第111話(騎士団本部へ)
大変御待たせしました!
先週は投稿を休みすみませんでした。
では、遅くなりましたが異世界トラブルの続きをどうぞ!
※今回は、騎士団本部へまでの話になります。
国王様の御言葉を以て十闘士選定大会は終了した後、イルマ達や他の騎士になる者達は闘技場を後にする。
ちなみに、騎士団本部へ見学を希望する者達は騎士になる者達全員であり、イルマ達も含め騎士になる者達は闘技場を後にする前に、大臣の部下に見学の希望と王都での滞在場所を伝えるのであった。
「ふぅ~…………疲れたぜ」
「………ふぅ、本当よね………大会中待機時間は有ったけど、戦いの連続だったものね」
「………それも、実力に自信が有る強者達との戦いだった……」
「………今日はもう各自部屋に帰って寝ようか?」
「「「賛成~」」」
『皆さん、お疲れ様でした。お休みなさい』
「「「「お休み~」」」」
大会が終了したイルマ達は、王都で滞在していた宿に帰ってきていた。
宿に帰ってきたイルマ達だが、傷は回復魔法で癒したと云えど消耗した体力まで回復は出来ず、その上子供のイルマ達では消耗した体力は大きく、イルマ達は宿に帰ってきては各自借りている部屋に行き、部屋のベッドに飛び込むように横になって眠りに入るのであった。(ちなみに宿代は全額ガネック伯爵持ちである)
そして翌日、大会の疲れから目を覚ましたイルマ達は、若さからか一晩寝ただけで消耗した体力はすっかり回復していた。
そして、起きたイルマ達は体力回復に使用したエネルギーを補給する為に、宿で朝食を食べるのである。
───ガチャガチャ、パク、……ゴックン
──カチャ、パク、……ゴックン
「流石王都にある宿だな。今までも思っていたけど、部屋のベッドもフカフカで凄い寝やすかったし、食事も上手いな!」
「ダン、食事中五月蝿いわよ。……ゴックン、でも確かに上手いわ」
「…………良質のベッド、美味しい食事、それに代金はガネック伯爵が払ってくれるからお金を気にしなくてもいいのは最高」
朝食を食べてるメラ達は、宿のベッドや食事の美味しさに満足な様子を見せていた。
『皆さんだけで狡いです~!私も食事が食べたいです~!』
皆が朝起きて、宿の食堂で美味しい朝食を食べてる姿を人前に出れなくて朝食をありつくことが出来ず羨ましそうにするミルン。
「(ごめん。でも、もうちょっと辛抱してよ。此処でミルンが僕らと一緒に食事を食べるのは無理だから、ミルンの分は後で部屋に持って行くから)」
『う~~、早くしてくださいね~!私もお腹ペコペコなんですから~!』
そんなミルンに、同じく朝食を食べながらも辛抱するように頼むイルマ。
「(分かっ「でも、此処の食事が上手いからもうちょい食べるぜ!」たよ……)」
「……そうね。ミルンには申し訳ないけど、昨日のエネルギーを補給する為にも、後もう少しだけ食事するわね」
「……………暫くの辛抱」
「(……………ごめん、ミルン。僕ももうちょっと食事するね?)」(ミルンだけが食事をお預けの形になるけど、僕も昨日力をかなり消耗したし………それに食事が美味しいから、僕もまだ食べたい!)
美味しい朝食の魅力に負けるイルマ。
『~~っ皆さんの意地悪~!イルマさんの裏切り者~!』
──御代わりをお願いしま~す!
──はい。ただいまー!!
…………御待たせしました、御代わりをお持ちしました。
──《ありがとうございます。いただきます!》
ガチャ、カチャ、パク、パク………ゴックン。
──────────美味し~~い……!!
『み、皆さんなんて……嫌いですぅ~~!!』
そんな感じでイルマ達は宿で朝食を食べていた。
そして、
「イルマ君達、おはよう」
「「「「おはようございます、ガネック伯爵」」」」
食堂での朝食を食べ終えた後、部屋にミルンの分の朝食を持ち帰りミルンが朝食を食べている間に騎士団本部への見学について話し合いをしていたイルマ達の下へ、ガネック伯爵が護衛を部屋の外に待機させた状態で訪ねてきた。
(ガネック伯爵の来訪に、ミルンはギリギリ食事を食べ終えた)
ガネック伯爵が大会終了した翌日に訪ねてきたのは理由がある。
大会終了後に、イルマ達と直ぐにでも今後についての話をしたかったガネック伯爵だったが、イルマ達が大会での疲れから休んでいるであろうと予測しては翌日にずらして訪ねてきたのである。
「(ふむ。日を置いて訪ねてきたのは正解だったな。イルマ君達、一晩ゆっくり寝てはすっかり回復したみたいだ)」
ガネック伯爵は翌日にずらして訪ねてきたのは正解だったと、イルマ達の疲れが取れた顔を見ては自分の判断を褒める。
そして、その後イルマ達とガネック伯爵は大会後の出来事についてや今後について話し合う。
「騎士になるつもりが無いことは知っていたし、自分はさせるつもりはなかったが、まさか国王様の前で辞退する発言をするとは思わなかった」「騎士団本部を見学することになったが、その後はどうするのだ?」、とガネック伯爵はイルマ達に問い掛けた。
そのガネック伯爵の問い掛けにイルマ達は答えていき、ガネック伯爵はそのイルマ達の答えに胸を撫で下ろしては帰っていくのであった。
ガネック伯爵と話し合いをしたその翌日、イルマ達の下へ騎士団本部への見学の招待状を持った大臣の部下の方が訪れ、その招待状を受け取る。
◆◇◆◇
それから数日後。
大臣の部下の方から渡された騎士団本部への見学の招待状を持ち、騎士団本部の前までイルマ達は来ていた。
「此処が、騎士団本部かぁ……」
「此処に、現役の騎士達が汗を流して鍛えていたり、王都の治安を守る為に努めているのね」
「………見学することで得る物がきっと有る」
『楽しみですね!現役の騎士の訓練や仕事振りを見るのは!』
「──でも皆、やっぱりいいの?これが騎士になれる最後のチャンス。騎士団本部を前にしても気持ちは変わらない?」
イルマの発言に皆は顔を見合わせる(イルマに取り憑いているミルンは姿を現す)。
「何言ってんだよイルマ。その話は済んだだろ?」
「そうよ。宿でも言ったけど、私達全員騎士にならないわ!」
「………今後の為、国王様の提案に従う為に騎士団本部を見学するだけ。騎士になる気は無い」
『私はそもそも騎士になることに興味が無ければ、なることも出来ませんからね!』
「皆………」
メラ達の言葉にイルマは宿での出来事を思い出す。
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~ガネック伯爵との話し合いが終了した後~
ガネック伯爵との今後について話し合いが終了したイルマ達は、騎士団本部への見学まで暇なこともあり大会での疲れを癒す為に宿でゆっくりと休んでいた。
そんな時、
「………ねぇ、皆。………実は我慢してない?」
「あ?何だよ、イルマ。我慢?」
「………イルマ?何を我慢なの?」
「……………」
宿でゆっくりと休んでいた皆に、イルマは話難そうに我慢してないかと皆に尋ねた。
しかし、メラ達はイルマの我慢してないかの問いかけに、何を我慢してないか分からず逆にイルマに問いかけた。
「……それは、………騎士になることだよ」
「「「!!」」」チラッ
イルマの答えに顔を見合わせるメラ達3人。
「…………………騎士になること。前に話した時は皆は騎士にならず僕と一緒に上級冒険者を目指してくれるって言ってくれたけど、折角のチャンスだ。僕は本当は皆が騎士になることを我慢してないか不安なんだ…………」
皆が自分に遠慮して騎士になることを我慢してないか不安な気持ちを打ち明けるイルマ。
村出身で、普通の村人の子供である僕達にはとんでもない出世の話だ。その話を皆が、実は僕に遠慮して騎士になることを我慢して辞退したんだったら問題だ。
確かに僕の目的的には皆が騎士になることを辞退して冒険者になり、一緒にパーティーを組んでくれることの方が助かる。………でも、その為に皆が騎士になることを我慢するのは間違っている。確かに大会の終わりの際には皆は騎士になることを辞退するって言ってくれたけど、もしそれが僕に遠慮してのことなら僕は………
「「「…………………」」」コクッ
──ゴンッ!バシッ!ゴォンッ!
「痛──ッ!!」
皆が自分に遠慮して我慢しているのでは?と考えているそんなイルマに、メラ達3人は目を合わせた後に頷いては同時にイルマの頭に拳や平手に杖を振り下ろした。
「──痛、な、何を「今更何を言ってるのよ」「そうだぜ、イルマ」「今更」するの……えっ?」
「だ・か・ら!今更何を言ってるのよって言ってるのよ!」
メラ達3人に頭をどつかれたイルマは、痛みの声を上げて何をするんだと抗議の声を言おうとした際、メラ達3人にから今更何を言ってるんだと怒られた。
「だ、だって、騎士になれるチャンスだよ?村人の僕達には大出世の話だよ?それを辞退するなんて、普通に考えたら我慢してると思うじゃないか!」
そんな皆に、イルマは当然のことを言ってるのだと声を上げる。
──あのな……
──だから……
──それは……
「「「そんな気持ち、国王様に対して正面から辞退するって宣言した時からないわ(わよ)(の)!!!」」」
「!!」
しかし、そんなイルマの言い分に対してメラ達3人は口を揃えて切り返す。
メラ達3人の決意が籠った言葉を聞いたイルマは、目を大きく開く。
「……………………………………本当にいいの?」
それでもイルマは、最後にもう一度皆に本当に後悔しないか確認する。
「「「いいんだ!(いいの!)(うん)」」」
「っ皆………ごめん………ううん、ありがとう」
「「「おう(うん)(コク)!!」」」
『良かったですね、イルマさん!』
「………ミルン、うん。有難いよ本当に」
そのメラ達の返事に対しイルマは、感謝から謝罪ではなくてお礼の言葉を告げ、そんなイルマに端で口を挟まず見ていたミルンが「良かったですね!」と声を掛け、イルマはミルンにその声に涙ぐみながらも頷くのであった。
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「………………皆」
(ありがとう。騎士団本部を前にしても気持ちが変わらない言葉を聞けて正直嬉しいよ。もうこれ以上は皆の気持ちを踏みにじることになるから聞かない。僕も皆の気持ちに答える為に堂々とするんだ!)」
宿での出来事を思い返したイルマは、皆への感謝の気持ちを再び懐きながら、皆の気持ちに答える為に真剣な顔をして皆に声を掛ける。
「………よし、行こう皆!」
「ああ!」「そうね!」「………」コク『行きましょう!』
そうしてイルマ達は、騎士団本部を前にしても騎士になることを辞退する気持ちは変わらないまま、国王様への義理を通す為と、これからの自分達の成長への糧にする為に騎士団本部へ入り見学しに行くのであった。
どうでしたでしょうか?
くどかったかもしれませんけど、1度は国王様に対して正面から騎士になることを辞退したとはいえど、時間が空くと仲間達に折角のチャンスを不意にしてもいいのかと不安になるイルマの心を描きました。