第114話(セイナの夢)
今回は短いですが、セイナというキャラクターの過去についてになります。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
「(………アレはセイナか?参ったな、この休憩の時間にイルマ達とは少し話をしたかったんだがセイナに先を取られたな。……しかし、アイツ何やら険しい顔をしているな。これは少し様子を窺うか………)」
騎士団本部の見学を1通り終えて他の見学から離れて休憩していたイルマ達に、同じく休憩中のセイナが訪れては声を掛けてきた。そんな場面に、同じようにイルマ達に声を掛けようとしてたガゼル総括はセイナに先を取られたと思いながらも、セイナの険しい顔から姿を隠して様子を窺うことにした。
「(何だろう?
見学中ずっと無言で機嫌が悪そうにしていたセイナさんが僕達に話し掛けて来たのは……)何でしょうか?」
「っ………………」
イルマはセイナの呼び掛けに返答しながら、見学中ずっと無言で機嫌が悪そうにしていたセイナが何の理由で呼び掛けて来たのか考えていた。
「……………………」
「………あ?何だよ、早く用事を言えよ」
「……何?」
「何よ、早く言いなさいよ」
「………………」
イルマ達に待つように呼び掛けてきたセイナだが、イルマ達を呼び掛けても中々その呼び掛けてきた理由を話さずに黙っていた。
『《ねぇイルマさん、この人どうしたんでしょう?自分から呼び掛けて来たのにずっと黙って》』
「《……ミルン、それは僕にも分からないよ。でも、このまま只向かい合ったままだと何も進まないね》………あのセイナさん?僕達に何の……「何で………何でお前達は、あの時騎士になることを辞退した?」
そして、そんな黙っているセイナに何の用なのかとイルマが声を掛けるとした際。その声にセイナは反応してか漸く絞り出すように呼び掛けてきた理由を話し出した。
「………何、そのこと?私達が騎士にならない理由?何でアンタにその理由を教えないといけない訳?」
「………いいから」ボソ
「そうだぜ。それにお前には関係ないだろ」
「………それに騎士になる、ならないかは私達の自由」
「………っいいから教えろ!騎士に、騎士になるそのチャンスを捨てる理由を俺に教えろっ!!」
「「「「『!』」」」」
騎士になることを辞退した理由を話させないメラ達に、セイナはいいから教えろと激しく詰め寄る。
「騎士になるには、兵士とかとは違い貴族や国の偉い人物とのコネや何らかの実績、それか優れた才能や実力が無いとなることが出来ない。それは平民の立場では普通叶えることが出来ない」
イルマ達に詰め寄ったセイナは、その後騎士とは平民の立場では普通は無理であることをイルマ達に告げる。
「………つまり、騎士になることは選ばれた者ということだ。なりたいと思ってなれる物ではない。それなのに、お前達はっ…………」
何故それを辞退出来る!?
俺は!………お前達が辞退した騎士に、俺はなれることをどれ程望んだことかっ!?
騎士になることを辞退したイルマ達に、何故そんなことを出来るのだと感情が高ぶり過ぎて、イルマ達に最後の言葉が出なくて内心で叫ぶセイナ。
そして、そんな感情が高ぶり過ぎて内心で自分の想いを叫ぶセイナの頭には、昔のある出来事が思い出していた。
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「な、何故ですか!?何故試験さえ受けることが出来ないのですか!?」
昔のセイナは、騎士になる試験さえ受けることを拒否されていた。
「何故?それはお前では騎士が務まらないからだ」
「何故試験さえ、実力を見てもないのに僕に騎士が務まらないと分かるのですか!?」
「はぁ………あのな、騎士というのはな?力の象徴や名誉の象徴でもあるし、時と場合には貴族より強い権力を行使出来る力を持ってるんだ」
「それは知ってます!だからこそ僕は、そんな騎士になることが夢だったんです!」
「そうだ。だからこそ平民の男は、出世する意味でも騎士になることを1度は夢見て憧れる」
「そうです!僕も騎士になることを夢を見て、今まで自分の腕を磨いてきたんです!」
騎士になる試験を受けさせてくれない人にお前では騎士が務まらないと言われ、思わず感情的になって自分の想いをぶつけるセイナ。
「そう、そんな騎士になれることを夢見るが、騎士とはそんなに甘くない。力の象徴だぞ?名誉の象徴だぞ?時と場合によるが貴族よりも強い権力を持つのだぞ?そんな騎士に誰もなれると思うか?」
「それは………無理です」
「そうだ。無理だ。力は勿論のこと、騎士の名誉を汚さない人格に加え、貴族相手にも権力を行使するにあたって信用や実績。そして、問題が起きればそれを解決する為に必要な人脈や頭脳。後、任務を実行するに忍耐力や体力も必要だな。で、お前はそれら全てか足りない物を補うだけの物を持っているのか?」
「……そ、それは………」
騎士に必要になる物を持っているのかと聞かれたセイナは、先程の言葉を聞いては自分には足りない物が多すぎることもあり、問われた言葉を返す答えに詰まってしまう。
「それと現実的に、騎士になることを夢見る平民全員を試験を受けさせて実力を見る余裕はない。だからこそ騎士になる試験を受けるには条件が存在するんだ」
「───っでも!」
それでも諦められない。騎士になることが夢で、今までその為に自分が一番優れた弓の腕を磨いてきたのだから。
その現実的な事実を聞いたセイナだが、自分が騎士になる試験の条件を満たしていないことに試験に受けれない事実に理屈では理解するが気持ち的に納得は出来ず食い下がる。
「あぁ、後お前さっき力を磨いてきたと言ったが、お前の姿を見るには武器は弓か?例え弓の腕がどんなに凄くても、それだけなら騎士になる試験を受けても不合格だ。理由は騎士とは一芸だけでは務まらないからだ。更に年齢も有ると思うが、お前のその身体の大きさではとても過酷な任務をすることが有る騎士は耐えれない」
「………そ……ん……な………」
その言葉に、男に食い下がっていたセイナは遂に絶望しては反論する力を失う。
「………悪いことは言わない。別の道を探せ」
そんな絶望して力を失くしたセイナの様子に、男は言い過ぎたと思いながらも言ったことは全て事実であり、キツイことだがこれが現実だと自分に言い訳する。
そして、男はセイナに別の道を探せと言ってセイナの前から立ち去るのであった。
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「(……あの時ことは1度も忘れたことはない。だからこそ、僕は………俺は弓以外の力をも磨いた。剣に魔法、それに全てのことを誰かの手を借りなくても出来るようにソロとして活動し、上級冒険者になった。それも只の上級冒険者じゃない、2つ名を持った冒険者に!)」
昔のことを思い出していたセイナは、その時抱いた絶望やそれからの決意、今に至るまでのことを振り返った。
「……………っ」
「……それは」
「……………」
『この人………もしかして』
「………(セイナさん、貴方は………)」
「(………どうやらあいつ、騎士という存在に深い想いが有るみたいだな)」
そんなセイナの様子を言葉を聞いたイルマ達は、セイナの過去や想いを感じては言葉が詰まる。そして、そのセイナの様子を隠れて様子を窺っていたガゼル総括も感じ取っていた。
「………セイナさん。話します。何故僕達が騎士にならなかったその理由を」
「!」
「(!──アイツらが騎士にならない理由を話すだと?これは聞き逃すことは出来ないな……)」
自分の過去と決意を思い出していたセイナは、そのイルマの言葉にセイナと隠れて様子を窺っていたガゼル総括は驚きながらも、イルマが話す騎士にならない理由を聞き逃さないように意識を集中し、耳を傾けるのであった。
今回や次回には関係無いですが、魔物や技能(固有技能含む)などあれば感想まで意見下さい。(期限は無いです)
※この小説内で使ってもいい前提でお願いいたします。
頂いた意見は、敵の魔物で有ったり、イルマ達が新しく覚える技能で有ったり、新しく登場したキャラクターが覚えている技能で登場させたいと思います。