第17話(冒険者になる理由)
今回はイルマが冒険者になる理由と、イルマ達の最新のステータスを書いてます。
では異世界トラブルをどうぞ!
平原の魔物とレッサーウルフ達との戦いに疲れたイルマ達は、家に帰り熟睡していた。
「(う、うん……。もう朝か、結構深く寝たみたい。父さんや兄さん達の気配は家にはない……よく寝ていた間に仕事に行ったのかな?母さんは………この匂い、昼のご飯の支度をしているのか)」
次の日の朝、イルマが起きた時には父や兄達はもう仕事に出かけており、家には母イルミだけが居て昼のご飯の支度をしていた。
(昨日は母さんのおかげで助かったよなあ~)
(母さんが僕を心配して、匂い玉を持たしておいてくれたから昨日は無事に危機を乗り越えられた)
(口煩く言うことはそれだけ心配してくれてる証拠だし、実際に昨日はその心配で助かった(口煩く言われるその時は嫌になる気持ちはあるけどね…)
(転生した最初の頃はやっぱり新しい親の存在には戸惑ったけど、馴染めた今は本当の親であると思っている。でも、"前世を含めたら30歳以上にもなって"親に甘えたりするのが照れ臭いからことや、冒険者になる為に訓練ばっかりしてたから家族との時間が少ないことで随分と心配かけただろうなぁ~)
(で、今度は冒険者になるってことでまた心配をかけてる…僕のことで随分気を病んだと思う)
(心配をかけているのはわかっているし、悪いとも思っている。それでも僕は……)
母イルミの食事の支度をしている姿を見たイルマは、今までの自分の行動を振り返っては親に心配かけている事実を再度実感するが、同時に何故自分が冒険者になることを決めたのかその理由も思い返すのである。
◆◇◆◇
イルマは転生した直後は、"何で僕が!?"と混乱していたが楽しんでもいた。それは転生したこの世界では魔法や技能といった物があり、僕は直ぐに夢中になっていったからだ。実際に最初の頃は技能や魔法のレベル上げたり、増やしたり、能力値が増えていくのが楽しく仕方なかった。特に固有技能のお陰で数値としても成長が分かることもあり、嬉しいも増しだった。だから、この世界に転生した頃は家族のことよりもそちらの方が僕には重要だった。
だけど、そんな僕が冒険者を目指したきっかけは僕が5歳頃に母の体調が崩れた時にあった。
その時は母イルミの体調は何とか回復して今のように元気で過ごしている。そして家族の皆は母の身体が治ったと思っているが、イルマだけは母イルミの身体に起きた正体を知った。
実はイルマは、イルミが倒れた際にこっそりと【開示】を発動し、母が倒れた原因を調べていたのだ。
だからイルマだけは、母イルミと家族の皆が体調が回復して問題ないと思っている中で、1人事態の重さに頭を抱えていた。
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名前 イルミ
年齢 30歳
状態 病気(魔粒子分裂症)※初期段階
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これがイルマが固有技能【開示】で視た母イルミの身体の状態である。
そう、イルミは【魔粒子分裂症】を発症していたのである。
そして母イルミが発症した【魔粒子分裂症】というのは、身体の中に有る魔力が何らかの原因で粒子レベルに分裂していき、
その粒子レベルに分裂した魔力が身体を蝕んでいっては病気を発症した者を長い年月をかけて死に至らせる病気だ。
しかもこの病気の発症直後の初期症状は、身体に違和感を覚えるか少しだけ身体がだるくなるだけあり、深刻な病気なのか分かりずらいのである。
そして少しすれば体調が回復するが、そこからゆっくりとゆっくり分裂した魔力は病気を発症した者の身体を蝕んでいき、徐々に身体の調子を崩していくので気付いたときには病気が進行していて深刻化する。最終的に発症から30年で命を落とすのが【魔粒子分裂症】の特徴である。
【魔粒子分裂症】は非常に珍しい病気であるが昔とある王が同じ病になり、治療方法や病気についても詳しく調べられたので村人でも知っている有名な病気だ。
そして有名な病気なこともあり治療方法は判明しているが、治療に使う薬の素材が貴重でかつ有名な素材が必要で、薬の素材を集めることが難しいことも知られている。そう、ドラゴンの血液、精霊の涙、魔力草等の素材を使って出来る希少な薬である【万能薬】が必要なのだ。
そして薬に使う素材どれも普通に出回っている物じゃなく、仮に市場に出ても高額であり、村人おろか貴族でも中々手が出せない代物だ。
そして母イルミの病気の正体を知ったイルマは絶望する。
この世界の文明レベルは中世位だが、魔物の存在や気と魔力等が有ることもあり人の肉体は前世の人よりも逞しく、その為この世界の人の寿命は病気や盗賊と魔物等に襲われて命を失わなければ、前世の人よりも長生きだ。実際に平気で100歳超えでピンピンしている人が存在している。
しかし、母イルミはそんな何もなければ前世の人よりも長生きするような世界の中で、倒れた時期を考えたらだいたい50歳位がタイムリミットであると知ってしまったイルマは絶望して泣き崩れてしまった。
そうイルマは、この時絶望して自覚したのだ。
転生してから5年、転生して出来た家族に気まずさを覚えて距離感を作っていたが、そんな自分にいつも心配して気にかけてくれていた家族がいつの間にか自分の中では大切な家族になっていたことを。
そしてそんな大切な家族である母イルミは50歳頃に確実に亡くなってしまうことを。
しかし、今の自分や家族の立場は只の平民の村人だ。
周りにいる人間も村人であることからそんな大金を持ち合わせていない。
イルマはどうしたらいいか悩んだ。その時、ふと思った。今の自分は平民の村人だけど、英雄クラスの人間が持つ固有技能保持者なのだ。それも3つも保持している。
しかも幼なじみ達も固有技能保持者達だ。固有技能保持者でも治療薬に必要な素材を全てを手に入れるのは難しいかもしれないが、複数の固有技能保持者と固有技能保持者達の冒険者パーティーで挑めばどうだろう?
可能か?不可能か?
可能だと、しかも可能性は高いとイルマは思った。
母が【魔粒子分裂症】の病気だと分かり絶望し泣いた時は、何で!何故母がそんな病気に!そんな、不幸だ!と思ったが、今は解決するための方法がある自分の状況に幸運を感じた。
それからイルマは、幼馴染み達に自分と一緒に冒険者になってもらえるよう話をしては了承を得た後、その後はずっと密かに冒険者になるための訓練や知識を得る活動をしてきた。
その事を思い返したイルマは、食事の支度をする母の後ろ姿を見ては胸に手を当てて再度母親は自分が助けるんだという目標を心に誓うのだ。
そしてイルマは再度自分の心に目標を誓った後、外に行ってくると母に言っては家を出ていく。
─────タ、タタタ………………
◆◇◆◇
その後家を出たイルマは、昨日と同じ場所で幼馴染み達と合流した後に先ずは昨日平原で戦い成長した各自のステータスを伝えるのであった。
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名前 ダン
年齢 10歳
加護 剛体の加護
職業 闘士3→5
性別 男
レベル 5→10
力強さ 80→95
体力 80→95
頑丈 100→120
敏捷 75→90
魔力 20→30
合計75up!
技能スキル
【通常】
≪体術2≫≪剣術3→4≫≪盾技1→2≫≪気配察知1≫new
【希少】
≪頑強3→4≫≪闘気2→3≫
【耐性】
≪打撃耐性1≫≪痛覚耐性1→2≫
【魔法技能】
無し
【職業技能】
闘士技能≪闘気倍増≫
【固有技能】
※≪戦気覚醒≫
名前 メラ
年齢 10歳
加護 魔女の加護
職業 魔術師3→5
性別 女
レベル 5→9
力強さ 45→55
体力 55→65
頑丈 45→55
敏捷 65→75
魔力 145→165
合計60up!
技能スキル
【通常】
≪棒術2≫≪魔力感知1→2≫≪魔方陣作成1≫
【希少】
≪魔力覚醒3→4≫≪魔力消費減少3→4≫
【耐性】
≪魔法耐性1≫≪精神耐性1≫
【魔法技能】
≪風2→3≫≪火3→4≫≪水1≫≪土1→2≫
魔力操作3→4、魔力放出3→4
【職業技能】
魔術師技能≪魔力爆発≫
【固有技能】
※≪魔道深域≫
名前 シーラ
年齢 10歳
加護守護の御加護
職業 呪癒師3→5
性別 女
レベル 5→9
力強さ 40→50
体力 70→80
頑丈 50→60
敏捷 50→60
魔力 110→130
合計60up!
技能スキル
【通常】
≪体術1≫≪魔力感知1→2≫≪家事3≫≪短剣術1→2≫
【希少】
≪治癒力3≫≪魔力回復3→4≫
【耐性】
≪打撃耐性1→2≫≪魔法耐性1≫
【魔法技能】
≪水3→4≫
回復魔法1new、魔力操作3→4、魔力放出3→4
【職業技能】
呪癒師技能≪祝福結界≫
【固有技能】
※≪不浄聖鈴≫
名前 イルマ
年齢 10歳
加護 冒険の加護 ≪学習の加護≫
職業 練装師3→5 2nd≪魔術師4→5≫3rd≪剣士2→3≫4th≪村人10≫
性別 男
レベル 5→11
力強さ 135→195
体力 135→195
頑丈 135→195
敏捷 135→195
魔力 545→605
合計300up!
技能スキル
【通常】
≪算数5≫≪土木5≫≪画家2≫≪歌唱1≫≪工作2≫≪掃除5≫≪聞き耳5→6≫≪演技5≫≪剣術1→3≫≪格闘1→2≫≪疾走3→4≫≪射撃2≫≪気配察知1→3≫≪気配遮断1→2≫≪鷹の目3→5≫≪魔力感知1→2≫≪暗視1≫≪腕力強化1→3≫
【希少】
≪成長促進4≫≪蓄積1→2≫≪隠蔽4→5≫≪複数職業1→2≫≪器用貧乏3→4≫≪罠作成1≫≪闘気1→3≫
【耐性】
≪苦痛耐性4→5≫≪毒耐性2≫≪打撃耐性1→2≫≪魔法耐性1≫
【魔法技能】
≪風2→3≫≪火2→3≫≪水2→3≫≪土3→4≫
回復魔法1→2、無詠唱、魔力操作5、魔力放出5、生活魔法
【職業技能】
村人技能≪村人の決起≫
魔術師技能≪魔力爆発≫
剣士技能≪決死の一撃≫
練装師技能≪職業連擊≫≪練波連撃≫new
【固有技能】
※≪開示≫≪メニュー≫≪ガチャ≫
※レベル10到達ボーナスあり、sp100<ガチャポイント>獲得
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イルマから自分達の成長したステータスを聞いた幼馴染み達は、その成長具合に喜びを隠せずに興奮していた。
そして思ったよりも自分達が成長していることに興奮する幼馴染み達は、このまま平原に存在する魔物と戦うことやどんどん魔物を倒してレベルアップしようと驕りを見せる。
「待って、皆。これだけレベルアップを一気にしたんだから、平原の魔物でなく村外れのスライムやゴブリンとか弱い魔物でこのステータスに慣れないと危険だよ」
「でもよ~イルマ、これだけステータスが成長したんだから、別にスライムやゴブリンじゃなく平原の魔物相手で慣らししても大丈夫じゃないか?」
自分達のステータスの成長に喜びと興奮を見せていたダンは、そんな喜びと興奮が冷めることを言うイルマに拗ねたように反対の声を上げる。
そしてメラとシーラもダンと同じ気持ちなのか、ダンの言葉に頷いて同意し、イルマの言葉に反対の意思を伝えてくる。
「駄目だよ。昨日、僕らはレッサーウルフに相手に危険な目に合ったばかりだよ?幾らその時よりもステータスが成長したとしても、その成長したステータスに慣れてない内にまたレッサーウルフの群れに襲われたらどうするの?」
──その場合、昨日よりも危険だよ?
──《《《ウッ!?》》》
しかし、イルマは反対してくるメラ達相手に、正論を武器に説得するのである。
そして、イルマの正論に負けたメラ達はイルマの意見に従い、今のステータスに慣れる為に今日は平原に行かずに村の外れに向かうのだった。
次話の始めにイルマが成長したもののまとめを書きます。