第21話(隠し事の暴露)
イルマ達はついに大人に話を伝えます。
その後の大人の対応は……
では、異世界トラブル続きをどうぞ!
≪魔物使い≫と大量の魔物達に、それに加えてオークとの戦いを終えたイルマ達。
戦いを終えたメラ達だが、勿論のことイルマにオークを一撃で倒した新技、≪闘魔技法剣≫について説明を求めた。
──あれ?何かデジャブを感じるけど……
皆から説明を求められたイルマは、以前にも同じようなことが有ったとデジャブを感じたのである。(正解である。≪練波連激≫の時に、イルマはメラ達から今回と同じように説明を求められている)
まぁ、それは置いといて話を戻してメラ達が説明を求めることは変な話ではない。何故ならその巨体からの体力と、皮膚の固さによる防御力、その2つの要素からなるしぶとさに定評があるオーク。そのオークを一撃で倒したことや、今まで見たこと無い技なこともあり、メラ達が興味津々になってイルマの新技について説明を求めるのはごもっともな話だ。
そんな新技に目を一杯に開いては説明を求めてくるメラ達の姿ににイルマは後ろずりになりながらも、ゆっくりと新技について説明を始めた。
新技の説明をメラ達に始めたイルマだが、先ずその新技を生み出した切っ掛けについての話からするのである。
その切っ掛けだが、メラ達が固有技能を使い始めた今、戦闘用の固有技能を持たない自分だと皆の戦いに着いていけなくなる可能性について述べた。
固有技能の力は絶大だ。
以前にも説明した固有技能についてだが、英雄クラスが保持する特別な技能と言われている。実際に過去、今現在に至るまで英雄以外で保持していない訳では無いが、英雄と呼ばれるに至った者達は皆保有している特別な技能だ。その力は使い方や状況に応じて一騎当千の力を発揮し、過去に登場した英雄達はその固有技能の絶大な力を駆使して偉業を成し遂げたと言われている。
だから固有技能の力はそれだけ凄いこともあり、イルマは皆の成長の為にも皆が固有技能を保持していることを内緒にしていた程だ。
そして、そんな固有技能をイルマも皆と同じく固有技能を保持していて、それも複数の固有技能を保有しているが、イルマの固有技能の力は【開示】や【メニュー】、調査や訓練、探索能力に偏っている。(皆に内緒にしている固有技能の【ガチャ】も、強くなるには有効だが戦闘用ではない)
だから幾らイルマのステータスが高くて、必殺技である≪練波連激≫もあっても、それだけならこの先自身の戦力が足りなくなる可能性や、レッサーウルフの件の時みたいに悔しい思いをする可能性が有ることからイルマは、〈闘気、技能、魔法〉の力を1つにして剣に纏わせて放つ技である≪闘魔技法剣≫を編み出したのだ。
そのイルマの説明を聞いてメラ達は思う。
必要だからといって、
"新しい技法をそんな簡単には編み出せない(わ)(わよ)!!"と。
だが、そんなメラ達の想いとは裏腹に「確かに技を完成させるのは難しかったけど、そんなに凄いことはしてないよ?」、と台詞をイルマは吐き、それを聞いたメラ達はそんな訳あるかっ!、と全員が同時にイルマにツッコミを入れるのであった。
メラ達全員からツッコミをもらったイルマだが、「(前世のマンガから応用しただけなんだけどなぁ~)」と思ったが、それをメラ達に言える訳なく、イルマは苦笑いを浮かべては「そうかなぁ~?」と言って誤魔化していた。
そんなイルマの様子を見たメラ達は、相変わらずの自身の幼馴染みは見た目からは想像出来ないが、その中身はビックリ箱であると呆れる。
しかし、同時にそんな幼馴染みに頼もしさを覚え、やっぱりイルマが自分達のリーダーとも思うのであった。
◆◇◆◇
そして、メラ達に《闘魔技法剣》を編み出した理由とその力について説明を終えたイルマは、その後全員が力の消耗が激しかったこともあって一旦皆でポルカ村に帰り翌日以降再度平原での戦いを繰り返す。
平原で戦い繰り返すこと数日間続けたその結果、イルマ達は平原の魔物が相手でも余裕を持って戦えるようになっていた。
そして、そのことで自分達の強さが以前よりも大きく成長したことを実感したイルマ達は、そのことで平原での戦いを終了し、平原での戦いを止めてはポルカ村に帰っていくのであった。
平原での戦いを終了し、ポルカ村に帰って来たイルマ達。
そんなイルマ達だが、ある問題が発生して悩んでいた。
"大量の魔物"と、冒険者ギルドではぐれと噂にされていた"オーク"に、一番の問題は"《魔物使い》"の死体|をどうするかである。
幸い倒した魔物達の死体は、イルマの固有技能【メニュー】の能力の1つであるアイテムボックスで仕舞っているので腐ることや処理に困ることはない。
しかし、問題は魔物の死体の処理ではなく、大量の魔物やオークに、村の近くで出現した《魔物使い》のことを村の大人や冒険者ギルドに報告するかどうかだ。
《魔物使い》やオークに大量の魔物達、その存在を報告すれば自分達だけで魔物と戦っていたことがバレてしまうことになる。
だからといって、《魔物使い》なんて危険度が高い魔物が村の近くにある平原で出現したことを村の安全を考えると黙っている訳にはいかない。
その為イルマ達は、ポルカ村に帰って来てはどうするか話し合うのである。
そして、4人で話し合った結果冒険者ギルドで《魔物使い》達のことを報告することになる。
何故なら、自分達子供だけで魔物と戦っていることがバレて怒られることになったとしても、それよりもポルカ村の安全の方が大事なことと、
──《魔物使い》が平原なんかに出現するなんて、どう考えても異常事態なのは一目了然だよね?───これなら、やっと村の大人や冒険者ギルドに対して森の異変の話をしても信じて貰える!
と、《魔物使い》程の魔物なら当初の作戦である森の異変についての話の証拠になるのでは?と思ったからだ。
そして、《魔物使い》等の魔物の存在が平原で出現したことを報告することにしたイルマ達は、冒険者ギルドに向かう前に村にある台車を2台用意する。(皆の目の前で魔物を【メニュー】のアイテムボックスから取り出したらイルマの固有技能がバレてしまう為)
台車を用意したイルマ達は、その2台の台車に証拠である《魔物使い》等の魔物の死体をイルマの固有技能【メニュー】のアイテムボックスの中から取り出して、乗せていくのである。
それから【メニュー】のアイテムボックスから魔物の死体を乗せていくイルマ達だったが、1台目の台車には《魔物使い》や配下の魔物を乗せ、もう1台の方に巨体であるオークと他の魔物達を乗せていく。
魔物達の死体を台車2台に分けて乗せる理由だが、1つは単純に魔物の死体の量の問題だ。イルマ達が平原で倒した魔物の死体の数は《魔物使い》にその配下の大軍の魔物にオーク。他に平原でイルマ達が倒したスライムキバやレッサーウルフ等の魔物の死体が台車1台では乗りきらないからだ。
ちなみにイルマの考えで、魔物の死体を乗せた台車を見せるのは最初は1台目だけの予定だ。
そして、その理由だが………
「ねぇ、イルマ」
「うん?メラ、何?」
「何んで見せる台車が1台目だけなの?………それにオークの死体を2台目の台車に乗せたのは何で?オークの死体も、1台目の台車に乗せて《魔物使い》と一緒に見せたらいいんじゃないの?」
「そうだぜ、イルマ。何で2台目の台車にオークの死体を乗せるんだ?確かに1台の台車だけで全ての魔物の死体を乗せられねえから分けるのは解るけどな、大人達に最初に見せるのは1台目だけの理由は何だ?」
「……2人の意見に同意……」コクン
メラ達3人は、何故魔物の死体が乗せた台車を、最初は1台目だけを見せるのかと理由が気になり、その理由をイルマに尋ねる。
「ああ、それだけど───」
皆の疑問にイルマはその理由を教えた。
「────成る程ね」
「カァ~ッ、イルマはいつも難しいことを考えるよなぁ………」
「……それには同意。……後、ダンの場合はあまり考えなさ過ぎなだけ」
「それは私も同意ね」
「おいっ」
「まぁまぁ………」
イルマから疑問の答えを聞いたメラ達は納得する。
そして、何時ものようにシーラやメラがダンを弄ってはイルマが宥めてはしゃぐイルマ達。(魔物の死体の傍ではしゃぐ子供、シュールである)
そんなイルマ達だが、最後に台車を押していく際に魔物の死体が見えないようにする布を掛けて作業を終わらせた。そして、イルマ達は先程までとは違い真剣な顔をして(森の異変についてや怒られることを考えるながらも)、冒険者ギルドに台車を押して行くのであった。
イルマ達が冒険者ギルドに着いて2台目の台車を一旦隠してこら建物の中に入り、デルおばさんがいる受付の前にて押してきた1台目の台車の中身を布を取り見せた。
イルマ達、イル坊達が何を台車に乗せて来たかと気になった冒険者達が受付の周りに集まってきており、そんな集まって来ていた冒険者達はイルマ達が押して来た布を取った台車の中身に驚愕の声を上げるのである。
「ま、魔物の死体!?」
「な、何で、イル坊達がこんな魔物の死体を台車に乗せて持ってきたんだ!?」
「あ、ああ、それにこの数………お、おいっ!?この魔物って!?」
「あ?何だ…………!?この、この魔物は、《魔物使い》!?」
「「「《魔物使い》だとっ!?」」」
「──ちょっと、私にも見せな!」
「俺にも見せてくれ」
「デルおばさん、それにドランも」
≪魔物使い≫の死体が出てきてはイルマ達の予想通り騒ぎになり、その騒ぎの元を探るようにデルおばさんやドランも《魔物使い》等の魔物の死体を確認しに来た。
その魔物達の死体を確認したデルおばさんとドランの2人は、普段は優しいデルおばさんも、イルマ達と同じぐらいの弟がいてイルマ達に甘いと言われているドランも、この時ばかりは鬼のように表情に変わってはイルマ達に事情を確認してきた。
「これはどういうことだい!!」
「何が有ったか、説明するだ!!」
「ッ!?」
「「「ヒッ!?」」」
その2人の態度と口調が、普段自分達に接する態度や口調と180度違い、肩を揺らすイルマと身体を縮み込ませて悲鳴を上げるメラ達。
そんなイルマ達の様子に関係なくデルおばさんとドランは説明を求めた。
──《魔物使い》にそれ以外の複数の魔物の死体。
それを前にしたデルおばさんとドランの2人は、イルマ達が自分達の態度と口調に怯えていても冒険者ギルドの受付として、冒険者としても、それにポルカ村の安全の為にもイルマ達に早急に事情を聞かなければいけないからだ。
「(ふ、2人ともいつもと違って怖い。でも、今なら僕らの、森の異変についての話が信じて貰える……!)実は………」
そして、怯えたメラ達の前に今の様子なら森の異変について話をしても信じて貰えると思ったイルマが出て、デルおばさんとドランに対して事情を説明していく。
「このお馬鹿ッーー!!」
「なんて、なんて危ないことをしているんだっ!!馬鹿やろうッーー!!」
とイルマの説明を聞いた2人は、イルマ達を叱った。
2人はイルマ達が事情が事情でも、それでも危険なことをしていたイルマ達の行為に怒り、叱っていく。
その2人のお叱りに、イルマ達も自分達を心配して叱っていることと、叱られるのは覚悟していたこともあり、真剣に受け止めて聞いていた。
そのイルマ達の態度に、イルマ達を叱っていた2人は「分かったかい!」、「分かったな!」、と言ってお叱りを止め、更に詳しくイルマ達に話の続きを聞いていく。
何で森の異変に気付いたのか、
何で平原で≪魔物使い≫を倒すことになったかと。
それに対してイルマ達は、最初から事の経緯を説明していく。
最初は村の外れでスライムを倒していたが(スライムぐらいなら他の子供もしているので大人はふーんって聞いていた。)それが数が多くみられ、しまいにはゴブリンが五体同時に出現するようになった。(ゴブリン五体同時に出現し、倒したことには一部からはまぁやるじゃないかと声が上がる)それだけでも異常だが、しかも森から魔素が増えてることで、異常の原因は森の奥に有ると考えた。
──その気付いた時に伝えろよ。
──いや、普通信じるか?それだけの情報で、しかも子供の言うことだぞ?
──………そうだな。確かに、難しいかもな。
と周りが話している声に対しイルマは、僕らもそう考えたと伝えた。
そして、仮に伝えて動いてもらえることになった場合でも、少数で調査し、その少数が何かあった場合に少ない村の戦力が更に少なくなることを危惧したと、自分の考えを周りに伝えるイルマ。
そのイルマの危惧した考えに、
──成る程。その段階の情報だと、少数の調査が妥当な判断になるな。
──村の戦力が少なくなる……それは確かに危惧する事態だな。
──だが、速く森の異変の情報を届けることも大事な事だぞ?
そんな声に対しイルマは、「確かに。それは僕も考えました」と頷いては答え、「それでも現状の状態を考えたら、少数の調査の危険を考えたら確実に多くの人間が動いてもらえるように、証拠や大人が無視出来ない物を用意することを考えた」と伝える。
その為に、大人に信じてもらえる方法1つとして、強い魔物を倒して村の近くに強い魔物がいるぞと伝える、それでも信じられない場合原因を探る行動に出れるようレベルを上げていたとそこまでイルマが話すと周りを見た時、デルおばさんやドラン、周りにいた大人達は呆気に取られた顔をしていた。
「(おい、普通ここまで考えるか普通。)」
「(考えねぇよ、まして子供がここまで考えるかよ)」
「(だよな、俺達でもそのままギルドに報告か、精々調査をした方がいいって進言するぐらいじゃねぇ?)」
「(だよな、普通の子供は気付かないか、気付いてもどうしたらいいか悩むか大人に言うぐらいだろ?)」
「(コイツら普通じゃあねぇよ。)」
「あんたらうるさいよ!!」
「うるせぇよ!静かにしろよ!!」
「「「「!?!?」」」」
ガタガタ騒ぐ周りの人に対し、デルおばさんとドランが荒げた声で静かにさせる。
その2人の声に対して、話をしている側のイルマ達もビクっと肩を揺らして驚く。
「……はぁ、悪いねイル坊。続きを話してくれるかい?」
「話の途中に、ガタガタ煩くしてわりぃな」
「………いえ、続きだけど──」
「「「(この2人、怖え(いわ)ーー)」」」
デルおばさんとドランの迫力に圧倒されるイルマ達だが、話の途中なこともあり続きを話していく。
そこまで考えたイルマは、強くなる為に村の外れでスライムやゴブリンなどを余裕を持って倒せるようになって、次は装備を出来るだけ整えてから次は平原に行ったと話す。そこは周りの大人もうんうんと頷き、イルマの考えからその行動内容には納得する。
そして、平原に向かったらそこでスライムキバやビッグラビットを倒した所まで話すと、周りの大人は子供達だけで中々やるなぁ~と感心していたが、その後レッサーウルフの群れに包囲されながらも返り討ちにした話から、周りにいる大人達は信じられない話を聞いてるような表情をし、しまいには≪魔物使い≫が大量の魔物を引き連れて襲って来た話には耳を疑う。
ちなみに大人達が耳を疑ったのには訳が有る。
今、台車に《魔物使い》やその他複数の魔物の死体が有ることから、イルマ達が罠や奇襲、もしくは何らかの理由で弱っていた《魔物使い》を倒したと思っていたのだ。その他の複数の魔物は別で倒して一緒に台車に乗せて持って来たと、それが今のイルマの話からだとこの《魔物使い》と正面から戦いを繰り広げたと分かったからだ。
そんな大人達が驚愕している中、イルマの話は続き《魔物使い》が大量の魔物を引き連れて襲ってきては、最後にはオークが単体だが出てきて倒した話をした辺りで、周りにいる大人達は開いた口が塞がらない状態になっていた。
「………」
「………」
「「「「「………………」」」」」
イルマ達は話を終えた後、周りにいる大人達が黙っている様子に不思議そうにしていた。
「……どうしたんだ?皆黙って……」
「そっそうよ!嘘じゃないんだから!」
「………証拠ならある。イルマ、2台目の台車を持ってきてもいい?」
「……うん。その為に2台に台車を分けたんだからね。ちょっと待って」
シーラの言葉にイルマは頷く。
そう、イルマは実はこうなると思って台車の2台目を外に置いてきていたのだ。
何故ならイルマ達の話は信じるにも大きすぎる話であり、幾ら《魔物使い》の死体が有ったとしても信じれないと思うかもしれないからだ。
だから、そのタイミングで2台目の台車の中身を見せて、更なる証拠と信じるには値するインパクトを出す為に2台目は外に置いてきていたのだ。
そして、イルマ達が2台目の台車をギルドの外から押してきたら、その様々な素材や魔物の死体の量にイルマの狙い通り、大人達は声が出ない様子で作戦が上手くいった。
「ッ!?こっこれは……本当にイル坊達が?」
「……イル坊達が嘘ついていると思っていなかったけど、……マジか……この死体なんて、本当にオークだぜ。それにこの数……はぁー、……これなら嘘の方がよかったぜ。」
「「「「「(マジかよ!?それに何だあの数!?)」」」」」
イルマ達が押してきた2台目の台車の中身である魔物の素材や死体などの数、オークの死体を見たことにより、イルマ達の話を疑う者はこの場には誰もいなくなっていた。
その周りの大人の様子を見たメラ達は、密かに以前イルマが言っていた話を思いだし、イルマの話を疑っていなかったがその通りになったことに、イルマの凄さをメラ達は再確認していた。
イルマはそんなメラ達の様子に首を傾げていたが、イルマは話を終えてこの話を聞いたギルドや冒険者は、森の異変についてどうするのかと尋ねる。
今のイルマの話から村の外れの魔物の数や魔素の件はともかく、森に出現するオークが≪魔物使い≫によって平原に他の大量の魔物が出たことなど村にとって絶対無視出来ないことだ。イルマ達の話は矛盾していることはなく(無茶は一杯あったが)、証拠も≪魔物使い≫や≪オーク≫の死体、大量の素材や死体があるのでこの話が真実なのは明白だ。
デルは直ぐに、緊急依頼で、最低オーク相手が出ても逃げれる力があるDランク以上の冒険者達、それでいて探知系の技能持ちには指名依頼で森の調査をするよう手配、ギルドマスターや村に影響がでる可能性があることから村長にも連絡を入れるために動きだし、ドランは今すぐ動けそうな冒険者や探知系技能持ちと探索の準備を始める。
周りにいる冒険者達も動ける者は道具や装備を整えるためギルドの外に行ったり、ギルド側の指示を確認する者など動く。逆にランク外の冒険者は事態にビビるものやどうすればいいのか慌てたり、賢い者はギルドや先輩冒険者に指示を仰ぐ者、自分で考えて動いていた。
イルマ達は周りの大人達が、自分達の話を聞いてからの動きに着いていけず固まっていた。
そんな中イルマは、メラ達に今は自分達には何も出来ることはないからとりあえずギルドを出ようと伝える。
メラ達はイルマの言葉に従いギルドを後にする。
イルマ達はギルドを出てはいつも集合している場所に行き、先ほどの話の結果と、これからどうなるか話し合いをしていた。
「先ずは僕らの話だけど、信じてもらえたのは確実と思う」
イルマの言葉に全員頷く。
「その後の大人達の動きだけど、ギルドや冒険者達の動きから考えると、調査に入る流れは同じでも、力の入れ具合いが全然違う。ランク制限と探知系技能持ちを入れるなんて、ギルドは本気だよ」
イルマは大人が自分達の話を聞いては、本気で森の異変に対応してくれていることを皆に伝える。
「よし!」
「イルマの作戦通りね!」
「………これで安心、かな?」
イルマの話を聞いて安心するメラ達。
「………それはどうかなぁ?」
「?どういうことだイルマ?」
「そうよ、何か問題でもあるの?」
「………イルマの作戦通りだけど……作戦に問題があった?」
「そうだね、作戦には問題はないよ。作戦も今の所上手くいってるし」
「なら、何が問題何だ?」
「≪魔物使い≫だよ」
「≪魔物使い≫?それがどうしたのよ?」
「?≪魔物使い≫は倒した筈……」
「≪魔物使い≫は倒したけど、≪魔物使い≫が異変の原因じゃないし、問題は異変は森だと僕は言ったよね?」
「そうだなぁ~そう言ってたなぁ~それで結局どういうなんだよ?」
「異変は森でも大人が本気で動いてくれてるなら問題ないんじゃないの?」
「異変は森……、≪魔物使い≫は倒した……≪魔物使い≫は異変の原因じゃない……大人は本気で動いてくれてる……でも問題がッ!?ーー作戦をたてた時と今の事態が変わった!?」
シーラはイルマが言いたいことに気づいたようだ。
「作戦をたてた時と今の事態?」
「それが変わった?」
どういうことだ(よ)?、とまだ分かってないダンとメラは理解したシーラにどういうことか聞く。
シーラはイルマのヒントから事態の問題に気付き、気づいた問題をダンとメラにも教える。
「……いい、ダン、メラ。聞いて」
「イルマが言っているのは作戦は≪魔物使い≫が出現する前にたてた。それはその時にはそこまで深刻じゃない時の状態での話だった時の作戦。でも今は」
「「今は?」」
「異変は≪魔物使い≫が出現する程の問題になっているってこと。作戦をたてた時と、作戦を実行する時じゃ事態の規模が変わっている。だからイルマは最悪を想定して作戦をたてたから致命傷じゃあないけど、それでも不安が残る」
「「!!」」
「……イルマ、この答えで合ってる?」
「いや、シーラ正解だよ。」
「デルおばさんも最悪を想定して、村長やギルドマスターに連絡しているみたいだ」
「戦力の増援や避難などね」
メラ達は安心していた自分達は考えが足りてなかったことに気付き、先ほどまでの安心はきれいさっぱりなくなっていた。
メラ達はイルマにこれからはどうしたらいいのか聞くが、イルマも少し時間が欲しい。なので今日は休みまた明日、またこの場所で集まって作戦を考えようと伝える。
「それに皆忘れてない?」
「忘れている?」
「私達、何か忘れているの?何かしら?」
「……………」
メラ、…俺達何か忘れてたか?
さぁ~、何のことかしら?
シーラ以外は、今日のことで起きる現実にまだ気付いていないようだ。イルマ自身他人事じゃないので気が重たいが、知らずその現実を迎えるのは流石に可哀想と思い、イルマはダンとメラにこれから確実に起きる現実を教える。
「…ダン、メラ……確実に今日のことは僕らの親の耳に入るよね?」
「「!?!!」」
「………」
「その後は……分かるよね。」
「「アァーーーー!?」」
≪ヤバイッ!?絶対に怒られるーーッ!!≫
イルマの言葉とシーラの態度にこれから起きる現実の正体が分かったダンとメラは、そのことを想像し、叫び声を上げるのだった。
案の上、この後家に帰ったイルマ達全員は、今日ギルドで有ったことを耳に入れた親に、見事に雷を落とされるのであった。
この後のイルマ達はどう動くのでしょう?