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異世界トラブル  作者: 海路希望
5章~王都編~
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第115話(秘め事の暴露②)

今回の話ですが、以前出たイルマの冒険者になる目的を話す回になります。


最近、コロナに感染はしてないのですが体調を崩しがちで、皆さんも体調は気をつけて下さいね!


では、異世界トラブルの続きをどうぞ!



「僕達が騎士にならない理由ですが………セイナさん。それは僕達は騎士ではなく、貴方みたいな上級冒険者を目指しているからです」


「!騎士にならない理由が、騎士ではなく上級冒険者を目指しているから……だと?」


イルマのその言葉にセイナは、何故イルマ達が名誉であり、簡単にはなることが出来ない騎士ではなく、腕と実績さえ有ればなれる上級冒険者を目指しているのか理解出来ない表情を浮かべる。


「そうです。………その理由ですが、冒険者に憧れているからだと言っても、その顔見るには納得はしてくれなさそうですね」


イルマは上級冒険者を目指す理由が憧れだと言っても、セイナの何を言ってるだと疑う表情を見ては、セイナがこの理由だと納得してないと察する。


「あぁ、納得出来ない。騎士とは違い上級冒険者は腕と実績さえ有ればなることが出来る。それに憧れならば普通は騎士の方が憧れる。それに仮に冒険者に憧れてる言葉が事実だとしても、国王様に向かって騎士になることを辞退するなんて発言、普通は出来ない。何か譲れない物が無ければ………な?」


セイナは言外に、何か譲れない理由が有るんだろ?とイルマに問いかける。


「それは………(セイナさんのこの言葉、僕達に騎士ではなく、上級冒険者じゃないといけない何かが有ることを察してる。だから、セイナさんはその何かを聞かなければ決して納得はしてくれないだろう。ならセイナさんに話すのか?僕達が、いや僕が何故騎士ではなく上級冒険者を目指しているのか()()()()!)」


セイナのその様子に、イルマは何故上級冒険者を目指しているのか表向きの理由ではなく、自分とメラ達しか知らない()()()()()をセイナに話すか躊躇する。


「(………いや、僕はセイナさんに理由を話すと言った。それに騎士になることに強い想いを持つセイナさんの気持ちを考えたら僕達が騎士にならないという理由を知りたい気持ちは分かるし、その理由を答えないとセイナさんは納得してくれないだろうしね。……それに、せめて騎士にならない本当の理由を答えることが、騎士になることに強い想いを持っていたセイナさんへの最低限の礼儀だと僕は思う。)



……僕達、いや僕が騎士にならない本当の理由は、上級冒険者になって叶えなければならない目的が有るからです」


「上級冒険者になって、叶えなければならない目的が有る?………何だ、それは。騎士になることを辞退してまでの叶えなければならない理由とは一体何なんだ……」


「………それは」ちょっ、ちょっとイルマ!()()()を言うつもりなの!?」「そうだぜイルマ!()()()は簡単に他の人に言っていいことじゃないだろ!?」「………イルマ、そこまで言う必要はない」『そうですよ、イルマさん!皆さんの言う通り、言う必要はないです!』みんな……」


「(何だ?(()()()?何か秘め事でも有るのか?それが国王様に向かって騎士を辞退したまでの理由なのか?)」


メラ達はイルマの台詞から、イルマが()()()をセイナに言うつもりだと察しては、簡単に教えていいことじゃない、言う必要がないと言っては静止の声を上げる。そんなメラの台詞と様子から影に隠れていたガゼル総括は、イルマ達に何か秘め事が有り、それが正面から国王様に騎士を辞退した理由だと思いイルマ達とセイナの話を聞き逃さないように耳を澄ます。



「イルマ!無理に話さなくてもいい!ソイツのことなんかほっとけ!」


「そうよ!それは本人にもまだ言ってないことでしょ!それなのにこの人にここで話して、それで何処かで話が漏れて結果本人に伝わったらどうするの!」


「他人に簡単に話してもいい内容じゃない。それに騎士になるかならないかは本人の自由。ならない理由を話す義務はない」


『その通りですよ、イルマさん!この人に話す必要が何処に有るんですか!』


「皆……心配してくれてありがとう。でも、それでも僕はセイナさんには話した方がいいと思うし、それが騎士を目指していた人を前にして騎士にならない選択をした僕の礼儀だと思うから。………それにセイナさんも言い触らすことはしないでしょ?」


「……ああ。俺は只知りたいだけだ。だから話してくれた内容を言い触らすことはないことを約束する」


「ほら、セイナさんも言い触らさない約束もしてくれたよ?」


「そんな口約束なんて当てにならないわよ!」


「そうだぜ、イルマ!それでも言うつもりなのかよ?」


「……………」


そんなメラ達の様子にイルマは、()()()を皆に話した時のことを思い出した。


───────────────────────


「………そういえばイルマって、どうしてそこまで上級冒険者に拘るのよ?」


「えっ!?」


「……そういえばそうだな。どうしてだ、イルマ?」


「………気になる」ジー


『え、何ですか?上級冒険者になることを拘っていたのはイルマさんが理由なのですか?』


冒険者養成所で自分達だけで訓練をして過ごしていた際、イルマにメラはそういえばどうしてイルマは上級冒険者に拘るのかと尋ねてきた。

メラのそんな疑問に、他の皆も何故上級冒険者に拘るのかとイルマに尋ねていき、尋ねられたイルマはというと……


「(ど、どうしよう!上級冒険者に拘っている理由を聞かれるのは不味い!まだ皆には僕の目的である母親の病気を治すことは言ってない!)」


思いっきり焦っていた。

何故ならばイルマはメラ達に母イルミの病気のことやそれを治す為にも上級冒険者を目指していたことをまだ話してはいなかったからだ。


「(どうする?どうしよう?………そうだ!どう答えるか考えるための時間を稼ぐために何でそんなことを聞いてきたのか聞き返そう!)……えっ~と、何、急にそんなこと聞いてきてどうしたの?」



そして、そんな内心で焦っているイルマはそのメラの質問には直ぐに回答せずにどうしてそんなことを聞くのかと、メラの質問にどう答えるか考える時間を稼ぐためにを質問を質問で返す。


だが、


「そりゃあ~イルマが何時も「上級冒険者になる為には」、って言ってるからじゃない」


「(あっ、確かに言ってる………って、そうじゃない!?即答で返された!全然まだ何も考えられてない!)」


そんな時間稼ぎの質問を直ぐに返答され、まだ何もどう答えるか考えれてないイルマは再び焦るのである。


「………イルマに上級冒険者を目指して冒険者になろうと誘われた時、この広い世界を皆で冒険しようと言われた。でも、今の私達なら冒険者じゃなくても広い世界を冒険する方法は有る」


「そうよ。それに上級冒険者に目指さなくても世界を冒険は出来るわよ?それに、冒険者になるなら上級冒険者を目指す志は分かるけど、でも普段のイルマを見ていると、イルマはそれとは別の目的を持って上級冒険者を目指している感じがするわ」


「そうだなぁ……言われてみれば俺もそんな感じがするぜ。で、どうなんだイルマ?何で上級冒険者になることを拘っているんだ?」


『皆さんが冒険者になろうとしたのに、そんな経緯があったなんて私知らなかったです!確かにそんな経緯から考えると、普段私から見てもイルマさんが上級冒険者を目指している様子は別の目的が有るように感じます!』


「うっ……(どうしよう。これはもう気のせいとは言えない感じだ)」


皆の追及にイルマは、言葉を詰まらせては気のせいだと言えない状態にどうするか悩む。


「(…………………これは正直に答えるべきだね。どうせ僕の本当の目的を叶えるには皆の協力が不可欠だし、それに目的を叶えようと思ったら皆に隠し続けることは不可能なことだしね)………皆、実は──────」


それからどうするか悩んでいたイルマだが、目的を叶える為には皆の協力が不可欠なことや、隠し続けることが不可能な点から上級冒険者に拘る本当の理由を隠すことを止め、皆に正直にその目的(母親の病気を治すこと)を話し出した。


「─────────────────────ということなんだ」


「「「『──────』」」」


メラ達に正直に上級冒険者に拘る理由を話したイルマ。

そんなイルマの話を聞いたメラ達だが、イルマの話を聞いては顔を暗くして口を閉ざしていた。


「(そんな……イルミさんが病気だったなんて。それもイルミさんが患った病気が、あの魔粒子分裂症だなんて……)」


「(う、嘘だろ?あのイルミおばさんが病気だと?村を出る時にはあんなに元気だったじゃねぇか)」


「(………信じられない)」


『(……イルマさんのお母様が病気だなんて……それも今のままだとどうすることも出来ずに死んでしまう病気だなんて……)』


イルマが隠していたことを聞いたメラ達は、その事実と患った病気と、このままだとどうなるか知り信じられない気持ちで一杯になった。


「(…………信じられない。でも、イルマがこんなことで嘘を付く筈がない。じゃあこの話は嘘じゃなくて事実。だとしたら私達、この事を隠していたイルマに………今の今まで気づかなかったの?)………イルマ」グス


「何でだ!何でイルマは、今までこの事を俺達に言ってくれなかったんだ!(クソッ!イルマは今の今まで1人でこの事を抱えていたのかよ!)」


「どうして?どうして隠していたの?(私達じゃ頼りなかったの?)」


『そうですよ、イルマさん!何で隠していたんですか!』


「………皆………ごめん。隠していたのは皆が頼りにならないと思ってたんじゃなくて、皆にこの事を伝えて負担をかけたくなかったんだ。………それにこの事を本人(母イルミ)にも言ってないんだ。それを他の人に言って、本人に伝わることが怖かったんだ…」


「「「『………イルマ(イルマさん)』」」」


イルマのその言葉を聞いたメラ達は、そのイルマの言葉と気持ちを考えると自分達にこの事を隠していたことを怒ることは出来ず、イルマを心配そうに見詰めることしか出来なかった。


────────────────────────


その後は、イルマ達はこの話をイルミの耳に伝わらないように誰にも相談することもなく自分達だけの秘密と目的としてきた。


そのことを思い出したイルマは、その秘密を今自分がセイナ(他人)に話そうとすることを止めようとする気持ちに、感謝と謝罪の気持ちを抱いていた。しかし、それでもイルマはセイナの様子からセイナにはこの事を話そうと決めていた。だけど、皆の気持ちを考えると中々セイナにこの事を話すことが出来ず困っていた。


セイナに騎士にならず、上級冒険者を目指す本当の理由を話そうとするイルマ。

そんなイルマを止めるメラ達。

それを影から見詰めるガゼル総括。


事態はイルマ達の事情を聞きたい側、言おうとする側、それを止めようとする側と三竦みの状態。


そして、


「(困ったな。セイナさんに言わなければと思うけど、それをメラ達は止めるし。セイナさんが言い触らすことはしないと約束してくれたけど、メラ達はその約束を信用出来ないから聞いてくれない。でも、メラ達が僕のことを心配してくれて止めようとするのも分かるし………どうするか……)」


そんな三竦みの状態に、どうするか悩むイルマ。



「……………最終的にはイルマが決めたらいい。でも心配だから、話す条件として、今後このことを話すのは最低限の人数にすること。それが条件」


「えっ?」


「ちょっとシーラ!?」


「おいっ!」


『シーラさん!』


そんなどうするかとイルマが困っていた時、あの事を話そうとしていたイルマを止めていた1人であるシーラが、その意見を変えては条件付きで話しても言いと告げる。

そんなシーラの発言にえっ?と声を漏らすイルマと止めるメラ達3人。


「……このことを隠す権利が有るのはイルマ。そして、話す権利が有るのもイルマ」


「そ、それは………」


「そうだがよ………」


『………イルマさん』


反対するメラ達に、シーラは隠す権利と話す権利はイルマに有ると告げ、そんなシーラの言い分にメラ達は反論出来ず言葉を詰まらせる。


「………………シーラ、ありがとう」


「………別にいい。この事はイルマに決定権が有る。それにこの人に話したとしても、懸念(イルミの耳に入る)する可能性は低いから。………でも、言ったように心配だから条件は守って欲しい」


「っ!分かったわ、それでいいわ!でも、アンタ!いい、口約束でも約束は約束よ!絶対にこの事は言い触らさないことよ?いい!」


「……ちっ!確かにシーラの言う通りだな。だが、もしお前が約束を破ったら俺も承知しないぜ?」


『私もです!』


「あ、あぁ。ぜ、絶対に今から聞くことは言い触らさないと約束を守ることを誓う」


シーラの言い分に、理はシーラに有ると思ったメラ達は反対していた気持ちを折れ、自分達の秘密を聞くことになるセイナに向かって言い触らさない約束を守ることを誓うように、そして破った場合は承知しない、とセイナに忠告する。


そんなメラ達の忠告を聞いたセイナは、メラ達のその気迫に押されては少し引き気味で約束は守ると誓う。


「皆………ありがとう」


「………別にお礼なんていらないわよ。シーラの言う通り、さっき言った条件を守ればイルマが決めたらいいのよ」


「メラ」


「はは、メラは素直じゃねぇな。心配だけど、イルマが決めたのだから好きにしたらいいって素直に言えばいいのによ」


「ダン!!」


「おっと、怖っ!──イルマ。俺も止めたけどよ、シーラの言葉を聞いたら俺も最終判断はお前が決めたらいいと思った。だからもう止めねぇ」


「ダン」


『そうですね……イルマさんのことですから、イルマさんが話すと決めたのならもう止めません!でも、この人が話を誰かに漏らした場合は私も制裁します!』


「(ミルン……心配してくれて嬉しいけど、暴力的だなぁ。でも、これで皆からの許しを得たから話せる)………さて、セイナさん。それじゃあ今から話す内容は、約束通り秘密ですよ?」


「………あぁ。何かとんでもない理由が有るみたいだが、約束通り聞いた話は誰にも話さない」


皆からのその言葉にイルマは、再度皆に対してお礼を言っては秘密を話す許しを貰ったこともあり、セイナに騎士になることを辞退した本当の理由を話す前に、この話は秘密にする約束を結ぶ。






◆◇◆◇


「(………漸く話すか。何か秘密にしないといけない程の話みたいだが、悪いな。国王様に言われたこともあり、その秘密の話は聞かせてもらうぜ?)」


そんなセイナとイルマ達の問答を、影から盗み聞きしていたガゼル総括は内心で謝りながらも、国王様に報告するためにその秘密話の盗み聞きを続ける。


「──────セイナさん。騎士になることを辞退した本当の理由ですが、それは────」


───ゴクッ


セイナと影から盗み聞きをしているガゼル総括は、やっと聞けることもあり唾を飲んではイルマの続きの言葉を待つ。



「──────────上級冒険者となって、僕の母親の病気である【魔粒子分裂症】を治せる薬、【万能薬】の素材を集める為です」


「なっ、何だとっ!!?【魔粒子分裂症】だと!?」


「(は、騎士になることを辞退したのは、母親の病気を治す為だと!?それもその母親の病気が【魔粒子分裂症】!!それに、【万能薬】の素材を集めるだと!?)」


漸く騎士になることを辞退した本当の理由を、イルマの口から聞いたセイナとガゼル総括の2人は、イルマの口から出たその病気の名前、目的を聞いては驚愕するのであった。



今回の話と騎士団本部の見学は、次回で終了予定です。

では、皆さんも体調に気をつけてまた来週~!

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