第129話(魔の手)
すいません、今回は短いです。
今回はイルマ達が騎士団長達やガゼルが危険度が高い魔物の相手をしている間何をしていたかの話になります。
騎士団長達やガゼル総括の手によって、現れた危険度が高い魔物達は無事に討伐された。
そんな中、王都防衛に参加していたイルマ達はというと………
「イルマ!そっちに行ったぞ!」
「了解!任して!」
ダンの掛け声にイルマは返事を返しては、自分に向かって来た魔物を斬りつけて倒す。
イルマは自分に向かって来た魔物を倒したが、その瞬間を隙と捉えた倒された魔物以外の魔物がチャンスと云わんばかりにイルマに攻撃を仕掛ける。
だが、そんなイルマへの攻撃はある存在に防がれた。
《ギィギィッ!》
《ピギィッ!》
その存在は、イルマが契約して使役しているモンキーバロンとスライムジェネラルの2匹だ。
モンキーバロンは兎も角、スライムジェネラルは今回初の御披露目になる。
このスライムジェネラルは以前チユルの町で倒したスライムジェネラルの1体だ。
実はチユルの町での一件で、事件を解決した報酬の1つとしてスライムジェネラルの魔石を1つ貰っていたのだ。
それをイルマが貰い、技能《従魔契約》しては技能《従魔召還》で喚び出していた。
「ありがとう、モンキーバロン。スライムジェネラル」
《ギィギィ♪》
《ピギィ♪》
そして、イルマへの魔物からの攻撃を防いだ2匹は、イルマからのお礼の声に喜びの声を挙げながら反撃で魔物を倒すのである。
「火魔法、《フレイム・ハリケーン》!風魔法、《ウィンド・ランス》!」
ダンとイルマ(+2匹)が魔物の戦う中、その傍には別行動していた筈のメラがいた。
そんなメラは火の魔法で風の魔法を強化して放ち魔物を倒していた。
「ダン、そこ怪我してる。回復する」
「あ?これぐらいなら掠り傷だ、問題ねぇよ。だから回復はいいから魔力を節約しろ」
「駄目、その傷は掠り傷よりも深い。ちゃんと治す。回復魔法、《治癒》!」
「お、おいっ、シーラ。問題ねぇって!」
別行動していたメラがいるということは、同じく別行動していたシーラもダンとイルマの傍にいた。
そしてシーラは魔物との戦いで傷を負ったダンに回復しようとするが、ダンは魔力の節約をさせようとこれぐらいの傷なら問題ないとシーラの回復を断る。
だが、シーラはそんなダンの断り無視しては回復魔法でダンの傷を治した。
「──たく、まだまだ魔物がいるってのに、魔力を節約しないと不味いだろ。………まぁ回復してくれてありがとうよ、シーラ」
「問題ない。それが私の役目だから」
「次来たよ!ダン、行くよ!」
「おっと、もう来たか。おお、今行くぜイルマ!」
傷を治してもらったダンはシーラにお礼を伝えた後、襲ってきた次の魔物の相手に向かう。
そう、イルマ達は騎士や騎士団長達が危険度が高い魔物の相手をしている間、別行動していたメラとシーラと合流しては他の魔物の相手をしていた。
「ハァァアッ!雷鳴剣!!」
そして、イルマは撤退出来ない戦いもあり、皆にも固有技能【ガチャ】の存在を打ち明けたこともあってその【ガチャ】で手に入れた雷鳴剣を使い魔物と戦っていた。
そんなイルマが使う雷鳴剣の力は強く、流石魔法武器なだけあり魔物が数が多くともイルマの力と相乗効果もあり無双状態を引き起こしていた、
「凄ぇ………」
「………この力が魔法武器……」
「……これがイルマの固有技能【ガチャ】の力」
メラ達はその雷鳴剣を使ったイルマの力、魔法武器とその魔法武器を手に入れることが可能にした【ガチャ】の力に度肝を抜かれていた。
「(流石雷鳴剣、今までの武器とは比べ物にならない力を感じる。実際魔物を倒すのが今までと比べても簡単に倒せる。それに切れ味処か肉体の力も強化されて使用しているだけで強くなったみたいだ)」
その雷鳴剣の力は、度肝を抜かれているメラ達だけではなく使用しているイルマも驚いていた。
それもそうだ。イルマが雷鳴剣自体の力は以前から知っていたが、実際に実戦で使用したのはこれが初めてだからだ。
それ故にイルマは魔物の大群からの王都防衛の非常事態にも関わらず雷鳴剣の力に胸をドキドキとさせては高揚していた。
「(これが魔法武器、本当に凄い力だよ。これが有れば強くなったと錯覚してしまうだけの力が有るし、魔法武器を欲しがる理由も分かるね)……それだけにこの武器を今まで使わなかったのは正解だったかな?この雷鳴剣を何らかの理由をつけて手に入れたことにしてもっと前から使っていたら、僕だけじゃなく皆も雷鳴剣を手に入れる為に襲われてたかもしれないし、この雷鳴剣の力に酔って成長にも影響が出てたかもしれなかった」
それほどの武器だからこそ、イルマは今まで雷鳴剣を使用処か手に入れたことさえ皆に黙っていた自分の判断が正しかったと思った。
飽くまでイルマの目的は上級冒険者になることではなく、母イルミの病気を治すこと。
なのに雷鳴剣を低レベルから使用していれば、雷鳴剣を狙って襲われるだけでなく、強くなったと勘違いしては成長が阻害されていた可能性が有る。
そうなれば例え雷鳴剣の力で上級冒険者になれたとしても、イルマは母イルミの病気を治す為の薬の素材集めの際に力が足りず命を落としていたかもしれない。
その場合、イルマは母イルミの病気を治す事が出来ない上に仲間であるメラ達の命も失わせることになっていただろう。
「(──ッ、雷鳴剣を使うのはいいとして、でもそれで自分が強くなったと勘違いするのは駄目だ!雷鳴剣はあくまでも武器であり、肝心なのはそれを使う僕自身。それを忘れたらこれ以上成長が出来なくなってしまう……!)」《ブルブルッ》
雷鳴剣で魔物を倒すイルマはその雷鳴剣の力に高揚していたが、その高揚は雷鳴剣の力に酔ってしまった場合に起きる自体を想像して褪めた。
高揚から褪めたイルマは、冷静に状況を把握してはメラ達と協力して魔物の大群との戦闘に戻って行く。
そして、勿論イルマ達だけが魔物の大群と戦っているのでなく、他の者達も騎士や騎士団長達が危険度が高い魔物の相手をしている間は他の者達がイルマ達同様に魔物の大群と戦っていた。
その者達は多くは王都に友人や家族、自分が住んでる場所を守ろうとしてイルマ達程の力は無くとも力を振り絞って魔物と戦っていた。
そして、その力は決して弱くなく、騎士や騎士団長達がいなくとも傷を負って他の者と助け合いながらも魔物の大群から王都防衛を果たしていた。
中にはイルマ達と同様に、魔物の相手にその力を発揮させて多くの魔物を倒す者もいた。
その1人は大会でもその力を見せたセイナだ。
セイナはその固有技能でイルマ達のように、魔物相手に無双しては多くの魔物を倒していた。
そして、セイナは騎士見習いだけに魔物を倒すだけでなくその固有技能の力で遠距離から攻撃出来ることもあり、他の者達が魔物から攻撃を喰らいそうになっているところを遠距離から攻撃しては助けていた。
そうして魔物の大群との戦闘も騎士や騎士団長達がいなくとも何とかしては王都防衛は達成出来るかと思われたが、
「○○○様、次の手と言われますがどんな手を打たれるのですか?残っている魔物は数は多くとも危険度が低い魔物達のみ。この魔物達だけでは手を打つのは………」
「何を言ってるの?それで充分じゃない。数さえ多ければ手は打てるわ。私を誰だと思っているの?」
魔物の大群を王都へ進行させた張本人である女は、それでも次の手を打とうとしていた。
そして、その次の手は魔物の数さえ多ければ打てる手であるようだ。
「………!!───ま、まさか、○○○様!?」
「フフフ、気付いたかしら?」
そんな女の言葉を聞いた男は、女が今から何をしようと思っているのか気付いては驚愕の声を上げ、女はそんな男の様子に笑みを浮かべる。
「《マモン》様、お待ち下さい!!それはまだ許しが出ていないことでは!?」
「関係ないわ。私は私である以上、欲するがままに動くわ」
「っお考え直しを、マモン様!!」
男は女、マモンが今からしようと考えてることがまだ許されていないことであることから止めようとするが、マモンは自分がマモンである以上欲するがままに動くと言って聞かない。
「知らないわ、どうしてもと言うなら他の連中を呼べば?だけど、他の連中を呼んだ処で私は考えを改めることはないわよ?
─────────あの方を除けばね」
「…………あの方、ですか」ブルッ
「ええ、あの方よ。私に命令出来るのはあの方だけよ」
マモンは自分の行動を止めようとする男に、自分に命令出来るのはあの方だけだと告げる。
男はマモンが告げた存在を思い浮かべ、その存在を想像しただけで畏れからその体を震わせる。
マモンは男が体を震わせている間に、先程止められていた行動に移る。
「さぁ、魔物達。互いを、仲間と争い、殺し、殺したその身を食べ、その力を自分の身に取り込みなさい!」
「───ッ、マモン様!!」
「そして、その身に取り込んだ力で進化しなさい!」
──暗黒魔法、《蠱毒への誘い》!!
《《《《!?》》》》
静止の声を無視したマモンの手から、魔物の大群に向けて邪悪な魔力が放たれた。
そして、
《グワァアアアアッ!!!》
《ガルルルルッッ!!!》
《ブヒィーッ!!!》
《ギャギャギャッ!!!》
《ガァアアアアァァァッ!!!》
「っ、な、何だ!?ま、魔物達が互いに争い始めたぞ!?」
「何が起きてるんだ!?」
その邪悪な魔力をその身に受けた魔物達は、正気を失っては目に映る魔物を襲い始めた。
そして、互いに傷つけ合い、殺しては食べ、その身に取り込んでいく。
「…………っ(魔物達の蠱毒が始まってしまった!不味い、魔物達が蠱毒するような状況でもないのにするなんて、これでマモン様、魔族の介入が人間に、人間の国にバレてしまった!)」
そんな光景を見た男は、人間処か人間の国に魔族の介入がバレたと思い、頭から汗を流しては焦る。
「フフフフフフ、相変わらずこれは愉しい光景だわ」
「(っ、この方は、人間の国に自分達の介入がバレてしまったかもしれないというのに、この光景を愉しいんでおられる………!!)」
魔物の蠱毒状態にマモンが愉しんでいる様子に、男は焦りながらもマモンに畏れを懐いた。
「フフハハハハッ!!……さぁもっと殺しあって、進化して、其処の人間を殺して私を愉しまして!!」
魔物達が暗黒魔法の蠱毒により、同族や味方にも関わらずに殺し合う中、マモンの嗤い声が辺りに響き渡るのであった。
一応今年はもう一度投稿する予定です。
では、次回は謎の女マモンの手によって動き出した戦場の様子の話になります。