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異世界トラブル  作者: 海路希望
4章~冒険者養成所編~
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第76話(ナミノ教官の怒り!)

評価とブックマークが一気に増えました!!

本当にありがとうございます!!

これを励みにこれからも頑張ります!!


今回は、ナミノ教官の怒りがスライムに向く話しになります。


では、異世界トラブルの続きをどうぞ!





逃げ遅れた人がスライムに捕食される音と逃げ遅れた人の悲鳴が聞こえたが、イルマ達は今の自分達では助ける方法が無いこともあり、逃げ遅れた人がスライムに捕食されて最後の悲鳴が聞こえ消えていくのを泣きながらも無視して養成所に撤退したていった。





「クソォッ!クソォッ!」


「…………ッ………ッ………グスッ……」


「〈ギリッ!〉………………………」


「…………シーラ、ミルン。あれから撤退する時に結界は張ったよね?」


「……………張った………」


『………はい。イルマさんが言う通りに、町の壁側以外に壁側から2つの結界を三角になるよう斜めにちゃんと張れました。』


「………そう、ありがとう。………それならスライムが壁を破壊したら逃げることが出来るからスライム達に結界を破壊される可能性が減るから助かるよ。」



養成所に撤退する途中、ダンが悔しい気持ちを漏らし、メラは泣いていたのが抑えてきて、シーラは歯を噛み締めた音を出すが無言で進んでいた。その中、イルマはシーラとミルンに撤退する際に、町の人がスライムに襲われる可能性を抑える為に結界を張るようにシーラとミルンに頼んでいたが、スライム達が結界を破壊する可能性を減らす為、壁側に結界を張らずにして壁側から2つの結界を斜めに三角のように張れたか確認する。

その結界についての確認後はイルマ達全員が、逃げ遅れた人のことが頭に過っているのか、養成所に着くまでの間、無言で走っていった。




◆◇◆


それから無言で走り続けて養成所に着いたイルマ達だが、養成所内から騒がしい声が聞こえてくる。



「この馬鹿やろうぉーーーッ!!!」


ゴオンッ!


「せっ先輩ッ!?」


「グハァッ!?」


「だ、大丈夫ですか先輩ッ!?」



養成所内に入ったイルマ達が見た光景は、ナミノ教官がイルマ達とクエストの手続きをしていた受け付けの職員の頭をどついている所であった。受け付けの職員は、ナミノ教官から頭をどつかれ地面で悶絶しており、その職員に後輩と思われる職員が先輩を心配して駆け寄る。



「だ、大丈夫……ですッ!……ッ!……な、ナミノ教官、緊急性が高いクエストの報告が遅れてしまい、……本当に、本当にすみませんでした!」


「あっ、……ち、違います!!先輩が教官達に報告が遅れたのは僕の「黙ってなさいッ!」ッ!?」


「教官達に緊急性が高いクエストの報告が遅れたのは貴方のせいじゃない。私が幾ら町中に魔物が出現したといえど、たかがスライム、しかもあのイルマさん達がクエストを受けてくれているしと甘い考えで、緊急性が高いクエストの報告を後回しにした私の判断ミスです!!」


「ッ!!……でも、でも…………」


クエストの受け付け職員は、後輩が自分のせいで先輩が教官達に緊急性が高いクエストの報告が遅れたのだと言う言い分を、それは違う。自分がたかがスライムで、しかもイルマさん達にスライムの討伐を受けてくれたから大丈夫だと思って報告を後回しにした甘い考えをしていたのが悪いから自分のミスだとハッキリ答える。

先程まで怒り心頭だったナミノ教官も、受け付けの職員の答えと態度を見て先程までの怒りを抑えるが、それでも言わないといけないことがあり、受け付けの職員に声を掛ける。



「………分かっていると思うが、たかがスライムといえど魔物は魔物だ。町の住人の中には小さな子供や老人といったスライムとでも戦えない人がいる。もし、そんな戦えない人がスライムと遭遇して、もしイルマ達が間に合わなかったらどうなる?お前がこの事の報告を後回しにしたことによって、その戦えない人の命が失うことになるんだぞ。」


「ッ!?…………はい、すみません。」


「(先輩…)………ッグス……。」


「………分かればもうこんなことは2度と無いように気をつけろ!!」


「ッはい!!もうしません!申し訳ありませんでした!」



ナミノ教官は、自分のしたことを自覚している受け付け職員に、最後にしたことの危険性とこんなことは2度と無いようにしろと念を押す。受け付け職員も、自分のしたことの危険性を理解していたこともあり、ナミノ教官の言葉を真剣に受け止めて謝罪する。



そしてイルマ達だが、養成所に入って見たそんな光景に嫌な予感が頭に過て、入り口の扉を開けたまま身体の動きを止めていた。



そしてナミノ教官は受け付け職員との話が終わった後、入り口の扉を開けたままで止まっているイルマ達を発見する。

そんなイルマ達の様子にナミノ教官は首を傾げるが、それよりも町中に現れたスライム討伐クエストがどうなったのかが気になり、イルマ達に声を掛けてクエストのことを確認しようとする。



「オイ!イルマ達町中に現れたスライム討伐クエストはどうなって「ナミノ教官ッ!!」うおっ、な、何だ?どうした?…………クエストでトラブルか?何があったのか俺に話せ。」


イルマ達に声を掛けたナミノ教官だが、自分の言葉を遮って自分の名前を呼ぶイルマに驚き、そしてイルマ達の様子が変なことに気付き、何かがあったと思い、気を引き締めてイルマ達にクエストで何があった?と事態の説明を話すように言う。



「ナミノ教官。その前に確認したいことがあります。今、戦力が欲しいと言ったらどれだけ集まりますか?」



イルマは何があったのか話せと言うナミノ教官の言葉を後にして、先程まで聞こえて、見てた光景から嫌な予感を覚えながらもナミノ教官に今集めれる戦力の確認を行う。メラ達もそんなイルマと同じ気持ちなのか、顔に頼むっと気持ちを浮かべながらもナミノ教官の返事を待つ。


そんなイルマ達の様子から、自分の言葉を後にされたことを流し、イルマの質問の答えを頭の中で計算して返事をする。



「今集めれる戦力だと?あーー教官は、俺含めて3人で、養成所でイルマ達から見て戦力になるような生徒だと3年生のイルマ達を除いて約36名の内16名、冒険者の方は……冒険者でイルマ達の基準で戦力になる目安だとすればCランク以上が妥当か?……おい、サザミ!今集めれるCランク以上の冒険者はどれくらいだ?」



ナミノ教官から冒険者側のCランク以上で、直ぐに集めれる戦力はどれくらいだと聞かれた受け付けの職員、サザミは直ぐに情報を確認してナミノ教官の質問に答える。



「は、はい!……え~、今直ぐに集めれるCランク以上の冒険者でしたら2組だけですね。一組は、3人組のCランクパーティー【疾風の闘狼】、もう一組は、4人組のBランクパーティーの【炎の剣士団】です。」


「今直ぐに集めれるCランク以上冒険者は7名か。少ないな。………イルマ。その冒険者達と俺達教官や3年生のAクラスの生徒達を合わせて26名が直ぐに集めれる戦力だ。」


「嘘ッ!?」


「26名ッ!?………少な過ぎるッ!?ーークソッ!!」



「マジかよッ!?それだけしか今集めれる戦力が無いのかッ!?」


「…………これじゃあ足りない!!」


『普段ならもっと戦力になりそうな人が一杯いるのにッ!?何でこんな時に集めれる戦力が少ないなんてタイミングが悪過ぎるです!!』



そのナミノ教官からの返事にイルマ達は、撤退した後に期待していた戦力よりも随分と少ない戦力に嫌な予感が当たったと落胆を隠せずにいた。



「戦力が全然少ないわ!!この際、Bクラスの生徒達も戦力に入れたら……」


「駄目。………Bクラスの生徒達は、Aクラスの生徒達よりも戦力的に落ちるだけじゃなくて、Aクラスの生徒と違って戦力を把握していない上に、私達は彼等と連携が不足している。」


「それは冒険者達も一緒でしょ?」


「そうだぜ!この際、雑魚相手の戦力でもいいだろッ!!」


「落ち着いて皆!!取り乱してすいませんナミノ教官。」


「いや、いい。で、俺は質問に答えたぞ?次はこっちにも分かるように状況を教えろ。戦力が、この際雑魚相手でもいいと何が起きているだ?」


「…………実はーーーー」



◆◇◆



「何だとッ!?町中に現れたスライムが大量にいて、そのスライム達の中に亜種のスライムが多く、危険な亜種であるアシッドスライムもいて、しかもあのジェネラルスライムがいるだとッ!?」


「町中にスライムだけでなくて、ま、まさかスライムの上位種までも現れるなんて………最悪だ……正に私の考えは甘い考えだった訳だ。」


「せ、先輩。」



ナミノ教官はイルマ達からスライム討伐クエストが、スライムの亜種だけではなく、まさかのスライムの上位種までも出現している驚愕の事実を聞いて声を荒げて叫ぶ。

受け付け職員のサザミもイルマ達から聞かされた情報に、ナミノ教官に怒られた自分の考えが事実甘い考えだったことを思い知らされる。



「「「「『…………………………………』」」」」


「(クソーーッ!?イルマ達の報告以外でも考えるだけでも、何で町中にスライムが現れたか今の所不明な時点で他にもスライムが現れる可能性や、ジェネラルスライムがいる事実からスライムロードの出現と発生を警戒しないと不味いッ!………それりゃーイルマ達が戦力が足りないと言うわけだ。幸い、イルマ達が今の所発見されているスライムがいる場所と町の住民がいる場所の間に結界を張ってくれていたことで少しの間は町の住民の安全が確保されていることが救いだ。まぁ、これはスライムが他の所に出現しないことが前提の安全だがな。…………?イルマ達、何か様子が変だな?)イルマ達。報告はこれだけか?他に俺に言っていないことは無いか?」


「「「「『ッ!?………っ』」」」」


「ッ!?ーーほ、他にも何かが起きたのですか?」


イルマ達からのスライム達の報告を受けたナミノ教官は、自分が頭の中で事態の分析をしている間にずっと黙っているイルマ達の様子から異変を察知し、イルマ達が自分に言っていないことは無いかと問いかける。

イルマ達は、そんなナミノ教官の言葉に歪む表情を隠せずにいた。



「何があった?……俺に話せ。」


「「「「『………ッッ!…………』」」」」



隠し続けるつもりはなかったイルマ達だったが、それでも自分達から報告する前に気付かれた言っていない事実をナミノ教官に気付かれたイルマ達。

ナミノ教官の言う通り、確かに人が死んでいる事実を話さない訳にいかないが、それでもイルマ達はあの見捨てた人の悲鳴を思い出しては口が上手く開かない。



そんなイルマ達の様子を見たナミノ教官は、イルマ達が言っていないことの内容がただ事でないことだと察して、イルマ達自身から言ってくるのを待ちたいと思うが、今の現状がそれを許してくれない。

今はいつ何処でスライムが出現したり、スライムロードが発生しかねない状況だ。イルマ達の様子は端から見ても異変を感じれる状態であり、しかしそんなイルマ達をスライム達との戦闘に外すことは戦力的に無理であり、だとしてもイルマ達の状態を放置してはスライムとの戦闘の際、万が一にも何か致命的な事が起きてはイルマ達だけではなく、チユルの町の安全が損なわれてしまう可能性もある。


だからナミノ教官は、イルマ達が自身から言ってくるのを待ってやりたい気持ちと、それを許さない状況的のジレンマに襲われるが、ナミノ教官は町の安全の為にも自分の気持ちを抑え、イルマ達の口を開かせることを決めた。



「…………話せ。今優先されるのは町の安全だ。このクエストに関わることは隠し事は許されない。」


「「「「ッ!?…………ッ」」」」


ナミノ教官のイルマ達が話していないことを話すようにと強く言われたイルマ達だが、それでも中々口が開かない。


「ッ、私達が話をしていないことはスライム討伐には関係ありません!」


「ッ!!………そうだぜ教官!スライム討伐に関しての話は全て先の報告で全部だぜ!!」


「………嘘はついていない。」


「それを確認するためにも話せ。それと、それを決めるのはお前達じゃない!教官である俺だ!」


「ッ!?」


「グッ!………だがなぁ………」


「………でも言いたくない。」


「(僕も出来れば今は言いたくない。でも、言わないといけないことは分かっているっ!けど………)」


「お前達の気持ちが町の安全よりも優先なのかっ!?お前達が俺に報告を渋ることで、今、こうやって時間を浪費して町の安全が脅かされているぞっ!?それで人が死んでしまってもそれでもいいのかお前達はっ!!」


「「「(人が死ねっ!?)………そ、それは………」」」


「(人が死ねっ!?……駄目だ!……こんな風に黙って逃げていたら駄目だ!!…………ッしっかりしろ僕!!)」


「それは?何だ?ちゃんと答えろっ!!」


「「「っ!?」」」


「(………………何をしているイルマ!!何を皆と一緒になってビビっているんだ!!言おう!!皆と違って、前世も合わしたらとっくに精神年齢が成人している僕が、まだ13歳の皆と違って僕が言わないと!!僕は皆のパーティーのリーダーだろ!!)………すいませんナミノ教官。言います。………実は………」



イルマは、ナミノ教官の言葉で自分の心を奮い立たせ、皆から前に出てナミノ教官に逃げ遅れた人を見捨てた話を打ち明ける。ナミノ教官は、そんなイルマの言葉をイルマが話し終えるまで黙って聞いていた。



そして、



イルマはナミノ教官に見捨てて撤退した話を全て話をした。

しかし、心を奮い立たせて話をしたもののナミノ教官からどんな言葉が飛んで来るかと内心ビクビクとしているイルマ。

メラ達も、そんなイルマと同様の気持ちでイルマの後ろに下を向いて待っていた。



「イルマ」


「……はい。」


「メラ」


「………はい………」


「ダン」


「………はい」


「シーラ」


「………はい………」


「………よくやった。よく撤退を選んでくれた。」


「「「「っえ?……よくやった?」」」」


「ああ。勿論、見捨てたのを褒めている訳では無い。「当たり前だ!!」聞けダン。確かに人が死ねのを見捨てたのはよくないが、この場合はイルマの判断が正しい。」


「っ!………」



ナミノ教官の言葉に涙が零れるイルマ。

ナミノ教官は、そのイルマの様子を見たが触れずに話を続ける。



「もし、イルマが助ける判断をしていたら、お前達の話の内容から考えても、逃げ遅れた人と同じ結末になっていただろう。」


「でも、私達が人を見捨てたのは事実……で……。」


メラが泣きながらも、自分達が人を見捨てた事実をナミノ教官に指摘する。



「ああ、確かにそうだ。」


「ッ!!………ッ…」


「っ!?……ッどっちなんだよ教官!俺達が人を見捨てた判断を褒めているのか追及したいのかどっちなんだよ!!」


「ダン落ち着いて。」「ダン、最後まで話を聞こう!」


「ッ!!!…………話を続けてくれよ教官。」


ナミノ教官の言い回しにキレるダンだが、シーラとイルマがキレるダンを抑える。シーラとイルマに抑えられたダンはナミノ教官に話の続きをしてくれという。


「…………続けるぞ。……確かにお前達は人が死ぬのを見捨てたが、その分以上に町の人を助けてくれている。その証拠に撤退する時に結界を張ってくれていたことがそうだ。それと、」


「それと?」


「この情報をイルマ達が無事に持ち帰ってくれたことでお前達が見捨てた人以上の人が救うことが出来る。ありがとう。」


「「「「ッ!?……ッい、いえ……」」」」


「それに、俺はお前達がそこで無理をして死ぬことがなくてよかったと思っている。………よく辛い決断をしたなお前達。」


「「「「な、ナミノ教官ッ!」」」」


ナミノ教官の言葉に再び涙を流すイルマ達。

ナミノ教官の言葉を聞いたイルマ達は、心にあった傷が少しマシになったのを感じ、仲間の顔を見てぎこちなく笑顔をみせるのである。


そして、そんなイルマ達に、甘い考えを考えて事態を悪くしたサザミは自分の行動が、心に傷を負ったイルマ達に追い討ちをかけていたことを知り、深く反省してはイルマ達に、何度も謝り続けていた。



ナミノ教官は、自分だけでスライム討伐の準備を進め、イルマ達を少しの間はそのままにさせて休ませる。



「(………よくもやってくれたなスライムども!!俺の生徒達がお前達のせいで心に傷を負っただろ!!この落とし前はキッチリつけてやるぞッ!!)」



ナミノ教官は、自分の生徒であるイルマ達が辛い判断をせざる負えなかったその時の心情を想っては、その状況を作ったスライム達にブチギレ、元上級冒険者の力を全て解放して落とし前をつけてやると心に決めるのであった。

次回、スライム討伐に向けて行動を開始します。

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