第15話(平原での戦い2)
すいません投稿に時間がかかりました。
今までで一番長い話になりますが、平原での話はまだ続きます。今回は少しイルマがチートします。
では異世界トラブルの続きをどうぞ!
レッサーウルフの吼える声が辺りに響く。
レッサーウルフの吼える声を聞いたイルマ達は驚くが、直ぐに警戒心を最大にして戦闘準備を整える。
ーこの吼える声は、レッサーウルフか!?ー
ー全員、周囲を警戒!ー
ーわかった(わ)(おう)!ー
レッサーウルフはイルマ達にとって平原での主に出現する魔物四種類の中で現在唯一の未戦闘の魔物であり、イルマ達が平原で出現する魔物の中で一番警戒していた魔物である。
その為、イルマ達4人は最大限の警戒を払っていた。
………何処?
………イルマ、アイツらの反応は何処から?
………待って、アイツら気配を極力消している。
……マジか……厄介だぜ…
……今、全力技能を使って探る。
皆はその間、辺りの警戒を頼むよ。
……頼むぜ(頼んだわ)(お願い)、イルマ。
レッサーウルフが見えない中、イルマは自分が持つ技能である≪聞き耳≫や≪気配察知≫に≪魔力感知≫等、索敵系技能をフル活用してレッサーウルフを探る。
その間メラ達は、自分達も周囲の警戒を維持してはイルマがレッサーウルフを発見することを息を飲んで待つのであった。
………レッサーウルフは………いた!!こ、これはっ………ヤバイ!?
「皆ー!!僕達、既に
"囲まれている"!!」
「「「!!!?」」」
イルマがレッサーウルフの反応を索敵系技能で発見した時、その時には既にレッサーウルフ達はイルマ達を包囲していた。
その事に気付いたイルマは急いで皆に自分達がレッサーウルフ達に包囲されていることを叫ぶ。
そのイルマの叫びを聞いたメラ達は周囲を見渡す。
すると、イルマの叫び声で自分達が隠れて包囲していることがバレたと思ったレッサーウルフ達は草木から姿を現す。
「どうするよ、イルマ!」
──やべぇ、数が多い!
「完全に周囲を包囲、逃げ道はない!最悪、完全に後手に回ったわ!」
──完璧に先手を打たれたわ!
「………想像した中でも最悪の展開」
──どうすればいい?
「……………」
姿を現したレッサーウルフ達は以前イルマ達が見た時より多く、見渡す限り最低でも10体以上のレッサーウルフがいるのを確認出来る。
ーー考えろ、考えろ。状況は想像していた中でも最悪。完全に包囲されて逃げ道をなくし、こちらが後手に回っている……ここからどうするイルマ?ーー
イルマはこの状況の中、黙っては頭の中で必死に解決策を考える。
元々レッサーウルフとの戦闘の方針だが、こちらが先に発見した上で先手を打つのが基本方針の考えだったのだ。
相手は単体ではなく群れであり、今までの魔物と違い後ろに回られ後衛を攻撃される可能性が高く、先にこちらがレッサーウルフを見つけ先手を打ち、最悪の場合は逃げれるよう退路を確保することが最善策だった。次善策は最低でも後衛の2人がレッサーウルフから距離をとることを出来るようにするか、退路を確保してからの戦闘することだったけど、現状それも不可能だ。
ーーどうするーー
ー何かないか、現状を打破出来る方法はーー
ーーこのままなら混戦のまま戦闘になってしまうーー
イルマはどうすればいいのかと更に深く考える。
「(駄目だ、何も浮かばない!)」
だが、打開策がそんな都合よく浮かぶこともなくてイルマは焦る。
そしてその間にも目の前のレッサーウルフの群れはイルマ達に向かって包囲を崩さず距離を詰めてくる。
その姿を見てイルマはもう時間がない状況に焦り、額から汗を流す。
"イルマ!、またあんたは勝手に1人でどっかに行って来たでしょう!!何かあってからじゃ遅いのよ?"
"大人と一緒か誰かに何処に行くか伝えて行くかしなさい!
わかった?どうしてもっていうなら、最低これを持ってなさい!いい?母さんとの約束よ?"
「──あっ」
そんな時、イルマの頭に母親との約束が浮かび上がり、慌てて自分の服の中を探りだす。
すると、ズボンの右ポケットの中を探ったイルマの右手には、母親がイルマに渡していた匂い玉があった。
ーーこれなら……何とかなるかもしれない!ーー
イルマは急いで右手に握った匂い玉を取り出しては振りかぶり、メラやシーラの後方を囲っていたレッサーウルフ達に向かって放り投げる!!
──ヒュッ!!
──ヒューーーー
ーッ!?──グルル?ー
メラ達の後方を囲んでいたレッサーウルフ達は、突然放り投げられた匂い玉の正体を分からず警戒する。
そして警戒していたレッサーウルフ達は、まるで何だ?何が投げられた?といった様子で、飛んできた匂い玉から距離を取り見つめる。
そして放り投げられた匂い玉は、妨害されることなくそのまま地面に叩きつけられた。
──ヒューーーーボンッ!!
──シューー
「!?!?ーキャイ!?キャン!?」
地面に叩きつけられた匂い玉は破裂し、たちまちに魔物が嫌がる匂いが煙として周囲に広がる。
警戒して距離を取っていたレッサーウルフ達だったが、さほど距離を取っていなかったこともあり、比較的に至近距離で匂い玉の煙を嗅いしまい、メラ達の後方を囲んでいたレッサーウルフ達は堪らず悶える。
「────今だっ!!」
「「「ッ!!」」」
それを見たイルマは今がチャンスだと思いメラ達に合図を出す。
そのイルマの合図に、メラ達3人は全力でレッサーウルフ達の包囲を抜けるため悶えているレッサーウルフ達の横を走り抜ける。
そしてイルマは後方から追撃をされないよう発動が早く連射がきく下級魔法で残りのレッサーウルフ達に対して牽制しながらも、今が状況を立て直す機会だと察してメラ達3人に指示を出す!
「メラとシーラは魔法の準備!!魔法の準備が出来たら合図があるまで魔法を維持、合図があれば直ぐに魔法を放って!!」
「ダンは2人の護衛を!僕はそれまで牽制を継続する!!!」
「「ッ了解!」」
「───っ分かったイルマ。2人の護衛は任せろ!!」
イルマが牽制の為、1人でレッサーウルフと戦っていることに3人は一瞬言葉を詰まらせるが、直ぐに今自分が出来ることはイルマの指示に従うことだと理解し、指示通りに動き出す。何故ならば自分達の行動が遅ければ遅いほど、イルマの危険が増すのを分かっているからだった。
3人は包囲から抜け出した後、メラとシーラはイルマの指示通りに魔法攻撃の準備に入り、ダンはまだ匂い玉のせいで悶えてるレッサーウルフの1匹を切り捨てる。
イルマも牽制をしながらも悶えていたレッサーウルフを倒す。
これでイルマ達はレッサーウルフ達の戦力を、少しだが減らすことが出来た。
「よし、これで少しは減らせたな!」
「─────ハッ!
───そうだね。だけどまだまだいるよ。それに他のレッサーウルフ達はその間に匂い玉の煙が届かない所まで退避をしてこっちの様子を窺っている。やっぱりコイツら手ごわい!」
「「「グル、グルルルッ!!」」」
他のレッサーウルフ達は自分達も破裂した匂い玉の匂いを嗅がないよう退避しては、匂い玉の煙で悶えている仲間がイルマ達に倒されるのを近づきたくても近づけない状態に、悔しそうに唸りながらもイルマ達の様子を窺っていた。
イルマはそのレッサーウルフ達を確認しては皆に注意を呼び掛けながらも内心ホッと一息をつく。
先程包囲されてた時の不利な状況と比べて、今は後衛の安全と退路を確保が出来て互角な状況まで巻き返せたからだ。
メラ達も緊張は続いているが、先程迄とは違いレッサーウルフ達からの包囲から抜け出すことが出来て内心ホッとしていた。
そして、これでやっと反撃に移れると判断するイルマ達だったが、唸るレッサーウルフ達の姿を見てはどう反撃に出ようか思案する。
「(これからどう戦う?退路は確保していることだし、撤退を視野に入れて距離を保ちながらの遠距離戦か?
……………いや、遠距離戦だと足が速いレッサーウルフには攻撃を当てにくい。それに全員の残り体力を考えると遠距離戦での長期戦はキツイし、それに再び包囲されることになれば今度こそ危ない。………なら残り選択肢は攻勢に打って出ての短期戦………!!)」
イルマは今の状況と、全員の体力が今までの戦いと包囲されてたことから来る緊張によって疲れがあることから長期戦を避け、レッサーウルフ達が再び周囲を包囲しないうちに短期決戦をするのが得策と判断するのである。
そして短期戦を行うと決めたイルマは、メラ達に「レッサーウルフのリーダーと数匹のレッサーウルフを仕留めるから残りは任した」「皆は他のレッサーウルフ達を無理に倒さなくてもいいから、時間稼ぎをお願い」と指示を出す。
イルマのその指示を聞いたメラ達は、自ら危険を犯すイルマに反対の声を上げようとするが、イルマの目を見てはイルマの考えを理解し、
「………こっちは任せなさい!」
「……早くお願い」
「ったくイルマは無茶するよな!……分かったぜ、頼んだ!」
と頷くのであった。
「分かったよ皆………(よし、反撃だ!)」
皆が頷くのを確認したイルマは、意識をレッサーウルフ達のリーダーと、そのリーダーを倒す為に邪魔な数匹のレッサーウルフに目標を定め、先程まで包囲されてたことで仲間の安全を優先していたことからその高いステータスと人一倍数が多い技能を生かしきれてなかった。
しかし、状況は変わって今ならメラ達の安全がある程度確保出来たことによってイルマの憂いが解放されたことにより、イルマが全力が解放される。
まずイルマは≪複数職業≫の技能を使い、"剣士"、"魔術師"、"村人"、"練装師"の職業の力で1つにし、自分のステータスを底上げした状態になった上に技能≪疾走≫を発動し、もの凄いスピードで一番近くにいたレッサーウルフに接近する。
"ダンッ!!""ドオオオォォンッ!!"
「ッガルル!?」
──ブンッ!
「ーーガル!?…………」
──スパッ!──ドン
イルマの急なスピードアップに反応出来なかったレッサーウルフは、何も出来ないままイルマの接近を許し、イルマはそのスピードに反応出来ていないレッサーウルフに自分のスピードを落とさずに斬り捨て走り抜ける!
イルマに斬られたレッサーウルフは、何が起きたか分からないような顔のままその首は地面に転がす。
そして1匹のレッサーウルフを斬り殺し走り抜けたイルマは、次にその近くにいたレッサーウルフに向かってスピードを維持したまま襲いかかる!
ーーガルッ!?ーー ーーガルル!!ーー
その近くでいたレッサーウルフは、イルマに仲間が一瞬で斬られたことに驚いていたが今度は自分に近づいてきたことに気付きイルマに威嚇しながら戦闘態勢を取るが、次の瞬間接近してきた敵が技能≪演技≫で急に顔を横に向ける。
レッサーウルフはそのイルマの行動に釣られてイルマが向いた方向に目を向けてしまい、向けた先に何もないことに気付き直ぐにイルマの方に目を向けるがイルマはその隙に技能≪格闘≫や≪隠蔽≫を使い、レッサーウルフの視界から消える。
そして敵の姿を見失い、そのことで驚きから動きが止まっているレッサーウルフ隙を突いてイルマは一気に斬り伏せる!
そのイルマの瞬殺劇にレッサーウルフ達は驚き、恐怖する。
そしてイルマがレッサーウルフ達に目を向けると、レッサーウルフ達はビック!と恐怖してズリズリとゆっくり後退りするが……
"ウォーーン!!"
ーー<<<ビック!?>>>ーー
しかし後退するレッサーウルフ達は、聞こえてきた遠吠えによってその足を止める。
イルマやレッサーウルフ達が聞こえてきた遠吠えの先に視線を向けると、レッサーウルフ達のリーダーがいた。
「ガル、ガルルルルッ!!」
レッサーウルフのリーダーは、部下達が後退することを許さず、唸ることでレッサーウルフ達に敵に立ち向かうことを指示する。
そのリーダーの唸りにレッサーウルフ達は先程までの恐怖は忘れ、後退していた足を前に進めては再びイルマやメラ達に威嚇し、襲いかかってこようとする。
ーーやはり、群れはリーダーを倒さないと引かないかーー
そのリーダーが合図したら次の瞬間にでも襲いかかる様子を見たイルマは、リーダーを倒さないといけないことを認識してはリーダーに狙いを定める!
"ダンッ!!"、"ドオオオォォンーー!!"
レッサーウルフのリーダーに狙いを定めたイルマは、レッサーウルフのリーダーにもの凄いスピードで近づく。
しかし、そのスピードは先程もレッサーウルフのリーダーには見られており、尚且つ、レッサーウルフは元々素早い魔物だ。イルマの接近を見てリーダーは群れから何体かと組んでイルマに追撃しようとする。
だがその行動を確認したイルマは笑っていた。
「ニヤ(その行動は予想通り……!)」
反撃を開始した時イルマは予想していた。
最初にその高いステータスを生かし、何体か仕留める。
それで、レッサーウルフ達が引いたらそれはそれでいい。
そうじゃない場合、レッサーウルフ達はイルマを警戒することでメラ達の負担は減り、さらにイルマの追撃にリーダーが群れを別けたら更にメラ達はやり易くなる。そうすれば後は全力で戦える今のイルマなら、群れのリーダーと他に何体か同時でも相手が出来る。
その為自分の思った通りにいったことで笑っていたイルマ。
そんなイルマの笑み見てレッサーウルフのリーダーは警戒するが、イルマはそのままレッサーウルフのリーダーに接近する。
そして接近していくイルマはリーダーにある程度距離を詰めた次の瞬間、地面に向かって魔法を放つ!
──ドォーン!!
「ッ!」
「「ッガルル!!?」」
そのことでレッサーウルフ達とイルマの間は土煙によって視界が悪くなる。
すると、レッサーウルフ達は周りを確認出来ず戸惑いが隠せない様子で辺りをキョロキョロと見渡す。
普段なら技能≪嗅覚強化≫があるレッサーウルフ相手に視界を悪くすることは自滅しかねない悪手だが、今この周辺には匂い玉の影響でレッサーウルフ達の自慢の≪嗅覚強化≫が利かない為、錯乱させれる上手い1手になっていた。
そしてイルマには索敵系の技能があり、その為イルマだけは周りを把握出来ることもあり1人土煙の中スムーズに行動を移せた。
イルマは土煙の中錯乱している追撃にきたリーダー以外のレッサーウルフ達を斬り伏せる。
そして取り巻きを斬り伏せたイルマは次はレッサーウルフのリーダーを斬り伏せようとする。だが、そのイルマの後ろからに忍び寄る影があった。
「ッ!」
ーーザク!!ーー ーーシュッ!!ーー
イルマが取り巻き達を斬り伏せた隙を狙って、レッサーウルフのリーダーはその音を頼りにイルマの背後に忍び寄り噛みつこうとする。
が、イルマは技能≪気配察知≫でその攻撃にギリギリ気付いていは間一髪その噛みつきを避ける。
噛みつきが失敗したレッサーウルフのリーダーは、直ぐにその事実を把握してはイルマの攻撃に備えようとするが、イルマはレッサーウルフのリーダーの態勢を整えることをさせる前に自分最大の攻撃を繰り出す!!
「技能≪闘気≫で剣を強化。
技能≪腕力強化≫で剣を振るう力を強化。
村人職業技能≪村人の決起≫で一時的に能力値の強化。
魔術師職業技能≪魔力爆発≫で魔力ブースト。
剣士職業技能≪決死の一撃≫攻撃力の大幅の強化。
"この1つ1つの職業の力を更に高める"!!」
「それが可能な力それが練装師だ!
練装師の職業技能≪職業連撃≫の力が他の職業の力を繋ぎ高めて複数の職業の力を1つにした力から繰り出す力、それが僕の必殺技!!
【喰らえ!!これが必殺、練波連激だッ!!】」
──ドッ、ドッ、ドッ、バァアアーーーンッ!!!
レッサーウルフのリーダーにイルマの必殺技が放たれた!!
イルマのその必殺技にレッサーウルフのリーダーは、至近距離であることや態勢をが整っていないこともあり避けることが出来ず、その為何とか防御しようとするがイルマの必殺技はそんな防御を物ともせず、レッサーウルフのリーダーの身体を両断した!!
イルマのチートの1つ、職業の力を複数使えたりだけではなく掛け合わせ高めることが出来る。
やっとイルマに必殺技を出せました。