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異世界トラブル  作者: 海路希望
6章~王都防衛編~
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第125話(王都防衛戦開始)

今回の話は、未定だったイルマ達とカガリの配置場所についての話と、漸く王都防衛戦の開始です。



「おい!そっちはどうだ!」


「此処は問題ない!」


「此処で問題発生だ!避難先で、避難の途中に複数人の怪我人が出た!」


「何!?何故怪我人が出た!?」


「どうやら我先に避難しようとして、避難していた住民同士のトラブルで怪我人が出たみたいだ!」


「っ避難誘導してた奴は何やってるんだ!!王都防衛前に怪我人を出すなんて!!あれ程ガゼル総括から回復薬の消費や回復魔法での魔力の消耗を避けたいから気を付けろと言われていたのに………!!」


「ああ、まったくだ!だがその避難誘導を担当してた奴には後でしっかり処罰してもらうとして、今はその怪我人の対応が先だ。で、問題は避難先にまだ回復魔法の使い手だけでなく、回復薬が届いてなくて怪我人の治療が出来ずにいて騒ぎになっている!」


「!!そうだな、分かった。直ぐに回復薬か回復魔法が扱える魔法使いを手配する!」


「頼む!」


後方支援を担当する騎士達は、物資の手配や問題があった対処に追われる。


「おい、俺達は何処へ行けばいいんだ?」


「お前話を聞いてなかったのかよ。騎士達からこの先で漆黒の騎士団の騎士が待機してるからそこへ向かうんだよ」


「そうか!………で、何で漆黒の騎士団?」


「そこも聞いてなかったのかよ!?」


「い、いや~、ちょっとその時トイレにいて………(武道大会での出店の食べ物を食べ過ぎて)」


「はぁ?そんなタイミングでトイレだと?………まぁタイミングはともかく、トイレを我慢しろっとは言わないがトイレから帰ってきたら普通どうなったか確認するだろ」


「今度から気をつけるぜ(食べ過ぎもな!)」


「はぁ~~(期待できないな)兎に角、王都防衛の戦闘の際はしっかりしろよ!」


「おう!これでも俺、中級冒険者なんだぜ?戦闘は任しとけ!(ついでに王都防衛後の宴もな!)」


「………(戦いの時に、コイツの近くにいたら不安だな)」


王都防衛の協力要請を受け、指示があった場所に移動する者達。



「………まさか、騎士になる前にこんな事態を経験することになるなんてな………」


「だな」


「………騎士見習いとしての初仕事だ。で、俺達の配置は………」


「どうやら俺達は騎士団の所には配置されず、予備戦力としてガゼル総括の近くに配置されるみたいだぞ?」


「あ、何でだ?」


「騎士としては見習いだからじゃない?他の騎士と連携とか指示に対して上手く動けないだろうし。期待されているのは武道会で見せた戦闘力だろうしね」


「成る程」


「魔物の大群か。流石に緊張するし、怖いな………」


「ふふふ。私は貴方さえいたら何も怖くないわ」


「お、おお。そうだな」


「………ふん。(そんなことはどうでもいい。俺がすることは騎士として、王都やそこに住む人達を護ることだ。戦闘力だけしか期待されていないなら戦闘で役に立つだけだ………!!)」



武道大会の上位成績者で、騎士になることが決まった騎士見習い達。そんな騎士見習い達は騎士になる前に始まった大きな戦いの前にそれぞれの想いを抱えながらも王都防衛の準備を始める。


王都防衛の為の準備は、バタバタと忙しくだが着実に、騎士や兵士問わず全員がその準備を進めていた。














「イルマ、俺達はこっちだな?」


「うん。そうだよダン。僕とダンはこっちで合ってるよ」


その頃、イルマとダンはガゼル総括の指示によりイルマとダンの2人である場所に向かっていた。


「そうか。それにしても俺とイルマだけは騎士団と一緒に正面から魔物の大群と戦うのか……」


「………そうだね、僕とダンの力なら正面から魔物と戦うことが出来るからね。でも、メラとシーラの2人も多少の数なら正面からでも戦うことが出来る心得は有るけど、今回は流石に無理だから仕方ないよ」


「だな。だからこそメラとシーラは、今回俺達と別行動になった訳だからな。で、攻撃魔法が得意なメラが"魔道の騎士団"の所に配置。シーラは支援が得意だが、結界魔法の護りや回復魔法も出来るから魔物の大群の進行を塞き止める"鋼鉄の騎士団"に配置か………」


「そうだね………(そもそも僕達が別行動になったのはガゼル総括があの時呼び止めてはそう指示してきたからだ)」


イルマはガゼル総括に呼び止められた時のことを思い出す。



────────────────


「後、お前達だが…………」


「「「「『?』」」」」


「?」


騎士団長達が自分達の配置に移動する為に対策会議室を出て行った後、イルマ達とカガリはガゼル総括から呼び止められていた。


「お前達の配置についてだが、王都防衛の為に今から俺が言う指示に従ってくれ。先ずはイルマ達だが、お前達は普段パーティーを組んでいるみたいだが、今回の王都防衛では別行動を取ってもらうことになる」


「……僕達が別行動ですか?」


「そうだ。イルマとダンは前線で魔物と正面から他の騎士達と一緒に戦ってもらう。メラとシーラは他の場所でその攻撃魔法を、支援と護りの力を発揮してもらいたい」


イルマ達を呼び止めたガゼル総括だが、王都防衛の為にイルマ達には別行動をしてもらいたいと告げる。

そのガゼル総括の指示に、イルマは顔を歪ませた。


「………ガゼル総括。こう言ったら失礼かもしれませんが本気ですか?僕達は普段からパーティーを組んで行動してるんですよ?それなのに別行動ですか?仮に別行動するとして、僕達は普段からこのパーティーでしか魔物との戦闘経験が無いですからとても他の騎士達と連携が取れるとも思えません」


「………いや、それでもお前達の力なら大丈夫と俺は判断する」


「……何んで、何でガゼル総括は大丈夫だと思うんですか?」


何んでだ?

何んでガゼル総括は僕達を別行動にさせるんだ?

何を理由でガゼル総括は僕達が別行動しても問題ないと判断したんだ?


イルマは何故ガゼル総括が、普段からパーティーを組んでいるイルマ達を別行動にさせ、不慣れなメンバーと連携させることにしても大丈夫だと判断したのか分からず、その大丈夫であると判断した訳を考えながらもガゼル総括に尋ねる。


「何故俺がそう判断した……か」


そのイルマの質問に、ガゼル総括は何故その判断に至ったのか思い返す。


「はい。今回の場合、僕は他の協力要請を受けた人達と同じように騎士団の騎士と連携するよりも組み慣れている自分達のパーティーで行動した方が良いと判断しました」


そう、王都防衛の話し合いの際に協力要請を受けた人達についてだが、協力要請を受けた人達はパーティーを組んでいる人に限り、配置予定になっている漆黒の騎士団達との連携する際にはパーティー単位で連携することになっていた。

そして、ソロで行動している人や何か特化した能力が有る場合には漆黒の騎士団の騎士達と連携もしくは各得意な能力が活かせる場に配置場所が変更されることも有るとのことだ。


そんな中、ガゼル総括がパーティーで何時も行動しているイルマ達に対してはその決定した枠組みとは別に、別行動をさせてはそれでも問題ないと判断した内容がイルマ達が気になるのは当然なことだ。


その事を質問されたガゼル総括だが、


「……その理由だが、イルマとダンのお前達2人は正面から魔物達と戦うことが出来るが、後衛職のメラとシーラには難しい。だからメラとシーラの2人は別行動してもらって、他の場所でその優れた能力を最大限に活かしてもらいたい………ってのは建前だ。今回は魔物の数が数だ。お前達のその力を広い範囲で使いたい。それが理由だ」

─── 勿論、組み慣れているパーティーで行動した方がその能力を活かせる考え方も分かるがな。


「僕達の力を……広い範囲で使いたい……」


イルマの質問に、そうガゼル総括は答えた。


「そうだ。正直言ってなんだが………お前達の能力値が騎士達にも比べても高いんだよ。だからこそ別行動させて広い範囲でその力を発揮してもらいたい」


その答えを聞いたイルマは、ガゼル総括が思っていたより自分達の力を期待していることを知った。



「それが別行動させる理由であり、お前達が別行動させても問題ない理由だ」



「………分かりました。ガゼル総括が僕達をパーティーでなく別行動させたい理由と別行動させても問題ないと判断した理由は納得しました(納得はしたけど、一緒に行動するダンは兎も角、後衛職のメラとシーラの2人と別行動だけが不安だけどね。)」


ガゼル総括に呼び止められたイルマ達とカガリ。

そんなイルマ達だが、ガゼル総括から王都防衛の為にパーティーではなくて別行動の指示を受け、その事に何故パーティーではなくて別行動を取らないいけないと思ったが、ガゼル総括から指示した理由を聞いては納得する。が、それでも後衛職のメラとシーラの2人と別行動になることには不安な気持ちは消えず、イルマの胸にはメラとシーラの2人を心配する気持ちが有った。


「で、アタシは?」


「お前はメラと同じく魔道の騎士団と一緒に行動してくれ」


「あいよ」


そんなイルマ様子を尻目に、カガリの配置決めは直ぐに決定した。


イルマ達とは違って、カガリの配置決めは本人も自分の能力的に予想していた配置だったこともあり、ガゼル総括その一言にカガリは了承の返事して済んだ。


「後、カガリお前に1つ聞きたい。お前がさっき言ってた疑似・融合魔法だったか?それは他の人間も直ぐに使えるように出来るか?」


そのカガリの配置決めの後、ガゼル総括はカガリに疑似・融合魔法を騎士達に教えて使えるように出来ないかの打診をする。


「疑似・融合魔法を?それは無理だ。幾ら魔道の騎士団の力でも、原理を直ぐに理解することは出来ても実戦で使えるようになるには練習が必要だ。「そうか。それは残念(……待てよ?魔道の騎士団長のあの人なら?アタシが聞いた噂通りならあの人だけなら可能か?)………いや、あの魔道の騎士団長になら、原理さえ伝えたら僅かの時間で実戦で使える可能性は有るかもしれない」


「そうか!………なら、この際駄目元でも構わない。王都防衛と被害の減少の為にも僅かでも可能性が有るならカガリは魔道の騎士団と合流後に疑似・融合魔法の原理の説明を頼む」


「あいよ。任せな」


「頼む」




────────────────


そんなこともありイルマ達は今回はパーティーでなく、ガゼル総括の指示に従って別行動することになっていたのだ。


そしてイルマとダンの傍にいないメラとシーラの2人だが、メラはその攻撃魔法を活かせる魔道の騎士団がいる戦線の3列目に配置。そしてシーラだが、魔物の大群を塞き止めることで負傷率が高いであろう鋼鉄の騎士団の傷を癒せるよう最前線に配置をガゼル総括から指示されていたのである。


「でもよイルマ。メラとシーラの2人は本当に大丈夫かよ?」


イルマと行動を一緒にしているダンだが、自分とは違い別行動しているメラとシーラの2人の心配をし、心配の声を漏らす。


「う~ん、確かに不安だけど………大丈夫だよダン。メラが配置された魔道の騎士団だけど、魔道の騎士団は戦線の3列目に配置されているから正面から魔物の大群とぶつかる可能性が低い。それにカガリ先輩も此処に配置されてるしね。それと最前線に配置されたシーラだけど、シーラの周りにいる騎士団は護りに特化された鋼鉄の騎士団だし、シーラ自身も自分の身を守るだけなら結界魔法も使えるからリスクは更に下がる。それに2人とも危険が迫ったら退避位出来るよ」


「………そうだな。それなら大丈夫か。悪い、初めて戦闘時に別行動するからよ、イルマなら兎も角「ちょっとダン?」────────別行動するメラとシーラの2人が心配でよ………」


「そうだね。確かに心配だよね。(で、僕なら兎も角についての指摘は無視?)でも、2人の傍にはこの国が誇る騎士団がいるから大丈夫だよ」


「………だよな」


だが、そんなダンの心配な気持ちに対しイルマは安心させるよう声を掛けた。


「(ダンにはそうは言ったけど、確かに心配だね。だからこそ2人の身に万が一の場合に備えて、進化したメニューの力で2人の場所や危険が迫ったら直ぐに知ることがて出来るようにした。それに、保険としてミルンにも有ることを頼んでいるから大丈夫だよね?)」


そうダンを安心させたイルマだが、イルマ自身も不安な気持ちを抱えていたこともあり、離れた位置にいる2人の身に万が一危機が迫った時の場合、進化した自分の固有技能である【メニュー】の力やミルンに有ることを頼んでは備えていた。


「(──────それに、今回は()()()|も隠すこともなく使うつもりだし)」


そういうイルマの腰にはある剣、()()()が差してあった。


そうイルマは、国にステータスを公開(1部除く)したことや今回の魔物の大群相手だと切り札の温存なんて不可能と思い、仲間である3人にも隠していた固有技能【ガチャ】の存在を明かしたのである。


その事を皆に打ち明けたイルマだが、皆から隠し事をしていたことに怒られると思ったが、怒られなかった。それ処か呆れられた。


──《《《イルマのそれ(異常なこと)、今更だし》》》


とのことだ。


そうした(仲間から呆れられた)こともあり、イルマは魔物の大群相手に全力全開で立ち向かうことが可能になった。






そしてイルマとダンの2人は、その後目的地に向かって移動を続けてはガゼル総括から指示を受けた配置場所に到着した。



「──────お?俺達が配置される指示を受けた紅蓮の騎士団の配置場所は此処か?」


「うん、そうみたいだね。─────って、もう戦闘が何時でも出来るよう準備を始めてる!?ダン、僕達も手伝いに行くよ!」


「お、おう!」


─────タ、タタタタタ………



そんな話しをしていたイルマとダンだが、そうしている内に目的地である紅蓮の騎士団に合流した。

イルマとダンが合流した際、紅蓮の騎士団の騎士達は既に戦いの準備を始めており、イルマとダンは急いでその手伝いをしに向かうのであった。







◆◇◆◇


そうしてイルマ達や騎士達に王都に滞在する者達が、魔物の大群から王都を防衛するために全力で準備をしていた時、



《ガァアアアアアアーー!!》

─────ドドドドドドーー!!


「「「「「!!??」」」」」



王都から離れた所だが視界に映る位置に、王都へ進行する振動と叫ぶ声と共に魔物の大群の姿が見えるのであった。



「───フフフフフ、やっと見えたわね王都。───────────────────さぁ、私の目的の為にも、楽しみの為にも、







───暴れなさい!」





謎の女の目的とは?楽しみとは?


次回、魔物の大群とイルマ達や騎士達やその他との戦闘回になります。

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