第22話(森の探索準備・親の心配)
森の探索一歩前まで行きます。
そして、イルマ達の行動に親はハラハラドキドキです。
では、異世界トラブル続きをどうぞ!
自分達の家に帰った後、自分達の親達から物凄く怒られたイルマ達。
今回の場合村の大人や他人に言えない事情だったこともあり勝手に黙って行動したことは仕方ない面が有ったかもしれないが、今度からは親である自分達には相談するように注意や雷を落とされるのであった。(特にその中でもイルマは、母と父であるイルミとダルクから凄い怒りを受けるのであった)
「(自業自得だけど、大変な目に合ったな………)」
物凄く怒られたイルマは、ため息を吐きながらその時の様子を思い出す。
母イルミは、イルマを叱りながらイルマの身に何か有った時のことを考える気持ちが一杯になり過ぎて、途中からは泣き始めるし、父ダルクは普段から想像出来ない表情で黙ってずっーとイルマのことを見ていた。イルマからしたらこれが1番堪えた。父ダルクの無言の状態は相当圧があり、普段とのギャップで一番怖かったからだ。
「怖かった……父さんって、あんな迫力あったんだ……(でも、これで森の異変の対策に向けて、今とは違い隠れて動かなくてもいいことになったのは助かった……!)」
親達から雷を落とされたイルマ達だったが、今後は森の異変の対策で動くことに許可が下りた。
何故ならば、こういう事態を経験することは冒険者になれば遅いか早いかの違いだということを理解していたからだ。
それに、森の異変の第1発見者のことでもあるし、今までの行動から自分達の子供達が対策に向けて動くことは目に見えていて、止めても勝手に動くこともお見通しだったからだ。
しかし、イルマ達は親達から今度からはせめて自分達には話して欲しいこと、身の安全にはくれぐれも気をつけること、危ない時は必ず逃げるようことを条件だと、つまり"報告""連絡""相談"に加えて手に負えない時は必ず逃げることを耳にタコになるぐらい言われるのだった。
結果、そんなことがあってイルマ達は親達から魔物と戦うこと、森の異変の対策に向けて許可を貰い、これからは堂々と動けるようになるのである。
そして、そんなことは有ったがイルマ達はこれからについて話し合う為に、再度集合する。
「皆、昨日までとは違い今日から僕達は隠れずに堂々と動けるようになった。だから、これから隠れずに堂々と僕らが出来ることがないか探そう!それで先ずは冒険者ギルドに行き、僕らでも手伝えることが無いか探そう!!」
皆と集合したイルマは、もう隠れて行動しなくてもいいことから皆に堂々と冒険者ギルドに行き、自分達が出来ることが無いか探そうと提案する。
だが、
「でもよーイルマ、親達から許可を貰えたから堂々と出来ることを探すのはいいけどよ、村の大人達や冒険者ギルドから断われた場合はどうするんだよ?大体、昨日あんだけ怒られたばっかりだし、断われる可能性の方が高くね?」
「そうね……昨日も危ないことをするな!!って怒られたばかりだし……これ以上子供の私達に、村の大人達や冒険者ギルドが頼ることがあるのかしら?」
「私もそう思う」
そんなイルマの提案に皆は、昨日デルおばさんやドランから危険なことをして怒られたことを考えたら断われる可能性の方が高いと感じていた。
「だね。その可能性は充分にあると考えられるね。特にデルおばさんなんて反対しそうだよね。でも、森の異変を放置する気は無いから、その場合は1日経って状況の変化を確認するために冒険者ギルドに顔を出したと考えたらいいと思うし、それに僕達はまだ≪魔物使い≫≪オーク≫達の素材や死体分のお金を貰ってない。だから協力を断われた場合は、そのお金を貰って僕達だけで森の探索するために新しい装備を買おう!」
「おおっ、いいぜ!それなら冒険者ギルドに行っても、無駄足にならずに済むな!」
「確かにその考えは良いわね。分かったわ、それで行きましょう」
「……なるほど。……協力をする場合と、断われた場合のどちらでもいいように2段構えで動く」
「そういうこと」
イルマの提案に断われる可能性が高いと感じていたメラ達だが、なら断われた場合も想定して動くだけだと断われた場合の考えを述べる。そのイルマの考えにメラ達は感心し、それでいこうと賛成するのだった。
「駄目よ!」
「イル坊達はもう充分役に立ってくれたわ。後はおばさんやギルドの皆に任してちょうだい!」
ー≪魔物使い≫を倒した力は、村や自分達の身の安全を守る為に使って欲しいー
冒険者ギルドに来たイルマ達は、案の定デルおばさんに即答で森の異変の対策の協力を断わられた。
だがそれもそうだ。例えイルマ達が《魔物使い》や《オーク》を倒せる戦闘力はあったとしても、デルからしたらまだ守られる側の子供だ。だからデルはイルマ達を危険な森の異変の対策に出すつもりは一切なかったのである。
そして、デルはイルマ達のその力を使うなら、そのつもりは全然無いが、森の異変でポルカ村や自分達の身の安全に危険が迫った時に使って欲しいと思っていた。
「(やっぱり断わられた。………デルおばさんの気持ちは尤もだし嬉しいけど、だからって森の異変を放って置くことは出来ない。なら、此処は断われた場合に備えて考えてた通り、今の情報を聞いた後に魔物の素材や死体の報酬を貰い、ヤマお婆さんの所で新しい装備を森の探索の為に買うか)」
デルに協力を断われたイルマ達は、断われた場合に備えて考えていた通り冒険者ギルドで、今の状況の情報と魔物の素材と死体の報酬を貰うことにした。
デルおばさんは、イル坊達が当事者だったことから今の森の異変の状況のことが気になるのは仕方ないと思い、素直にイルマ達に今の森の調査の状況について話せる所だけを伝えた。(何故素直に情報をイルマ達にデルが渡したかと言うと、気になるであろうということも理由の1つだが、もし話さなかったら直接に森の調査に行かねない行動力がイルマ達にあるのは《魔物使い》の一件で明らかな為である)
そして、イルマ達に今の森の調査についての情報をデルが渡した後、昨日は騒ぎで後回しになり、イルマ達に報酬を渡そうとした時にはイルマ達が冒険者ギルド内からいなくなっていたこともあって渡し損ねた討伐した魔物の代金を、デルはイルマ達に渡すのであった。
情報と報酬を貰ったイルマ達は、冒険者ギルドでの用事は無くなったのと次はヤマお婆さんの所で装備を購入することもあり、冒険者ギルドを後にする。
「(よし、十分な報酬を貰えたぞ。これなら多くの新しい装備を購入することが出来るぞ。………問題は、ヤマお婆さんの所に前に見た装備が有るかだな。前にお店の中を見て欲しいと思った装備が残ってたらいいんだけど………)」
冒険者ギルドで装備を購入するに十分な報酬を貰ったイルマ達だったが、イルマはヤマお婆さんの所に前に見た欲しい装備が残っているか不安を抱えながらヤマお婆さんのお店に向かうのであった。
本当は村の中にある武器屋などで買えたらそんな不安も少ないし1番いいのだが、以前にも言ったがまず子供のイルマ達には本格的な武器は売ってくれない。もし仮に売ってくれたとしても、今のイルマ達はデルに森の調査を断られているので、そこから情報がデルに漏れたらまた怒られるし、止められる。
(普通の村よりも大きい村だけど、村は村だから情報が漏れたら直ぐにデルまで伝わる)
イルマ達もそれは避けたいので、なのでイルマ達にも武器を売ってくれて、情報を漏れにくいヤマお婆さんの道具屋に行くのだ。
◆◇◆◇
ヤマお婆さんの道具屋に着いたイルマ達。
この前、ダンはメラ達に怒られたこともあり今度は静かにお店の扉を開けて入り、普通の音量でお店の奥にいるヤマお婆さんを呼び、用件を伝える。
「来たぜ、ヤマ婆さん。また俺達に武器を売ってくれ」
──そうそう。普段からもそれぐらい静かな声で言いなさいよ。
──うん、その通り。
「~~っなんだよ、今度はちゃんとしてるんだから、グチグチ言わなくてもいいだろ!」
メラ達の注意を守ったダンだが、それでもメラ達から小言を貰い機嫌が悪くなる。
「ダン、仕方ないよ。普段の行いが行いだからだよ」
──そうそう。イルマの言う通り、普段の行いを振り返りなさい。
──自業自得。
「何だよ、イルマまで………」
イルマまでメラ達の味方をした為、ダンは不貞腐れる。
「はいはい、お婆さんは元気なダンちゃんが好きだから不貞腐れない………それよりも今日はどうしたんだい?武器なら前に買ったのがあるはずだけどね?」
「その事なんだけど─────────」
不貞腐れるダンを宥めるヤマお婆さん。
そしてヤマお婆さんは、イルマ達は武器を前に購入した筈なのにまた購入しに来たことに疑問を浮かべては理由を問い掛ける。
イルマ達はまだ少し不貞腐れるダンは置いておき、武器を購入する為にヤマお婆さんの疑問に答えていく。
「(ふむふむ。装備を新しくする理由が、森の異変に対して森の中を探索する為だったってことかい。なるほどね)事情は分かったよ。なら、このお店の中でイルちゃん達が必要と思う装備をしっかり見ておいき」
イルマ達から事情を聞いたヤマお婆さんは、この子達なら止めても勝手に渦中の中に行くと思い、それなら今より良いものを買わしてやった方がいいと判断してお店の物を見ていくように伝える。
事情を聞いたヤマお婆さんが、自分達に武器の購入許可が出してくれたことに有難いと思いながらも、以前お店に見た欲しい武器や防具の装備が置いたままであることを祈りながらお店の品を見せてもらう。
そして、お店の装備を見ていくメラ達だが、その中でもイルマは固有技能【開示】で装備の詳細を剣から視ていく。
───────────────
・鉄の大剣
(鉄製の大剣。銅製よりも硬い)
・鉄の小刀
(鉄製の小さい刀。銅製よりも硬いが刃が短い)
・鋼の剣
(鉄製を更に製錬した鋼製の剣。鉄製よりも硬くて丈夫)
───────────────
「(おっ、前には無かった"鋼の剣"が有る!鋼の剣は鉄を更に製錬して出来るだけに鉄の剣より強い中々ポルカ村に無い武器だぞ!
その鋼の剣だけど、少し古いけど十分使えるし、中古なせいか値段も手が届く値段だ!)」
ヤマお婆さんの所は道具屋だけど、こうやって中古や売れなかった武器に買い取った武器や防具なんて置いているから、こんな風にたまに掘り出し物があるんだよなぁ~、とラッキーと思いながらイルマ鋼の剣と自身の2つ目の武器として鉄の小刀を手に取る。
そして、イルマは続いて店にある他の武器や防具も視ていく。
─────────────
・鱗の盾
・レッサーウルフのマント×2
・ウィンドバードの靴×2
・鉄の籠手×2
・魔鉄の棒
・祝福のナイフ
・魔攻書
・魔昌石の腕輪
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など、イルマはお店に置いてある品の中から選ぶ。
・ダンには【鱗の盾】【鉄の籠手】【レッサーウルフのマント】【ウィンドバードの靴】
・メラには【皮の盾】【魔鉄の棒】【魔攻書】
・シーラには【祝福のナイフ】【レッサーウルフのマント】【魔昌石の腕輪】
で、イルマは自分用に【ウィンドバードの靴】【鉄の籠手】を選んでは購入するのだった。
ちなみにイルマが買った【鱗の盾】は、魔物の鱗を皮の盾の表面に貼り付けた物で、以前買った皮の盾より防御力は上だが少し重たい。
【レッサーウルフのマント】はその名の通り、レッサーウルフの毛皮を使用したマントだ。魔物の毛皮だけに普通のマントより防御力は高く、それでいて軽い。
【ウィンドバードの靴】は、ウイングバードの羽を靴に取り付けた靴だ。ウインドバードが風の魔法を使うためか、着用者のスピードを速める効果がある。
【鉄の籠手】は、鉄製の籠手であり手を守る防具だ。
【魔鉄の棒】は、魔力が籠った魔鉄鉱石から出来た物を使って作った棒で、魔力を込めると攻撃力を高める魔術師の護身用武器の1つだ。
【魔攻書】は、魔法の威力を高める術式が書かれている本であり、魔法を使う際にこれを持っているだけでも効果がある。(勿論、書物に魔力を通して威力を高めるのが正しい使用方法だ)
【祝福のナイフ】は、聖水で清めて祝福されたナイフだ。魔物に対して使用する時のみ効果があり、魔物以外に使用する場合は普通のナイフだ。
【魔昌石の腕輪】は、魔石を加工して多少魔力を貯めておけるようにした物である。但し、魔力変換効率はそこまでは高くない。
ヤマお婆さんから新しい装備を購入したイルマ達は、その装備に満足してはヤマお婆さんにお礼を言って道具屋を後にした。
新しい装備を手に入れたイルマ達は、その新しい装備の扱いに慣れる為や森の探索に向けて、2組に別れて模擬戦を行うことにした。
イルマはダンと組み、購入したのが近接武器なこともあり固有技能やイルマは魔法も含めた(出来るだけ実践形式に近くする為)接近戦を行う。
メラはシーラと組み、2人の主な攻撃方法が魔法なこともあってか魔法や固有技能を使った遠距離戦に加え、購入した《魔鉄棒》や《祝福のナイフ》を使った接近戦は扱いに慣れる程度に模擬戦を行うのである。
「はあっ、はあっ!おりゃあ!!」
「──ダンっ、
────まだまだ!!」
「【魔道深域】!─────からの"フレイム・ボム"!」
「─────【不浄聖鈴】
────簡単には攻撃を喰らわない」
それからイルマ達は、自分達の長所や時には短所を補うよう十数日の間集中しては鍛え、森の探索に向けて力を高めるのだった。
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そして、新しい装備を購入しては装備の扱いに慣れることや力を高める為に模擬戦を行って十数日後。
イルマ達は着実に力を高めており、準備が整えれたこともあり森の探索を始めることを決めた。
イルマ達は親達との約束通り、森を探索することを森の探索前に親達に伝えた。
森の探索を開始することを聞いた親達は、予想はしていたがやっぱり動くのか、と子供達を心配しては渋りながらも子供達は止めても動くだろうと諦めて"無理はするな""いざって時は逃げろ"と伝えて送り出す。
イルマ達4人は、そんな自分達の身を心配してくれている親達に感謝し、約束は守ると伝えて森に向かうのだった。
ーー今回イルマ達が手に入れた新しい装備ーー
【鱗の盾】は魔物の鱗を皮の盾の表面に貼り付けた物で、皮の盾より防御力は上だが少し重たい。
【レッサーウルフのマント】レッサーウルフの毛皮を使用したマント。魔物の毛皮だけに普通のマントより防御力は高く、それでいて軽い。
【ウィンドバードの靴】は、ウイングバードの羽を靴に取り付けた靴だ。ウインドバードが風の魔法を使うためか、着用者のスピードを速める効果がある。
【鉄の籠手】は、鉄製の籠手であり手を守る防具。
【魔鉄の棒】は、魔力が籠った魔鉄鉱石から出来た物を使って作った棒で、魔力を込めると攻撃力を高める魔術師の護身用武器。
【魔攻書】は、魔法の威力を高める術式が書かれている本であり、魔法を使う際にこれを持っているだけでも効果がある。(勿論、書物に魔力を通して威力を高めるのが正しい使用方法)
【祝福のナイフ】は聖水で清めた祝福されたナイフ。魔物に対して使用する時のみ効果があり、魔物以外に使用する場合は普通のナイフ。
【魔昌石の腕輪】は、魔石を加工して多少魔力を貯めておけるようにした物である。但し、魔力変換効率はそこまでは高くない。
新装備が増えました。
後、≪魔物使い≫≪オーク≫と戦って成長したステータスは次回書く予定です。