」」」」」
「ーーー来るぞッ!!」
ガラッ…………バーーーンッ!!
「「「「「来たッ!!」」」」」
プヨプヨッ!プヨプヨッ!!
ーーーッ!?ーーーーーッキッ!!ーーー
瓦礫から勢いよくあるスライムが現れた!
そのスライムは、討伐隊の誰もが見たことがないスライムであり、飛び出して来たスライムは着地後に討伐隊の方を敵意を向けて睨んで今にも攻撃を仕掛けて来そうな様子だ。
「おい、何だあのスライム?」
「見たことないスライムだぞ?あのスライムは強いのか?」
「強い?…………まさかっ………あのスライムがスライムの最終進化系のスライムロードッ!?」
「なっ何ッ!?"スライムロード"は誕生していたのかッ!?」
「あの色んな色が混ざり合ったスライムが"スライムロード"ッ!?そんなッ!!」
「でも他には考えれないだろッ!!あんなスライムなんか見たことないんだからなッ!!」
「ッ!?っお、お前達!!あ、あのスライムの魔力量が異常だぞッ!!」
「ほ、本当だッ!!ま、間違いない!あの、あのスライムが"スライムロード"だッ!!」
「落ち着けお前達ッ!!」
討伐隊の全員は、全滅してたと思っていたスライムの生き残りがスライムロードだと気付き驚愕する。
討伐隊が見たスライムロードは、身体の色が色んな亜種のスライムが集まって生まれたこともあってか、様々な色が混ざり合い途轍もない魔力をその身体から放出していた。
そんなスライムロードの出現に討伐隊の皆は、イルマ達の想いの叫びから戦う意思を取り戻していたが混乱は避けられず、そんな討伐隊の者を兵士長が一喝することで再び逃げる意思を抑える。
「(ッチ!まさか既にスライムロードが誕生していたとは。そして、スライムの中の生き残りがそのスライムロードだとはな………クソッ!このまま数の有利を生かして討伐隊の全員で戦闘をしようにもあのスライムロードから発する途轍もない魔力でビビっている奴もいることから逆効果か。…………ならっ!)」
「ッ!後方部隊は戦闘態勢を続けたまま維持!主力部隊!!出てきたスライムロードに攻撃を開始せよッ!!」
兵士長はスライムロードの存在に腰が引けている者達を戦闘に参加させるのは悪手と考え、幸い主力部隊にはそんな腰が引けた者はいないことから、戦力的にも主力部隊を全面にした戦闘態勢で行うことを判断し、討伐隊はスライムロードとの戦闘を開始する。
「喰らえッ!"紅蓮斬り"」
ーーブオォォーッ!!ブンッ!
「火の魔法≪フレイム・レイン≫」ーー火の雨ーー
「なら私は風の魔法をッ!≪ウィンド・ショット≫」
ーー風の弾丸ーー
「援護は任せろ!水魔法≪ウォーター・シールド≫」
ーー水の守りーー
討伐隊の主力部隊は、各自自分の得意な技や魔法でスライムロードに攻撃を加えていく。
しかし、
「き、効いていないッ!?」
「おいッ!!コイツの身体が硬いぞッ!?」
「硬いだけじゃないわよッ!魔法が弾かれて全然効いてないわッ!?」
「ッ!全員一旦スライムロードから距離を取れッ!!後方部隊は魔法攻撃を放ちスライムロードの足止めを行えッ!!攻撃が効かなくてもいい数を放てッ!!」
「「「「ッ!!ーー了解!!」」」」
ーーヒューードーーンッ!!ーー
ーードンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ーー
討伐隊の主力達の剣や魔法の攻撃がスライムロードに効いていないことを確認した兵士長は、自分達の攻撃がスライムロードに効いていないことに動揺している主力部隊に後方部隊に魔法攻撃を数撃ちして足止めをする間に一旦距離を取らして戦闘態勢を整えさせる。
「(…………チッ!不味いな。主力部隊の動揺もそうだが、主力部隊の剣や魔法の攻撃が効いていないことで、そんな光景を見た後方の部隊も動揺してしまっている。………どうする?部隊の状態もだが、生半可な剣や魔法の攻撃はスライムロードから発する魔力によって効果がない。現状……間違いなくスライムロード通じる攻撃手段を持ち合わせているのはこの討伐隊でも僅かだぞ……)」
主力部隊の攻撃を見ていた兵士長は気付いた。主力部隊の剣や魔法の攻撃がスライムロードに当たる前にその身体から発する魔力によって攻撃の大部分が弾かれているのを。
その魔力によって生半可な攻撃はスライムロードに効果が無いことやその攻撃手段を持ち合わせているのが討伐隊の中で僅かしかいないこと。
そして、主力部隊の大半の攻撃はスライムロードに効果がなく、そのことで主力部隊だけではなく、後方に控えていた部隊も動揺して完全に数の理が失われている事実に。
そんな状況の悪さに舌打ちした兵士長は、とりあえずスライムロードに後方部隊が魔法攻撃を撃ち続けて足止めしている間に、ナミノ教官を自分の元に呼び寄せて作戦会議を緊急で開く。
「ナミノ教官。君は気付いているか?あのスライムロードに我々の攻撃が効かないわ理由に」
「……ええ。あのスライムロードから発する魔力によって攻撃の大部分が弾かれてしまい効いていないことですね。その対処方法は、あの魔力の守りを突破するだけの攻撃を放つ………ですね?」
「そうだ。しかし、主力部隊の大半の攻撃があの魔力の守りに弾かれたことを考えると………我々の中であの魔力の守りを突破するだけの攻撃手段を持ち合わせているのは僅かだろう」
「…………確かに。確実に有ると思われるのは、先程この一帯を吹き飛ばす威力の攻撃を放ったイルマ達と…………」
「それと元上級冒険者である君の"あの技"によって繰り出される攻撃だけだと私は考える。………しかしーー」
「…………ならっスライムロードに対する攻撃を俺が担当しますよ」
「………構わないのか?………確かにそれが出来るならそれが一番確実だ。多分あの子達の攻撃では先程の様子を見る限りでは時間が掛かり過ぎる。勿論攻撃を放つその間に我々で時間を稼ぐが確実性なら君の"あの技"による攻撃の方が上だ。っだが、君は本当にいけるのか?君は"あの技"によって身体を痛めたことで現役を引退した筈だ。今の君に"あの技"が使えるのか?」
「……………大丈夫。……確かに俺は"あの技"で身体を痛めたことで現役を引退しましたが………それは、当時の俺が"あの技"のコントロールを誤ってしまったからで、今なら力のコントロールを磨いた今ならいけます。身体の怪我も完治することは無いですが、現役を引退して長い間に大分よくなったこともあってか"あの技"を使っても短時間なら問題ありません。」
「…………しかしッ!…………いや、今は時間が無い。君の言葉を信じるぞ。だが、我々もそろそろ体力の余裕が無くなり始めているから君の身体もだが、我々の援護も限界があるので短時間でスライムロードを倒してくれ!」
「ええ……俺が短時間の間にアイツを"あの技"………循環術の奥義を使った技で倒しますよ!!」
「……頼むぞナミノ教官!!」
兵士長とナミノ教官のスライムロード討伐の為の作戦会議は、スライムロードの魔力の守りを突破出来る力を持ち合わせたナミノ教官が主体になって戦うことに決まる。しかし、そのスライムロードの魔力の守りを突破する力はナミノ教官が現役時代に力のコントロールを誤ってしまって身体を痛めたことで引退する羽目になった循環術の奥義を使った技で、兵士長は幾ら当時よりも力のコントロールを磨いたといえどナミノ教官の身体は完治した訳では無いことや温存しながらといえどスライムの討伐を長時間続けていた討伐隊の体力に余裕が無くなってきたこともあって、スライムロードを短時間の間に倒すようにナミノ教官に頼むのであった。
そして、
兵士長がナミノ教官が攻撃に打って出る為に、後方部隊の魔法攻撃を一時的に中止させる。
それを合図にナミノ教官はスライムロードの前に飛び出しては、先程まで話をしていた循環術の奥義を発動させる。
「ハアァァァアァァァアッ!!循環術奥義"心闘衣生成"発動ッ!!」
コォォオーーーーッ!ーーカァッ!!ーー
ナミノ教官は、スライムロードを倒す為に循環術の奥義である"心闘衣生成"を発動させた。
"心闘衣生成"を発動させたナミノ教官は、その身に魔力と気が混ざり合った力が衣のように具現化した物を纏わしていた。
「(………短時間なら問題無さそうだな。……しかし、確かに兵士長の言う通り長時間の使用は止めといた方が良さそうだな)」
ナミノ教官は、久々に発動させた循環術の奥義の力をその身で感じ、その力のコントロールが問題無いことと、完治していない自分の身体では長時間の循環術の奥義の使用は禁物だということも感じた。
そんな循環術の奥義を発動させたナミノ教官を見たイルマ達と兵士長とはいうと………
「な、ナミノ教官ッ!?そ……その技は………」
(あれは循環術!?でも僕はあんな自分の魔力や気を混ざり合わせた上で具現化する循環術の技なんて知らない………)
「な、何だーーッ!?あの衣からすげぇ力を感じるぜッ!!」
(すげえぜナミノ教官ッ!!やっぱ元上級冒険者ってすげえ存在なんだなッ!!)
「なっ何よ……アレ……?」
(ナミノ教官ってあんなことも出来たのッ!?)
「……………見たことが無い……ナミノ教官のあの力は何……?」
(あんな力をナミノ教官は私達に今まで見せたことが無い。あの力はナミノ教官の切り札?………それとも何かあの力だけにリスクが?)
『凄いッ!凄い力ですッ!!イルマさん達の教官は凄い力を使えるのですねッ!!これならあのスライムロードだって1人でも倒せそうな力ですッ!!』
イルマ達はナミノ教官が見せた力にそれぞれがその力の凄さやナミノ教官の凄さを感じる。
「……………(頼むナミノ教官。我々ではスライムロードの守りを突破出来ない!!だから我々は体力が尽きるまで援護に徹するが、君も身体の限界が来る前に短時間でスライムロードを倒してくれ!)」
兵士長は自分達の残りの体力やスライムロードの守りを突破出来ない現状と、ナミノ教官の身体の負担を考えて短時間の間にスライムロードの討伐を祈る。
そんなナミノ教官が発動させた循環術の奥義………その力の正体だが………
・循環術の奥義【心闘衣生成】
循環術で魔力や気を身体の中で循環させることが基本だが、それを魔力と気を同時に身体の中で循環させることで混ざり合わせることから始まる。しかし、魔力と気を同時に循環させるとお互いの力が反発し合う。循環術の奥義は、その循環させることで魔力と気が反発し合う力を利用して力の質を高めて、その力を自分の身に具現化することによって≪攻撃力≫≪防御力≫≪俊敏さ≫≪闘気≫≪魔力≫など全ての力を向上させることが出来る技だ。
ナミノ教官は、そんな循環術の奥義を発動させて、その力を発動させたままスライムロードに突撃する。
<ッ!?ーーギィッ!!ギィッ!!>
スライムロードは、先程まで自分の動きを阻害していた魔法の数々が止まったと思えば今度は1人の人間が無視出来ない力を発動させて自分に突撃してくるのに気が付く。
そして、ナミノ教官の突撃に気が付いたスライムロードは、その突撃を防ごうとナミノ教官に向かって攻撃を放つ。
<ギィッ!ギィィーーッ!!>
ーーポヨポヨーーグィーーググッ!シャーーッ!!ーー
ーードドドドォッ!!ーードドドドォッ!!ーー
「(ッ!?…………無駄だッ!!そんな攻撃!今の俺には通用しないッ!!)」
ーーカンッ!カンッ!カンッ!カンッ!カンッ!ーー
ナミノ教官は、自分の突撃を阻止しようとスライムロードが放った攻撃を確認するが、その攻撃を確認しては今の自分には効かないことを感じてそのままスライムロードに突撃していく。そして、ナミノ教官の予想通りにスライムロードの攻撃はその身に纏わしている闘気と魔力が混ざり合った衣によって弾かれる。
<ッ!?>
ーードバァーー
自分の攻撃を物ともしないナミノ教官に驚くスライムロード。
だがスライムロードは、今度は液状の物を口から吐き出してはナミノ教官にぶつけようとする………しかし、
「我々も攻撃してはナミノ教官に向かっていくスライムロードの攻撃を防げッ!!」
「「「「了解ッ!!」」」」
ナミノ教官に向かうスライムロードの攻撃は、兵士長の指示で討伐隊の部隊から放たれた攻撃によって防ぐ。
<ッギィ!ギィギィッ!!>
ーーブルブルッ!!ーー
自分の攻撃を目標にぶつける前に防がれたことに怒るスライムロード。
そして、その間にナミノ教官はスライムロードに接近に成功してスライムロードにそのまま攻撃を仕掛ける!
「スライムーーロードーーーッ!!」
<ッ!?ーーーーーーギイッ!!>
ーードォォォオォォォオーーンッ!!!ーー
その結果、ナミノ教官とスライムロードは激しくその身をぶつけ合う。
ーーキンッ!キンッ!キンッ!キンッ!キンッ!ーー
ーードンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ドンッ!ーー
「(凄まじい攻防だ………これがナミノ教官の力……)」
「(ナミノ教官すまない。この激しい攻防ではとても我々では君の援護は出来ない…………)」
ナミノ教官とスライムロードは接近戦になった後、お互いの力をぶつけ合う。その激しいぶつかり合いに討伐隊やイルマ達はその間や援護が出来ず、状況はナミノ教官とスライムロードの一騎打ちになっていた。
「(チッ!ここまで強いのかスライムロードってのは………戦ってみて分かったが、このスライムロードは魔力の守りだけじゃなくてその身体自体硬い!おそらく誕生した時のスライムの亜種の力や性質も持ち合わせていやがるな…………)」
ナミノ教官は、スライムロードと戦っていてスライムロードの性質をある程度分析していた。
その分析の結果、スライムロードの力は誕生した時に集まっていたスライムの亜種達の力や性質を受け継いでおり、つまりスライムロードの力とは、500体分のスライムの力を1つに集めたスライムといえば分かりやすいだろうか。
だからナミノ教官は、現在1人でスライム500体と戦っているのと同じ状態………いや、500体のスライムがバラバラに向かってくるより、数の理はないが500体分のスライムの力を効率よく使って一気に放ってくるスライムロードの方が厄介に感じていた。
その為、ナミノ教官は循環術の奥義を使っていても中々スライムロードを倒すことが出来ないでいた。
「…………このままじゃあジリ貧だな」
ーードンッ!ドンッ!ドンッ!ドォオーーーンッ!!
循環術の奥義を使ったナミノ教官とスライムロードは再び激しいぶつかり合いをした後、ナミノ教官が次の手を打つ為にスライムロードとのぶつかり合いわ利用して一度距離を取る。
「……………このままだと短時間で戦闘を終わらす処か、先に俺の身体の方が限界にきてしまう。…………だから見せてやる。」
スライムロードから距離を取ったナミノ教官は、距離を取った隙に力を溜めるように構え、敵であるナミノ教官のそんな行動に警戒心を抱き、何をしても対応出来るように魔力を高めるが、そんなスライムロードの行動には目にくれずに自分も同じく力を高める。
「ハァアアアアッ!!……………スライムロード。今から放つ技で勝負を決めさせてもらう」
「俺の最強の"技"をなッ!!」
次回で放つナミノ教官の最強の技とは?
お楽しみに~~!