第113話(騎士団本部の見学②)
どうしても間に合わず、1日遅れの投稿になりました。何時もすみません。
そして、ある方々からの指摘や不評もあり、【前話の流れ】は中止します。
今までの分は随時修正していきます。
では、続きである騎士団本部の見学②をどうぞ!
──スタスタスタ
「この建物内だが、色々な設備や部屋が有る。例えば此処が食堂で、彼処が馬小屋に休憩室だ(………例の子供達はコイツらか)」
──チラ
騎士団本部の案内をする為に見学者達を引き連れて騎士団本部の建物内を歩いていたガゼル総括は、自分の後ろに着いて歩いているイルマ達の姿を建物内の説明をしながらチラ見する。
(コイツらが国王様と大臣が言っていた例の子供達か。そして、俺が見学者達を案内する担当になった理由か………)
ガゼル総括は国王様と大臣と会話をした時のことを、イルマ達の姿を見ては思い出す。
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「はぁっ?何でこの俺が、見学者達の案内なんてそんなことをしないといけないんですか?」
ガゼル総括は、国王様と大臣から見学者達の案内を担当するようにと告げられたことに、何故この自分がそんなことをしないといけない、と顔に不満です!気持ちを隠さずに表し、国王様と大臣に何故自分が見学者達の案内なんてそんなことをしないといけないのかと、テンションを下げては2人にその理由を尋ねる。
「ガゼル総括!なんじゃ国王様を前にしてその話し方は!いい加減お主も立場に相応しい態度と言葉使いをせんか……!」
大臣はそのガゼルの質問に答える前に、国王様を前にしてもとても騎士団長達の総括に相応しくない言葉使いに対して苦言をガゼルに申す。
「よいよい、大臣。これでもこやつは騎士団長総括としての責務を有る程度は果たしてくれておるし、余がこやつに対して求めている役割は別に有る。だから態度や言葉使いが多少荒くても公の場で無ければ問題にせん。余が求めている役割をしっかり果たしてくれてさえいれば、余はこやつにそこまで望まん」
しかしそんな大臣に対して国王様は、ガゼルが総括としての責務と、自分が求めている役割を果たしているのだから公の場で無ければ余はガゼルに総括として相応しい態度や言葉使いを望まないと告げる。
「ほら、大臣。俺の言葉使いは国王様がいいって言ってるんだから、直さなくてもいいだろ別に………」
「お主は黙っておれ!……こ、国王様!だからって、決してこの様な状態が褒められる物では有りませんぞ!騎士団長総括としてもっとそれに相応しい態度や言葉使いをこやつにはしてもらわないと、国王様が良くても国の面子やこの国の大臣であるワシは困りますのじゃ!」
国王様の言葉を聞いたガゼルは、国王様がいいって言ってるんだからいいだろ、と直す気や直す必要がないことを告げるが、大臣はそんなガゼルを黙らせては、国王様に国の面子や大臣である自分が困ると再度国王様に物申すのである。
「はぁ………(相変わらず五月蝿い爺さんだぜ)」
「何じゃ、何か言ったか?」ギロッ
「………いや、何も言っておりません………大臣(本当、めんどくせぇなぁーこの爺さん)」
大臣に睨まれたガゼルは、内心でめんどくせぇ爺さんと思いながらもこれ以上面倒くさいことにならないよう多少言葉を丁寧にして、大臣からの追及に対してシラを切る。
「(………こやつ、絶対にワシの悪口を心の中で言っておるな?)──はぁ………お主のそのような状態には、大臣であるワシは頭が痛いわい」
「(うるせぇよ、爺いぃ!)」
大臣、正解である。
「──大臣よ。話がズレてきてるぞ?」
「そ、そうでありましたな。こやつの態度や言葉使いについてまた今度の機会にして、話を戻しましょうぞ」
「(げぇ~!また今度大臣と話さないといけないのかよ………面倒くさいことが増えたな……)」
そんな大臣とガゼルのやり取りを聴いていた国王様は、話がズレてきてることを指摘。その国王様の指摘に大臣はガゼルの態度や言葉使いに関してはまたの機会にし、話を戻す。
「──ゴッホン、さて何故お主が見学者達の案内をしなくてはいけないのかであったな。………実はその見学者達の中には、騎士になることを辞退すると国王様に向かって言った者達がおる」
「おっ!そんな奴らがいるのかよ!
く~、面白い!騎士になることを辞退するだけじゃなくて、それを国王様に向かって言った奴らがいるのかよ!」
大臣の言葉を聞いたガゼルは騎士になることを辞退するだけじゃなくて、それを国王様に向かって言った奴らがいることに面白くて先程までとは違いテンションを上げる。
「面白くないわ!…………その騎士になることを辞退した者達じゃが、その者達の数は4人。そして、その4人全員が子供であり、その4人の子供達全員が固有技能保持者である可能性が大なのじゃ!」
「!」
騎士になることを辞退したのは子供!しかも、その子供は4人で、その4人全員が固有技能保持者の可能性が大だと?
それに、今回の見学者達は確か王都で開かれた大会の最終種目まで勝ち残った者達だったよな?………ってことは、その子供4人は固有技能保持者だけでなくて、今の段階で大会の最終種目まで勝ち残れる実力を備えているってことか……!!
大臣の話の内容に、それがどういうことを示しているのか理解したガゼルは驚きを隠せない。
「………大臣、そいつらの詳しい情報は有るか?」
「!(……雰囲気が変わった………こやつ、先程とは違い真剣な表情を………ふん、流石じゃ。流石総括、まだ全てを話してはおらんのにこれがどれ程のことかわかったのじゃな)………これがそうじゃ」バサ
先程までとは変わって真剣な表情を浮かべたガゼルは、大臣にイルマ達の詳しい情報を求める。大臣は雰囲気が変わったガゼルを見て、まだ全てを話していないのにどれ程のことか理解したガゼルに流石騎士団長総括と、感心してはイルマ達の情報が書かれた資料を渡す。
「─────────何だと……大会での成績が、1人は大会優勝で、他の子供達も上位8位以上だと!?それに何だこの経歴は!チユルの町でスライムロードの討伐に加え、ジェネラルスライムとその他の魔物を多数討伐。そして、年齢は4人とも14歳で、最年少での冒険者養成所の卒業だと?──────────何なんだ、この子供達はっ!?」
「(そうじゃろう、そうじゃろう。ワシも最初にその資料に目を通した際そう思った)」
大臣から渡されたイルマ達の情報が書かれた資料に目を通したガゼルだが、イルマ達の異常と呼べる経歴を見ては畏怖を覚えたかのように震えてその経歴を読み上げる。
そんなガゼルの姿を見た大臣は、ガゼルのその様子に自分も同じことを思ったと何度も頷いてはガゼルの今の気持ちを共感するのである。
「よいか、ガゼル」
「………ハッ!」
───バッ!
イルマ達のその異常な経歴の情報を見て、思わず平常心が乱れたガゼルを呼び掛ける国王様。イルマ達の資料に意識を向けていたガゼルは、その国王様の呼び掛けに勢いよく顔を上げては国王様が何を今から言うのかを察し、ゴクリッと息を飲んで国王様の言葉を待つ。
「余は今回の大会を観戦しておった。その結果、この者達以外の者も中々の強者であることを確認しておる。それでも余の目から見てもこの子供達は別格だ。今の段階での実力も確かだが、それ以上にこの者達の潜在能力は計りしれないと余は感じた」
「………国王様」
ガゼルはその国王様のイルマ達に対してとてつもない評価の言葉に、背中に寒気を感じなから「…………それ程に?」、と言葉を発する。
「──そうだ。その証拠に、その子供達の1人はあのソロの上級冒険者の"百弾のセイナ"に勝っておる」
「………我々が最近密かに手に入れた情報じゃと、そのセイナというソロの上級冒険者は固有技能を保持しているのではと言われていた男じゃ」
「………………そこまでとは」ゴクッ
「これは命令だ、ガゼル。お主の手で此方に引き入れることが出来そうであれば引き入れ、無理な場合は良好な関係を作れ。そして、大会では全ての力を見せてはいなかったが、その者達の実力をお主の手で確認し、余に報告せよ。………この国の英雄である"竜殺しのガゼル"、お主ならそれが出来るであろう?」
「………ハッ!(これは何としても成功させなければ!)」
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「(………さてと、どういう形でいくか……)」
ガゼルは騎士団本部の案内をしながら、国王様と大臣との会話を思い出してはこれからどうイルマ達にアクションを起こそうかと考えていた。
ガゼルがそう考えてる際、イルマ達はというと………
「(まさか全騎士団長の総括で、
───────この国の英雄のガゼル総括に見学を案内してもらうことになるなんてね………………見学を担当する理由は聞いたけど、本当にそれだけなのかな?他にも理由が有って見学の案内を担当させてるんじゃないだろうか?じゃなきゃ国の英雄をわざわざこんなことで使わないだろうし………)」ブツブツ
「(凄えぇ!騎士団本部って、こんな感じなのか!騎士にはならねえと言ったが、ワクワクするな……!)」く~~!
「(騎士団本部って、思ったより地味ね。それより騎士達の訓練の様子とか見れるのかしら?それが見れなければ今回見学に来た意味が大分無いのだけど……)」う~ん
「(…………早く次に、騎士達の訓練が見たい)」ウズウズ
『そんなこと言わず楽しんで見ましょ、メラさん、シーラさん!』ワクワク
イルマはガゼルの正体から何か有るのではと警戒心を抱き、ダンとミルンは単純に騎士団本部の様子を楽しみ、メラとシーラは騎士達の訓練を早く見れないかと案内されながら思うのだった。
「「「「(………何でコイツら平気何だ!?あの"竜殺し"のガゼル総括が案内してくれているんだぞ!?)」」」」
そんなイルマ達を他の見学者達は何故そんな普通でいれると、あのガゼル総括に騎士団本部を案内してもらっている事実に緊張から汗を流しながら気持ちを揃えて変な奴を見る目で見ていた。
「………………腹が立つ」
────イラッ!
セイナは1人、そんなイルマ達の様子に腹を立てていた。
◆◇◆◇
それからイルマ達や他の見学者達はガゼルの案内の下、騎士団本部の見学を続けていた。
「おおっ!大きい!」「………これが騎士達が乗る馬か……」「何でも育成から魔法で大きく強く育てられているそうだ」「魔法で育てる………馬が育つまで幾らするんだ?」
騎士達が任務時に扱う魔法で強化された馬を見たり。
「此れが……騎士達が使う武具……」「見た目は派手だけど、作りはしっかりしてる。これなら簡単には壊れないぞ!」「ちなみに最初は武具は支給されるが、式に参加する用の儀礼的な武具以外は自分で用意することになるぞ」「そうなんですか!?」「知らなかった!」
騎士達が使う武具が置いてある武器庫を見たり。
「意外と質素だな」「遠征時には保存食を食べることになるから普段から鳴らしてるのでは?」「成る程」
途中で見学の休憩の際、騎士達が何時も食べている食事を食堂で食べたり。
「地面がデコボコだ」「あのデコボコの上を馬や武具を装備したまま走ってるぞ!」「あれは荒れた場所を移動する訓練だ」「あっちは斧で薪割りをしているぞ!」「薪割りしてる騎士、かなりしんどそうだ」「薪割りは全身の筋肉を鍛えるのに適した鍛練方法だからな」「おい、あっちは手合わせをしてるぞ!」「おお!あれが現役の騎士の力か!」「すげぇ……」
イルマ達や他の見学者が一番見たかっただろう騎士達の訓練をしている訓練場や訓練を見たり。
まだ騎士ではない者、騎士になることを辞退する者達がいるため、機密情報を取り扱う関係で騎士団本部の建物内で見学が出来なかった所は有ったが、それでもイルマ達や他の見学者達が満足する見学内容だった。
そして、
「…………ちょっと待て」
「「「『!』」」」
「………なんですか?
セイナさん」
騎士団本部の見学よりか、ガゼル総括と国王様や大臣との話しが主になっちゃいました。
そして、セイナ。何故セイナはイルマ達に声を掛けた?