第110話(辞退への対応)
今回は、イルマ達の騎士になることを辞退する発言に対しての話になります。
では、異世界トラブルの続きをどうぞ!
「騎士を、辞退する!?」
「馬鹿な!?」
「折角騎士になれるチャンスだぞ!?」
「なら俺がその枠を貰う!!」
「馬鹿ね、第3種目で敗戦した私達には無理よ」
「何でだよ!」
「あの子達が騎士になることを辞退しても、それでも12人が騎士になるのよ?10名の枠以上なのは、トーナメント戦まで勝ち上がった人の力が凄いからなのよ?」
「ックソ!ならアイツらが騎士になることを辞退しても、騎士になれる枠が空いた訳じゃないのかよ!」
「そういうことよ」
イルマ達が騎士になることを辞退する発言に、闘技場にいる観客達や大会に敗退した参加者達が騒ぎ出す。
国王様や大臣も、まさか騎士になれるのに辞退すると言われると思っていなかったのか言葉が出ない様子だ。
唯一闘技場にいる人の中で、イルマ達が騎士になるつもりがなかったことを知っていたガネック伯爵だが、まさかこの国王様がおられる場所で騎士になることを辞退すると予想していなくてイルマ達の発言に驚いていた。
だが、イルマ達は厳密に言えばイルマだが、目的を考えたら今騎士になるつもりは無かった。
イルマの目的を考えたら、騎士になれる栄誉や権力、その他のことを考えても上級冒険者になることの方が目的を叶えられる可能性は高い。
その為イルマは、先程の待機時間の際にメラ達と騎士になるかどうか話し合いをしていたのだ。
そして、メラ達も騎士になることよりもイルマと上級冒険者になることを選んだ。
ちなみに上級冒険者を選んだ理由だがダン曰く、「俺が騎士?そんなに賢くないし、柄じゃないぜ!」とのこと。
メラとシーラの2人も、ダンとは理由は違うが(メラはその時イルマの顔をチラチラ顔を赤くして見ていた)騎士より上級冒険者になる選択を選んだのであった。
──ありがとう、皆。………後は僕の仕事だ。さぁ、国王様の騎士にしてくださる申し出を辞退したけどどうなる?
辞退の却下か?不敬罪か?それとも………
皆が騎士になれる折角チャンスをふいにしても、自分と上級冒険者の道を選んでくれたことにイルマは皆に感謝し、国王様に向かって騎士になることを辞退する発言をしたことで起きる事態は自分が解決するのだと、イルマ達の辞退発言を聞いた大臣が国王様の顔に泥を塗ったことで、イルマ達に対して怒っているのを見ては気合いを入れるのである。
意見を却下されるのか、不敬罪になるのか、それ以外の事態になるのか、とイルマは頭の中で騎士になることを辞退したことで起こり得るパターンを予想し、それに対しての解決策を思案していた。
「………ふむ、騎士になるのを辞退するか。何故か理由を聞いてもよいか?辞退に対して余は大臣程怒ってはおらん。只、他に騎士になりたい者がいる程のチャンスをふいにする理由が気になる」
大臣よ怒りを収めよ、と国王様は怒る大臣を諌めながらイルマ達に騎士になるのを辞退する理由を問いかけてきた。
イルマは辞退する理由が主に自分の理由が強いことあり、国王様のその問いかけに対して答える為に前に出る。
そして、イルマは国王様の問いかけを答える前に、「すみませんが、国王様のその問いかけを答える前に、国王様は僕らが冒険者養成所を卒業したことはご存じでしょうか?」と謝罪してから逆に問いかける。
国王様はそのイルマの問いかけに、問いかけの先に謝罪を入れたこともあり気を悪くした様子を見せずに「知っておる。大臣からその情報について報告は聞いてる」と答えた。
その国王様の答えにイルマは「……そうですか」と呟き、国王様の問いかけにどう答えるか考えた後、問いかけの答えを話し始めた。
「………個々では詳しくお答えすることは出来ませんが、僕ら、いや僕にとって、騎士になれることよりも冒険者に、それも上級冒険者になることの方が目的を叶える為には都合がいいんです。だからこそ、僕らは冒険者養成所に入学し、そこで自分達の力を高めた上で卒業したのです。………折角のお言葉でしたが、自分勝手な理由で辞退すると言ってすみません。ですが、僕にとってこのことは譲ることが出来ない大事な理由なのです」
国王様の申し出をお断りして大変申し訳ありません、とそう言ってはイルマは再度、国王様に大きく頭を下げて謝罪する。
「…………この機会を逃したらもうこんな機会は無いかもしれんのだぞ?」
「それでもです!」
「…………………………(気持ちは揺らがない……か)」
本当に騎士にならないのか?、とイルマに再度問いかける国王様だが、その国王様の問いかけに即答で断るイルマの姿を見た国王様は、何を言っても無駄だと悟る。
観客席にいる観客達や他の大会参加者達も、再度騎士に勧誘する国王様に対して即答で断るイルマの姿に不敬を通り越して、そこまで騎士になれることよりも大事なことは何だ?国王様直々の言葉でも揺らがない意思とは、と感じては先程までとは別の意味で口を閉ざす。
「(計算外じゃわい!まさか騎士になれるのを辞退するとは)」
「…………ふむ(逆に興味が有る。騎士に興味が無い訳ではなく、それでも騎士になれるチャンスをふいにしてでも上級冒険者に目指す、それもこの年齢で此処までの力を保有するだけの理由だ。是非もっと近くで直接話して聞きたいの。………………………………)……大臣。ちょっとよいかの?」
「(どうするかの?辞退と言っても、こんな場で辞退を受け入れるのは国としても面子が有って受け入れ難いが、だからといってじゃ無理矢理騎士にするのは不味いの。こんな大衆の前で無理矢理騎士になることを強要することやなる気が無い者を騎士にする意味でもじゃ。………どうするかの……)…………はっ!?な、何でしょうか、国王様?」
「実はの…………………………………………………という訳だ。大臣、よいな?」
「!?………………分かりました、国王様」
イルマ達の辞退する返事と気持ちを聞いた国王様と大臣。
この事態にどう対応しようかと頭を悩ましていた大臣に、国王様はこの場の対応とあることを伝える為に大臣を呼んで告げる。
国王様から呼ばれた大臣は、国王様からこの場の対応についてにはそれならこの場は何とかなるだけではなく、もしかしたらこやつらの返事が変わるかもしれない、と国王様の策に感嘆するが、その後に国王様が告げたある内容には大臣はそこまでするのか、と国王様のイルマ達への評価に目を見開いて驚く。
ちなみにこの時ガネック伯爵は、イルマ達の発言とこの状況に頭を抱えていた。
「───ア~ゴッホン。………その方の騎士になることを辞退する件についてだが、国王様はこう仰っておる。
───────騎士を辞退するのは1度騎士団本部に来て、普段の騎士の様子を見てからでも良いのではないか?と………」
「「「「!?」」」」
──騎士団本部!?
──騎士団本部を見学させて貰える!?
──そんなこと、今まで有ったか?
──い、いや、初めてのケースだ!
大臣が放った国王様の言葉に闘技場にいる全ての者が、今まで無かったケースにざわめき立つ。
国王様は何を考えてる?騎士団本部に僕らを見学させて気持ちが変わるかもしれないと思っているのか?
「………どうする?イルマ」
「騎士団本部に見学なんて、普通は無理よ。騎士団本部には城や国の機密情報とか有るから、見学なんて話し王都で情報収集した時にでも聞いたこともないわ」
「………罠?来たら帰さないって感じの……」
「…………正直、わからない。騎士団本部を見学させて、騎士になるのを辞退する気持ちの心変わりを狙っているのか、シーラが言う通り機密情報を見せて辞退させないようにするのか………それとも他に何か考えが有るのか………」
『なら断りますか?それとも見学しますか?どっちに………しますか?』
「ちょっと考えさせて……」
イルマ達は、大臣から告げられた国王様の提案に、どんな考えが有るのか分からず警戒する。
「勿論、騎士団本部に見学っていっても、流石に騎士になるか分からない者を機密情報に触れるのは不味い。なので、見学出来る範囲には制限を付けさせてもらうぞ?それと、他の騎士になる者達と公平にする為、お主達以外の者で希望する者も騎士団本部に見学を招待しよう。これならどうじゃ?」
「(………それなら見学に行っても無理矢理騎士にならされることは無いかな?それに希望する人だけど、他の人達も騎士団本部の見学を招待されるなら変な疑惑を持たれることもない。その上騎士団本部を見学出来るなんて、現役の騎士の力を見ることが出来るなんて此方も利益が有る話だ。………元々騎士になるのを辞退するって国王様の顔に泥を塗るようなことを言って、処罰を受けてもおかしくないない状況でこの対応だ。なら、尚更この話は受けるべきだ)皆、この見学の話を受けよう」
「イルマがそういうならいいぜ」
「そうね。私達が騎士団本部を見学して発生する問題は、今大臣が見学範囲の制限するって言葉でリスクはかなり低いしね」
「…………現役の騎士の力を見れると考えたら得な話でもある」
『それに、今この状況で断るのは難しそうですしね』
「うん。僕もそう考えたよ」
損得や今の現状を冷静に思案したイルマは、その結果騎士団本部の見学する話を受けることを決めた。そして、メラ達にそのことを伝えてはメラ達もイルマの答えに了承するのであった。
「大臣。騎士団本部の見学の話、お受けします」
「おおっ、そうかね。(国王様、お考え通りになりましたよ)」
「(ふむ)」
イルマ達の返事に大臣は頷き、国王様の方に向いては考えた通りに話が進んでいると目で伝え、国王様もその大臣の訴えてきてる内容が伝わり頷くのである。
「────では、この後に他の騎士になる者達の中で騎士団本部に見学を希望する者は、騎士団本部の見学の招待状を後日渡すので、ワシの部下に見学をするかどうか、招待状を渡す為に王都での滞在場所について伝えるように」
イルマ達の騎士団本部に見学することを受ける返事を聞けた大臣は、そのように他の見学希望者達への連絡を行う。
ちなみにこのような状況になり、頭を抱えていたガネック伯爵はというと、今度は腹痛に襲われてお腹を押さえていた。
「…………さて、大会終わりの挨拶ではなく、別の話をしてしまっていたのだがそろそろ本題に戻ろう。
───────この大会に参加した強者達、敗北した者は更に修行に励み、最後まで勝ち上がった者はこれに驕らず更に上を目指せ!───────十闘士選定大会!これにて終了する! 」
「「「「「ウォオオオオーーッ!!!!」」」」」
国王様の大会終了の言葉にて、十闘士選定大会が終了したのである。
そして、闘技場にいた人達は国王様の御言葉に、歓声の声を闘技場が揺れる程に上げるのであった。
あれ、何か大会終了が前回ではなく、今回になってしまっている?
次回の投稿ですが、すみませんが一回休みます。