第44話(チユルの町へ出発!)
新しい章が今回から始まりました!!
今回の章は、冒険者養成所編になります。
新しい章からの異世界トラブルも引き続き宜しくお願いします!!
冒険者ギルドを後にしたイルマ達は、親達に自分達がギルドマスターからチユルの町にある冒険者養成所の推薦状を貰ったことを伝える。
すると、家族はその事に大喜びする。
"冒険者養成所"
それは、大きな才能や厳しい試験を乗り越えたりしたりすると入ることが出来る場所である。
村人の子供であるイルマ達だと、試験でさえ受けることは難しく、普通村人だと、試験前に落とされることが有るほどだ。
それが、今回イルマ達は森の異変を解決したことで、ギルドマスターであるモロンから解決報酬として推薦状を貰えたのだ。
モロンから推薦状を貰えたイルマ達だが、あくまでも推薦状であり、試験は受けないといけない。
そして、試験を受けて、試験に合格すれば無事、冒険者養成所に入ることが出来る。
もう試験に合格したように浮かれている家族を落ち着かせてからその事を説明し、今から試験がある来年の春までの間はその試験に合格するために時間を使うことを許可を欲しいと伝える。
勿論家族達からはOKを貰えたイルマ達は安心した。
(家族は、養成所に入ることで子供達と暫く会えなくなることには寂しそうだったが、それでもこんなチャンスは中々ないと応援してくれた。)
イルマ達は、親達から許可を貰えたことで、試験がある来年の春まで、試験に合格出来るように鍛錬以外に、勉学にも励むのだった。
それから試験までの間は、色々有った。
冒険者ギルドは、森に出来たダンジョンの対応に追われたり。
イルマ達はそのダンジョンにギルドの人間を案内したり。
イルマ達が養成所の試験を受けると聞いたリラン達が再びイルマ達に絡んで来たり。
ダンが勉学中に頭から煙を上げて暫く使い物にならなかったり。
ミルンがドジを発揮して村の人に存在をバレそうになったり。
勉強中だったイルマ達の所に、大人達がイルマ達を祝おうとして大勢が集まったことで騒ぎになり、それに切れたイルミが「子供達の勉強の邪魔をしてんじゃないわよーーッ!!」と騒いでいた大人達を全員正座させる事件等あった。
そして、月日は過ぎて、ポルカ村の冬が明けて春が来た。
イルマ達がチユルの町にある冒険者養成所の試験がある時期が来た。
「(やっとこの時期が来た。試験までの間に色々有ったけど……転生してから皆で過ごしたこのポルカ村にもこれで暫くの間帰って来れない。)」
イルマは、試験に落ちることは考えていない様子だ。
しかしそれも当然だろう。イルマやメラ達のステータスは、既に同年代では世界トップクラスの高さだ。(イルマに関しては、同年代では世界トップの高さだ。)
そして経験は、森の異変以前から魔物との実戦は経験しており、知識もポルカ村にいる大人達や本から聞いてや調べたりと予習を昔からしていた。
後は、盗賊等の対人間の相手の経験だけが課題だが、それも冒険者ギルドで、先輩冒険者達に固有技能等使用禁止しての模擬戦で、出来る限りの経験を積んだ。
これで落ちたら落ちたで諦めもつくレベルで、イルマ達は自分達のステータスや学力を高めてきた。(例外でダンのみ学力は不安があるが。)
そんなこともあり、イルマは試験に合格する予定なので、チユルの町に出発する前に暫く帰って来れないポルカ村を出来るだけ眺め為に早くに家を出ていた。(家族は出発の時に見送りに来る予定だ)
ポルカ村を眺めていたイルマは、昨日のイルミとの会話を思い出す。
「イルマ。」
ポルカ村を出発する前日の夜、荷物を確認していたイルマにイルミは声をかける。
「うん?何?母さん。」
イルマは話しかけてきた母親にどうしたのかと答える。
「………試験の準備は出来たの?」
「うん。後は確認したら終わりだよ。」
「…そう。……………………」
「?………母さんどうしたの?」
ーーどうしたんだ母さん?
急に話しかけてきたら黙って、……何か有ったっけ?
………そうか、幾ら普通入れない冒険者養成所に入れるチャンスだっていっても、こんな小さい子供が暫く帰って来れないかもしれないとなれば、親としたら心配で不安一杯なんだ。でも、子供のチャンスを潰す訳にもいかないから母さんは僕に黙っているのか……
イルマは母イルミの内心を考えて、申し訳ない気持ちになる。
しかし、イルマはこのチャンスを逃すわけにいかない。
冒険者養成所には、このポルカ村では手に入れない、知識、経験、上級冒険者の教官、設備等が有り、冒険者として大成するため、母イルミの病気を治す為にもこのチャンスを逃す訳にはいかないのだから。
イルマは目的の為にも、母イルミの心配をかけることに申し訳ない気持ちになるが、今は母には我慢して貰う。
それでも、自分のことをこんなに心配してくれる母にイルマはしっかり気持ちを伝えることにした。
「母さん。」
「……何?」
「いつも心配ばかりかけてごめんなさい。」
「!?」
「母さんにはいつも心配かけてるね僕。今回も、もしかしたら暫く家に帰って来れないかもしれない……」
「………」
「こんな心配かけて、その上暫く帰って来れないなんてまた心配かけるけど!……僕は!このチャンスを!「馬鹿ね」えっ?」
イルマは、母イルミのに心配かけてることに謝り、それでもこのチャンスをフイに出来ないと言おうとした際にイルミが話を割り込む。
「アンタが私に気を遣う何てまだまだ早いのよ!頑張るのよ……絶対頑張って試験に受かるのよイルマ!!」
「は、はい。」
「声が小さいーッ!!」
「は、ハイーー!!」
「うん。よろしい!」
イルマの返事にイルミはウンウンと頷く。
イルマは急に大きな声を出す母の様子に呆気をとられる。
「……確かに心配だけどね、子供の頑張りに応援しない親はいないのよ?……頑張りなさいイルマ。」
「ッ!!……うん!頑張ってきます!!」
「あら?親に心配かけたくないなら落ちて直ぐに帰って来てもいいのよ?」
「か、母~さ~ん?落ちないよ!てか応援してるのかしてないのかどっちだよ!!……もう!最後で台無しだよ母さん。」
「ふふふ。冗談よ、冗談。明日は遅れないように早く休みなさいね?………おやすみなさいイルマ。」
「はぁ~……うん。おやすみなさい母さん。」
イルマにおやすみを言ったイルミは、そのままイルマの部屋から出ていくのであった。
その事を思い出したイルマは、母イルミや家族の大切さを再度認識するのであった。
そしてイルマは、チユルの町に出発するための集合場所に到着し皆の到着を待つ。
ちなみにだが、チユルの町に行く方法は、モロンがイルマ達の為に、馬車を一台用意してくれていたので、イルマ達はそれに乗ってチユルの町に行くことになっている。
そしてイルマ達は、全員が馬車の中に入り、出発の準備が出来たので、チユルの町に出発することになった。
「「頑張ってこいよ~~!!」」
「「試験に受かれよ~~!!」」
「頑張ってくるわーー!!」
「「落ちても気にするなよ~~!!」」
「そもそも落ちないわーー!!」
「「試験に受かっても調子に乗るなよーー!!」」
「うるさい。元々調子に乗っていたのは自分達。」
「「身体には気をつけて~~!!」」
「分かってる~!気をつけて行ってきますー!!」
イルマ達は、村の人やリラン、家族の言葉に答えながら冒険者養成所があるらチユルの町に馬車に乗って向かうのであった。
次回、チユルの町に到着です。