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異世界トラブル  作者: 海路希望
5章~王都編~
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第116話(目的を叶える覚悟)

やっとセイナとの確執や騎士団本部の見学が今回で終了になります。


イルマ達とセイナの関係はどうなるのでしょうか?


では、異世界トラブルの続きをどうぞ!

「──────────上級冒険者となって、僕の母親の病気である【魔粒子分裂症】を治せる薬、【万能薬】の素材を集める為です」




「なっ、何だとっ!!?【魔粒子分裂症】だと!?」



「そうです………………」


「「「『…………っ』」」」



「(は、騎士になることを辞退したのは、母親の病気を治す為だと!?それもその母親の病気が【魔粒子分裂症】!!それに、【万能薬】の素材を集めるだと!?)」



イルマの秘密の告白を聞いたセイナや、それを影から盗む聞きしていたガゼル総括はその事に驚愕の反応を示し、その秘密を考えてか黙るイルマとイルマの内心を想い口を閉ざしたままのメラ達。


「………母親の病気である【魔粒子分裂症】の治す為に必要な素材を、上級冒険者になって集めるのがお前達の、いや、お前が叶えたい目的か」


「はい」


「………【魔粒子分裂症】を治す為に必要な素材がどれ程貴重で難しくて、集めることがどれ程難しいのか理解した上でか?」


「はい」


「【魔粒子分裂症】を治す為の薬である【万能薬】を作成するには、ドラゴンの血液、精霊の涙、魔力草等の希少かつ高額の素材で、どの素材も秘境に存在する関係で滅多に市場に出回らない素材ばかりだ。その為、貴族処か王族でさえ簡単には手に入らないせいか、薬の効果も相まって【万能薬】は本当の意味の幻の薬と言われている。【魔粒子分裂症】は有名な病気だから治す手段は知られていても、とても平民では、いや騎士や貴族でも治すことが出来ないと言われている病気だ。そんな誰もが叶えることが出来ないと思うようなことでも諦めないつもりか?」


「それでもです。そんなことが諦める理由にはなりません」


「目的を叶えることが出来ず、自分の力不足に深い絶望をして、素直に諦めていたら良かったと後悔するかもしれないんだぞ?」


「構いません。足掻くことをしないで、諦めたままよりかマシです」


「死ぬかもしれない」


「覚悟の上です。それに、騎士や戦う者は何時も死ぬ可能性が有りますよね?」


「………お前達は、コイツの目的を叶える為には薬の素材が有る秘境に向かい、命を失う危険を犯す覚悟をしてるのか?」


「「「当然!俺(私)達はパーティー(仲間)だ(よ)。パーティー(仲間)が目的を叶える為に危険を犯す覚悟をしているのに、それを協力しないパーティー(仲間)が何処にいるんだよ(のよ)?」」」


「…………そうか(………全員が覚悟を決めてるか。諦められない物。それを叶える為に騎士を辞退する……成る程な)」


イルマ達の目的を聞いたセイナは、イルマにその目的を叶える為にはどれ程困難なことなのか突きつけても即答で諦めない答えを返すイルマの姿を見ては、自分の似たような経験からイルマの気持ちに共感してしまう。


「(それにパーティー(仲間)か………。俺はコイツらのように諦められない物()は有ったが、パーティー(仲間)は無かった。いや、俺が(諦められない物)の為にソロ(1人)に拘っていただけか………。)」


イルマ達の結束された様子と決意を見たセイナは、既にイルマ達が騎士を辞退する理由に納得しており、今度はイルマ達と自分の違いを感じていた。


「(コイツがこの年齢で俺よりも強いのは。"叶えないといけない目的"に、それを"協力してくれるパーティー(仲間)"がいる。


だからこそ、国王様相手に騎士をなることを辞退すると正面から言える訳だ……。)」


イルマ達と自分の違いを感じたセイナは、それがイルマ達の強さだと知る。



「(【万能薬】を手に入れる。それがアイツらの目的か。これは何とかして、辞退する考えを撤回させて騎士にするという考えは無理だな)」


そんなイルマ達とセイナのやり取りを影で聞いていたガゼル総括は、その内容を聞いてはイルマ達を何とかして辞退することを撤回させて騎士にさせる考えを不可能だと悟る。


イルマ達の騎士への勧誘が不可能だと悟ったガゼル総括は、これ以上話を盗む聞きするのは野暮だと判断しては、そっと音と気配を殺してその場から立ち去るのである。




「…………すまない。話難いことなのに、それなのによく俺に話してくれた」


「いえ、大丈夫です」


そう言ってセイナは、話難いことを話してくれたイルマに向かって頭を下げて謝罪の言葉を伝える。そのセイナの謝罪にイルマは大丈夫だとセイナに告げては頭を上げてもらう。


「ただ、これでセイナさんは僕らが騎士になることを辞退したのを納得して頂けたでしょうか?」


「ああ。何故お前達が騎士になることを辞退したのか、これでその理由と想いは納得したさ」


「良かった」


「ったく、何が納得しただよ。しつこく理由を聞いて来た癖によ」


「そうよ。イルマが話すって決めたから話したことだけど、本当は国王様が相手なら分かるけど、他人のアンタに話す必要なんてなかったのよ?」


「………イルマが今話した内容を言い触らさない約束……破ったら承知しない」


「ああ、分かってるさ。俺が無理を言って、話難い話を打ち明けてくれたんだ。口約束とはいえ約束は必ず守る。これでも上級冒険者なんだ。契約は守る」


「アンタ、これからは騎士だろ」


「フッ、なら尚更だ。騎士が約束を破る訳にはいかない」


頭を上げたセイナは、イルマからこれで騎士になることを辞退した理由と想いを納得したと告げ、そんなセイナに苦言と約束を破ると承知しないと忠告をしてくるメラ達に対し、セイナはこれでも上級冒険者で、これからは騎士だから尚更約束(契約)は守ると誓うのである。


「………後、今回のこの事を話してくれたのは借りとさせてもらう。だから、俺で力になれることがあれば力を貸すつもりだ」


「!──本当ですか!」


「ああ。お前達が上級冒険者を目指して冒険者として活動していくが、俺はこれから騎士として活動していく。そして、これから冒険者としてお前達が活動している時、俺の騎士の立場が必要になることが有るかもしれない。そんな時は今回の貸しとして俺はお前達に力を貸してやる」


まさかのセイナから今回のことを貸しとしてくれて、これから何か有れば騎士になる俺が力を貸してやる、と言ってきた。

そんなセイナの言葉(力添え)に、イルマは本当ですか!と喜びの声を上げる。


「そりゃあ助かるぜ!」


「私達にはガネック伯爵という権力での後ろ楯が有るし、後輩のトルクがいるけど、騎士からの後ろ楯が有ることは正直有難いわ!」


「………コネは幾ら有っても困らない」


『そうですよね!ガネック伯爵(領主)後輩のトルクさん(貴族)、それにセイナさん(騎士)の後ろ楯まで有ればイルマさんの目的を叶えることが出来る可能性が高まりますしね!』


「メラ、ダン、シーラ……(それにミルンも)」


そのセイナの発言を聞いたメラ達4人が、セイナに厳しく当たっていた態度を手のひら返しした様子に呆れた声を漏らすが、自分の目的が叶う可能性が高まったことにも喜んでいることもあり注意することが出来なかった。


──おい、そろそろ集合しろー!


そんな時、ちょっと前に影からイルマ達とセイナのやり取りを盗む聞きをしていては立ち去ったガゼル総括の集合しろという声が聞こえてきた。


「呼ばれてる……行かないとな。ほら、行くぞ」


「お前が指示するなよ」


「そうよ。私達のリーダーはイルマよ」


「何だ、行かないのか?」


「行かないとは言ってない」


「なら良いだろ。誰が言っても」


「そうだよ皆。誰が指示する話は今は置いといて、今はガゼル総括の下に集合しないと」


『確かに。早く行かないと、ガゼル総括から怒られちゃいますよ?』


「「「……分かった(よ)(わよ)」」」


「………フッ」


イルマ達とセイナは、そのガゼル総括の集合の声を聞いては話し合いを終了し、ガゼル総括の下に移動する。ガゼル総括の下に移動するイルマ達とセイナの様子は、大会からの今までとは違って穏やかな空気が流れていたのであった。



その後イルマ達は、ガゼル総括の下に集合しては騎士団本部の見学の続きを行い、期待していた騎士の訓練を受けたり、現役の騎士と手合わせも行うことが出来たのであった。しかし、密かに期待していたガゼル総括との手合わせや実力を見る機会はなく、イルマ達は少し残念がる。そして、時間が経ち騎士団本部を見学出来る時間が終わり、イルマ達やセイナに他の見学者達の騎士団本部の見学が終了するのだった。




















その頃、ある山の谷では………




───《ガアァァァァアア!!!》


「フフフ、生きのいいのがかなり集まったじゃない。これなら楽しくなりそうだわ」


イルマ達が騎士団本部の見学が終了した頃、王都から離れた所で、それでいて王都に向かえばそれ程時間がいらない山の谷に、夥しい数の魔物が集まっていた。


その夥しい数集まった魔物の中には、下位だが()()翼竜(ワイバーン)等強力な魔物も存在していて、そんな魔物達を谷の上から眺めては黒い笑みを浮かべる顔を隠した謎の女の存在がいた。


「○○○様、命令通り集められるだけの魔物達を集めました」


「褒めて上げるわ。上出来よ。これで私が()()()()()ことが出来るわ」


その謎の女に、同じく顔を隠した謎の女に従う男が膝を地面につけて言われていた命令を完了した、と報告する。謎の女は、そんな男の報告を魔物達を眺めながらも聞いており、自分の命令を叶えた男を自分が考えていることがこれで出来ることで上機嫌なこともあり、褒めるのである。


「………○○○様は、()()()()()()()()()()()()()()()()?」


「フフフ、それは内緒よ」


──フフフフフフ!!


謎の女に従う男は、そんな謎の女の笑い(嗤い)声を聞いては冷や汗を流す。


「フフフ!───────────────────────それじゃあこの集めた魔物達を、王都へ向かって移動させなさい」


「………ハ!」


しかし、そんな冷や汗を流す男はそれでも謎の女に従うようで、謎の女の指示に従って集めた魔物達を王都へ向かって移動させるのであった。

謎の女の目的は?

やっと以前からの伏線が回収出来そうです。


それに、ファンタジーと言えば竜。ほんの少しだったですが、ワイバーンとはいえ竜を登場させることがやっと出来ました。ワイバーンとの戦いは次回以降になりますが、どうぞ楽しみにお待ち下さい!

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