第2話(洗礼・前編)
やっと、主人公以外のキャラを出せました!
引き続き、異世界トラブルをどうぞ!
「イルマー、起きなさい!朝よ!ご飯できてるわよ!」
「…うっうーん、…おはよう~母さん」
母親に起こされて、イルマは布団から出て着替えてから自分の部屋から食卓に向かう。
「起きたかイルマ、おはよう」
「おはよう父さん」
「イルマ、今日は教会に行く日よ。もうそんなに時間余裕ないから食べたら早く準備しなさい」
「分かったよ母さん」
イルマが食卓に来たらそこには母親のイルミ以外にも朝食を食べ終えて一息入れている父親のダルクがいた。
イルマは父親のダルクにも目覚めの挨拶した後朝食を食べては母イルミに教会に行くのでしょ!っと急かされながら外出の準備をする。
(そうだった。今日は教会に行って、洗礼を受け"加護"を授かる予定の日だ)
(なら問題は、どんな加護を女神様から授かるかだなぁ~前から考えていた加護だと母さん絶対五月蝿く言うだろうし…そういえばカイ兄さんとヘリー兄さんはどんな加護を授かったんだっけ?)
教会でどんな加護を授かるか考えていたイルマは、兄カイとヘリーがどんな加護を授かったか気になるが思い出せないようだ。
「ねぇ母さん、ちょっと聞きたいだけど、そういえばカイ兄さんやヘリー兄さんはどんな加護授かったんだっけ?」
イルマは母親に兄達の加護についてを尋ねる。
「カイとヘリー?えっと、あの2人は確か………」
イルマにカイとヘリーがどんな加護を授かったかと尋ねられたイルミはカイとヘリーの2人がどんな加護を授かったのか思い出そうとする。
「確かカイは長男だし、お父さんが農民で跡を継ぐからって無難に"生産系の加護"を貰ってたわよ。それでヘリーは次男で家の家業である農家の跡も継ぐ気もなくて、以前から商売に興味があったらしく、正直に自分の欲しい加護である"目利きの加護"を授かっていたわよ」
そして、カイとヘリーの授かった加護を思い出したイルミはイルマに2人の授かった加護について詳細を教える。
「イルマ。お前はどんな加護を女神様に祈るんだ?ちゃんと祈らないと農民の子のお前は農業系の加護になるぞ」
そこに父親のダルクがイルマに加護について注意事項を伝えてくる。
「"加護"っていうのは、人に言われて決めれる物じゃなくて、その人が将来何を考えていて、何を必要にしているか、我々がそれを叶える力に女神様がその手助けにと加護の形でお力添えしてくださっている物だ。だから洗礼の際は自分の気持ちに正直になって祈るんだぞ」
──自分の気持ちに正直になるのが大事なことだぞ?
イルマはダルクの言葉に頷きながらこの世界の宗教についての知識を頭の中から思い出す。
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教会に洗礼、それに加護を授かるや女神様に祈る等話していたが、この世界にも宗教は存在しており、それは前世でもあった宗教の教えや儀式等のことではなく、魔法や気、技能があるこの世界では魔法的な効果がある祝福のことを加護と呼び、その加護を与える儀式が洗礼だ。
そしてこの世界で最も大きな宗教のことをマナ教と呼ぷ。
そしてそのマナ教では、"この世界を創造した"と言われているマナの女神様を信仰していて、加護はそのマナの女神様が信徒に授けている力の1つと言われていて、加護は年齢が10歳を迎えた人が教会に行き、洗礼を受けてその時に本人がマナの女神様に本心で祈った力を授かると言われている。
その為、人に言われて本心で願ってないものに対する祈りはマナの女神様には届かず、今の生活や身分に準ずる物の加護が授かるケースが殆どだ。
そして、加護のこともあってかこの世界は以前の世界と違い宗教と世間との距離は近く、信仰心も差は有るが殆んどの人間がマナの女神様を信仰している。
「だから、将来お前が何になりたいか何が必要と思うか自分で真剣に考えて祈らないといけないんだぞ」
ダルクはイルマにそうアドバイスをする。
「そういえば、イルマ、アンタは何の加護をマナの女神様に祈るつもりなの?前から聞いてもアンタ内緒って言って母さんに教えてくれないし~。」
母親であるイルミはイルマの内緒事に不満を漏らす。
「えっ!?……かっ、母さんそれは内緒だよ…言い触らすことでもし加護を女神様から授かれなくなったら嫌だし……」
「え~~、お父さんは駄目でも母さんには教えてくれたって良いじゃない。」
(えっ?父さんは駄目なの!?母さんはいいのに何で!?)
父親のダルクは妻イルミの言葉にショックを受ける。
「そっそういえば、カイ兄さんとヘリー兄さんは今日はどうしたの?姿が見えないけど?」
「話を逸らしたわね……まぁいいわ。えとカイはね、朝から畑にいい肥料の仕入れしに行ってて、ヘリーは今日村に来てる行商人の所に行ったわよ。ほらイルマ、母さんは質問に答えたんだから、アンタも言いなさいよ?」
「そ、そうなんだ!じゃ、じゃあ僕もそろそろ教会に行くよ。行ってきまーーす!!」
イルマは母さんからの追及から逃げるように家を出ては教会に向かう。
「あっイルマ…もう! ほらあなたも早く仕事行かないと!」
「おっおう…わかったっわかったよ!」
母親のイルミはイルマから逃げられ、まだゆっくりしている(先程のショックもあり)夫のダルクにそのイライラの気持ちをぶつける。夫のダルクは妻イルミの怒りから避けるように急いで仕事に向かう。
(あ~危ない危ない。〇〇の加護貰うつもりって言ったら母さん絶対五月蝿く言うだろうし貰った後ならどうしようもないから最終的に諦めるしかないだろうから、バレるなら洗礼後だよな~…それはそれで言われそうだけど↘)
母親の追及から逃げれたが、教会に向かう途中で少し先の未来を想像して頭を痛そうにしているイルマだった。
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「イルマ〰️!」
自分の名前を呼ぶ声がして振り向くと、そこにはイルマの家の近所に住む"幼なじみの一人"である"勝ち気な赤髪の少女"【メラ】がいた。
「メラ!?(あっ!?不味い……)」
メラの存在に気付いたイルマは有ることを思い出す。
「イルマ!洗礼の為に教会に皆で行くって約束したのに、勝手に行こうとして……本当に、もう!」
「アハハハ…………ごめんごめん。」
(まさか、母親から慌てて逃げてたから約束を忘れてたって言えないし…)
頬を膨らまして怒る幼なじみのメラに苦笑いで誤魔化すイルマ。
「ほ…ほらメラ、い、一緒に教会に行こう!」
「……………ハァー、わかったわよ。」
(絶対忘れてたわね。───でも今怒ってたら洗礼に間に合わなくなるわね。仕方ないわね、もう)
イルマの様子から忘れてたことを察するメラだが、追及するのは今から洗礼もあることや今に始まったことでもないことからとため息吐きながら勘弁してあげることにした。
そしてイルマとメラは一緒に教会に向かうのだった。
他の幼なじみは次話登場予定。
ちなみに加護についても次話明らかに…