第62話(2度目の手合わせ・前編)
今回は、ナミノ教官との手合わせ前編です。
イルマ達の中で、今回の手合わせでダンとメラがナミノ教官と手合わせを行います。
では、異世界トラブル続きをどうぞ!
ナミノ教官から2度目の手合わせを行うことになったAクラスの生徒達。
今回の手合わせは前回と違って、全体的な成長を見ることが主になので、循環術以外も使用可能とのこと。
その事を聞いたAクラスの皆は、ナミノ教官との2度目の手合わせに、1回目の手合わせの時の手足も出なかった時と違って今度こそはナミノ教官に自分達の力を見せてやると燃えていた。
・・・
ナミノ教官との2度目の手合わせが始まる前、
Aクラスの生徒達は、いざナミノ教官と手合わせが始まると思ったら、格上との手合わせに緊張したり、教官との手合わせに喜び者、リベンジに燃える者と各々が感情を露にしていた。
(コイツらはこの1年間、厳しい肉体作りや循環術の練度を高めてきた。………循環術以外も使用可能だから前回みたいにはいかないだろう。…………午前と午後に別けたが、体力が持つかな?………手合わせの度に少し休憩を入れようか?……そうしよう、俺ももうそこまで若くないしな。)
ナミノ教官は、この1年鍛えてきた生徒を見て、手合わせする自分の体力に心配を抱く。その為、自分が若くないと言い訳しながら手合わせの度に休憩を挟もうと内心で決めていた。
しかし、そのナミノ教官の決断は間違いではなかった。
この1年間鍛えてきたAクラスの生徒達は、ナミノ教官が想像していた実力より上であった。
元々Aクラスの生徒達は優秀な生徒達だが、前回のナミノ教官との手合わせでは、循環術のみと制限されて力を発揮出来ていなかった。
しかし、前回の手合わせとは違って今回の手合わせは制限が無くて循環術以外も使えるのに、それに鍛えてきた肉体と練度を高めてきた循環術が上乗せされるのだ。
その為、ナミノ教官は今回のの手合わせでは、前回の手合わせも出なかった生徒達から何発か有効な一撃を貰うことがあった。
しかし、ナミノ教官は伊達に元上級冒険者で教官をしていない。生徒達からダメージを喰らいながらも、手合わせの度に休憩を入れてダメージを出来るだけ回復させて順調に手合わせに勝ち続ける。(成長を見るのが目的だけど教官として生徒に負けれないプライドがあった)
そして、ナミノ教官との2度目の手合わせ午前が過ぎて食事休憩となる。
食事中、ナミノ教官との手合わせがまだしていない者は、午前中のナミノ教官の動きを見て作戦会議する者や、ナミノ教官と手合わせした生徒から手合わせした様子を聞くなどしてナミノ教官との手合わせに向けて食事をしながら備えていた。
「ズーズー……ゴックン!ーーで、俺達は午後から手合わせだけど教官との手合わせの作戦とかあるかイルマ?」
ーよく食べるわね~。
ダンは、うどんを啜り呑み込んだ後、イルマ達にナミノ教官との手合わせに作戦があるか確認する。そのダンの食欲にメラやシーラは感心する。イルマもそのダンの食欲に感心しながらダンの質問に答える。
「いや、今回は作戦は無いよ。」
「珍しいわね。いつものイルマなら色々作戦を考えていそうなのに。」
「そんなこと無いよ。……只、今回は前回と違って手合わせに制限が無いから、折角の機会だし、ナミノ教官、元上級冒険者に今の僕達の力が何処まで通じるか知りたいからね。」
「……作戦を立てたら実力差が分かりにくいと。」
イルマは自分達が目指す上級冒険者との力の差を確認するため、皆に作戦は無いと伝える。
「そうか……ズーズーーゴックン!ーよし!正面からぶつかるぜ!!」
「あんたは基本的に何時もそうでしょ!ーーイルマの考えは分かったわ。なら、私もそうするわ。」
「………私も。」
「そうだね。皆でナミノ教官に真向勝負しよっか。でも、ナミノ教官は、午前の手合わせで体力の消耗やダメージが有るから正確な実力は見れないかもしれないけどね?……勿論、固有技能は使ったら駄目だよ?」
イルマの言葉にメラ達は、「でも参考にはなるだろ?」「そんなこと分かっているわよ」「了解。」と気にしていない様子だ。
そして、食事を終えた生徒達は、今から教官と手合わせする者以外も手合わせを見るために、手合わせの場に向かうのであった。
・・・
午後の手合わせが始まる。
午後の手合わせは、イルマ達からスタートするみたいだ。
ダンが「俺から行くぜ!!」
と早速ナミノ教官と手合わせが出来ることに気合いを入れて前に出る。
「午後はイルマ達、先ずはダンからか。……これは気合い入れないと不味いな。」
と呟きながらナミノ教官も前に出る。
そして、ダンとナミノ教官が向き合う。
ダンとナミノ教官は「リベンジだぜ!」「それはどうかな?」と言って手合わせ前から燃えていた。
「………始め!」
ダッ!
手合わせ始めの合図と同時にダンはナミノ教官に向かって走り出す。
「ウオォォォォーーー!!!」
ダンはナミノ教官に技能≪循環術≫を発動した上それに上乗せするように≪闘気≫や≪腕力強化≫等発動して、気を放出することでナミノ教官に物凄く速い攻撃を放つ!
「(ッ!?やっぱりコイツらは他の奴等とレベルが違うみたいだ)来いダンッ!」
ナミノ教官も循環術と技能を発動し、動かずにダンを迎え撃つ。
ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!ガンッ!
ダンとナミノ教官は激しく打ち合う。
しかし、ダンは激しくナミノ教官に攻撃を放つが、ナミノ教官は激しいダンの攻撃を全て剣で弾く、受け流す、避けるなどして全て防いでいた。
「(やっぱりナミノ教官はすげえ!!この1年散々鍛えてきたのに俺の攻撃を全て防いでいる!!)でも、まだまだーー!!」
ダンは更に力を振り絞ってナミノ教官に攻撃を仕掛ける。
しかし、
(……凄まじい成長力だ。この歳でここまで力がある奴はコイツらぐらいだろ………しかし、俺に勝つのはまだ早い!!)
ナミノ教官は、更に力を振り絞ったダンの攻撃を防ぎながら、全力で攻撃することで生まれたダンの隙を狙い打つことでダンを負かすのであった。
ナミノ教官に隙をつかれて負けたダンは、ナミノ教官に次こそは負けないと吼えてから下がっていく。
ダンに勝ったナミノだが、ダンの激しい攻撃に疲れた様子で、休憩時間を長めに取った後、メラとの手合わせを始める。
「ナミノ教官。随分と御疲れですけど本気で行きますよ?」
「はぁ~、少し労ってくれてもいいと思うのだがな。………スゥーー・・・よし、来いメラ!」
疲れた様子を見せていたナミノ教官は、一息で呼吸を整えてからメラとの手合わせの準備を整える。
そして、手合わせの合図が聞こえた2人は、開始同時に行動を取る。
メラは、接近戦では勝ち目が無いこともあり魔法の準備を。
ナミノ教官は、メラの無詠唱の魔法を警戒して正面からの接近はせずに前回メラがしたように、地面を砕き瓦礫をメラに吹き飛ばすことでメラに牽制をして間合いを詰める。
「クッ!、"フレイムボム"ー火の爆弾ー」
ボオーーン!!ガラガラ
メラは火の魔法で、ナミノ教官の牽制である瓦礫をナミノ教官ごと吹き飛ばそうとする。
しかし、
ナミノ教官は、メラの魔法を警戒していたこともあり、魔法の発動とともに魔法の軌道からスピードを上げて逃れていた。
「………ッ!?ナミノ教官は何処にッ!?」
「ここだ!」
「ッ!?いつの間に!!」
メラの魔法から逃れたナミノ教官は、そのままメラの後ろに回り、メラに攻撃を仕掛ける。
しかし、メラも魔法職の弱点である接近戦の対策をしていない訳じゃなかった。
「これで終わりだメッ!?チッ!!」
ダッ!
ドッ!ドッ!ドッ!ドッ!
ナミノ教官は、急いでメラから距離を取る。
メラから距離を取ったナミノ教官が先程まで自分がいた所を見ると、幾つもの魔力の刃が地面に突き刺さっていた。
その光景に冷や汗を流すナミノ教官。
そう、メラは自分の回りに技能≪魔刃≫をこんな時の為に仕掛けていたのである。
メラは≪魔刃≫から逃れたナミノ教官を見ては舌打ちしながらも次の魔法の発動準備をする。
ナミノ教官は、技能≪魔刃≫をも警戒しないといけないのかと呟き、口元に笑みを浮かべながらもメラの実力に感心していた。
そこからの手合わせは暫く、メラが魔法を放ち、ナミノ教官がメラの魔法を避けたり、防いだり、時には魔法の発動を妨害したり、ナミノ教官がメラの魔法を凌いで懐に入り、メラが技能≪魔刃≫や≪循環術≫等を使って追撃、間合いを取る戦いが続く。
そして、ナミノ教官とメラの手合わせの勝敗は、ナミノ教官がメラの魔法を凌ぎ切ることでナミノ教官が勝つのであった。
ダンとメラの手合わせは終わり、
次の手合わせはシーラの番となるのであった。
次回、「2度目の手合わせ・後編」
明日も投稿予定です。