第16話(練装師の力)
平原の戦いの続きは次回以降にします。
今日は昨日と比べ早めに投稿できました。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
イルマの必殺技である【練波連激】
それを喰らったレッサーウルフのリーダーは防御するがその身体は両断される。
「「「キャイ~ン!!」」」
生き残っていたレッサーウルフ達は、リーダーが殺られた姿とそれを成したイルマの力に恐れて逃げ出す。
それを見ていたメラ達は、イルマの必殺技の力に驚き、そしてレッサーウルフ達が撤退していく姿を見てようやく危険が去ったことを実感し、メラ達は力が抜けたようにその場で座り込み大きな息を吐く。
「────ハァーー、何とかなったぜ………」
「………今回は危なかったわね」
「………確かに。あんな数に包囲された時はどうなるかって思った」
「オーイ、皆ー!大丈夫ー?」
イルマが座り込んだメラ達の元に駆け寄ってくる。
そんなイルマに大丈夫っと座り込んだ状態でだが手を振り答えるメラ達。
「………よかった、無事で」
イルマはそれを見てホッと息をつき安心する。
しかしそれは仕方ないことだろう、イルマ達はレッサーウルフ10体以上に包囲され完全に後手に回り、何体かは逃すもリーダーを含めレッサーウルフを合計10体を仕留めたのだから。
これは驚異的なことだ。
4人ではといえど(殆どイルマの力だが)、10歳の子供が出来ることじゃない。あの状況は普通の冒険者でも危険な状態だった。それを完全に後手になってから状況を一変させて、反撃して何体か逃すとはいえ無事でいることなんて、10歳の子供4人がしたと言っても誰も信じない。
そんな信じられないことをしたイルマ達も、ようやく自分達が凄いことをしたんだと実感が湧いてきては、座り込んだ状態ながらも笑い、喜び合う。
そんな喜び合う中、メラ達はレッサーウルフの驚異が去っては落ち着いてきた。落ち着いてきたメラ達はイルマが最後に使った力が何だったのか気になり説明を求めた。
説明を求められたイルマは、村に帰りながらね、と言って皆に平原から村に帰るのを促す。
イルマの言葉に皆も疲れたこともあり同意し、座り込んだ状態から身体を起こしてはポルカ村に帰るのに足を進める。
そしてイルマは、ポルカ村に帰る前に辺りを索敵系技能で反応を伺い、危険がないことを確かめた後にアレね…っとメラ達に練装師の知られていない力について説明をしだす。
「最後に使った力だけど、あれは練装師の力だよ。」
「「「練装師の力?」」」
「うん、そうだよ」
イルマの言葉に首を傾げる皆は、イルマに詳しく説明を求める。イルマは頷き、練装師の力について詳しく説明を行っていく。
「───皆が知っている練装師は複数の職業の力を使えるけど能力値が何も特化されず平均的な能力値であり、それぞれの力は専門職業には劣る器用貧乏な職業ってことだよね?」
「「「うん(おう)」」」
イルマの練装師についての説明にメラ達はコクンと頷き、イルマの話の続きを待つ。
「でも練装師にはまだ知られていない力があって、複数の職業の力を同時に使って1つ1つの力を繋いで高め、大きな力にする力があるんだ。
それを使った必殺技を僕は【練波連激】って名付けた」
「「「………」」」
メラ達はイルマの説明を聞いて、何だそれは…っと唖然となる。
複数の職業の力を使える練装師という職業の力でありメリット。
それに対して練装師の職業のデメリットは、能力値が平均でありそれぞれの力が専門職業には劣ることだ。
今まで世間の認識ではそれが練装師という職業の認識であり、パーティーに1人いたら様々な場面で助かる存在であって、専門職業が必要な場面では力足らずの存在。(イルマの場合は高いステータスに物を言わせ万能な職業にしていた)
それがイルマの説明では今までの常識を壊す練装師の反則な力にメラ達は驚きを隠せない様子だ。
「僕も最初は知らなかったよ?最初に練装師になったのも自分のも、高いステータスを専門職業になることでわざわざどれかの能力値を減らすよりも、練装師で平均的な力って言っても僕なら全てのステータスを高いから万能の職業になれるからっと思い、練装師になったんだけどね」
イルマはメラ達にそれがこんな力があったなんて僕も知らなくてビックリした、と予想外だったことを伝える。そして、イルマは唖然しているメラ達に声を掛けてから話の続きをしていく。
「転職してからレベルアップしてた頃には、練装師の世間で言う複数の職業の力を使えることは実感してたんだけど、その力を一度に使えないかってふと思ったんだ。そして、やったら出来ちゃった」テヘ
思ったことが、やってみたら出来てしまったことに誤魔化すようにぶりっ子みたいな笑みを浮かべるイルマ。
「えっいつ!?全然気付かなかったわよ!?」
「そんな場面あったかぁ~?」
「………いつ?……」
「(……あれ、僕のぶりっ子には無反応?)」
しかし、メラ達はイルマが何時そんなことをしていたのか、自分の記憶を思い返すことに集中していてイルマのぶりっ子には無反応。てっきり自分のぶりっ子に皆が突っ込んでくれると思っていたイルマは、まさかの皆の無反応に少し顔を紅く染めては恥ずかしさを覚える。
──ゴッホン
自分の行いに恥ずかしさを覚えていたイルマだが、1度咳払いをして皆の視線を自分に戻し話の続きをする。
「──あ~、何時かはだけど、それは村外れでレベルアップをしてた時だよ。あの時は今と違い、魔法と一緒に村人の職業技能≪村人の決起≫とかを1度だけ使っただけだから、それで皆も気付かなかったじゃないかなぁ?」
僕も言わなかったしねっとイルマは笑って答える。
メラ達は村外れでレベルアップをしてた時のことを思い出す。確かにあの時のイルマの魔法の威力は、転職前と比べたら全然違う威力だった。だけどそれは、転職やレベルアップの影響と思い特に気に止めてなかったっと思い出す。
「そして、練装師の力には他の職業の力を使えるだけじゃなく、複数の職業の力を同時に使って高めることも出来ることを気づいた僕はそれを必殺技の原点に考えて、一番その力を高める方法を考えた。
────戦闘系の技能や能力値強化の技能を使った上に職業技能の掛け合わせ一度に放つ、それが僕の必殺技………
【練波連撃】」
それがあの戦いの最後に、レッサーウルフのリーダーに放った技だよ、とイルマはあの時の技の正体をメラ達に教える。
「練装師って、実はそんな凄い職業だったのね」
「こりゃ~凄いぜ!そこらの戦闘職よりつえー!」
「器用貧乏何て詐欺。イルマは元々ステータスが高かったからレベルに比べたら戦闘力詐欺な1面あったけど、職業でも詐欺」
「シーラ、詐欺は酷いよ」
「でも、事実」
ハハハ、とイルマはシーラの詐欺の言葉に抗議するも、即言い返されては事実なだけに言い返せずに苦笑いする。
「俺も練装師になったら良かったなぁ~、そしたら俺も【練波連撃】を使ってもっと強くなれたのによ~」
「あのね~ダン。そもそも適性がなかったらなりなくてもなれないからね?」
あんたに器用さはないから無理よ。とメラはダンには練装師になれないと告げ、そんなメラの言葉にダンはだよな~っと肩を落としガックリする。
「………でも練装師は実はこんな強い職業何だって、何で皆気付かない?」
「確かにそうね。何で今まで分からなかったのかしら?」
「そうだなぁ……不思議だぜ。でもよ、皆が知らないなら俺達で教えてやろうぜ!実は練装師がこんな力があって強い職業ってだってことによ!」
「…………それが、実はそんなことはないんだよ」
「どういうことよ?」「?」「どういうことだイルマ?」
メラやシーラは、何故今まで皆がこの事を知らなかったのか疑問を覚える。ダンもメラとシーラの疑問に同意するが、なら自分達が皆にこの事実を教えビックリさせようと声を上げるが、そんなメラ達の考えをイルマは否定する。
メラ達の考えを否定したイルマは、何故今まで世間に練装師の気付かれていなかった力の疑問に答える。
複数の職業の力を同時に使えるって言っても、複数の職業を鍛えるより、普通は1つの職業を鍛える。何故ならばその方が強くなるには早いし普通だ。
誰も時間がかかることや普通じゃないことはしない。仮にしたとしてもイルマと違い、他の人間が同じことをしても技能≪成長補足≫や固有技能【ガチャ】を持たない人がすればもっと時間がかかる上、物になるかはわからない。イルマも技能≪成長補足≫や固有技能【ガチャ】のお陰で高いステータスを得た土壌があったことと、複数の職業の力を一度に使えることに気付いたことがあって【練波連撃】が身に付けれることが出来たのだから。
イルマの説明に今までの練装師の認識に納得したメラ達。
練装師の気付かれなかった力の疑問を解決したメラ達。
そんな疑問が解決した頃、イルマ達はポルカ村に帰ってきた。
ポルカ村に帰ってきたイルマ達は、平原の主に出現する魔物を全て倒せたこともあり、今日はもう解散してはまた明日、と言っては家に戻っていき休むことにしたのであった。
イルマは解散しては各自家に帰る際、今日のことをメラ達の後ろ姿を見ながら振り返る。
レッサーウルフ達に包囲された時、あの時にもし母親の言葉を思い出すことがなければ、もし母親がイルマを心配していなければ、目の前の大切な幼なじみ達の誰かが犠牲、若しくは大きな怪我をしたかもしれない。
その事を心の中でイルマは思い、今一度しっかりしないといけない気持ちと強くなる気持ちを高めるのだった。
前回登場のイルマの必殺技
複数の職業の力を一度に繋いで高めて放つ技。
【練波連撃】
次回は今回のことでレベルが上がったので
最新のイルマ達のステータスを書きます。