第54話(仮の冒険者デビュー!)
今回からは、チユルの町中にもイルマ達は出ていきます。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
ナミノ教官と手合わせが終わったイルマ達と生徒達。
全員は、全員と手合わせをして最後まで誰も勝てなかったナミノ教官の強さに改めて元Aランク冒険者の凄さを実感する。
ナミノ教官は、全員との手合わせが終わり、各自の今の実力について評価を行う。
その後、ナミノ教官は手合わせして感じた課題を生徒達に伝えて精進するように言う。それで今日の授業は終わり解散することになる。
その後ナミノ教官は、生徒達が帰った後手合わせに使用した訓練場の片付けを行っていた。
ナミノ教官は、片付けをしながら生徒達と手合わせをした時を思いだしては生徒達の成長に満足の様子だ。
循環術を習得は出来たが維持が出来なかった生徒達。
それがこの短期間に、まだまだ循環術を維持が難しい者は要所要所に使用したりする工夫や、短時間なら維持することが可能になっている等一月前とは比べ物にならない成長を見せる生徒達。
以前から他の生徒よりも使いこなしていた循環術の精度を高めて適正も有ったのか上級者並みに循環術を使うトイ。
イルマ達と訓練を共にして成長が著しいマルクス達。
ーーだが、そんな急成長している生徒達の中でも特にナミノ教官の印象に残った生徒達がいた。
それは、以前から頭角を出していたイルマ達だ。
(……しかし、アイツら……前から優秀な奴らだと思っていたが、今回の手合わせでは本当に驚かされたな。特に教えていない循環術の応用を使ってきた時は本当に驚いたぞ。ーーイルマ達の成長には正直脱帽だな。)
ナミノ教官は、イルマ達との手合わせを思い出しながらその成長速度と実力には脱帽していた。
(ーー特にイルマの実力は既に生徒レベルではないな。それにアイツが使ってきた技の正体は……)
イルマの実力の高さと手合わせで使ってきた消えたと思ったら突然現れる謎の技の正体を考えるナミノ教官。
(しかし、今回の手合わせで分かった生徒達の実力なら授業も次のステップに移れるだろ。)
ナミノ教官は、今回の手合わせで分かった生徒達の実力に授業を次のステップに移れると内心で考える。そして、ナミノ教官は考えるのをそこまでにして、訓練場の片付けを終わらしてから立ち去るのであった。
・・・
手合わせをした数日後、ナミノ教官は授業を始める前に生徒達に伝えることがあると言い出す。
「この前の手合わせで、全員の実力を確かめた。その結果、これなら次のステップに移ってもいいと判断した。それで、仮の冒険者資格を発行し、冒険者養成所に有る授業用のクエスト、チユルの町の中限定で、Fランクまでだがクエストを受けることを許可する。」
「「「「「ッ!?………それって、」」」」」
「そうだ。制限が有るし仮だが、一応冒険者デビューだな。」
「「「「「っ、やったーー!!」」」」」
ナミノ教官の発言にクラスの皆は、喜びの声を上げる。
「おい、お前達落ち着け!……話は終わりじゃない、クエストを受けることが出来るって言っても何時でも良いわけじゃないからな。「え~~!!」あのな~、お前達には授業があるんだぞ?クエストを行えるのは授業で行う時か、授業が終わった後、授業がない休日のみだ。」
ナミノ教官は、Aクラスの生徒に仮の冒険者資格を発行し、チユルの町限定のFランクまでのクエストを受けることを許可したのだ。
勿論、授業があるので授業でクエストを受ける時か、授業が終わった時と休日の時にしか受けることが出来ないと説明する。
「仮の冒険者資格は、今日の授業が終わった後、養成所の受け付けで貰える。勿論、クエストを受けるのもだ。」
ナミノ教官は、それでは授業を始めるぞと言って、仮の冒険者資格の話を終わらせるのであった。
・・・
その後授業が終わったイルマ達は、仮の冒険者資格を受け取る為に、養成所の受け付けに向かっていた。
「イルマ。勿論仮の冒険者資格を受け取った後、そのまま何かクエストを受けるんだろ?」
「勿論だよダン。折角クエストを受けることが出来るようになったんだ、どんなクエストでも受けて損が無いし、それなら受けるしかないよね。」
「そうね。冒険者になるんだから早めにクエストを経験しないのは損よね。」
「……何事も経験。……クエストやってみよう。」
『いよいよ皆さん冒険者デビューですね。』
「仮だけどね。」
イルマ達は、資格を貰うついでに受けれるクエストをやってみようと話になり、どんなクエストがあるかな?と話ながら向かうのであった。
・・・
そして、イルマ達は養成所の受け付けで仮の冒険者資格を受け取り、仮の資格の説明を受けた後(仮なのでクエストの報酬が安いなど)、受けれるクエストを紹介してもらうのであった。
イルマ達が受けれるクエストの中には、〈荷物運び、掃除、解体作業、土木作業、配達など〉チユルの町の中で出来る比較的に簡単な物ばかりだ。
イルマ達は、先程シーラが言った通り、何事も経験だと思って受けれるクエストを受けて行くことにした。
最初は、地理を把握する為に〈配達〉のクエストを選び受け付けの人にクエストを受注してもらうイルマ達。チユルの町に詳しくないイルマ達は、クエストを始める前に受け付けで町の地図を貰い、クエストを始めるのであった。
その後〈配達〉のクエストでは、少し迷子になることがあったが、それ以外では問題なくこなすことが出来、イルマ達は養成所の授業が無い時間を訓練とクエストに行うようになっていったのである。
そんな中、〈魔物の解体作業〉のクエストでは、経験が有ったこともあり養成所の作業員には手際が良いと誉められたり、〈土木作業〉のクエストでは、ダンの力やイルマの技能≪土木≫の能力が発揮した為土木の親方にうちで働かないか?と勧誘されたり、〈荷物運び〉のクエストでは、イルマの固有技能【メニュー】の活躍で時間経過が無いため、荷物の状態に驚かれたり、〈掃除〉のクエストでは、魔法を上手いこと使い綺麗・早い・安いの三拍子に依頼者が喜びの声を上げたりと順調にクエストをこなしていた。
そんなイルマ達が次にクエスト〈荷物の捜索〉を受ける。
そのクエストの中身は、
ー町中に、落とした親の形見を探して欲しいー
という物であった。
探索する親の形見の内容を聞くためにイルマ達は、先ずは依頼者の元に向かうのであった。
・・・
イルマ達は、受け付けで聞いた依頼者の住所を元に依頼者の元に向かい、町の東側にある【マルチェロ魔道具】という魔道具屋に到着するのであった。
「ここか?依頼者の家って。」
「【マルチェロ魔道具店】ってことは魔道具屋ね。依頼者は魔道具職人の人?それとも商売人の方かしら?」
「どっちにしろお店に入ってみるしかない。」
『でも、お店が閉まっていますよ?』
「どうするイルマ?依頼者にクエストの内容を聞けないと何を探したらいいのか分からないからクエストを達成出来ないぜ?」
「クエスト失敗……それは嫌ね。折角此処までクエスト全部いい評価で成功しているのに……」
「……どうする?」
「とりあえずドアを叩いて不在か確認してみよう。もし不在なら一度養成所の受け付けに戻って相談してみよう。」
イルマの言葉に頷くメラ達。不在か確認する為に、ドアをダンが叩く。
ドン、ドン、ドン。
「誰かーいませんかー!冒険者養成所でクエストを受けた者だー!誰もいないのですかー!」
シーーン
「やっぱりお店が閉まっているし、不在なのかしら。」
「……不在なら何時までも此処にいても意味がない。養成所に戻ろう。」
『残念ながら無駄足でしたね。』
「う~ん、そうだね。仕方ない、戻ろうか?」
依頼者が不在と思い、イルマ達は相談する為に、一度養成所の受け付けの所に戻ろうとした時にお店の中からドタドタと音が聞こえ、次の瞬間お店のドアが勢いよく開く。
ドアが勢いよく開いて人が出てきたことに驚くイルマ達。
依頼者不在でもしかしたらクエスト失敗するかも知れないと思っていたところに依頼者らしき人が出てきたことにホッとするが、ドアを開けた人の様子がおかしいのに気づき眉を寄せるイルマ達。
お店から出てきた人は、そんなイルマ達の様子に気づかずに依頼を受けて来たイルマ達の肩を掴んでくる。
「君達が依頼を受けて来てくれた冒険者かい!?随分と若いけどこの際誰でもいい!!僕の父の形見を早く見つけてくれ!!そうじゃないと、2ヶ月後にはこの店を閉めないといけなくなるんだッ!?」
ーー依頼者の男が発した言葉にイルマ達は、とんだ厄介事に巻き込まれたかも知れないと感じたのであった。
次回、厄介事に巻き込まれたイルマ達は、その厄介事を解決する為に奔走することになります。