第42話(異変解決の報告)
今回は、解決した異変の報告をギルドと家族に行う回になります。
では、異世界トラブル続きをどうぞ!
暫く音沙汰が無かったイルマ達が親達に雷を落とされ、何をしていたか聞かれた翌日。
ー昨日は、多分皆も同じことになっているだろうけど、やっぱり、めちゃくちゃ父さんと母さんに怒られたなぁ~~。
兄さん達にも怒られたっけ、森に探索に行くって言ったけど、やっぱりこんな長く音沙汰も無ければそりゃ心配するから当たり前なんだけどね……。
イルマは、昨日の森から家に帰った時のことを思い出していた。
「た、ただいま……」
イルマは恐る恐る家の扉を開けて、ただいまと言う。
「イルマッ!?よかったーーーーッ!!」
家に入って直ぐの所に母イルミはいて、イルマが帰って来たことに気づくとイルマの無事を確かめるようにイルマを抱き締めながら安堵のする。
その近くにいた父ダルクも、イルマの無事に帰って来たことを確かめるように、イルマとイルミ2人のまとめて抱き締める。
「無事だったんだなッ!イルマ無事だな!!このばか野郎~、家に音沙汰も無く暫く帰らないなんて……父さんや母さん、カイやヘリー達、村の人も心配したんだぞッ!!」
ダルクは、心配したことを言いながら、イルマが無事で帰って来れたことを喜ぶ。
「……ごめんなさい。暫く音沙汰も無く家を離れて。心配かけてごめんなさい。父さん、母さん。本当に、ご、ごめんなざい……」
イルマは心配かけた両親、兄弟、他の村の人に謝罪しながら、父と母に抱き締められて、やっと自分達がこの大事な家族や村を守れたと本当に実感し、心配をかけたことに申し訳ない気持ちが沸き上がり涙が出てくる。
ダルクとイルミは暫く泣くイルマを抱き締めていた。
それからイルマ達を探して家の外を探していたカイとヘリーが家に帰って来た。すると、家にイルマが帰って来ているのを気づいた2人はイルマの元に駆けつける。
ダルクとイルミはイルマを抱き締めるのを止めて、カイとヘリーに話しやすいようにする。
カイは、イルマの顔を見てばか野郎っと一言だけ言って頭に拳骨を入れた後無事でよかったとイルマの頭を撫でる。
ヘリーは、そんなカイの後に何と号泣する。「イルマが無事でよかった~~!!」そんな兄達にイルマも「兄さん達ごめんなざい。」と泣きながら謝る。
イルマ達が泣くのを見ていたダルクは暫くして、皆が落ち着いたのを見てから、皆でゆっくり話を出来る食事を食べている机に行くぞと声をかける。
そして、イルマは全員が机に座ったのを確認してから森であったことを一部(妖精であるミルンのことと、《ハイ・イート・トレント》)を隠して話始める。
実はイルマ達は、妖精であるミルンのことと、《ハイ・イート・トレント》のことは村に帰る直前に皆と隠すことを話し合っていた。
仲間になったミルンのことはともかく、《ハイ・イート・トレント》のことを隠すのは何故だっ?と聞かれたが、イルマはせっかく倒して安全になったので無駄に村の人を心配かけたくないから《ハイ・イート・トレント》のことを言いたくなかったと皆に伝える。
皆も村の人に無駄な心配をさせたくなかったのでイルマの提案に従い、ミルンのことと《ハイ・イート・トレント》のことは隠して、他の魔物やダンジョンについてだけを明かすことにしたのであった。
話を戻して、イルマの話を聞いたイルマの家族は森の状態や特にダンジョンについてビックリした様子を見せる。
そんな魔物やダンジョンに何も報告せずに入ったことや家族に連絡を入れてなかったことについてはこっぴどく怒られるイルマ。
家族の皆から怒られたイルマは素直に謝罪してから、まだこの事をギルドに報告してないからギルドに行き、この事を報告しに行くと伝える。
その事についてはわかったとダルクやイルミも了承したが、とりあえずそれは明日にして、先ずは休みなさいとイルマの身体を心配してくれる。森の安全を確保出来ていることもあり、イルマも自分を心配して言ってくれている言葉に素直に従い休むのであった。
そして、イルマは皆と合流してからギルドに向かうことにした。
皆と合流後、ギルドに行く前に皆で昨日家族に隠していたことはバレて無いかの確認とこれからギルドに行き話す内容の口裏合わせを行っていた。
「いい皆?話す内容は、森の中で出会った魔物とダンジョンの発見。後異変は、ダンジョンのせいだけど産まれたばかりなことと運が良くてダンジョンボスが弱くてダンジョンを攻略できてダンジョンの活動が弱まり異変が収まったことだよ?」
「わかってるぜイルマ!後は、ミルンのことや《ハイ・イート・トレント》のことは内緒だろ?大丈夫だぜ!」
「馬鹿ね!あんたが一番心配なんじゃない!」
「何だと~~!何で俺なんだよ!?ミルンだっているだろ!」
『し、心外です!!ダンさん私心外です!!』
「確かにミルンも心配だけど……」
『メラさんッ!?』
「……ミルンは、イルマに取り憑いて黙っていたら問題無い。問題は、後はダンだけ。」
「シーラまで、……俺の信用って……」
「普段の行いよ!!」
『し、シーラさん、それって私のフォローになっていないと思うのですけれど……』
「大丈夫。問題無い。」
シーラは、ミルンからの指摘にイルマの方を向かずにそう答える。
それと、ミルンは皆と話しているが、現在イルマに取り憑いており、念話で話しかけていて周囲から見えていない状態だ。
口裏合わせを終えたイルマ達。念のために各自のステータスにイルマの技能≪隠蔽≫をかけてから、イルマ達は若干落ち込んでいるダンを連れてギルド内に入っていく。
ギルドに来たイルマ達に気づいた人達は、昨日イルマ達の家族連れから無事に帰って来たことを聞いていたが、イルマ達の無事の姿を見て喜んでくれた。
そしてイルマ達は、受付のデルの所に行き、先ずは心配をかけたことを謝罪し、その事でデルやその場にいたドランや周囲にいた冒険者達から怒られる。
一通りの人に怒られたイルマ達は、次に森であったことを口裏合わせ通りミルンや《ハイ・イート・トレント》のことを伏せて話をする。
デルやギルドの皆は森の魔物については、調査隊の調べで知っていたので驚きはしなかったが、ダンジョンの発見には驚いた。
しかも、運が良かったにせよ、イルマ達がダンジョンを攻略した知らせを聞いた時には、ギルド内にいてイルマ達の話を聞いていた人間は、全員驚きを隠せずにいた。
「い、イル坊、……ダンジョンをこ、攻略したって本当にかい?」
「はい。本当です。」
「ほら。デルおばさん、これがその時にダンジョンを攻略して手に入れた物だぜ?」
イルマ達の話は、とても10歳の子供達が成したこととは信じられないことなので、デルはイルマ達にもう一度本当にダンジョンを攻略したのか確認してくる。
そんなデルに、イルマは即答で本当だと言い、ダンは証拠としてダンジョンで得たアイテムをデルに見せる。
「こ、これがダンジョン攻略報酬ッ!?……【魔鋼の剣】【魔封じの杖】【操魔の短剣】【空転の靴】……た、確かに、これらの装備はこの村にどころか、そこらに売っている物じゃないね。……それにこれは確かにダンジョン攻略の証に間違いないッ!!」
デルは、ダンが出してきた装備や攻略の証を技能≪アイテム鑑定≫で確認し、それらが本物であると判断した。
(本当なのかよデルおばさん?)(間違いないのか?)
「間違いないね。実際私は、何回か本物のダンジョンの攻略の証を見ているし、私の技能≪アイテム鑑定≫でもこれがダンジョン攻略の証と結果が出てる……間違いなくこれは、本物の攻略の証だね。」
(……マジかよ?)(10歳の子供達がダンジョンを……攻略した……だと?)(ふん、ただ運が良かっただけじゃないか)(ならお前もやってみろよ?俺は産まれたばかりとはいえ、運が良くてもダンジョンの攻略は出来ないぞ!)
イルマ達がダンジョンを攻略したことが、デルの鑑定の結果で証拠が本物と判明した。
その事で、まだイルマ達の話に半信半疑だった者も、イルマ達の話を信じるしかなくなった。その様子にメラやシーラが止めを刺すように言葉を発する。
「まだ信じれないなら森を調べたら、証拠に異変も収まってきているんじゃないかしら?」
「信じなくてもいい、ただこれで異変が収まり、その上森の奥にダンジョンが有ることには変わり無い。」
メラとシーラの言葉にギルドにいた者は息を飲む。
イルマ達の堂々とした姿は、デルの鑑定の結果もあり、本当のことだとギルドにいた者は認識するのであった。
「イル坊達、ただこれが本物にしろ証拠として一度預かることになるけどいいね?」
「はい大丈夫です。ただ必ず僕らに返して貰えるように証明書が欲しいです。」
「正解だよイル坊。これだけの物だから難癖つける奴もいるかもしれないしね。よし、この後どうせギルドマスターに報告しに行かないといけないし、その時に私が証人で証明書を用意してあげるさ。」
デルの気遣いにイルマ達は、デルにお礼を言って、デルと一緒に報告の為、ギルドマスターの所に向かうことになった。
ギルドマスターの所に向かう際、その場にいたドランは、イルマ達によく頑張った、でも、心配したんだからな!とイルマ達に褒めることと釘を忘れずにするのであった。
森の異変編は、次で最後になります。
その次は、設定集等書いてから次の章になります。