第18話(幼なじみ達の固有技能)
過去最高に長くなりました。
それで投稿が遅くなったんですけどね……
では、異世界トラブル続きをどうぞ!
「はぁっ、はぁあっ!!」
「………は、は、はぁ………」
「……はぁ……はぁ……………」
「……………………ふぅ…………」
僕らは村外れに到着してから、スライムやゴブリン相手に確認するかのように戦闘を行い、成長したステータスを身体に慣らしていた。
ちなみに前回僕の固有技能である【開示】で確認した全員のステータス、成長した職業や能力値、レベルアップした技能や新たに手に入れた技能だが、それはこれだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
名前 ダン
職業 闘士3→5
レベル 5→10
力強さ 80→95
体力 80→95
頑丈 100→120
敏捷 75→90
魔力 20→30
合計75up!
技能スキル
【通常】
≪剣術3→4≫≪盾技1→2≫≪気配察知1≫new
【希少】
≪頑強3→4≫≪闘気2→3≫
【耐性】
≪苦痛耐性1→2≫
名前 メラ
職業 魔術師3→5
レベル 5→9
力強さ 45→55
体力 55→65
頑丈 45→55
敏捷 65→75
魔力 145→165
合計60up!
技能スキル
【通常】
≪魔力感知1→2≫
【希少】
≪魔力覚醒3→4≫≪魔力消費減少3→4≫
【魔法技能】
≪風2→3≫≪火3→4≫≪土1→2≫
魔力操作3→4、魔力放出3→4
名前 シーラ
職業 呪癒師3→5
レベル 5→9
力強さ 40→50
体力 70→80
頑丈 50→60
敏捷 50→60
魔力 110→130
合計60up!
技能スキル
【通常】
≪魔力感知1→2≪短剣術1→2≫
【希少】
≪魔力回復3→4≫
【耐性】
≪打撃耐性1→2≫
【魔法技能】
≪水3→4≫
回復魔法1new、魔力操作3→4、魔力放出3→4
名前 イルマ
職業 練装師3→5 2nd≪魔術師4→5≫、3rd≪剣士2→3≫
レベル 5→11
力強さ 135→195
体力 135→195
頑丈 135→195
敏捷 135→195
魔力 545→605
合計300up!
技能スキル
【通常】
≪聞き耳5→6≫≪剣術1→3≫≪格闘1→2≫≪疾走3→4≫≪気配察知1→3≫≪気配遮断1→2≫≪鷹の目3→5≫≪魔力感知1→2≫≪腕力強化1→3≫
【希少】
≪蓄積1→2≫≪隠蔽4→5≫≪複数職業1→2≫≪器用貧乏3→4≫≪闘気1→3≫
【耐性】
≪苦痛耐性4→5≫≪打撃耐性1→2≫
【魔法技能】
≪風2→3≫≪火2→3≫≪水2→3≫≪土3→4≫
回復魔法1→2
【職業技能】
練装師技能≪練波連撃≫new
【固有技能】
≪ガチャ≫
※レベル10到達ボーナスあり、sp100<ガチャポイント>獲得
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
その今までない上昇したステータスに、イルマ達はスライムやゴブリン相手に確認作業をするかのように戦闘を行っていたが、上昇したステータスだけあって慣れるのには随分と苦戦していた。
特にイルマは4人の中でも1番技能数や能力値が高いため、今までのステータスの差が激しいこともあり、4人の中で1番今のステータスに慣れるのに苦戦していた……
「────イルマ~、どうだ調子は?」
「─────私達はもう、今のステータスに慣れたわよ?」
「…………仕方ない。イルマは私達の中でも、特にステータスの値が変だから、そのステータスが上昇したら慣れるのも大変………」
「(………変で悪かったねっ!)………ごめん、でも漸くだいたい今のステータスでの戦いに身体が慣れてきたよ」
「そうか、それは良かったぜ!──────────でもイルマが言ってた通り、俺達のレベルも村の同年代のやつらに追い付いてきたな!」
自分達のレベルが漸く同年代に追い付いてきたと喜ぶダンだが、
「………まだよ、まだアイツにはまだ追い付いてないわ!」
「…………アイツ、"リラン"………!!………まだ追い付いてない、ー許せないー 」
「(い、イルマ、あ、あの2人が怖い……)」ブルッ
「(だ、ダン、そ、そこに触れたら駄目だよ……)」ブルッ
「そうよ!ついでに腰巾着のカラ、イラ、ベンの3人もよ!追い付くだけじゃ足りないわ、アイツらのレベル何て後少しで追い抜いてやるんだから!!」
「…………」コクッ
「「う、うん(お、おう)」」ブルッ!
アイツらにギャフンと言わしたるんだから!、とメラとシーラがまだ何時も自分達を馬鹿にしてくるリランに追い付いていないと怒りの声を上げる。
その2人の怒り具合に、特にまた暗黒モードになったシーラにリラン達に2人と一緒に怒りを燃やしていたダンも恐怖し、同じくイルマも2人にビビっていた。
◆◇◆◇
「あ、慌てない慌てない。そんなに気合いをいれてたら危ないから……」とイルマは怒りに燃えているメラとシーラの2人をゆっくりと諌める。
イルマに諌められたメラとシーラの2人は、まだ怒りを覚えている様子だが何時までもリラン達のことで時間を無駄にする訳にはいかないと思い怒りを抑える。
メラとシーラの怒りにビビっていたダンは、2人の怒りが抑えられたのを見ては諌めたイルマに感謝していた。
「(イルマ~~、ありがとう。助かったぜ!)」
「(ダン……確かに2人とも怖かったから……)」
そんなダンの様子にイルマは仕方ないと苦笑し、その後イルマは気を入れ替えてこれからの予定をメラ達に話し始める。
「先ずは平原で、余裕を持って戦えるようになることを第1目標としよう。───今の僕らじゃあまだ余裕を持って戦える程の力がないからね」
上昇したステータスでもまだ足りないと告げるイルマ。
「そうか?俺達レッサーウルフには苦戦していたけど、他の魔物には楽勝だったじゃねぇか。それよりも成長したこのステータスに慣れた今なら、レッサーウルフも問題なく倒せて平原で問題なく戦っていけるんじゃねぇか?」
「そうよイルマ!今のこのステータスの私達ならいけるわよ!」
ダンとメラはまだリラン達に追い付いていないが、今の自分達のステータスに少し自信があり、イルマの言葉を聞いてはまだまだと言われたように感じたようで、その為ダンとメラの2人はイルマの言葉に問題ないと反対の意見を述べる。
「………ダン、メラ。………イルマの話を、最後まで聞こう」
とシーラの言葉を聞いたダンとメラの2人は口を閉ざし、シーラはイルマの方に向いて「イルマ、話を続けて」と言う。
「……ダンとメラの言う通り今のステータスならあの時みたいにならないと思う」
でも、とイルマは言って話を続ける。
「だから大丈夫って思うのは甘いと思う。あのレッサーウルフ達が平原で最強の魔物って訳でもないんだよ?少ないけど、今までレッサーウルフよりも強い魔物も平原で出た情報は有るんだよ?」
「それに今のステータスならいけるって話も、だからって別にそこまで余裕って訳でもないと思うし、その段階で余裕っておもっていたら、その強い魔物が出現した時には今度こそ危ないかもしれない」
「だから、まだ足りないって言ったんだよ。」
「「「………………」」」
イルマの説明を聞いて反論出来ないと思ったダンとメラ。シーラもイルマの話に(確かにそこまで余裕がないかも)と内心で思うのである。
………イルマの言う通りだぜ。
……くそ~~、今回のことはちょっと反省しないとな………。
確かに平原で主に出現する魔物は全部倒した。
特に危険なレッサーウルフも今なら問題ないと思うが、でも平原で出現したことがある魔物を全て倒した訳じゃない。
それに忘れていたがイルマの言葉を聞いて思い出した。
俺も前に平原について情報収集した時じゃないが、平原にはたまに強い魔物も出てくることがあるって聞いたことがある。
その強い魔物が出現した時に、今みたいに余裕こいていたら確かにイルマの言う通り危険だぜ。
ダンは下を向き、イルマの話の内容を聞いて内心で振り返り反省する。
………ちょっと私、自惚れていたのかしら。
レベルも村の同年代の子達に追い付いてきたし、リラン達にはまだレベルが追い付いてないけど能力値なら私達の方が上だし、リラン達とは違って私達には大人の手を借りずの単独の戦闘経験もある。それに主にイルマの力でとはいえ、レッサーウルフの群れに包囲されてから撃退したことで調子に乗っていたみたいね。
メラもダンと同じく、下を向いては自分がレベルアップして成長したことで表向きでは自制していたが、内心成長した自分達の力に調子乗っていたのだとイルマの話を聞いて自覚する。
「───その上で言うけど、」
特に(シーラも多少メラとダン同様に自分の力に過信していた)ダンとメラの2人が、今回の自分達の言動にイルマの話を聞いて反省していると、イルマが幼馴染み達に注意するかのように更に話を続ける。
「僕らは《魔物と戦っているんだ》」
「僕ら人類は《魔物についてまだ知らないことが一杯ある》。だからこと、魔物との戦いは弱い魔物が相手でも何が起きるか分からない。そして、この前みたいに危険な場面もこれからもきっとあると思う」
「でも、その時になってその場には助けてくれる人はいない。魔物と戦っていくことは、僕らの身の安全は僕ら自身で守らないといけない。だからこそ、魔物との戦いを行う際や探索の際には余裕がない状態は避けるべきだ」
「勿論、そんな場面で探索や戦わないといけないこともあると思う。例えば、戦力や数がわからない魔物の巣に入って戦うなんて冒険者になればあるかもしれない。他にも急に盗賊が襲ってきたりすることなんてあるかもしれない」
そこまで話をしたイルマは話を一旦止め、皆の顔を1度見てからゆっくりと忘れないように最後の言葉を皆に告げる。
「だから何かあった時に、自分達で自分達の身の安全を守れる力を持って行動する。それが臆病や慎重過ぎると言われても良い。何かあってからじゃ遅いんだ。遠回りでも、時間をある程度掛かってもいい、安全を確実を選びたい。そして僕自身も気を付けるけど、皆も気を付けることで危険を自分の手で回避して欲しい。こんな魔物や盗賊と戦う冒険者になろうと言った僕が言うのは変かもしれないけど、皆には無事でいて欲しいから………」
勿論、無理な時や無茶をしないといけない時もあることがあるのはわかってるけど、でも、今じゃないでしょ?、とイルマは皆に自分の考えや思いを伝えた。
イルマの話を聞いたメラ達3人は、イルマの言葉が何も間違っていないと感じ、理解した。
そして、自分達はいつの間にか調子に乗っていたかもしれないと思い、再度反省しては気を引き締めるのであった。
◆◇◆◇
………少し言い過ぎたかなぁと思ったけど実際に思ってたことではあるし、ダンとメラの考えだと(シーラは分からなかったけど)いつか何かあった時に対応が出来ず危なくなる可能性があったから心を鬼にして慢心していた気持ちを叩き折った。だからこれで皆が自分達の力に慢心しないようなれば、より安全に魔物と戦うことが出来る。だから落ち込む姿には堪えるけどこれでいいんだ。
幼馴染み達の反省し落ち込む姿に流石のイルマも言い過ぎたかと堪えたが、これは危険を遠ざけるには大事なことだと自分を奮い立たせた。そしてイルマは、今度は落ち込む皆を元気付ける為にそろそろメラ達には内緒(メラ達の成長を阻害や慢心しないためにも伝えずにいた)にしていた各自の【固有技能】のことを伝えようと考えていた。
元々平原でレッサーウルフ達に包囲された時にだって、皆が【固有技能】を使えていたら問題なく対応出来ていたはずだ。
それに、そろそろ平原の戦いをクリアしたら森の異変の対応するためにこれ以上にレベルアップするためにも村外れ、平原に次の段階として浅い所になるけど森の探索を開始しようと思っていた。
それに皆が固有技能が使えていたら、安全性や森の異変に対しての解決に大きな力を発揮するだろうし、いきなり森の中の探索の際に教えて使うのは危険だから力を使い慣らす為にも今が皆に【固有技能】を教えるベストなタイミングなのかもしれない。
イルマは反省し落ち込んでいる幼馴染み達の姿を見て、この様子なら今教えても慢心したりとしなくて問題無いよね?、と【固有技能】を教えても問題無いと考えては「皆に今まで言っていなかったことがあるから聞いてくれる?」と声を掛けるのである。
「皆、実は皆のステータスのことなんだけど……皆には伝えていなかったことがあるんだ」
「「「ステータス?伝えてないこと?」」」
落ち込んでいたメラ達だったが、イルマが告げた言葉の内容が何のことか分からず顔を上げては首を傾げる。
「俺達のステータス…?」
「……???何なの、イルマが私達のステータスで伝えていないことって?」
「………私達に伝えていないこと?……」
「それ何だけど…」
「「「……それは?(何?何のこと?)」」」
「………皆が固有技能を保持していることだよ」
「「「…………………」」」ビキッ!
イルマの言葉に、メラ達3人は口を開けては身体が固まる。
………固有技能?
………私達、……全員が?
……………冗談?
「─────はぁっ!!??」
「────な、何ですってっーー!!??」
「私達が固有技能を保持しているっ!!?」
「《どういうこと(なの)(だよ)!?イルマ!!》」
とイルマの言葉を時間を掛けて理解したメラ達は驚愕し、そのことを内緒にしていたイルマに本当なのか、嘘じゃないのかと詰め寄る。そのメラ達の反応に「え、えっ?確かにビックリすることだけど、そこは先ず喜ぶ所じゃあ………」、とイルマもメラ達同様に元気になったことには狙い通りだが予想していた反応とは違い驚いていた。
しかし、メラ達の反応もイルマの反応も仕方ないことだ。
◆【固有技能】……イルマは転生した時から保持していた特別な技能。(イルマがそれを保持していることは、イルマから聞いて知っていたメラ達はイルマだからと諦めている)
そして、イルマはメラ達の前では隠していないが(ガチャは別、ガチャはイルマの切り札だから)、普段から使用していて見慣れて珍しくないように見えるが、普通は1部の貴族や騎士、上級冒険者を除けば保持してない。そんな特別な技能を、イルマだけじゃあなく、こんな村の子供である自分達全員も【固有技能】の保持者だとイルマは言っているのである。特別な技能、それこそ英雄クラスが持つ技能を持っていると聞かされて喜ぶよりも先に驚愕するメラ達の反応は、ごく普通の反応だ。
イルマは自分は最初から持っていることを知っていたり、前世のゲームのキャラだと持っていることが別段珍しくないことから、皆が【固有技能】を保持していると聞いて驚愕よりも喜ぶと考えていた。(つまりイルマの考えがおかしいのである)
メラ達は今の話が本当のことだとイルマの様子から知り、今度はイルマが何で今まで言わなかったのか、何で今になって言ったのかと気になりイルマに理由を尋ねる。
イルマはメラ達の疑問にそう思うよなぁっと思い、疑問に答えていく。
「今まで言わなかった件だけど、皆は【固有技能】を持っているって伝えたらどうなっていたと思う?」
「【固有技能】を持っていると聞いてたら?そりゃ~めちゃくちゃ嬉しいぜ!何せ英雄クラスだけが持っている特別な技能なんだからな!!」
──俺が英雄になるかも?くぅ~~、マジめちゃくちゃいい話だぜッ!!
「そうだわイルマ!もっと早くに【固有技能】を持っているって言ってくれてたら、それを村の皆に伝えていたら私達、別にレベルが1でもリランや他の子達にもこんなに馬鹿にされなかったじゃないの!」
──そうだったら今までアイツらなんかに~~!!
「………【固有技能】を持っていると知っていたら?………どんどん【固有技能】を使って、強くなれたと思う」
──【固有技能】!……その力があれば……今頃どんなに強くなれた??
そんなメラ達の言葉を聞いたイルマは、今まで内緒にしていた自分の考えは間違ってなかった、と再確認した。
そんなことを思っているイルマに、メラ達はもっと早くに教えてくれたら良かったのに!、と告げてくるがイルマはため息を吐いてメラ達に「………だからだよ」と呟く。
「………イルマ?何がだからだよなんだよ?」
「何よ、私達何か変なことを言ったの?」
「……【固有技能】を持っていることを知っていたら、普通なことを言ったと思う……」
その言葉にそれだよ、とイルマはメラ達3人に指摘する。
「皆にもっと前に【固有技能】の保持者だよっと伝えていたらそれを周りに言ったりするって言うけど、それも問題だけど戦い方も【固有技能】頼りにならないって言える?」
「「「あっ!!?」」」
イルマの言葉にメラ達3人は口を揃えて確かに、と呟いてはそうなることを予想する。
「周りに【固有技能】保持者ですって伝えていたら今の僕らがあると思う?ないね。こんな村から複数の【固有技能】保持者が出たんだ、きっと貴族や偉いさん達はこう考えると思うよ……"絶対に他にもいるだろう?"、"何でこんな村から複数の【固有技能】保持者が出たんだ?""理由はなんだ?"ってことになり確実に騒ぎになるに決まっているよ」
メラ達もその光景が頭に浮かぶ。
「そしたら今みたいにパーティーを組んだりは出来ないかもしれないし、組めても今みたいには強くはなれないだろうね」
「えっ、何でだよ?【固有技能】のことを早く知っていたら何で今みたいに強くなれないだよ?」
「そうよ。何で今みたいに強くなれないのよ?【固有技能】を早くから知ってたら使いこなして、なんなら今よりももっと強くなれるじゃない?」
「……うん。ダンとメラと同意見」
「無理だよ」
「~~っだから何でだよ!」
イルマの断言に、理由が分からないダンは唸る。
「そうよ!イルマ、勿体振らず言いなさいよ!」
「気になる」
メラとシーラの2人もダンと同じようでイルマに理由を教えるように詰め寄る。
「ダンもメラにシーラも、さっきから【固有技能】を早くに知っていたら使いこなして強くなれるって言葉に余計にそう思ったけど、僕から言わしたらそれは【固有技能】頼りの強さだよ」
「「「ッ!?」」」
「──【固有技能】に頼らずとも、僕らは頑張ってレベル1から短期間でここまで強くなった。でも、それは元々レベルを上げる前から自分に足りない物を訓練したり、頭を使って苦労して培ったから得た物のはずだよね。もし、最初から【固有技能】に頼っていたら手に入れることがなかった物のはずだよ?」
「そして今のメラ達は自分に足りない物を訓練して、頭を使って強くなった。それに今更に【固有技能】という力がプラスされる」
「もしこれが早くから【固有技能】保持者と知っていたら、それ頼りの戦闘方法になって他の力や頭を使う力が育たなかった。【固有技能】は僕も保持しているからわかるけど、英雄クラスが持つと言われているだけあって強力な技能だ。だからこそ大抵の壁は【固有技能】の力だけで乗り越えられてしまうから、早くから知ってしまっていたら逆に成長の阻害になると思って黙っていたんだよ」
──それに慢心もしやすくなるしね?っとイルマは言う。
──確かにその通りだぜ。さっきまで慢心していた俺なら、イルマから早く固有技能を保持しているなんて聞いていたら絶対に慢心してたぜ。
──イルマの懸念は最もだわ。さっきも慢心していたし、きっとイルマの考えていた通りになっていたわ。
──………今までイルマが黙っていたのも納得。
イルマの言葉を聞いたメラ達3人は、イルマの言うことが何も間違っていないとしっかり認識し、イルマが何故今まで黙っていたのか納得しては黙っていた不満が無くなる。
「これだけでも【固有技能】を知っていて強くなったか、【固有技能】を知らなくて強くなったかは、どっちが強くなれたかわかるよね?」
イルマのその言葉に、メラ達は「分かる」と頷いては今まで自分達が固有技能を保持していたことをイルマが知っていては、自分達に黙っていたことを許すのである。
それと同時に、今日はイルマに言い負かされてばっかりな事実に悔しい気持ちと、逆にこんなにも言い負かされ過ぎて笑い声が出てきた。
メラ達の笑い声が収まり、イルマに自分達のことを思って内緒にしていてくれたこと、そこまで自分達のことを考えてくれたことにお礼を伝えた。イルマはそんなメラ達のお礼に目を丸くすると、何よ?っメラにジト目で睨まれごめんごめん、と謝るのである。
その後、自分の為(自分の目的を叶える為にメラ達にも強くなってもらう必要があるので)でもあるから気にしないでとメラ達にイルマは伝えた。
そして話が一段落着いた頃、ダンが結局自分達の固有技能はどんな技能なのかと気になり、メラやシーラも私達もどんな固有技能なのか気になるとイルマに尋ねる。
「そういえば話を長くしていて、どんな固有技能を保持しているかまでは話していなかったね。え~と、メラ達の固有技能の能力は…………」
イルマは最初にダンを、その次にメラで最後にシーラを視ては皆の固有技能の能力名と能力を伝えていく。
──────────────────
ダンの【固有技能】
≪戦気覚醒≫
能力は、発動時…全ての能力値に+100。あらゆる戦闘関係の能力を底上げする(極)。発動時、体力消費の減少
メラの【固有技能】
≪魔道深域≫
能力は、発動時…自分の周囲の魔法の支配、強化、魔力量増幅(極)、魔力消費減少(極)、一時的な魔法レベルの上昇(魔法レベルがmaxの場合でも有効)
シーラの【固有技能】
≪不浄聖鈴≫
能力は、発動時…聖なる鈴の音が、自分や仲間に祝福(回復、能力値の上昇、技能強化)を与え、自分もしくは仲間に及ぼす害になる攻撃や効果を自動で防ぐ。(限界あり)鈴の音は闇属性の存在に特攻のダメージを与えたり、結界の作成可能。
──────────────────
「─────これが皆の【固有技能】だよ」
とイルマは笑ってメラ達に言うが、メラ達は自分達の【固有技能】のデタラメさに驚きを隠せず、皆の様子が変と気付き少し慌てるイルマを放置しては暫く放心していた。
今回はダン、メラ、シーラが【固有技能】を手に入れる!!
・ダン
【固有技能】≪戦気覚醒≫new
・メラ
【固有技能】≪魔道深域≫new
・シーラ
【固有技能】≪不浄聖鈴≫new
次回は再び、平原に行く予定です。