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異世界トラブル  作者: 海路希望
4章~冒険者養成所編~
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第55話(〈荷物捜索〉クエスト1)

今回、冒険者養成所編の1つ目のトラブルが起きています。

なので、少しの間この〈荷物捜索〉クエストは続きます。


では、異世界トラブルの続きをどうぞ!



〈荷物捜索〉のクエストを受けて荷物の内容を依頼者に確認しに来たイルマ達は、依頼者の男からの〈荷物捜索〉が失敗すれば、お店を閉めないといけなくなる発言が飛び出す。

イルマ達は、〈荷物捜索〉のクエストを受けてまさかの事態に巻き込まれるのであった。





・・・





(………ハァッ!?、とりあえずこんな所で話す内容じゃない。依頼者の男に先ずはお店の中に入れてもらおう。詳しい話はそれからだ。)



イルマ達は、依頼者の男の発言に驚く。

最初に正気に戻ったイルマは、とりあえず話を詳しく聞くために依頼者の男に、お店の中に入らしてもらうように声をかける。


イルマの言葉に依頼者の男もお店の前で自分が爆弾発言していることに気づき、慌ててイルマ達をお店の中に招き入れる。





依頼者の男に招かれて入ったお店の中にイルマ達。

お店に入ったイルマ達が見たお店の中の光景はガラガラだった。一応お店の中は綺麗にはされていたが、肝心の商品が殆んど置いていなく、とてもお店を開くことが出来ない状態であった。そのお店の中の光景にそりゃこのままならお店を閉めないといけなくなると思ったイルマ達。



イルマ達の様子を見た依頼者の男はその様子に苦笑いを浮かべてイルマ達をお店の奥にある椅子に座ってもらう。


イルマ達は、依頼者に言われて椅子に座り、依頼者の男に詳しい話を聞くことにした。



「………〈荷物捜索〉の依頼を受けた養成所の仮冒険者のイルマです。そして、仲間のダンとメラ、シーラです。そして、これが資格になります。」


「拝見しますね。……確かに冒険者養成所の資格ですね。」


「資格を見て分かりますか?」


「チユルの町では、仮冒険者がクエストを受けることはよく有ることなので。」


「そうですか、……とりあえずは先程の話は置いといて、先ずは僕達が受けた〈荷物捜索〉のクエストについて話を聞いてもいいですか?依頼内容は、親の形見を探して欲しいと聞いていますが、捜索する為にはその形見が何なのか確認する為に僕達は此処に来たのですが………。」


「そうだぜ兄ちゃん。それが分からねえと俺達、荷物を捜索することが出来ねえ。」



イルマとダンの言葉に依頼者の男は自分が先走っていたことに気づき、イルマ達に謝罪してから自己紹介から話を始める。



「先程はすまない。これからどうなるかと考えていたこともあって、捜索して欲しい物も伝えずに探して欲しいと言ってしまった。話をする前に先ずは自己紹介からしないとね。……僕は、このチユルの町で【マルチェロ魔道具店】の現店長であり、魔道具職人のヒルゼと言います。……父が先月亡くなったことでお店を引き継いだまだまだ商人としても魔道具職人にしても半人前ですが。」

「で、依頼の方なんですが、探して欲しいのは父の形見であり商売道具でもある術式を彫る際に使う魔道具、【付加彫刻刀】です。」


「【付加彫当刀】?何だそれ?」


「(【付加彫刻刀】よ!付加彫当刀って何よ!【付加彫刻刀】は魔道具職人が魔道具を作成する際に道具に術式を彫る際に使う彫刻刀のことよ。)」


「(この道具の良し悪しで魔道具に付加出来る術式に変化があるから、【付加彫刻刀】は魔道具職人の命でもある。)」



ダンの聞き間違いに素早く突っ込み、【付加彫刻刀】のことを説明するメラとシーラ。メラとシーラの説明にダンは理解がしきれていないのか、へえ~~そんな物があるんだな~と呑気な発言をする。


ダンを除くイルマ達は、【付加彫刻刀】が魔道具職人にとってどれくらい重要かを理解しているので険しい表情を浮かべる。



「父が亡くなった後は僕の力で出来る魔道具を作り店の商品として売りに出していました。勿論僕の腕では父の魔道具の性能よりかは下回る物しか作れないので、減ったお店の売上は以前から貯めていた貯金を崩して何とか食い繋いでいたよ。」



(……よりによって【付加彫刻刀】を失くしたのか。……先代の物なら依頼者の物よりも良いものを使っていたと考えられる。……だからお店がこんな状態なのか。先代が亡くなり、息子が店長になり、そんな中で多少じゃなくて、大幅に商品の質が下がった物を売りに出せば客足は無くなるし信用も無くなる。)



イルマは、依頼者のヒルゼの話を聞いて、現在のお店の状態を理解した。



「でも、3日前に変な男達に絡まれた上に、この金庫の鍵も兼ねている父の付加彫刻刀を奪われそうになったんだ。」


「付加彫刻刀をですか?」



「そうなんだ。付加彫刻刀を渡せ!ってね。金銭を奪われるなら分かるけど、付加彫刻刀を奪うなんて変な話だよ。普通の人には使えないし、売るにもパッと見高価な物には見えないのにね。」


(おかしいぞ。絡まれることは別にいい、問題はヒルゼさんを見て直接付加彫刻刀を奪おうとするか普通。只のチンピラが付加彫刻刀を奪おうなんて普通考えないぞ?……この話裏が有りそう)



そこで、メラがミルンに念話を発動して欲しいと頼む。

ミルンは、『(分かりました!』)とメラの頼み通り念話を発動する。



「(ねぇ、イルマ。この話おかしくない?)」


「(?なんだメラ?ヒルゼさんの話の何処がおかしいんだ?)」


『え、今の話で何かおかしい所が有るのですか?』


「(馬鹿ね、普通付加彫刻刀を渡せなんて言わないわよ!)」


「(……そもそも持ち歩いているか分からない物だし。)」


「(それに、ヒルゼさんには悪いけど、パッと見ヒルゼさんを見て魔道具職人と思わないしね。)」


「(なるほど~。……で、それがどういうことになるんだ?)」


「(誰かが、このお店の金庫も兼ねている先代の付加彫刻刀の話を知って、ヒルゼから先代の付加彫刻刀を奪おうとした話ってことだよ。)」


「(ッ!?それって不味くないか?!)」


「(そうだよ。先代の付加彫刻刀を奪おうとした連中が金銭目的かこのお店が有れば困るからかは理由は分からないけど、ただ今失くしている付加彫刻刀を見つけても危ない上に、この〈荷物捜索〉のクエストするに当たって邪魔が入る支障が出る可能性がある話ってことだよ。)」



イルマ達は、依頼者ヒルゼの話を聞いて、不審な所についてミルンの念話で話し合っていた。



「ヒルゼさん、それで付加彫刻刀はなんで失くしたのですか?」


「失くした理由かい?それは明白だよ。その絡まれて奪われそうになった際に、奪われてたまるかと逃げている時に町中に適当に隠したんだ。」


「奪われた訳ではないのですね?」


「ああ、ただ適当に隠したから何処に隠したのかまでは覚えてないんだ。」


「だからクエストが〈荷物の奪還〉じゃなくて〈荷物捜索〉なんですね。」


「そうなんだよ。それと、付加彫刻刀が金庫の鍵も兼ねているから、付加彫刻刀が見つからないと最初に言った通り支払いが出来ないからお店を閉めないといけなくなるんだ。……金庫から出していたお金で何とか出来るのが来月までで、父の付加彫刻刀が無いと僕の腕ではまだ売れる魔道具が作れないからね。」


「………後、付加彫刻刀が金庫の鍵を兼ねていることを知っている人はどれくらいいますか?」


「付加彫刻刀が金庫の鍵を兼ねている話を知っている人かい?職人仲間なら何人か同じことをしている人もいたから父の知り合いの職人なら知っていたかも知れないけど………」


(なら付加彫刻刀を狙った人物は、ヒルゼさんのお父さんの職人かもしくはその職人からこの話を聞いた人物の可能性が有るな。)


イルマは、ヒルゼの話を聞いてヒルゼに絡んできた男達の正体の可能性を考えていた。



「しかし、このまま付加彫刻刀が見つからなければどうしたらいいのか………はぁ~~。」



ヒルゼは、イルマ達と話をしていると父の付加彫刻刀が見つからず支払いが出来なくなりお店を閉めないといけない時の想像をしたのか暗い表情を顔に浮かべる。


そんなヒルゼにイルマ達は「ヒルゼさん元気を出して下さい。」「そうよ!暗くしていても何も解決しないですよ!」「そうだぜヒルゼさん!俺達が探して見つけるからよ!」「……行動あるのみ」と声をかけて元気を出してもらう。


ヒルゼは、イルマ達の言葉に今暗くなっていてもしょうがないとイルマ達が父の付加彫刻刀を見つけてくれることを信じて、付加彫刻刀が戻って来た時に直ぐに魔道具を作れるように、作成準備や少しでも職人としての腕を上げなければと思うのであった。


イルマ達は、ヒルゼに先代の付加彫刻刀の特徴や男達の人相と男達に何処で絡まれて、何処に逃げたか、何処ら辺に隠したのかを覚えている限りメモに書いてもらった。そして、念の為にお店が閉まって得をする人間や恨みを買っていないかも確認する。


イルマ達は、ヒルゼに聞けることは全部聞き、ヒルゼに捜索に当たると伝えてからお店を出るのであった。



・・・





「ねぇ、イルマ。先ずはどうするの?」


お店を出たらメラがイルマにこれからどうするか確認をしてきた。


「そうだね……先ずは一度養成所に戻りたい。」


「?養成所に戻る?どうして?」


「なんだよイルマ。何で養成所に戻らないといけないんだよ?養成所に戻っていたらヒルゼさんに絡んだ男達がその間にヒルゼさんの父ちゃんの付加彫刻刀を見つけて奪われちまうぞ!」


「……養成所に戻る理由は?」


「この〈荷物捜索〉のクエストが只の〈荷物捜索〉にならないと可能性が高いと思うからだよ。それに僕らがこのままクエストを成功させてもヒルゼさんが襲われる可能性もあるから一度ナミノ教官に相談しに戻りたいんだ。」


「……理由は分かったわ。それなら早く養成所に戻りましょう。時間が惜しいのは変わらないわ。」


「私もそう思う。」「俺もだ。」


「うん、それでなんだけどね………僕が教官と相談している間に皆に頼みたいことが有るんだけど。」


「うん?何よ?」「何?」「俺達に頼みたいこと?」


「うん。それはなんだけど…………………。」


イルマは考えがあり、メラ達に自分が教官と〈荷物捜索〉クエストについて相談している間に頼みたいことがあり、メラ達にそれをしてもらうようにお願いする。


メラ達は、イルマの考えを聞いて、それを了承する。



「………イルマの考えは分かったわ。それじゃあイルマは教官に相談するのを宜しくね。」


「こっちは任せろ!バッチリやっておくぜ!!」


「……イルマもナミノ教官に今回のことを上手く話してね。」


「うん。分かったよ。それじゃあ、皆それで宜しくね。」



イルマは「皆頼んだよ」と言って「任せなさい!」「任せろ!」「了解。」とメラ達は返事をして、イルマ達は全員が別々の行動を取る為に別れるのであった。



そして、イルマもナミノ教官に今回のことを相談する為に1人で養成所に戻る為に移動するのであった。









次回、〈荷物捜索〉クエスト2

明日は投稿出来ても遅くになりそうな予定です。

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