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異世界トラブル  作者: 海路希望
2章~森の異変編~
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第13話(情報収集の大切さ)

今回はイルマの話や考えの内容が多いです。


では異世界トラブル続きをどうぞ!



平原を立ち去ったイルマ達は、無事にポルカ村に帰ってきた。



「ねぇイルマ、今日は疲れたから、もう解散して又明日集まらない?」


「うん、そうだねメラ。今日はレベルアップに森の異変の話、それに平原の下見と色々大変だったし、今日のことや平原での話については又明日皆で集まって話することにして、今日のところはもう解散しよっか。ダンとシーラもそれでいい?」


「ああ、俺もそれでいいぜ」


「………うん。それでいい」


村に帰って来たイルマ達は、今日は色々なことがあり疲れたことや遅くなったこともあって解散することにし、また明日に集まることを約束する。



「じゃあ、皆明日いつもの所で~!」


「「「うん(おう)(コクン)、またね(またな)(また)」」」



又明日集まることを約束して解散したイルマ達。



……そういえば異変について、ギルドは把握しているのかな?

1度寄っては確認してみる必要があるけど、誰に聞いてみるかな?………う~ん、やっぱりこういう時はデルおばさんに聞くのが1番かな?



皆と解散した後、イルマは冒険者ギルドが森の異変について気付いているか気になったこともあり、家に帰る前に1人ポルカ村にある冒険者ギルドに一度立ち寄ることにしたのである。




冒険者ギルド

それは商人が所属する商人ギルド、職人が所属する職人ギルド等様々存在するギルドの内、冒険者が所属する大陸全ての国に存在ギルドのことである。

そんな冒険者ギルドだが、冒険者が依頼者から魔物討伐や護衛、採取に荷物捜索等多岐に渡って存在する依頼(クエスト)をこなす際にその依頼(クエスト)をランク付けして、そのランクに応じた冒険者に仲介するのが主な仕事の組織だ。

そして冒険者ギルドは、冒険者に対して依頼(クエスト)の仲介以外にも情報の価値に合わせて有料や無料で冒険者に情報提供を行なったり、荷物や金銭を預かる銀行の役目、ギルドに登録された冒険者の身分をある程度ランクに応じて保証したりもする。

他にもギルドに所属する冒険者を厳罰(罰金等)報奨(金銭やランク上げ等)で冒険者を管理する組織でもある。


そして冒険者とは、国仕える者ではなく個人(ソロ)複数人(パーティー)、もしくは団体(レイド)で国が処理出来ない物や対応してくれない物様々な物事を自己責任の元、依頼を受けることで解決する存在である。



その為、国にとっては冒険者という存在は無くては困る存在である。

特に上級冒険者(Bランク以上)程になってくると、戦闘能力、能力、財力に人脈など何かしら途轍もない力を持っていることもあり国も無視出来ない存在である。

その為、そんな冒険者を管理する立場の冒険者ギルドは他のギルドとは違って国からある程度独立性を持った組織だ。




そんなポルカ村に存在する冒険者ギルドだが、国の首都である王都(帝国の場合は帝都)、ある程度大きな町に小さな村では魔物の存在や依頼を頼む人口の差から依頼の質や量も違うこともあり一口に冒険者ギルドと言っても規模の差や滞在する冒険者の質の差がある。


そしてイルマ達が住んでいるポルカ村の冒険者ギルドだが、村の近くにポルカの森という強い魔物が森の奥に住み着いていることもあり村にしては大きな冒険者ギルドがあった。


ポルカ村の冒険者ギルドは、村という町や王都(帝都)とは違い余っている土地も有ってか冒険者ギルドの建物内に酒場や訓練場等が設置され、村の他の建物と比較しても大きく建設された冒険者ギルドだ。



──まぁそれでも村の冒険者ギルドだから、流石に王都にある冒険者ギルドよりは小さく少し古びた建物って話だけどね…



と自分の村に有る冒険者ギルドの建物の様子を王都にある冒険者ギルドと比べた発言をしながらイルマは冒険者ギルドの建物を眺めていた。



──おっと、冒険者ギルドに入る前に着替えてないと不味い。



そして冒険者ギルドの中に入る前にイルマは、大人には内緒でしていた魔物討伐をバレないようにする為に装備していた武器や防具を、辺りを見渡して人がいない所に隠れてから【メニュー】を唱え、固有技能【メニュー】の能力の1つであるアイテムボックスの機能を使用しては今装備している物を外して普通の村の子供に見える格好になる。


「よし。これなら大丈夫!」


自分の姿を上から下まで見て問題が無いことを確認したイルマは、目の前にある冒険者ギルドに慣れた様子で入っていく。



「デルおばさん、こんにちは!」



冒険者ギルドの建物の中に入ったイルマは、中の様子を見ては現在誰の対応もしていない受付にいたデルという中年の女性に話かける。



「あらイル坊?こんにちは。また来たのかい?…今日は1人なのかい?」


「うん。今日は僕1人だけだよデルおばさん」


イルマの声に反応した受付にいた中年の女性は、イルマに親しみを感じる話し方で返事をする。


そうイルマは、幼馴染み達のメラ達と冒険者になることを決めた時から度々村にあるこの冒険者ギルドに顔を出していた。

その理由とは、冒険者ギルドあるあるの先輩冒険から絡まれることを避ける為であったり(テンプレである先輩冒険者に絡まれることも子供にはしないだろうという考えで)、先輩冒険者に有益な話を聞いたり(子供相手だと口が軽くなり、武勇伝を話すみたいに比較的簡単に知らない情報を話してくれることを狙い)、冒険者ギルドのルールや仕組みや自分達の顔を覚えてもらっていざ冒険者になる時に困らないように動いていた。




そんな目的でイルマ達が冒険者ギルドに入り浸っていたこともあり、受付のデルおばさんとはイルマ達は顔見知りだ。


ちなみに冒険者ギルドにいる冒険者は、普段魔物や盗賊や厳つい男が相手することが主なこともあってか子供が近寄って来ないこともあり、自ら寄って慕ってくる(打算ありだが)子供のイルマ達には優しく、イルマはイル坊と(メラ達にもそれぞれ愛称がある)愛称で呼ばれ可愛がってもらっていた。



「イル坊、今日はどうしたんだい?」


そんなイルマが1人で冒険者ギルドに顔を出して来たことにデルおばさんは怒ったら怖そうな顔を優しくして、何かあったのかい?とイルマに尋ねる。



「ううん。今日は皆と遊んだ後に顔を出しに来ただけだよ。あ、そういえばデルおばさん、最近変わったことない?」


「ははは、今日も皆と遊んだのかい?イル坊達は元気だねぇ~」


デルおばさんはイルマの皆と遊んだ()という言葉に騙され元気でいいことだと笑い、変わったことかい?と言って手元の書類を確認する。



「うーんイル坊、今の所は変わったことは聞いてないよ。ちょっと待ってな」


ーあんたらは何か変わったことなかったかい?ー

手元の書類を確認して何も変わった情報が無かったデルおばさんは周りにいる冒険者達にも何か変わったことが無かったか声を掛けてくれる。



「あん、どうしたイル坊?村の周りは相変わらず平和だぜ~?」


──だよな皆!


──おう!今日もポルカ村は平和だぜ!


デルから声を掛けられた周りにいた冒険者達は、顔馴染みのイルマの質問に親切に答えてくれる。



「──何かあったのかいイル坊?」


「ううん、別に何もないよ!いつもの近状確認だよ?」


何かあったのかと心配してくるデルおばさんに、イルマは笑顔で何もないことをアピールする。


「じゃあデルおばさん、何も変わったことがなかったことだし僕は家に帰るよ!調べてくれてありがとう!」

──皆もありがとうー!


「そうかい、ならまた遊びにおいで。イル坊達が来るのは皆も歓迎してるしね」


「イル坊またなー」


──また来いよー!


イルマは聞きたいことが聞けたこともあり、ボロが出ないうちにデルおばさんと周りの冒険者の人達に手を振って家に帰っていく。

デルおばさんとギルドにいた冒険者達は、そんなイルマの態度に疑問を覚えず笑顔で見送るのであった。












冒険者ギルドを出たイルマ。

冒険者ギルドを出たイルマは家に帰るため歩きながら先程の知れたことを考える。


イルマが態々冒険者ギルドに行ったのは、あることを確認したかったからだ。

そのあることとは、村の人や冒険者ギルドの人間が森の異変に"気付いている"か"いない"かだった。


そして確認した結果、残念ながら誰もまだ森の異変には気付いていなかった。



──やっぱり予想通り、まだ誰も森の異変には気付いていなかったか。デルおばさんが心配させないように嘘を言っている可能性もあるけど、ギルド内の様子からみてその可能性は低いから気付いていないと思って間違いない。



イルマは予想していた結果だったが、誰も森の異変に気付いていなかったことには残念そうに息を吐く。



──これからもっと魔物が増えてきたら気付くかもしれないけど、でもその時には……



大人達が気付いた時には手遅れかもしれないと、後ろ向きなことをイルマは考えてしまう。



──ブンッ、ブンッ──


「駄目だ。考えを後ろ向きに考えていたら駄目だ!」



後ろ向きな考えを振り払うかのように頭を横に何度も振るイルマ。

でも、とイルマは顔を振った後万が一に備えて考えていたことをもう1度頭の中で整理する。


──手遅れになる前に顔馴染みの冒険者ギルドの皆に言うのも1つの手段かもしれないけど、それでも可能性的に話を聞いて貰えない可能性の方が高い。

仮にもし話を聞いて信じてもらえたとしても半信半疑だろうし、ギルドの方は流石に顔馴染みとはいえど証拠もない子供の言うことでは動けない。

そして、僕らの話を聞いて動いてくれる人達がいても少人数での調査が最初に行う形になるだろうけど、もしそこで何かあれば只でさえそこまで多くない村の戦力がさらに少なくなる。

そうなったら有事の際に対応出来なくなる可能性がある。



頭の中で考えを整理したイルマは、今森の異変について冒険者ギルドや村の大人に話すことは悪手であると再認識する。



──やっぱり冒険者ギルドや村の大人に動いてもらうには、半信半疑で動いてもらうより危険を感じて本気で動いてもらう方がいい。その為にも今森の異変に気付いている僕らが頑張るしかない!



家に帰る道中のイルマは、今の自分達が置かれている状況で自分達が何とかしないといけないと改めて決意するのであった。
















そしてイルマは家に帰り家族と食事をして眠りに就く。


翌日目が覚めたイルマは、再びメラ達と約束通り待ち合わせの場所で集合しては昨日の冒険者ギルドで知れたことを皆にも伝える。


イルマからまだ誰も森の異変について気付いていないことを聞いたメラ達はその事実に落胆するが、自分達もイルマに言われるまで違和感を覚えるだけで森の異変には気付いていなかったこともあり、あまり強気に大人達のことを責めれない様子だ。


そんな落胆しているメラ達にイルマは言いづらそうにしながらも、もし顔馴染みの冒険者に伝えた時に起きる予想のことも伝えた。


イルマの予想を聞いていたメラ達は、最初は顔馴染みの冒険者の人が動いてくれるかもしれないと少し期待していたが、イルマの予想を聞いた結果迂闊には大人達に言えないことを思い知らされ、期待してしまっただけに深く落ち込む。



───………誰も森の異変に気付いていない、現状大人達に頼ることが出来ないって言われたらそうなるよなぁ……………うん、ちょっと話を変えてみるか。



落ち込む幼馴染み達にイルマは話を変えてみる。



「───それより皆、昨日の平原の魔物を見てどう思った?」


「…………あん、昨日の平原の魔物?……狼の魔物と大きな兎の魔物のことだよな?」


「ダン、狼の魔物の名前はレッサーウルフ、身体が大きい兎の魔物の名前はビッグラビットよ」


「そう、それそれ」


「…………(馬鹿)」


ダン、魔物の名前位は覚えてよ、とイルマもダンを咎める。

そして咎められたダンは、悪い悪いっと言って手で頭を掻きながらイルマに謝る。


「はぁ~っもういいよ。…………とりあえず話を戻すよ?」


イルマは息を吐いた後、気を取り直し話の続きを始める。



「メラの言う通り、昨日見た魔物はレッサーウルフとビッグラビット。まぁ他の魔物もいると思うけど、今は昨日確認したレッサーウルフとビッグラビットについてと平原で注意しないといけないことを話しようと思う」



イルマの言葉を聞いたメラ達は、昨日の平原での光景を思いだしては注意しないといけない点を考える。



「狼の魔物、レッサーウルフで注意しないと駄目なのは技能にあるように、アイツの噛みつき攻撃に注意しないといけねぇと俺は思うぜ?」


「ダン、そんなのは見たら分かることよ。イルマが言っているのはもっと他のことよ」


「あん?何だよ、例えばどんなことだよ?」


「そうね…………例えば昨日見たレッサーウルフだと、今まで私達が倒したことがある魔物とは違って、ビッグラビットを狩る際に只闇雲に襲い掛かるんじゃなくて囮を使って群れで獲物を狩る戦い方をしてたとかそういうことを言っているのよ」


「おおっ、成る程な!そういうことか!」


「ダン、これぐらいちょっと考えたら分かることでしょ?」



メラはダンをジト目で見ては考えなさいと注意する。メラから注意されたダンは笑いながら悪い悪い、と言ってあまり気にしていない様子だ。


そんなダンの様子にイルマ達はもうダンをほっといて話の続きをしようと決め、3人で話を進めていく。



「………もう1つは平原には生えてる草が長くて、身長が低い子供の私達には視界が悪いことだと思う」



イルマはメラとシーラの答えを聞いて頷き、2人の答えを継ぎ足す。


「だいたいはその通りだね」

「魔物が群れで囮等頭を使ってくることや平原での視界の悪さも気をつけないといけない。でも一番気をつけないといけないことがあるよ」


「うん?他にも気を付けないといけないことあったか?」


「どういうこと?昨日の光景を思い出しても平原の視界の悪さやレッサーウルフの戦い方以外で何か気を付けないといけないことあったの?………もしかしてレッサーウルフに狩られたビッグラビットのこと?」


「………ビッグラビットは技能は≪跳躍力≫≪重撃≫の2つ。確かに昨日はそれを確認出来なかったから気を付けないといけないことだけど、それは1番気を付けないといけないこととは思えない…………ッ!?もしかして……」



イルマの1番気を付けないといけないことの発言に何だろうと考えていたメラ達だったが、そんな中シーラが何かに気付きイルマに視線を向ける。

シーラかは視線を向けられたイルマは頷き、皆にその答えを告げる。



「気付いた?、一番気をつけないといけないのは僕らが平原や平原にいる魔物達についての知識や経験がないことだよ」



イルマの答えに自分で答えに気付いたシーラ以外の2人は、あっ、と声を出してはその事に気付いたようだ。



「だから昨日分かったことだけに意識が向きすぎていたら、他の知らない危険に襲われるかもしれない」

「それを回避するためにも、僕らが先ずすることは平原や平原に出現する魔物について知り何が危険か知ることだよ」


「………成る程な。昨日の下見は何が危険か知る行動の1つって訳か……」


「そうだよ。よく分かったねダン」


「うるせい!それぐらい此処まで話を聞いたら俺でも分かるっての!」



ダンが珍しく昨日の下見の意図を読み取ったことにイルマがちゃかし、ダンがそんなイルマに対してツッコミで返す。


「ごめんごめん。……ねぇ皆、此処まで言えば僕らがしないといけないこと分かるよね?」


そんなダンとのコントをしていたイルマだったが、話を戻してはメラ達にこれからしないといけないことは何か分かるよね?と尋ねる。


「………ああ。イルマの言いたいことは分かるぜ」


「……私達が今しないといけないこと、冒険者ギルドや知り合いから平原や平原で出現する魔物についての情報収集すること」


「………そして何が危険なのか知ること」


「うん。その通りだよ」


皆の言葉に満足そうに正解と頷くイルマ。


皆が危険を回避するには情報収集しないといけないことを理解したことに、昨日危険を犯しても皆が情報収集してない段階で下見をしたことに正解だったと思うイルマ。


勿論、下見が情報収集の一環だということは間違いない。


しかし、平原に下見に行く前に平原について調べることが出来きるのにその前に何も知らないまま下見に行くのは明らかに情報収集を疎かにしている行為だ。


そして情報収集の大切さを口で言うのは簡単だが、こういうことは実際に自分で体験することや必要と迫られないと中々身につかないことをイルマは知っていた。


なので、イルマは自分だけ事前に平原について情報収集を行い、皆をフォロー出来るようにしてから情報を教えないまま平原に向かったのだ。


「(こうでもしないと中々身に付かないことだし、森の異変を解決していこうと思うなら今のうちに皆には情報収集の大切さを知ってもらっていないと危険が増すからね。それに今回下見では出てこなかったけど、平原には魔法を使ってくる魔物とかいるし、皆にはそんな魔物と戦う前にその存在を知ってもらわないと危険だからね)」



そう、イルマが平原について情報収集して知っている情報には、昨日は見かけなかったがレッサーウルフやビッグラビット以外にも風魔法を使ってくるウィンドバードに、スライムの亜種の牙を持つスライムキバ等も出現するみたいだ。

















イルマによって情報収集の大切さを理解したメラ達。


そんなイルマ達一同は、平原で魔物と戦っていく前に情報収集を行う為、一度冒険者ギルドに向かうのであった。



スミマセン!

新しい魔物は今回、名前だけの登場です……

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